喫茶店「珈琲の詩」のマスターはバッハ狂
土曜日に暫らくぶりで僕のお気に入りの喫茶店「珈琲の詩」に行きました。場所は渋谷からほど近い東急田園都市線高津駅の目と鼻の先です。このお店を僕が知ったのは以前にTVの街角さんぽ番組で取り上げられていたからです。その番組の中で「マスターが大のバッハ狂である」と紹介されていたのでどうしても行ってみたくなり、直ぐにネットで調べて訪れてみたのです。ところが流石はバッハ狂のマスター、客商売とは言え所謂愛想笑いで客に媚を売るようなタイプではありません。なんとなくおそるおそる声をかけてみたところ、何でもこの商売を始めたのも音楽を一日中聴いていられるから、などと言われるだけあって、色々とお話を聞かせてくれたり、僕の為にバッハの曲を選んでくれたりと実に親切で優しかったのです。すっかり気に入って、それ以来近くに行った時には必ず寄っています。
マスターが一番楽しそうに話してくれるのは、2000年のバッハの没後250年記念の年にライプチッヒの教会で行われた記念演奏会を実際に聴きに行かれた時のことです。バッハの命日に聖トーマス教会で行われたゲオルグ・クリストフ・ビラー指揮の「ロ短調ミサ曲」の演奏会は全世界にTV放映されてDVDにも成りましたが、それには一番前の客席に座っているマスターと奥様がしっかり映っているのです。あのような演奏会を体験なさっただけでも羨ましいのに、ご自分達の姿が映像に残されているなんて、なんともかけがえの無い記念ですね。僕はこの時の演奏は本当に素晴らしいと思います。カール・リヒターのように深刻で激しいわけでも無く、最近の古楽派の少人数の精緻なコーラスでも有りませんが、聖トーマス教会合唱団(「トマナー・コーア」と呼ばれます)の少年達の純粋素朴な歌声は最も心に響いて来ます。
お店では、普段はバッハが半分ぐらい、残りはモーツァルトやハイドンがよくかかっていますが、マスターに頼めばこのDVDを直ぐに見せてくれます。旅行のアルバムも見せてくれながら、生解説付きなので楽しいです。それと忘れてならないのはマスターの入れてくれるコーヒーがとても美味しいのです。こじんまりとした店内の壁の棚にはクラシックのLPレコードやCDがぎっしり並んでいて壮観です。
皆様も、生活圏内のかたは是非一度お立ち寄りになられてみては如何でしょうか。
「珈琲の詩」ホームページhttp://www.cafe-uta.com/
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