ブラームス(交響曲全集)

2015年12月30日 (水)

ブラームス 交響曲全集 名盤 クルト・マズア指揮ライプチッヒ・ゲヴァントハウス管

Brahms_masur253クルト・マズア指揮ライプチッヒ・ゲヴァントハウス管(1977年録音/フィリップス盤)

クルト・マズアが年末に亡くなりましたね。何も亡くなった人を悪く言うこともないのですが、この人は最後まで滅多に感心することの無いマエストロでした。そういう点ではハイティンクと良く似ていて、少なくとも最近では二人ともすっかり巨匠扱い。でも昔から余り感心することが無い。要するに自分の好みとは隔たりの有る指揮者でした。

マズアに関しては、まづぁ、出会いの印象が余り良く無かったのです。大学生の時に期待していったゲヴァントハウス管の来日演奏会。曲目はベートーヴェンの第九。そして指揮者がマズアでした。

古色蒼然としたオーケストラの音色にすっかり魅了されました。ところが、指揮が何とも面白くありませんでした。オーソドックスと言えば聞こえは良いですが、クソ真面目で全然面白くない、四角四面でそこからはベートーヴェンの苦悩も歓喜も聞こえてこない演奏でした。

なので、すっかりマズアという指揮者が嫌いになり、その後何を聴いても(と言っても嫌いに成ったので余り聴いてはいませんでしたが)同じような面白みの感じられない演奏でした。

ということで、このブラームスの交響曲全集にこれまで食指を動かされなかったのも、指揮者がマズアだからという理由だけです。それをどうして今頃になって興味を持ったのかと問われれば、それは「ゲヴァントハウス管の演奏だから」というのがその答え。

ブラームスの交響曲の演奏をして最高なのはシュターツカペレ・ドレスデン、ハンブルク北ドイツ放送響、それにライプチッヒ・ゲヴァントハウス管、この3つの楽団だと思っています。ウイーン・フィルも良いには良いのですが、ブラームスの密度の濃い重厚な響きを聴こうとすると、ちょっと音が澄み過ぎて薄い感じがしてしまうのです。

さて、そうしてこの交響曲全集の演奏を聴いてみました。うーん、やはりゲヴァントハウスの音は素晴らしいです。コンヴィチュニー時代の質剛健な響きは後退しているものの、そんじょそこらのドイツのオケでは出せない重厚な音をやはり聞かせています。良かったのはマズアが期待以上に健闘していることです。クルト・ザンデルリンクの貫禄には程遠いものの、非常に安心して聴いていられるオーソドックスなブラームスです。ドイツ人の割には重厚さがいま一つですが、時にフラフラするところの有る、ギュンター・ヴァント/北ドイツ放送響の全集よりはずっと良いと思いました。第1番、第2番、第3番とブラームスの音楽をすっかり満喫しました。第4番も良いのですが第3楽章あたりがいかにも覇気の無いマズアまる出しなのでがっかりです。あの重厚なザンデルリンクでもこの楽章ではラプソディックな熱気を充分に感じさせてくれるのと対照的です。

そうは言っても、全体的に中庸か、いくらかゆったりとしたテンポですが、全てにおいてイン・テンポを守っているのでスケール感もそれなりに感じられますし決して悪くありません。何よりもゲヴァントハウスの響きが聞けるのが最大の魅力なので、やはり素晴らしい全集の一つとして数えられます。

クルト・ザンデルリンク/シュターツカペレ・ドレスデン、オトマール・スウィトナー/シュターツカペレ・ベルリンに加えてドイツオケによるブラームスのシンフォニー全集のベスト3に入るかもしれません。少なくともカラヤン/ベルリン・フィルやクーベリック/バイエルン放送響よりはずっと気に入りました。もっともエッシェンバッハが北ドイツ放送響と新録音を行なってくれたら恐らくそれを越える可能性が有ります。

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2014年12月 4日 (木)

ブラームス 交響曲全集 名盤 ~古典派の肉体にロマン派の魂~

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ブラームスはロマン主義音楽の時代にあって”新古典主義者”とも呼ばれていますね。それは古典派の様式を踏襲していたからです。けれどもブラームスの音楽は非常にロマンティックでセンチメンタルです。要するにブラームスは『古典派の衣を着たロマン派』あるいは『古典派の肉体にロマン派の魂を持つ』と言い表せるのではないでしょうか。ですので特に交響曲の演奏について、自分はそのバランスを重要視しています。たとえばフルトヴェングラーのブラームスは肉体も魂も完全にロマン派ですので、どんなに凄い演奏であっても好みません。その逆に、いくら造形がしっかりしていてもロマンの魂が抜けたような演奏もまた駄目です。というのが自分のブラームス演奏についての基本的な考え方なのです。

