バッハのコンチェルト ~愛聴曲三昧~
三連休も今日で終わり、年末年始気分もとうとう完全に消え去りそうです。気持ちを切り替えなくてはいけません。YOU CAN CHANGE!
でもその前に新年に聴いた音楽についてまとめてみます。新年にはやはり厳かな音楽が聴きたくなるので、毎年バッハかベートーヴェンを聴くのが恒例のようになっています。ということで、今年はバッハの協奏曲で好きなものを良く聴いていました。今回上げているCDはこれまでの記事には無かったものですので、以前のものと比べてみると新しい発見が有ったりして面白いです。
ブランデンブルク協奏曲集BWV1046-1051
ベルリン古楽アカデミー(1997年録音/ハルモニアムンディ盤)
以前は古楽器の音を「干物の魚みたい」などと酷いことを書いていましたが、時と共に耳や感覚は変わるもので、最近ではバロックはむしろ古楽器が良いような気もします(今頃!)。
そこで新たに聴いたのがベルリン古楽アカデミー盤です。巷での評判も良く、ゲーベル/ムジカ・アンティク・ケルン盤と並べて評されることも有るので期待しました。但しこのCDは1枚目に1番、3番、5番、2枚目に2番、6番、4番の順で変則に並んでいるのが少々微妙です。
演奏は確かに素晴らしいもので、音色、技術、楽しさはゲーベル盤と比べても遜色有りません。それでいてベルリンの団体だけあって、どこかドイツの香りを感じさせるのが良いです。問題が有るとすれば第1番です。ディナーミクの変化(クレッシェンド、ディミヌエンド)が自然でなく、とって付けたようなわざとらしさを感じます。管楽器の音も大き過ぎて、弦楽をかき消し気味です。アカデミーということでも無いでしょうに、まだまだ青いですね。その点ゲーベル盤は面白くても自然でした。
けれども逆に第6番は、ゲーベル盤が余りにテンポが速過ぎて何をやっているのか分かりませんでしたが、こちらは速いながらも程良いテンポなのでこの曲の滋味深い旋律を充分に楽しませんてくれます。
総合的にどちらと言うのは難しいですが、僕は第6番が大好きなのでベルリン古楽アカデミー盤に惹かれます。
但し、いまだにリヒター盤やパウムガルトナー盤をこよなく愛することに変わりは有りません。
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ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ニ短調BWV1060
コレギウム・アウレウム合奏団、フランツヨーゼフ・マイアー(Vn)、ヘルムート・フッケ(Ob) (1976年録音/ハルモニアムンディ盤)
この曲は短めの曲ながら大変溺愛しています。往年のオーボエの巨匠へルムート・ヴィンシャーマンの貫禄ある演奏を偏聴しているために、これまで古楽器の演奏には余り食指が伸びませんでした。しかし、いつまでもそれではいけないと思い、選んだのがこのコレギウム・アウレウム盤です。バロック・ファンには「何を今更」と叱られそうな、かなり以前の録音ですが、まぁ、お許しを。
しかしこれが録音された1976年当時では古楽器の先端を行っていたのでしょうが、古楽器使用といえども、ヴァイオリンはヴィブラートを普通に付けていますし、まだモダンからピリオドへの過渡期のような印象です。だからこそ、いまだモダン楽器の演奏にも大いに惹かれる自分のようなリスナーにとってはちょうど良いのかもしれません。
ヴィンシャーマンの遅いテンポによる重厚な演奏に比べればずっと速いですが、過激なスピード演奏とは異なり落ち着いてこの名曲を楽しむことが出来ます。
なお、このCDにはフルート、ヴァイオリンとチェンバロのための協奏曲BWV1044、チェンバロ協奏曲第1番BVW1052の2曲が収められています。
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ヴァイオリン協奏曲集
ユーディ・メニューイン(Vn独奏、指揮バース祝祭管弦楽団)(1958-62年録音/EMI盤)
さて、お次に登場はバリバリのモダン楽器演奏です。メニューインはとても好きなヴァイオリニストで、バッハの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ全曲」のCDは愛聴盤の一つです。
まぁ古楽器派全盛の時代では『古めかしい』と片付けられそうな演奏ですが、しかしこのヒューマニズム溢れる演奏には強く惹きつけられます。古いといっても更に時代を遡った戦前のバッハに比べれば現代の感覚にも十分受け入れられると思います。
特に優れているのが第2ヴァイオリンに当時の若き名手クリスティアン・フェラスを擁した「2台のヴァイオリンのための協奏曲」で、かのヘンリク・シェリングとペーター・リバールの名盤に匹敵するとまでは言いませんが、両者の温かいヴァイオリンの掛け合いに心は幸福感で満たされてしまいます。
また同様に素晴らしいのが第1番です。ゆったりと情感たっぷりに奏でられるメニューインのヴァイオリンにはスタイルを越えた素晴らしさが感じられます。
残る第2番は少々まったりし過ぎかなとも思えます。もちろんそれが特徴ではあるのですが。
なお、このCDには「ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲」も含まれていて、オールドファンには懐かしい名手ユージン・グーセンスがオーボエを演奏しています。
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