早いもので新年三が日も今日で終わり、明日からはまた仕事です。今年も頑張りましょう!
さてニューイヤーの「新世界より」で中断したブルックナー&マーラー特集でしたが、ブルックナーの第3番から再開です。ブルックナーの交響曲は第3番から第6番までが中期と呼べるでしょうが、その中での最高峰が第5番というのは誰もが認めるところです。けれども、この第3番も中々に人気があります。楽想の豊かさでは第4、第6を凌ぐかもしれません。
この曲は初稿がワーグナーに捧げられた為に「ワーグナー交響曲」の愛称で呼ばれます。実際に初稿(1873年版)ではワーグナーの旋律が引用されていました。しかしこの初稿はオーケストラから「演奏不能」と言われて初演が行われませんでした。そこでブルックナーは楽譜に手を加えて第2稿(1877年版)を書き上げます。その際にはワーグナーの旋律の引用を大幅に削除しました。ところが演奏会は成功には至りませんでした。
結局ブルックナーは晩年に再び改定を行って第3稿(1889年版)を完成させます。ワーグナーの引用は全て省かれて、晩年の雰囲気を持つ箇所が増えました。その為に何となく統一感に欠ける印象も受けるものの、全体としてはすっきりとまとまりの良いものと成りました。やはりとても美しくチャーミングな作品です。一般的にはこの第3稿が最終稿として広く演奏されています。
ちなみに初稿によるCDも発売されていて、原点を知るという点で貴重かつ面白いのですが、個人的には一度聴いたらそれで充分と言う気がします。むしろ第2稿の方が、晩年に手を加えられてないないだけに、最終稿に対して存在価値が有ると思います。
第1楽章<中庸の速さで躍動的に> 弦のトレモロに乗って吹き鳴らされるトランペットで始まり、スケール大きく響き渡るトゥッティとなる楽想は中期の魅力で一杯です。後期の曲ほどに深刻でないので理屈抜きに楽しめますが、反面深さに欠けるのはやむを得ません。頻発する二連と三連音符の組み合わさった美しい動機は典型的なブルックナーの楽曲です。
第2楽章<アダージョ・クワジ・アンダンテ> アダージョですが、後期と違って幸福感を湛えた明るさが有ります。自然や神への祈りをも感じるとても美しい楽曲です。
第3楽章<スケルツオ> 初期の曲よりも段違いに充実しています。激しいリズムの主部に対比されるトリオのゆったりとした舞曲は明るく素朴で何とも魅力的です。
第4楽章<フィナーレ・アレグロ> 急速で厳しい響きの第1主題が終わると、明るいヴァイオリンの伴奏に乗って荘重なコラールが歌われます。この部分も大変にチャーミングで、初中期ならではという感じです。終結部は例によって壮大に鳴り響いて感動的なエンディングとなります。
それでは僕の愛聴盤をご紹介します。
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ウイーン・フィル(1954年録音/DECCA盤) 昔から宇野功芳先生が推薦している有名な演奏です。僕も学生時代にLP盤を購入してよく聴きました。モノラル録音にしては良好な音質で昔のウイーン・フィルの陶酔感溢れる美音がこぼれ落ちるようですが、現在となってはやはり音質への不満が無いわけではありません。第1~3楽章まではクナにしては速めのテンポで進めていて緊張感も有って良いのですが、第4楽章に緊張感が不足するのが大きなマイナスです。後述のライブ盤の凄演を知っているファンにとってはこの"ゆるい"スタジオ録音盤に満足するのはちょっと難しいと思います。
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ウイーン・フィル(1960年録音/Altus盤) 楽友協会大ホールでのライブ録音です。演奏だけを取ればDECCAの54年盤よりも格段に優れた出来栄えです。ウイーンフィルの甘くこぼれるような美音と晩年のクナのスケールの大きさを兼ね備えた理想的な演奏だからです。第1楽章の二連/三連主題の弦の柔らかさはDECCA盤以上ですし、トゥッティの緊張感を持つ響きには凄みすら感じさせます。但し問題はマスタリングで、中音部の抜けた高音強調型の音がキンキンうるさいことです。データを見るとエンジニアが巷で悪評の高いアイヒンガー&クラウスとあります。これでは貴重な音源の発掘価値がぶち壊しというもので非常に残念です。
