J.S.バッハ(協奏曲)

2017年1月 9日 (月)

バッハのコンチェルト ~愛聴曲三昧~

三連休も今日で終わり、年末年始気分もとうとう完全に消え去りそうです。気持ちを切り替えなくてはいけません。YOU CAN CHANGE!

でもその前に新年に聴いた音楽についてまとめてみます。新年にはやはり厳かな音楽が聴きたくなるので、毎年バッハかベートーヴェンを聴くのが恒例のようになっています。ということで、今年はバッハの協奏曲で好きなものを良く聴いていました。今回上げているCDはこれまでの記事には無かったものですので、以前のものと比べてみると新しい発見が有ったりして面白いです。

ブランデンブルク協奏曲集BWV1046-1051

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ベルリン古楽アカデミー(1997年録音/ハルモニアムンディ盤)

以前は古楽器の音を「干物の魚みたい」などと酷いことを書いていましたが、時と共に耳や感覚は変わるもので、最近ではバロックはむしろ古楽器が良いような気もします(今頃!)。
そこで新たに聴いたのがベルリン古楽アカデミー盤です。巷での評判も良く、ゲーベル/ムジカ・アンティク・ケルン盤と並べて評されることも有るので期待しました。但しこのCDは1枚目に1番、3番、5番、2枚目に2番、6番、4番の順で変則に並んでいるのが少々微妙です。
演奏は確かに素晴らしいもので、音色、技術、楽しさはゲーベル盤と比べても遜色有りません。それでいてベルリンの団体だけあって、どこかドイツの香りを感じさせるのが良いです。問題が有るとすれば第1番です。ディナーミクの変化(クレッシェンド、ディミヌエンド)が自然でなく、とって付けたようなわざとらしさを感じます。管楽器の音も大き過ぎて、弦楽をかき消し気味です。アカデミーということでも無いでしょうに、まだまだ青いですね。その点ゲーベル盤は面白くても自然でした。
けれども逆に第6番は、ゲーベル盤が余りにテンポが速過ぎて何をやっているのか分かりませんでしたが、こちらは速いながらも程良いテンポなのでこの曲の滋味深い旋律を充分に楽しませんてくれます。
総合的にどちらと言うのは難しいですが、僕は第6番が大好きなのでベルリン古楽アカデミー盤に惹かれます。
但し、いまだにリヒター盤やパウムガルトナー盤をこよなく愛することに変わりは有りません。
<関連記事>ブランデンブルク協奏曲 名盤

ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ニ短調BWV1060

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コレギウム・アウレウム合奏団、フランツヨーゼフ・マイアー(Vn)、ヘルムート・フッケ(Ob) (1976年録音/ハルモニアムンディ盤)

この曲は短めの曲ながら大変溺愛しています。往年のオーボエの巨匠へルムート・ヴィンシャーマンの貫禄ある演奏を偏聴しているために、これまで古楽器の演奏には余り食指が伸びませんでした。しかし、いつまでもそれではいけないと思い、選んだのがこのコレギウム・アウレウム盤です。バロック・ファンには「何を今更」と叱られそうな、かなり以前の録音ですが、まぁ、お許しを。
しかしこれが録音された1976年当時では古楽器の先端を行っていたのでしょうが、古楽器使用といえども、ヴァイオリンはヴィブラートを普通に付けていますし、まだモダンからピリオドへの過渡期のような印象です。だからこそ、いまだモダン楽器の演奏にも大いに惹かれる自分のようなリスナーにとってはちょうど良いのかもしれません。
ヴィンシャーマンの遅いテンポによる重厚な演奏に比べればずっと速いですが、過激なスピード演奏とは異なり落ち着いてこの名曲を楽しむことが出来ます。
なお、このCDにはフルート、ヴァイオリンとチェンバロのための協奏曲BWV1044、チェンバロ協奏曲第1番BVW1052の2曲が収められています。
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ヴァイオリン協奏曲集

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ユーディ・メニューイン(Vn独奏、指揮バース祝祭管弦楽団)(1958-62年録音/EMI盤)

