ドヴォルザーク(交響曲全集)

2016年12月20日 (火)

ドヴォルザーク 交響曲全集 イルジー・ビエロフラーヴェク/チェコ・フィル ~今年聴いたCDから~

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今年もあと二週間となりました。そこで今年聴いたCDでご紹介していないものの中から、これはというものを拾い出してみます。まずはイルジー・ビエロフラーヴェク/チェコ・フィルのドヴォルザークの「交響曲全集」です。

この全集は一昨年2014年のリリースですが、購入したのは今年です。というのもリリースの前年にこのコンビの来日公演で素晴らしいドヴォルザークを聴きましたが、正直交響曲全集はヴァーツラフ・ノイマンの新旧二種があれば充分かなと思っていました。特に二度目のノイマンのスプラフォンへの全集録音は決定盤だと思っていたからです。

ビエロフラーヴェクは、かつて在京オケへ何度も客演しましたが、特別な閃きを持つ指揮者ではないと感じていました。数年前のチェコ・フィル公演でもその印象は変わらず、オーソドックスですが新鮮味には乏しい指揮者という感じを受けました。もっともチェコ・フィルのような伝統的な音を持つオケにとってはその方が有難いのです。下手に音をいじられる方がよほどまずいからです。

というのがこの全集を買い遅れた理由でしたが、聴いてみて考えがすっかり改められました。これは全く持って素晴らしい全集です。それに意外だったのはこの全集がスプラフォンではなく、DECCAによる録音だったことです。

まず、最大のポイントは音が非常に良いということです。ノイマンの二度目のデジタル録音も当時非常に優秀でしたが、この最新のDECCAでによる録音を聴いてみるとやはり機材の進化を感じます。音に歪み成分が少なくふわりと柔らかく広がっています。聴いていて本当に心地が良いです。特に中低域にアナログ的な厚みがあるので非常に重みが感じられて安定感が有ります。

但しノイマン盤とは明らかに金管の音の録り方が異なります。ノイマン盤では金管がかなり浮き上がっているので直接的な迫力が有りました。当時デジタル録音に移行したといえども伝統的なスプラフォンの音のバランスを保っていたようです。それに比べるとこのビエロフラーヴェク盤では金管が弦楽器と良くブレンドされているので、響きが美しい反面、聴きようによってはやや迫力不足に感じられるかもしれません。そもそもチェコ・フィルの金管群に関してはノイマン時代のほうが優れていたのも事実です。しかし現在でも優れていることに変わりは有りません。

演奏全体に関しては互角と言って構いません。少なくともドヴォルザークに関しては、ビエロフラーヴェクはついにノイマンの域に達したと思います。特に気に入ったのが「新世界より」で、インテンポを守るノイマンに対して、ビエロフラーべクはアゴーギクを微妙に加えていて曲想の変化をより感じさせることに成功しています。と言ってチェコ以外の国の指揮者が良く行うようなドラマティックでわざとらしい変化は少しも見せません。あくまでも自然な範囲です。

他の曲もすべて、全9曲とも出来不出来が一切無いこともノイマンの新盤に匹敵します。ということから現時点で全集として比較した場合にはビエロフラーヴェク盤に軍配を上げたいと思います。

またこの全集には、3曲の協奏曲が収録されているのも魅力です。特にアリサ・ワイラーシュタイン独奏のチェロ協奏曲はこの曲のベスト盤のひとつに上げられます。

ヴァイオリン協奏曲を独奏するフランツ・ペーター・ツィマーマンは単売のノイマン盤でのヨゼフ・スークには及びません。またピアノ協奏曲を独奏するのは懐かしいギャリック・オールソンで美しい演奏を聞かせていますが、こちらもビエロフラーヴェクの旧録音で独奏したチェコの巨匠イワン・モラヴィッツと比べると明らかな格の差を感じてしまいます。しかし、どちらもそれほどポピュラーな曲では有りませんし、交響曲全集に含まれているのは大変にお買い得です。

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ドヴォルザーク 交響曲全集 名盤 ~愛~
ドヴォルザーク 交響曲全集 ウラジミール・ヴァーレク/プラハ放送響盤

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2010年7月25日 (日)

