名チェリスト

2019年4月 1日 (月)

伊藤悠貴 チェロ・リサイタル ~オール・ラフマニノフ・リサイタル~

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先週3月29日(金)に、今や押しも押されぬ若手のトップチェリスト伊藤悠貴のリサイタルが紀尾井ホールで開催されました。

このコンサートは、昨年6月にロンドンに有る室内楽演奏の世界の殿堂ウィグモアホールで開かれたオール・ラフマニノフ・プログラムの日本での再現となったものです。日本ではやはり若手で大注目株のピアニスト藤田真央との共演となりました。

プログラム後半に演奏されたチェロ・ソナタのような元々チェロ用の曲はもちろんですが、前半もチェロ用の曲以外のピアノ独奏曲や歌曲を並べて、それらを全てチェロで演奏するという、ロンドンでも日本でも前代未聞のプログラムです。
「ラフマニノフの神髄は歌である」と主張する伊藤悠貴以外には考えつかないプログラム構成で、彼のテクニックは抜群ですが、あえてそれだけで勝負をせず、結果的に「器楽的なチェロ」というよりも「チェロという楽器そのものの深い音色と歌の魅力」を通常のプログラムよりも300%、いやそれ以上に私たちに届けてくれた演奏会となりました。

伊藤悠貴のデリカシーに溢れる美しいチェロの音と藤田真央の透き通るように美しく柔らかなピアノの音との混ざり具合は抜群のハーモニーを奏でていました。

アンコール最後の曲として演奏された「ヴォカリーズ」では消え入りそうで消え入らないピアニシモによる哀しみが心の奥底に何と痛切に浸み渡ったことでしょうか。

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2018年1月23日 (火)

チェリスト 伊藤悠貴 新アルバム ~ザ・ロマンティック~

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演奏:伊藤悠貴(チェロ)、ダニエル・キング・スミス(ピアノ)、ジェイムス・リル(ピアノ) 
企画制作:ソニー・ミュージック・ダイレクト
発売:ミューズ・エンターテイメント (MECO-1045) 
 
いまや日本を代表する若手チェリストとなった伊藤悠貴のセカンドアルバムが昨秋リリースされましたので是非ご紹介したいと思います。 
伊藤悠貴がブラームス国際コンクールに優勝した翌年2010年に録音を行ったファーストアルバムは中々に驚きの内容でした。オール・ラフマニノフというのはどう考えてもデビューアルバムとしては一般的では無いからです。しかし彼は思い入れの強いラフマニノフの曲で全てまとめ、それをまた演奏会においても頻繁に取り上げるという”我が道をゆく”を貫いてきました。
 
それからはや5年。待望のセカンドアルバムがリリースされましたが、今度は小品集です。ところが普通「小品集」と言えば、よく知られた名曲を集めるものですが、このアルバムは大半が余り知られていない曲で構成されています。アルバム全体の印象としてもかなり静かで落ち着いた雰囲気です。夜に部屋でくつろいで、そう、”ノクターン”として聴くのにぴったりなのです。
とにかくその曲目”リストを見てください。 
1.ラフマニノフ 夜のしじま
2.スクリャービン ロマンス
3.チャイコフスキー ユーモレスク
4.デーリアス ロマンス
5.ブリッジ 春の歌
6.リル 記憶(伊藤悠貴に献呈)
7.エルガー 愛の挨拶
8.アイアランド 聖なる少年
9.シューマン 献呈
10.マーラー 私はこの世に捨てられて
11.R.シュトラウス あなたは私の心の王冠
12.ポッパー ハンガリー狂詩曲
 