さて、お次に登場はバリバリのモダン楽器演奏です。メニューインはとても好きなヴァイオリニストで、バッハの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ全曲」のCDは愛聴盤の一つです。
まぁ古楽器派全盛の時代では『古めかしい』と片付けられそうな演奏ですが、しかしこのヒューマニズム溢れる演奏には強く惹きつけられます。古いといっても更に時代を遡った戦前のバッハに比べれば現代の感覚にも十分受け入れられると思います。
特に優れているのが第2ヴァイオリンに当時の若き名手クリスティアン・フェラスを擁した「2台のヴァイオリンのための協奏曲」で、かのヘンリク・シェリングとペーター・リバールの名盤に匹敵するとまでは言いませんが、両者の温かいヴァイオリンの掛け合いに心は幸福感で満たされてしまいます。
また同様に素晴らしいのが第1番です。ゆったりと情感たっぷりに奏でられるメニューインのヴァイオリンにはスタイルを越えた素晴らしさが感じられます。
残る第2番は少々まったりし過ぎかなとも思えます。もちろんそれが特徴ではあるのですが。
なお、このCDには「ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲」も含まれていて、オールドファンには懐かしい名手ユージン・グーセンスがオーボエを演奏しています。
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2012年4月16日 (月)

J.S.バッハ ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ニ短調 BWV1060 名盤

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バッハには「2台のチェンバロのための協奏曲」BWV1060という曲が有りますが、実はこれは元々「ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲」として書かれた曲をバッハ自身の手で2台のチェンバロ用に書き替えたものです。ところがオリジナルの楽譜は紛失されてしまったので、残されたチェンバロ用の楽譜を元に後年バッハ以外の人の手によって原曲の楽譜が復元されたという、少々ややこしい経緯が有ります。

なにはともあれ、こうして復元されたのが「ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ニ短調BWV1060」です。おかげで、我々は今こうしてバッハの名曲を鑑賞することが出来るのです。

それにしても、この曲は本当に素晴らしい作品です。比較的短めですが、バッハの魅力が一杯に溢れています。個人的には、3曲のヴァイオリン協奏曲よりも更に好んでいます。もっとも、原曲の復元のために大きな貢献をしたチェンバロ協奏曲として聴くのは余り好んでいません。オーボエの音が抜けると、どうも間が抜けて聞こえます。まるで、歌の無いカラオケの伴奏だけを聴かされているような気がします。ですので、僕はもっぱらヴァイオリンとオーボエの版で、聴いています。特に第1楽章に絶大な魅力を感じますが、2楽章、3楽章も聴くほどに味わいの深まる名曲です。

第1楽章アレグロ いきなり押しの強い旋律が弦楽合奏とともに登場します。どこか哀しみに包まれているようでいて、同時にその涙をふり払うかのような強さを感じて素晴らしいです。オーボエとヴァイオリンの二つの音色のからみ合いは絶妙で、名旋律を最高に生かし切っています。

第2楽章アダージョ この楽章でも、ゆったりとした美しい旋律がオーボエとヴァイオリンによって歌い継がれてゆきます。

第3楽章アレグロ 毅然としたリズムに乗って、ヴァイオリンが妙技を展開します。中間で頻出するシンコペーションは非常に効果的で、ブラームスばりです(逆か??)。

それでは僕の愛聴盤をご紹介します。

Winschermanヘルムート・ヴィンシャーマン(指揮、Ob)、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(Vn)、ドイツ・バッハ・ゾリスデン(1962年録音/CANTATE原盤:日本コロムビア盤) ドイツ・バッハ・ゾリスデンは日本でも古くから人気が有って何度も来日しましたが、僕は残念ながら実演に触れる機会は無くて、LP盤で親しんでいただけでした。けれども、この演奏は本当に好きでした。ヴィンシャーマンの太く男っぽい音色が、いかにもドイツ気質を感じさせて、フランス系の奏者とはまるで異なりました。素朴で深く、ゆったりと重みのある演奏が何とも言えません。やはり自分にとっては、ヴィンシャーマンのこの演奏がこの曲の原点なのです。GFヘンデルのヴァイオリンはヴィブラートをかなり控えているので、昔は下手なのかと勘違いをしましたが、実は古楽器奏法の先取りをしていたのですね。今改めて聴くと、オーボエとのからみ合いが実に素晴らしいです。