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮北ドイツ放送響(1962年録音/Music&Arts盤) 晩年のハンブルクでのライブ録音です。音質が非常に良いのが嬉しいです。60年盤と違って中低音がぶ厚い録音(マスタリング)なので、クナのスケールの大きさが充分に感じられます。第1楽章の前半では遅いテンポに緊張感がまだ付いていきていませんが、後半は緊張感が増してスケール壮大となります。第2楽章もたっぷりとして良いのですが、ウイーン・フィルの柔らかく魅惑的な表情と比べると聞き劣りがします。第3楽章は一転して厳しく豪快なリズムが素晴らしいです。音楽がオケに合っているのでしょう。終楽章も同様で遅いテンポで巨大な音楽となっています。コラールも非常にゆったりとして懐かしさを感じさせて素晴らしいです。
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ミュンヘン・フィル(1964年録音/イタリア・メモリーズ盤) この演奏は音楽プロデューサーの中野雄先生が実際にお聴きになられたコンサートとのことで、著述もされています。曰く「地鳴りのような響きの記憶は鮮明に耳の奥に残っている」です。最初に聴いたゴールデン・メロドラム盤は音質が余りに貧弱なので手放しましたが、その後に出たメモリーズ盤の6CDセットは鑑賞に耐えます。いずれ正規録音盤のリリースに期待はしますが、それまではこれで充分です。クナのこのミュンヘンでのラストコンサートは中野先生の記憶が全くその通りであろうことが良く判ります。この最晩年のクナの3番はウイーンでの1960年盤と並ぶかそれを越えるものである気がします。
クルト・ザンデルリンク指揮ライプチヒ・ゲヴァントハウス管(1963年録音/Berlin classics盤) かつてゲヴァントハウスの首席指揮者を務めたコンヴィチュニーがブルックナーの5番、7番に名盤を残していますが、これは彼が他界した翌年の録音です。ですのでオケの響きがコンヴィチュニー時代そのままの質実剛健で古色蒼然としたものです。ウイーンスタイルの柔らかさは有りませんが、素朴で下手な味付けの無い音色に逆に惹かれます。それでも第1楽章の二連/三連部分などは弦もとてもよく歌っています。若きザンデルリンクの豪快さも凄いですが、個人的な好みでは少々音を鳴らし過ぎで、管の強奏がやや耳につきます。第2楽章の弦の素朴な音色は良いですが、盛り上がりのカロリーは中々高めです。第3楽章は速めのテンポで実に豪快ですが、トリオではゆったりと歌っています。第4楽章はじっくりとやや遅めのテンポですが迫力は満点。後年のザンデルリンクのスタイルを感じさせます。クナ以外では最も豪快な演奏と言えるでしょう。但しコラールはゆったりと魅力的です。
カール・シューリヒト指揮ウイーン・フィル(1965年録音/EMI盤) 同じウイーン・フィルを振ってもクナの豪傑型のスタイルとは全然異って実にスッキリと端正な演奏です。初期の曲という点ではシューリヒトの方が正統的なのではないかと思ったりもします。シューリヒトが同じEMIに残した8番、9番と比べると出来栄えは落ちるかもしれませんが、これも60年代のウイーン・フィルの美感を捉えた名演だと思います。トゥッティになっても音の柔らかさと張りを兼ね備えていて実に素晴らしいです。第2楽章の純粋な美しさも非常に印象的ですし、第3楽章の良い意味で"軽み"の有るリズムも素晴らしいです。第4楽章は少しもうるさくならずに徐々に高揚してゆく辺りは流石にシューリヒトの匠の技です。録音は古めですが、僕の持っているドイツプレス盤はしっとりとした音でさして不満は感じません。