ドヴォルザーク 交響曲全集 ウラディミール・ヴァーレク/プラハ放送響

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♪夏が来れば思い出す~ はるかなチェコ遠い空~♪♪ と言いましても僕はチェコに行ったことはありません。(涙) けれども毎年暑い時期になると、むしょうに聴きたくなるのがボヘミアの音楽なのです。スメタナ、ドヴォルザーク、いいですよね。周囲のうだるような空気が、すぅ~と爽やかになってゆく気がします。ということで、ドヴォルザークの交響曲全集を聴いています。昨年の記事では、ノイマンとクーベリックの幾つかの全集をご紹介しましたが、今年は、ウラディミール・ヴァーレク指揮プラハ放送響(2000-2003年録音/スプラフォン盤)です。実はヴァーレクという指揮者の年齢は知らなかったのですが、もう75歳になるのですね。プラハ放送響の主席指揮者も既に25年間勤めているそうです。立派なベテラン指揮者です。日本にも多く来日していますが、その割りにはそれほど人気が高いわけではありません。

ともかく、これはドヴォルザークの没100周年記念として2004年にスプラフォン・レーベルからリリースされた全集です。僕はボヘミアの音楽を聴く場合に一番気にするのは、まずオーケストラの音です。ドイツ風に分厚い音ではなく、ウイーン風の柔らかくしなやかな音でもなく、アメリカ風の機能的な音でもなく、あくまでも爽やかさと素朴さを感じさせるボヘミア風の音でないと抵抗があるのです。こんなことを言うと、きっと「ボヘミア風の音なんてものがあるのか?」と聞かれるかもしれません。でも、確かにあります。それはチェコやスロヴァキアのオーケストラが共通して持っている音です。

ここで演奏しているオーケストラは、プラハ放送交響楽団です。名門チェコ・フィルハーモニーは、優秀なアンサンブルと洗練された音色を持っていますが、それと比べると、ずっと荒削りな印象です。ただしそれが逆に素朴さを感じさせる結果になって、決して悪くありません。スロヴァキアのフィルハーモニーやブラスティラヴァ放送響ほどの田舎臭さはありませんが、チェコのオーケストラの中では非常に良い素朴な味わいを持っていて魅力的です。ヴァーレクの指揮も奇をてらうようなところはおよそ皆無で、実にオーソドックスなものです。9曲の交響曲の演奏の出来栄えにばらつきは全く有りません。安心してボヘミア音楽に身を浸していられます。ドヴォルザークの交響曲は、音楽的に充実しているのは、やはり第6番以降、とりわけ第7~9番の3曲ですが、5番以前の曲も僕は好んでいます。

全集盤としてお勧めするのは、どうしても定番のノイマン/チェコ・フィルの旧盤、あるいは新盤のうちのどちらかということにはなるでしょうが、このヴァーレク/プラハ放送響盤をちょいと気分を変えたいときのセカンドチョイスとして選んでも悪くはないかもしれません。

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ドヴォルザーク 交響曲全集 名盤

イルジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィル ドヴォルザーク 交響曲全集

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2009年7月25日 (土)

ドヴォルザーク 交響曲全集 名盤  ~愛~ 

Naoekabuto ドヴォルザークは交響曲を全部で9曲書いています。さすが後期の第7番、第8番、第9番「新世界より」の3曲は傑作でクラシックファンに広く愛好されています。ところが第6番以前の作品はどうかと言えば、一般的にはほとんど聴かれていないと思います。確かに音楽の充実度において、かなりの差が有るのは事実です。それでも後期の3曲や「チェロ協奏曲」、弦楽四重奏曲「アメリカ」などを好んでいるドヴォルザークのファンであれば、是非とも全曲を聴いて頂きたいと思います。何と言っても、ここには作曲家ドヴォルザークの「音楽愛」「故郷ボヘミアへの愛」が満ち溢れているからです。

ドヴォルザークの交響曲は、最初に第6番から出版されましたので、現在の第6番が以前は「第1番」でした。ちなみに現在の第7番が「第2番」、第6番が「第3番」、第8番が「第4番」、「新世界より」が「第5番」と少々ややこしいのです。古い中古のLP盤にはそのように記載されているものがまだ残っています。