ここで賢い方ならすぐにお気づきでしょうが、1~3はロシアもの、4~8はイギリスもの、9~11はドイツ、12のポッパーはチェコ人です。
しかしこれらを続けて聴いてゆくと国の違いを全く意識させません。それは選曲のせいもあるでしょうし、演奏のせいもあると思います。つまりは伊藤悠貴がこれまで大事にして何度も演奏してきた”とっておきの曲”ばかりを集めていて、”ロマンティック”アルバムとして統一させたからでしょう。 
そこで誤解があるといけないのですが、このアルバムは流して聴けば確かに心地良い、癒しのミュージックになります。ところが耳を傾けてじっくりと聴き込むと何とも聴きごたえが有ります。それはまるで連作歌曲集を聴くような印象です。 
どこからどう聴き始めても素晴らしいのですが、個人的にはブリッジが大好きです。エルガーもしばしば耳にする曲ですが伊藤悠貴の演奏はしなやかな愛情と気品を感じさせる点において傑出していると思います。またシューマンは歌でもピアノでも演奏される名曲ですが、伊藤編曲のチェロ版がこんなに素晴らしいとは思いませんでした。 
そしてラストのポッパーは演奏会で往々に大熱演される技巧的で華々しい曲ですが、このアルバムでは決して熱くなり過ぎず、アルバムのそれまでの流れから飛び出ない程度に絶妙に盛り上げています。これは伊藤悠貴の判断なのか、それともプロデューサーの判断なのか分かりませんが、正にセンスの勝利です。この難曲をさらりと弾きこなしてしまうその超絶技巧には驚きますが、彼は決して技巧を前面に押し出してくるわけではありません。技巧はあくまでも手段であって、大切な”音楽”そのものを、”夢”を”ロマン”を聴衆の心に第一に与えてくれる全くもって稀有な若手演奏家です。
それにしても、歌い回しがとにかく自然でしなやかで、正に”歌っているよう”です。レパートリーに歌曲の編曲が多いのもその嗜好をうかがうことが出来ます。
ピアノを弾くのは彼とずっと共演をしているイギリスのダニエル・キング・スミスです。ただし6の「記憶」だけは、作曲者のジェイムス・リル自らがピアノを弾いています。
これは才能あふれる伊藤悠貴が愛情を注ぎこんだ力作なのは間違いありません。
すでにレコード芸術で「特選盤」に選ばれました。私は音楽評論家を全面的に信用しているわけではありませんが、この評者の聴く耳はさすがです。ぜひ皆さんにもこのアルバムを耳にして”ロマンティック”に浸って頂けたらと思います。
 
伊藤悠貴は主にイギリスと日本で多くの演奏会を行っていますので、もしお近くで演奏される時には是非、生の音を聴かれてみてください。きっと「ああ、チェロの音ってこんなにも美しいのか!」と感動されることでしょう。そしてその前に、実に魅力的なこのCDアルバムを楽しまれてください。 

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2016年9月25日 (日)

プラドでのパブロ・カザルス音楽祭LIVE録音23枚組CD‐BOX

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購入しました!パブロ・カザルス音楽祭のLIVE録音23枚組CDーBOXです。発売元(海外):Artis (Classical)  ARTIS004

かつてスペインのプラドで開催されていた音楽祭での1950年から1961年までの11年間に渡るカザルスのチェロ、それに指揮の名演奏の数々を聴くことができます。

昔CBSが発売していたのはおおよそ持っていて、あとはM&Aなどのレーベルから出ていましたが、これだけの録音がまとまっていて、しかも安いです。

音質に関しても、SONYのリマスターよりもハイ下がり(要は無理に高域を強調していない!)ですので、むしろアナログ的な柔らかめの音で聴きやすいかもです。

それにしても、スターン、メニューイン、ゴールドベルク、フェラス、ヴェーグ、シュナイダー、シゲティ、ゼルキン、ケンプ、コルトー、イストミン、ヘス、ホルショフスキー・・・

ああ、なんて素晴らしい共演者ばかりなのでしょう。そして演奏の何という凄さ! ああ、ああ、ああ・・・・

<詳細はこちらをご参照>
http://tower.jp/…/Pablo-Casals-Edition-Vol-2---Festivals-at…

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