ジョージ・セル指揮クリーヴランド管(1966年録音/CBS SONY盤) アメリカの団体の演奏するブルックナーにはとんと興味が無かったのですが、結構好きなファンが居るようなので、試しに聴いてみました。確かにカッチリと優れたアンサンブルで、これが古典派なら良いのかもしれませんが、後期ロマン派には不向きという印象です。マルチマイクによる録音で各パートの分離が良過ぎることもそう感じさせる要因の一つです。楽しく伸びやかに演奏して欲しい箇所でも解放感が感じられません。従って余り繰り返し聴きたいとは思いません。第8番がカップリングされていますが、そちらの方が上出来です。
カール・ベーム指揮ウイーン・フィル(1970年録音/DECCA盤) この演奏は昔聴いた時には金管の音が金属的に感じられて余り良い印象は有りませんでしたが、いま改めて聴くとやはり素晴らしい演奏です。ベームの引き出す厳しく引き締まった響きは音楽の穏やかさや陶酔感を遠ざけるものの、造形感や構築力が見事で、音楽が立派に聞こえることこの上もありません。とても迫力が有りますが荒さは感じません。ウイーン・フィルの音の美しさ、繊細さを生かしながら豪快さと両立をさせていて聴き応え充分の名演奏です。
クラウス・テンシュテット指揮バイエルン放送響(1976年録音/Profile盤) テンシュテットが世に広く知られ始めた時期の録音ですが、バイエルン放送響とのミュンヘンでのライブが残されたのは嬉しいです。ブルックナーに適性を持つオーケストラの音を得て、非常に充実感に溢れた演奏となっています。マエストロの迸るエナジーは時にブルックナーの音楽をはみ出しますが、第3番に関しては特に後半の3,4楽章では荒れ狂うほどの迫力を持ちながらも、曲想と相まって違和感は全くありません。スケール大きく広がり、ずしりとした手応えの有る理想のブルックナー演奏だと言えます。録音も明晰さと柔らかさ、そして臨場感に溢れたバランスの優れた音質です。
オイゲン・ヨッフム指揮ドレスデン国立歌劇場管(1977年録音/EMI盤) 当時の同じ東ドイツの楽団としてゲヴァントハウスを聴いた後に聴くと、いかにもふっくらと柔らかい音に感じます。と言ってもウイーンの洗練された艶っぽさとは異なるずっと素朴な音です。トゥッティでの溶け合った美しい響きには法悦感さえ感じます。ゲヴァントハウスでは残念ながらこういう感覚は得られません。但し70年代のヨッフムの指揮はスケールが大きい訳ではなく、第1楽章の最後などはややアッチェレランド気味なのでスケールは小さくなります。第2楽章以降はヨッフムがことさら何かをしている訳ではなくオケの美しい響きに任せているという印象です。ですので聴いている時にはとても心地が良いのですが、聴き終えた後にそれほど強い印象は残りません。写真の全集盤(オランダ盤)は中低域の音が厚く、本来のドレスデンらしい音なので満足しています。
ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送響(1980年録音/SONY盤) ドイツ音楽を得意にするクーベリックだった割にはブルックナーのスタジオ録音は僅かにSONYへの3番、4番のみでした。これは大変に残念な事です。遅めのテンポでゆったりとスケール大きくオケを響かせますが、弦と管が上手くブレンドさせて美しく、トゥッティでもうるさくなることが有りません。ミュンヘン・フィルといいバイエルン放送といい南ドイツのオケは本当にブルックナーに適正を感じます。唯一気に入らないのは4楽章のコラール部分のヴァイオリン伴奏です。少々ぶっきらぼうでいじらしさに欠けている気がします。この演奏では第2稿(エーザー校訂版)が使われているのが貴重です。クーベリックには他に70年のライブ録音(Audite)も有りますがそちらは未聴です。