曲の充実度としては、円熟の「7番」「8番」「新世界より」に次いでは「4番」「5番」「6番」が優れています。特に「6番」には録音の種類もそれなりに有りますし、単独で聴いてみてもとても美しく魅力ある曲です。激しい舞曲のフリアントを用いた第3楽章の躍動感にはわくわくします。

「第4番」「第5番」にも「第6番」に準じた魅力を感じます。美しく叙情的ですが、立体的な部分との対比も曲に変化を感じさせます。第6番を楽しめる方なら、間違いなく気に入ることと思います。

しかし「第1番」「第2番」「第3番」になると、さすがに習作の印象が強く、音楽に未成熟さを感じてしまいます。

とはいえ第1番「ズロ二ツェの鐘」には若い時代にしか書けないような青春の瑞々しい息吹がとても感じられて個人的に好んでいます。ズロ二ツェというのはドヴォルザークが若い頃に住んでいた町で、確かに鐘が有ったそうです。たとえ「若書き」の未熟さはあっても、ファンには是非とも聴いて頂きたい作品です。

僕自身、全集盤は滅多に聴くことは有りませんが、1年に1度ぐらいは気が向いて順に聴くことが有ります。そして、何かとても懐かしさを憶えて心が満たされます。ドヴォルザークのファンにはそれで充分なのです。

全集盤は種類も限られていますが、ここで幾つかをご紹介しておきます。

449 ラファエル・クーベリック指揮ベルリン・フィル(1970年代/グラモフォン盤) 僕がまだ学生の時に最初にアナログLP盤で購入した全集です。現在はもちろんCDで出ています。当時は後述のノイマン盤かこのクーベリック盤の選択しかありませんでしたが、当時大好きだったクーベリックの選択で迷いませんでした。確かに初めのうちは気に入っていたのですが、友人の購入したノイマン盤と聴き比べているうちにベルリン・フィルの余りにも立派でぶ厚い響きに段々と違和感を感じるようになりました。「こりゃボヘミアの空気とは違うなぁ」という気がしたのです。やはりボヘミア音楽の演奏には素朴さを残して置いて欲しいと思うのです。もっともドイツ的な重圧さを持つ第7番の演奏だけは例外的に今でも好んでいます。

Cci00051b ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル(1970年代/スプラフォン盤) ノイマンの一回目の全集です。学生当時に友人の家で何度も耳にしたこの演奏は、スプラフォン録音のあの幾分硬めでかつ素朴さを感じるチェコ・フィルの音を満喫出来ました。その音の印象がCD化されても変わりが無いのは嬉しいです。ノイマンの指揮にも全体的に若々しい覇気が感じられて素晴らしいですし、この演奏はドヴォルザークが愛したボヘミアの自然を大いに連想させてくれます。唯一問題が有るとすれば第8番です。どういうわけだか演奏が少々「がさつ」なのです。この曲以外の演奏が非常に良いのでとても残念です。

Cci00052 ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル(1980年代/スプラフォン盤) ノイマンの二回目の全集です。DENONのスタッフがプラハに乗り込んでデジタル録音された音は一回目の純スプラフォン録音と随分違いを感じます。けれども、むしろこちらの方がより本物に忠実な音だと思います。というのは実際に生で聴いたノイマン/チェコ・フィルの音は非常にきめ細かく繊細な美音であり、それはこの録音の音に近いと記憶しているからです。演奏も全曲ともまとまりが良く失敗作が有りません。但しその分、旧盤と比べて個性がやや薄く感じられるのも事実です。もしもノイマンの新旧盤のどちらか一つ選ぶとすると大変に難しい選択ですが、個人的には新盤の方を上げるでしょうか。

これ以外に、今後入手したいと思っているのは廃盤ですがズデニェック・コシュラー指揮スロヴァキア・フィルの70年代のOPUS録音、それと最近のウラジミール・ヴァーレク指揮プラハ放送響の二つです。ヴァーレク盤を既にお聴きになられた方はご感想をお聞かせ下さると嬉しいです。

(補足)
ノイマン盤の選択を、当初の旧盤から新盤へ変更しました。
ヴァーレク盤を購入しました。記事は下記リンクから。

<後日記事>
イルジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィル ドヴォルザーク 交響曲全集
ウラジミール・ヴァーレク指揮プラハ放送響のドヴォルザーク 交響曲全集

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