シューベルト(管弦楽曲)

2021年3月20日 (土)

シューベルト 劇付随音楽「ロザムンデ」 名盤

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シューベルトの「ロザムンデ」は正式には「キプロスの女王ロザムンデ」(Rosamunde, Prinzessin von Zypern )作品26、D797で、ベルリン出身の女流作家ヘルミーネ・フォン・シェジーが書いた同名の戯曲のために作曲された劇付随音楽です。

シェジーはそれより前にウェーバーの歌劇「オイリアンテ」の台本を書きましたが、不評だったために、急遽リベンジのために「ロザムンデ」を書き上げ、ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場で上演されますが、またしても二日間で上演が打ち切られてしまいます。

その劇音楽の作曲を依頼されたのが他ならぬシューベルトで、短い期間で10曲の付随音楽を完成させました。ところが、序曲だけがどうしても間に合わず、前から作曲されていた歌劇「アルフォンソとエストレッラ」D732の序曲を転用して初演が行われました。

その後、シューベルトは、評判の良かった劇付随音楽「魔法の竪琴」D644の序曲を「ロザムンデ」の序曲として転用しますが、今ではこの形が一般的となり、通称「ロザムンデ」序曲とも呼ばれます。

物語のあらすじ
ロザムンデはキプロス王の娘。幼い時に国王である父を亡くし、その遺言により貧しい未亡人のもとで育てられます。しかし18歳になると、正統な王位継承者であることが明かされて、波乱の人生を歩む事となります。

亡き父王の代理として国を治めていた男は、権力を維持するために、ロザムンデと結婚しようと考えますが、上手く行きません。そこで男はロザムンデを毒殺しようと企てます。彼女に迫る危機に、突如謎の好青年が現れて危機を救います。その正体こそは、亡き父王が生前に定めていた、許婚の王子だったのでした。二人は結ばれてハッピーエンドとなります。

作品構成
序曲(劇付随音楽『魔法の竪琴』D644の序曲)
第1曲 第1幕の後の間奏曲 複数の研究者は、これは「未完成交響曲」の真のフィナーレであると主張している。
第2曲 バレエ音楽第1番
第3曲a 第2幕の後の間奏曲
第3曲b ロマンツェ
第4曲 幽霊の合唱
第5曲 第3幕間奏曲 弦楽四重奏曲第13番『ロザムンデ』D804や即興曲 変ロ長調 D935-3にも流用されている有名な曲。
第6曲 羊飼いのメロディー
第7曲 羊飼いの合唱
第8曲 狩人の合唱
第9曲 バレエ音楽第2番

「魔法の竪琴」序曲(「ロザムンデ」序曲)と第3幕間奏曲は大変有名ですが、全曲の人気はいまひとつかもしれません。大げさなところが無く、控え目なシューベルトの音楽の魅力に溢れていますが、バレエ音楽でさえもまったりとしています。もともとシューベルトの音楽の魅力そのものが地味なわけですので致し方ないところです。シューベルトが好きな方なら、聴けば聴くほどに惹かれてゆく素敵な音楽です。

世に出ているCDが少なめなこともあり、愛聴盤も多くは有りませんがご紹介します。

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カール・ミュンヒンガー指揮ウィーン・フィル/ウィーン国立歌劇場合唱団、ロハンギス・ヤシュメ(Ms)(1974年録音/DECCA盤)
シューベルトの音楽はやはりウィーン・フィルの演奏で聴くのが最高です。このミュンヒンガー盤は発売以来、不動の定番でしょう。DECCAの明瞭な録音もあり、情緒が零れ落ちるような美しい音と甘い歌いまわしを堪能出来ます。ただ、あえて言うとすればミュンヒンガーのドイツ風の厳格な指揮が多少なりとも硬い印象を与えているかもしれません。造形がカッチリとし過ぎているように思えなくも有りません。もちろんこれは本当に贅沢な不満です。

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クルト・マズア指揮ライプチヒ・ゲヴァントハウス管、ライプチヒ放送合唱団、エリー・アメリンク(S)(1983年録音/フィリップス盤)
マズアの真面目くさった純正ドイツスタイルの演奏では面白くないかと思いきや、さにあらず。ゲヴァントハウスの古色然とした渋みある音色が、音楽を落ち着いて聴かせます。響きがどことなくメンデルスゾーンにも聞こえますが、特に木管の地味な美しさには大いに惹かれます。これはフィリップスと東独シャルプラッテンの共同制作であるのも音造りに影響しているのでしょう。アメリンクの独唱は言うまでもなく素晴らしいです。

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ウイリー・ボスコフスキー指揮シュターツカぺレ・ドレスデン、ライプチヒ放送合唱団、イレーナ・コトルバス(S)(1977年録音/Berlin Classics盤)
この録音では序曲に何と初演時の「アルフォンソとエストレッラ」が使われています。この曲も悪くは有りませんが、「魔法の竪琴」序曲に比べると、魅力は明らかに劣ります。もっとも「魔法の竪琴」序曲は最後に収録されているのでご安心を。ボスコフスキーがSKドレスデンを指揮するのは珍しいですが、この名門オケを自在に統率していて、生き生きと躍動した音楽造りが非常に魅力的となっています。もちろんこのオケの持つ古雅な音色にも大いに惹かれます。コトルバスの独唱もまた素晴らしいです。

一般的にはミュンヒンガー盤を第一に勧めるべきですが、二つの序曲を収録したボスコフスキー盤もまた演奏の良さも有りお勧めです。

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