ロブロ・フォン・マタチッチ指揮ウイーン響(1982年録音/METEOR盤) 海賊盤ですが上げておきたいと思います。マタチッチの第3にセッション録音は有りませんが、このMETEOR盤の他にはBBCレーベルから出たフィルハーモニア管との1983年ライブ盤が有ります。この1982年盤は録音もまずまずですし、ウイーン響の音にはしなやかさが有って中々に良いです。マタチッチですので豪快さとおおらかさを兼ね備えて余り神経質にならないのはこの曲には好ましいです。ライブ特有の演奏の傷は散見されますが気になるほどでは無いですし、何よりマタチッチの演奏を聴けるだけでも有難いです。
ギュンター・ヴァント指揮北ドイツ放送響(1985年録音/Profile盤) ヴァントのブルックナーは出来不出来が少なく常に高次元を保っていると思いますが、この演奏からは意外に感銘を受けませんでした。大きな理由としては金管のハーモニーがそれほど美しく感じられないからです。かといってクナッパーツブッシュのライブのような豪快な迫力も有りません。実演で聴けばともかく、CDで聴く分にはライヴ録音のデメリットが出てしまったようです。同じ北ドイツ放送響とのライヴに1992年録音(RCA盤)も有って自分は未聴ですが、そちらのほうが恐らく出来映えは良いのではないでしょうか。
ヘルベルト・ケーゲル指揮ライプチヒ・ゲヴァントハウス管(1986年録音/WEITBRICK盤) 東ドイツで活躍したケーゲルですが、1990年にピストル自殺する4年前の録音です。ケーゲルが珍しく、名門ゲヴァントハウス管を指揮したブルックナーで、なんといっても純ドイツ的で無骨な音色を残したゲヴァントハウス管そのものに惹かれます。そのオケの響きを生かしてブルックナーの魅力を引き出したケーゲルも素晴らしいです。繊細であっても神経質にならず、スケールの大きさはあっても騒々しくならず、ほぼ理想のブルックナーです。ですのでマエストロには自ら命を絶たずに、このような優秀なオケともっと録音を残して欲しかったです。(更に詳細は下記の<関連記事>を参照のこと)
セルジュ・チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィル(1987年録音/EMI盤) クナッパーツブッシュやクレンペラーのテンポの「遅さ」が凄いと感じるのは、通常早い部分で遅くなるからです。元々遅い部分では驚くほど遅くはないのです。ところが晩年のチェリビダッケの場合は、元々遅い部分が更に遅くなります。それで聴いていて息が詰まってしまうのです。この3番の演奏も典型的な晩年のスタイルです。スケールの大きさを感じるよりも、聴き通すのに長さを感じてしまいます。この演奏に関しては、ミュンヘン・フィルの響きも特別に美しいとも思えません。
ベルナルト・ハイティンク指揮ウィーン・フィル(1988年録音/フィリップス盤) ハイティンクがウィーン・フィルと録音した何曲かのブルックナーは一口で言うと金管楽器が煩く感じられて好みでは無いのですが、この3番もやはり同傾向にあります。オーケストラは良く鳴っていますが、響きが単なる”音響的”で感動を覚えません。加えて本来魅力的なはずの弦楽器も歌わせ方が一本調子です。一見すると大きな欠点の無い良い演奏に聞こえるかもしれませんが、自分にとっては聴きどころのない凡演に感じられます。ただしこの演奏は第2稿を使用していて、その点では存在価値を感じます。
朝比奈隆指揮大阪フィル(1993年録音/ポニーキャニオン盤) 朝比奈さんのブルックナーの実演を初めて聴いたのは、この曲で、1970年代のことでした。それは動的な活力に満ちて野趣に溢れた演奏で大変魅了されました。一方でこの録音は円熟期に入った時代のセッション録音です。評論家の故・宇野功芳氏が常に推薦盤に上げて絶賛したのは有名ですが、しかし現在あらためて聴いてみると、他の世界の優れたオーケストラの録音と比べると、技量が少々痛々しく感じられます。不安定な管楽器、音の弱さ、アンサンブルの不揃いと色々と有るので、朝比奈さんの指揮の魅力ではカバー仕切れません。他の曲の録音も含めて、このコンビはやはり実演で聴くのが幸せだったと思います。