Winscherman_livejpegヘルムート・ヴィンシャーマン(指揮、Ob)、エルンスト・マイヤー=シールニンク(Vn)、ドイツ・バッハ・ゾリスデン(1970年録音/日本ビクター盤) 幸いなことにドイツ・バッハ・ゾリスデン4回目の来日の際に行われた録音が残されています。録音会場は東京の杉並公会堂です。前述の1962年盤と比べると随分と流麗な音の印象を受けます。またライブのような感興の高さを感じますので、旧盤とはなかなか甲乙がつけがたいところです。ヴィンシャーマンとドイツ・バッハ・ゾリスデンは、この後に3度目の録音を行っていますが、そこでは残念ながらオーボエを吹いているのは別の奏者です。それに、テンポ設定も古楽器派のように速めていますので、自分の好みからは遠ざかってしまいました。

51ef28vxmyl__ss500__2カール・リヒター(指揮)、エドガー・シャン(Ob)、オットー・ビュヒナー(Vn)、ミュンヘン・バッハ管弦楽団(1960年代録音) ヴィンシャーマンに比べれば、ずっと速めのテンポでリズミカルですが、ドイツ的な堅牢さも感じさせるのが良いです。古楽器派全盛の時代に改めて聴き直すと、古めかしさよりも逆に新鮮な印象すら受けます。もちろんソリストの演奏は悪くありませんが、ヴィンシャーマン盤ほどの音の太さとコクは感じません。あくまでもリヒターの指揮するドッペル・コンチェルトの魅力を味わうべきだと言えそうです。

419wmnm084l__sl500_aa300_ハインツ・ホリガー(Ob&指揮)、ギドン・クレーメル(Vn)、アカデミー室内管(1982年録音/フィリップス盤) ホリガ―が指揮を兼ねているために、リヒター盤とはうって変って指揮者の存在が霞んでいる演奏です。あくまでもホリガーとクレーメル、それぞれの楽器の最高の名手が繰り広げるスリリングな掛け合いの楽しみが全てだと言えます。第1楽章などは少々速過ぎるように思いますが、この、手に汗握る演奏こそが彼らの真骨頂です。但し個人的には、やはりこの曲はヴィンシャーマンの旧盤のようにどっしりとした演奏が好みではあります。

というわけで、何と言ってもヴィンシャーマンの2種類の演奏が最高です。

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2012年4月12日 (木)

J.S.バッハ ヴァイオリン協奏曲集 BWV1041~1043 名盤

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無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ集は、バッハの残した器楽曲の最高峰と呼べるでしょうが、余りにも音楽的な深さが計り知れないことから、最初はなかなか入り込んで行けないかもしれません。その点、ヴァイオリンのために書かれた3曲の協奏曲は、どれもがとても馴染みやすい曲なので、もしもバッハにこれから親しみたいと思っておられる方には、第一にお勧めできる名曲集です。

ところで、ヴァイオリン協奏曲というのは、イタリアのアントニオ・ヴィヴァルディが確立した音楽だと言っても誤りでは無いでしょう。何しろ、作品の数は200曲以上と言われます。あの「四季」は、その中で最も有名な作品です。それに対して、バッハは現存する作品が僅かに3曲のみ。実際にはもう数曲書いたようですが、楽譜が残っていません。「四季」を含む200対3では、とても勝負にならなそうですが、ところがどっこい、この3曲は非常な傑作ぞろいです。例えてみれば、大阪城で20万の徳川軍勢を迎え撃つ、真田幸村率いる少人数の精鋭隊のような作品集です。もっともそれは、そんな傑作集をも遥かに凌駕してしまう無伴奏ソナタとパルティータというのは、いったい何という作品なのだということになります。まあ、それはともかくとして、この3曲を聴きましょう。

第1番と第2番はヴァイオリン学習者の練習曲に使われるぐらい技術的には易しいですし、音楽的にも分かりやすい曲ですが、プロが弾くにはそれ相応の内容を求められますので、そんなに簡単にはすみません。

ヴァイオリン協奏曲集第1番イ短調BWV1041

冒頭から、ヴィヴァルディ先生の甘く優しい音楽とはだいぶ異なります。威厳に満ちていて、やはりドイツの音楽だなぁと思わずにいられません。1楽章は短調の哀愁漂う旋律が非常に魅力的です。2楽章は美しいアリアで、宗教曲のような崇高さを感じます。3楽章はブランデンブルク協奏曲のような楽しさが有ります。この曲は、後に「チェンバロ協奏曲BWV1054」に編曲されました。