ブラームスの交響曲は僅か4曲ですが、どれも充実仕切った傑作なので、どんなに聴いても飽きることが有りません。最近は第4番を最も好んでいますが、昔から大好きな第3番にもやはり惹かれます。
第1番はとても理屈っぽく書かれているので、「いいかね、この音楽はここが聴きどころで、こういう風に聴かなければ駄目なんだよ。」と説教されてるかのような印象を受けます。ところが、そこにまた惹かれてしまうのですね。結局のところブラームスの愛好家”ブラームジアーナー”には理屈っぽい人が多いのかもしれません。同じアナのムジーナーなのです。
第2番は終楽章の”イケイケどんどん”的なノリが余り好みではありませんが、3楽章までが非常に美しく、やはり魅力の尽きない曲です。

演奏に於いて、これら4曲を全て満足させてくれるのは至難の業なのですが、その神業を見せる演奏家も稀に存在します。ということで、所有盤を順にご紹介します。

Srcr000001725__180_180_102400_jpgブルーノ・ワルター指揮コロムビア響(1959-60年録音/SONY盤) CBSの録音のせいもあるのでしょうが、オーケストラの響きが薄いのがブラームスには難点です。演奏に寂寥感が不足しているのもやや気になりますが、それをカバーしているのがワルターの豊かな歌い回しです。曲毎では、最も出来の良いのがノスタルジックな表現に惹かれる4番で、次いでは1番を取ります。逆に2番、3番の演奏にはブラームスの曲の良さが出ていないように思います。従って全集として購入する必要は感じられず、単独盤でも充分だと思います。またモノラル録音盤が高く評価される場合も見受けられますが、アメリカ的でマッチョな演奏には少しも魅力を感じません。

Brahms_14ハンス・シュミット-イッセルシュテット指揮北ドイツ放送響(1967-73年録音/EMI盤) ブラームスの生まれ故郷ハンブルクの北ドイツ放送響(NDR)のライブ録音による全集です。NDRの暗くくすんだ音色が、いかにもブラームスの曲に良く似合います。どっしりと構えたテンポも、いかにもドイツ的ですが、このリズムを念押しする感覚が無いとどうしてもブラームスには聞こえません。その点、この演奏は安心して聴くことができます。ちょうどザンデルリンクのスケールを一回り小さくしたような印象ですので、もちろん良い演奏なのですが逆に損をしているようにも思います。全体的に高音強調型のリマスターにも不満が残りますし、第1番がモノラル録音なのもマイナスです。

Brahms254サー・エードリアン・ボールト指揮ロンドン・フィル(3番のみロンドン響)(1970-73年録音/EMI盤) 「バッハからワーグナーまで」というCD11枚BOXに含まれます。どの曲でもロマンティシズムに溺れ過ぎない節度を保っていて、テンポは速からず遅からずの中庸で、ほぼインテンポを守り、表情の大袈裟な変化は見せません。正に英国紳士の気品ある姿を想わせる雰囲気です。オーケストラの響きも地味で、くすんだ音色を持ちますのでブラームスに似合います。どの曲においても良質のブラームスに仕上がっていますし、これらは噛み続けるほどに味わいの増すスルメのような演奏だと言えるかもしれません。第1番ではユーディ・メニューインが自ら志願してコンサートマスターに就いたといういわくつきです。

4110061113 クルト・ザンデルリンク指揮シュターツカペレ・ドレスデン(1972年録音/DENON盤) 過去に全集で出ていて、現在は単独盤ですが、一応全集扱いとします。シュターツカペレ・ドレスデンのことを「幾ら引っ張ろうとしても動かない牛車のようだ」と称したのは、指揮者フリッツ・ブッシュ(アドルフ・ブッシュの兄)でしたが、同じドイツのザンデルリンクが指揮をすると、遅めで微動だにしないイン・テンポを守り、その特徴が最高に生きてきます。どの曲でも念押しするリズムがスケール感を生み出し、厳格なマルカート奏法には凄みすら感じられます。柔らかく目のつんだ典雅で厚みのある響きには心底魅了されますが、管楽器奏者たちの音楽的な上手さにも惚れ惚れさせられます。ティンパニーのゾンダーマンの妙技も最高ですし、正に全盛期のこの楽団とザンデルリンクが組んだ一期一会の全集です。曲毎でも第2番以外はいずれもベスト盤に位置します。

Brahms_bohem_14 カール・ベーム指揮ウイーン・フィル(1975年録音/グラモフォン盤) ウイーン録音の全集盤です。ウイーン・フィルの透明感のある響きは必ずしもブラームスの音には合わないと思っています。一方、堅牢なドイツの音に対してしなやかなウイーンの音にも良さは有ります。ベームの演奏は落ち着き過ぎの傾向は有りますが、極めてオーソドックスなので安心して聴くことが出来ます。曲毎では第2番の演奏がベスト、続いては第4番の出来が良く、逆に第3番は落ちます。曲により出来栄えに差は有りますが、スタイルが一貫しているので好きな全集です。