クルト・ザンデルリンク指揮ロイヤル・コンセルトへボウ管(1996年録音/コンセルトへボウ管弦楽団アンソロジー) これはコンセルトへボウ管による自主制作CD「コンセルトへボウ管弦楽団アンソロジー第6集1990-2000」に収められる演奏です。前述の1963年のゲヴァントハウス管盤が名演でしたが、その33年後の録音です。1楽章からこのオケの美音を生かした厚みのある響きを醸し出しています。フォルテで音が固くならず、ふくよかな響きが非常に心地良いです。柔らかく歌う弦楽の美しさも旧盤を凌ぎます。反面、音の凝縮が幾らか弱い印象を感じ、旧盤での緊張感は減衰しています。2楽章の美しさは旧盤を大きく上回ります。底光りするような響きが本当に美しいです。3楽章、4楽章と集中力が高まり、迫力が増しますが、金管をむやみに強奏させないので響きが濁らず、響きが柔らかく美しいです。ゆとりと気宇の大きさを感じさせる正に大人のブルックナーという風情です。(更に詳細は<関連記事>を参照のこと)
クルト・ザンデルリンク指揮ベルリン放送響(2001年録音/WEITBLICK盤) これはザンデルリンク最晩年の録音で、いかに第3番を好んでいたがが分かります。レーグナー時代に名録音を数多く残した旧東独のこの楽団から、非常に美しい響きを醸し出しています。フォルテでも金管を咆哮させるようなことはありません。ふくよかで柔らかい音からのみブルックナーの法悦の響きは生まれます。マエストロのとるテンポは全体的に非常に遅く、演奏時間的にはチェリビダッケ以上です。ところがザンデルリンクの演奏では決して息苦しくなることが有りません。音楽がどこまでも深まるだけです。この人はブラームスの演奏に関しては「神様」ですが、ブルックナーも3番の他に晩年に残した4番、7番はいずれも神様級の素晴らしさでした。
ワレリー・ゲルギエフ指揮ミュンヘン・フィル(2017年録音/ワーナークラシックス盤)ブルックナーの聖地リンツの聖フローリアン修道院で2017年から3年かけて交響曲の全曲演奏と録音が成し遂げられました。過去に層々たるブルックナー指揮者たちが指揮台へ上がったこの楽団にはブルックナーの響きが沁みついています。修道院の長い残響の美しさは有名です。ゲルギエフは最初の年に1番、3番、4番を演奏しました。後期の作品はごく自然体ですが、初期の曲では幾らか表現意欲を感じさせます。それが不自然なことは無く、逆に初期作品の幾らかの物足りなさを補う結果をもたらしています。この曲も震えるほどに美しくロマンティックで心から魅了されます。全集盤も出ています。
クリスティアン・ティーレマン指揮ウィーン・フィル(2020年録音/SONY盤) ティーレマンのウィーン・フィルとのブルックナー全曲CDプロジェクトの第二弾で、ウィーンでのライヴです。極めてホールトーン的な録音なので、各楽器の音が遠く、生々しさに不足します。もっともそれは、全体の音を丸く柔らかくブレンドさせる効果もありますので、必ずしも悪いことではありません。特に第二楽章の後半から第三楽章、終楽章では管弦楽の響きの美しさに惹き付けられます。金管楽器が少しも金属的に感じられ無いのも非常に好感が持てます。第2稿(ノヴァーク版)が使われているのは貴重です。(更に詳細は<関連記事>を参照のこと)
第3番は、個人的に一番楽しめるのはクナッパーツブッシュのウィーン・フィルとの1960年ライブ盤、それにミュンヘン・フィルとの1964年盤なのですが、録音が余り良く有りません。そこで録音の良いディスクからは、ベーム/ウィーン・フィル盤、テンシュテット/バイエルン放送響盤、ザンデルリンク/ベルリン放送響盤、ゲルギエフ/ミュンヘン・フィル盤の4つを上げたいと思います。
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