ヴァイオリン協奏曲集第2番ホ長調BWV1042

1楽章は第1番とは対照的に長調の明るい曲で祝典的な喜びに満ちていますが、この格調の高さは、やはりイタリアン・バロックの雰囲気とは異なります。2楽章は荘厳な美しさがあります。3楽章は舞曲風ですが、楽しさで一杯です。この曲は、後に「チェンバロ協奏曲BWV1058」に編曲されました。

2つのヴァイオリンのための協奏曲二短調BWV1043

2台のヴァイオリンが対等に扱われていますが、独奏を支える合奏も充実していて、3者の掛け合いが非常に魅力的です。独奏は1番、2番ほどには目立ちませんが、凛とした雰囲気が素晴らしいです。2楽章の詠嘆の歌も美しく、心の底に深く染み入ります。この曲は、後に「2台のチェンバロのための協奏曲BWV1062」に編曲されました。

通常は1枚のCDに3曲を収めているので、購入がし易いです。それでは僕の愛聴盤をご紹介します。

M000083423310204ヘンリク・シェリング独奏/指揮コレギウム・ムジクム・ヴィンタートゥール(1965年録音/フィリップス盤) 昔アナログ盤で聴いていた演奏で、定番と呼ばれました。マリナー指揮の再録音盤も有りますが、こちらではシェリングが自ら指揮もしています。現在聴くと、だいぶロマンティックに偏ったヴァイオリンだなとは思いますが、音程が完璧なのと、リズムを少しも崩さないので古臭さを感じません。楽器の音色がとにかく綺麗です。「無伴奏」の録音よりも、むしろこの人の実際の音に近く感じます。落ち着きのあるテンポには威厳を感じますし、ヴィンタートゥールの響きもがっちりしていて素晴らしいです。「2台」でヴァイオリンを弾くのはペーター・リバールですが、シェリングとぴったりの音色でとても上手いです。古楽器全盛の時代にあって、少しも魅力を失わないどころか、より輝きを増す素晴らしい演奏だと思います。

Bach_violin_conカール・ズスケ独奏、クルト・マズア指揮ゲヴァントハウス管(1977-78年録音/Berlin Classics盤) ズスケの音は非常に端正で美しいですが、楽章によっては真面目過ぎて面白みに欠ける気もします。技術的には完璧とは言えずとも、充分許容範囲と言えます。むしろ問題なのは、ゲヴァントハウスの音が弱いことです。あの荘厳な響きを期待すると裏切られます。そういえばマズアのバッハというのは余り他に記憶が有りませんが、何を聴いても感心したことのないマズアはゲヴァントハウス管にバッハを演奏させても「マズあ」なのでしょうか。それとも管弦楽の音の薄い録音のせいなのか・・・。

419wmnm084l__sl500_aa300_ギドン・クレーメル独奏&指揮アカデミー室内管(1982年録音/フィリップス盤) どの曲も速いテンポで駆け抜ける演奏は爽快です。一見飄々と弾いているようで、速いパッセージにもニュアンスが込められているので聴き逃さないようにするのが楽しみです。現代楽器でもこれほど新鮮で刺激的な演奏が可能だという良い手本ではないでしょうか。特に面白いのは、クレーメルが一人で多重録音をした「2台のための協奏曲」です。2台が対等に書かれている作品なので、これが究極の演奏かもしれません。でも、いくらクレーメルが上手くても実演では絶対に不可能なのが残念ですね。どうせ録音なら、合奏団も自分で全部演奏してしまえばいいのにね。うん?楽団ひとり??

Bach_violin_con_haggモニカ・ハジェット独奏、トン・コープマン指揮アムステルダム・バロック管(1985年録音/エラート盤) ハジェットがコープマンとコンビを組んでいた時代の録音です。「無伴奏」では、あれほど自由奔放に弾いていたハジェットですが、ここではかなり規律正しく弾いています。とは言え、やはり彼女の表現力は並みではありません。速さを競うような古楽器派とは一線を画して、むしろ落ち着いたテンポで、ニュアンス豊かに弾いているのがとても楽しいです。それでも古雅な音色は、管弦楽と共にとても魅力的ですし、ヴィブラートを控え目にでもかけているのは、自分としてはノン・ヴィヴラートよりも好ましく思います。「2台」の相方はアリソン・ベリーですが、ハジェットに比べると幾らか聞き劣りします。

というわけで、現代楽器ならシェリング、クレーメルのどちらも好きですが、最近は古楽器のハジェットを好んで聴いています。

ところで、せっかくですのでチェンバロ協奏曲に編曲した演奏もご紹介しておきます。

41022e8tq7l__sl500_aa300__2トレヴァー・ピノック独奏/指揮ジ・イングリッシュ・コンソート(1979-81年録音アルヒーフ盤) バッハの曲は元々、演奏楽器を余り特定されない傾向が有りますが、名曲は何の楽器で演奏されても名曲です。バッハのチェンバロ協奏曲は12曲以上有りますが、最初からチェンバロ用に作られたものはその半分以下です。チェンバロの古雅な雰囲気もヴァイオリンとはまた違った良さが有って楽しめます。楽器の特性から調も変わりますので、音楽の印象も随分と変わって面白いです。ただ、この3曲の中で一番チェンバロに向いているのは「第1番」だと思います。「第2番」と「2台」は、明らかにヴァイオリンに向いていると思います。全曲盤は、僕はピノック盤で聴いていますが、第1番、2番に関しては、少々古いですがヘルムート・ヴィンシャーマン/ドイツ・バッハ・ゾリスデンのゆったりと貫禄のある演奏が大好きでした。

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2009年1月 4日 (日)

J.S.バッハ ブランデンブルグ協奏曲 BWV1046-51 名盤

Baha2 まだ松の内ですので暗~い曲を聴くのは何となく避けたくなります。やはり厳かで、尚かつ楽しい曲が聴きたくなりますよね。
そんな気分にぴったりなのが「ブランデンブルグ協奏曲」です。何も”お正月限定”ということでもないですが、新年にとても聴きたくなります。バッハの峻厳さは年明けの新鮮な気分にとても向いているからですね。

最近は、どちらかいえばバッハの器楽曲よりも声楽曲に惹かれていますが、この曲の楽しさはやはり格別です。大バッハを自分なんかよりもずっと沢山聴かれている方は大勢いらっしゃいますし、これほど有名な曲を今更でも有りませんが、この曲集は傑作中の傑作だと思います。

ブランデンブルクというのは現在のベルリン一帯の地名ですが、この曲のタイトルは時のブランデンブルク選帝侯の息子に曲集が献呈されたことから名付けられました。その全6曲は、それぞれの曲が編成も、中心となって活躍する楽器も、曲想も驚くほど多種多様でバラエティに富んでいて、聴いていて絶対に飽きることがありません。

全曲とも完全無欠の名曲なので、どの曲が好きかと聞かれても困るのですが、個人的に特に挙げるとすれば第1番、それと地味な第6番でしょうか。昔はヴィオラを弾いていましたので、ヴァイオリンの入らない第6番のスコアの各声部を弾いては遊んでいました。

この曲集のCDはそれこそ数えきれないほど多く出ていますので、そのごく一部しか聴けてはいませんが、その中から印象的な演奏をご紹介させて頂きます。

51ef28vxmyl__ss500_カール・リヒター指揮ミュンヘンバッハ合奏団(1967年録音/アルヒーフ盤) 余りにも有名な演奏です。当時はまだ一般的であった大編成によるロマン的な演奏のアンチテーゼとなる新しいバッハでした。けれど、その演奏すら今では古楽器派の台頭によって、すっかり古臭い演奏という烙印を押されてしまったかのようです。ですが、それはとんでもない話です。速めのテンポで生き生きとしたリズムと生命感が有り、聴いていてとにかく楽しいです。使われているのが現代楽器であろうが何だろうが、ヴァイオリンのシュネーベルガー、フルートのニコレをはじめとした演奏者達は素晴らしいです。僕は今でもこの演奏は大好きです。

938 ルドルフ・パウムガルトナー指揮ルツェルン音楽祭合奏団(1978年録音/オイロディスク盤) 各楽器に選りすぐりの名奏者が集まった有名な演奏です。全体的にテンポはゆっくり目ですが、楽しさにかけてはリヒター盤にも劣りません。スークのヴァイオリンやニコレのフルートソロが実に素晴らしいです。第1番などは今では幾らか遅過ぎるようにも感じますが、逆に第3番は現代楽器ならではの豊かな美しさに魅了されます。第6番でもスークのヴィオラがとても美しいです。今聴いても古臭さを少しも感じさせませんし、古楽器と比べれば音の豊かさ、美しさは圧倒的です。

592 ゲルハルト・ボッセ指揮ライプチヒ・ゲヴァントハウス・バッハ合奏団(1981年録音/シャルプラッテン盤) ゲヴァントハウス管のコンサートマスターにしてゲヴァントハウスSQの第1Vnであったボッセ教授が指揮をしてヴァイオリンも弾いている演奏です。ゲヴァントハウス管はいわばバッハゆかりの聖トーマス教会合唱団の専属楽団。バッハ演奏は筋金入りです。雨後の竹の子のように出てきた古楽器学究派の及ばない生きた演奏の歴史を持っています。地味で目新しさは無いですが、ドイツの頑固親父のようなどっしりとした貫禄が有ります。やはり本家ライプチッヒのバッハはこれです。僕は教授のヴァイオリンともども大好きな演奏です。僕の好きな第6番も実に魅力的です。

Cci00004 ヘルムート・ヴィンシャーマン指揮ドイツ・バッハ・ゾリスデン(1993年録音/日本コロムビア盤) これはこの団体の1970年代の旧盤ではなく新盤のほうです。ヴィンシャーマンはこの時代でも現代楽器を使用して頑張っていました。かつてのヴィンシャーマンの演奏するオーボエは骨太の音とおおらかさがとても好きでしたが、ここでは残念ながらご自分では吹いていません。古楽器派の台頭を意識してか、旧盤よりもテンポが全般に速めになった気がしますが、おおらかさには変わりは有りません。ドイツの演奏家でこれほど温もりを感じさせる演奏家も少ないのでは無いでしょうか。この温和さが良くも悪くもこの人の魅力だと思います。第5番もなんとものんびりしています。

457 グスタフ・レオンハルト指揮クイケン兄弟、ブリュッヘン、ビルスマ他(1976年録音/SEON盤) 当時の古楽器派の若手の名手達がレオンハルトの元に一同に集まった記念碑的な演奏です。最近の古楽器演奏と比べると随分と遅めのテンポでゆったりしています。古楽器派の古典的な?録音とでもいうところでしょうか。以前は古楽器の音はどうも乾いていて潤いが無く、色気に乏しいように感じていましたが、時と共に耳が慣れて古雅な響きが楽しめるように成りました。パウムガルトナーと比べれば貧相な音ではありますが、そんなことを言うと「それがバロックだ!」と叱られてしまうのでしょうか?

331 ラインハルト・ゲーベル指揮ムジカ・アンティク・ケルン(1986-87年録音/アルヒーフ盤) リヒター盤から20年後の録音です。時は流れて先鋭な古楽アンサンブルMAKの激演です。どうせ古楽器の痩せて貧相な音ならばこれぐらいやってくれた方が良いのかもです。1楽章から生き生きしたリズム、過激なホルン、ゲーベル自身のヴァイオリンが冴えて楽しいです。以後どの曲も快速テンポで息つく間を与えません。緩徐楽章にも不思議な味わいが有るのは凄いです。但し問題は第6番の猛スピードで、これだけはいくら何でもやり過ぎに思います。余談ですが、僕はMAKの管弦楽曲全集も同様に好きで愛聴しています。

さて、音色の比較で例えれば、古楽器の干物魚(?)のような音が好きか、現代楽器の脂の乗りきった養殖ハマチのような音が好きか、これはなかなか難しい問題ですね。自分の好みで言えば、現代楽器を端正に弾いているルツェルン音楽祭合奏団やゲヴァントハウスの音に惹かれます。しかし実際には楽器の音色だけでは演奏の良し悪しは決まりませんし、その時の気分で聴き分けることにしています。結局は聴き手の好みの問題ですね。

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