Brahms_masur253クルト・マズア指揮ライプチッヒ・ゲヴァントハウス管(1977年録音/フィリップス盤) ゲヴァントハウスの音が素晴らしく、コンヴィチュニー時代の質実剛健な響きは後退しているものの、そんじょそこらのドイツのオケでは出せない重厚な音を聞かせています。マズアも期待以上に健闘しています。ザンデルリンクの貫禄には程遠いものの、非常に安心して聴いていられるオーソドックスなブラームスです。全体的に中庸か、いくらかゆったりとしたテンポですが、全てにおいてイン・テンポを守っているのでスケール感もそれなりに感じられます。所々で覇気の無さが散見されるのは玉に傷ですが、何よりもゲヴァントハウスの響きが最大の魅力で、やはり素晴らしい全集の一つとして数えられます。

515r2b7qvll__ss500_ ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送響(1983年録音/オルフェオ盤) ミュンヘンでのライブ録音の全集です。どの曲にも共通して感じられるのは、クーベリックのリズムに念押しが不足することです。結果としてどの部分でも呼吸の浅さを感じてしまいます。ブラームスにそれほど重厚さを求めない聴き手には構わないことなのでしょうが、自分の場合には不満がどうしても残ります。録音も優れていますし、一般的には決して悪い演奏では無いとは思うのですが余りお勧めは出来ません。

Brahms_0013502bcオトマール・スイトナー指揮シュターツカペレ・ベルリン(1985年録音/シャルプラッテン盤) 写真はドイツ盤ですが、単独盤でも、ボックス盤でも出ています。テンポは決して遅く有りませんが、呼吸の深さが有るので腰が据わった印象です。第1番や第2番の終楽章などでは幾らかテンポを煽りますが、全体には古典的、ドイツ的な造形性をしっかりと感じます。それに加えてロマン的な味わいを持っているのも素晴らしいです。どの曲でも弦と管が柔らかく溶け合った響きが美しく、強奏部分でも少しもうるささを感じさせません。これは録音の柔らかさも寄与していると思います。特に3番と4番の演奏が優れますが、4曲とも欠点の無いのが大きなポイントで、その点ではザンデルリンクに匹敵します。これは全集としてもっともっと注目されて良い名盤です。

41mqvx5jevl__sl500_aa300_ カルロ・マリア・ジュリーニ指揮ウイーン・フィル(1989-91年録音/グラモフォン盤) ジュリーニは、どの曲でも遅いテンポでイン・テンポを守り、ゆったりとスケールの大きさを感じさせます。その点が、ブラームスの音楽と大きく合致しています。その上、少しも力みが無いのに緊張感を失うことがありません。全体を通してカンタービレがよく効いていて美しいですが、部分的には幾らか過剰に感じる箇所も有ります。ウイーン・フィルの響きはシュターツカペレ・ドレスデンのいぶし銀の音とは異なりますが、流麗で非常に美しいです。これはウイーン・フィルのブラームス全集の中でもベスト盤の一角を争うと思います。

Vcm_s_kf_repr_500x500 クルト・ザンデルリンク指揮ベルリン響(1990年録音/カプリッチオ盤) ベルリン響との新盤ですが、オーケストラの実力において旧盤のシュターツカペレ・ドレスデンには到底敵いません。全体的にかなり遅いテンポが沈滞したロマンを感じさせはしますが、少々重過ぎてもたれた印象を受けてしまいます。確かにスケールは大きいのですが、リズムに切れの良さが有りませんし、音楽に推進力が感じられません。第4番の終楽章の凄さなどは正に圧巻ですが、全集としてザンデルリンクのブラームスを聴くならばやはり旧盤に限ります。

Brahms_963レナード・バーンスタイン指揮ウイーン・フィル(1981‐82年録音/グラモフォン盤) バーンスタインは古典派形式の曲だと、確かにロマンの味わいは強いのですが、しっかりとイン・テンポを守り、様式感をとても大切にします。ですのでブラームスのシンフォニーも安心して聴くことが出来ます。どの曲の演奏でも奇をてらった演出は一切行わずに造形性を重視しています。ゆったりとしたテンポでスケール大きく聴き応えは充分です。緩徐楽章などでは幾らか耽美的に過ぎるような印象を受けないでもありませんが、その分ロマン的な情緒表出がとても豊かです。ウイーン・フィルの音は幾らか明るめに響いていますが、しっとりとした歌や楽器の音色の美しさは絶品です。

51tpouw3ykl__ss400_クリストフ・エッシェンバッハ指揮ヒューストン響(1991-93年録音/EMI Virgin盤) 現代の指揮者の中で数少ない強い個性を持つ点で注目するのが、クリストフ・エッシェンバッハです。流行のスタイルには目もくれずに、かつてのドイツの巨匠時代の重厚でロマンティックな路線を再現しているように感じるからです。この全集は、オーケストラがアメリカのヒューストン交響楽団だったので敬遠をしていましたが、実際に聴いてみて驚くのは演奏表現の統一感です。ゆったりとしたテンポが生み出すスケールの大きさとともにアゴーギグとテンポの流動性を巧みに生かしていて、ロマンティックなスタイルでありながらも正統的なブラームスを感じさせます。ヒューストン響の優秀さも印象的ですが、弦の上に管を柔らかくブレンドされたヨーロッパ風の美しい響きをアメリカのオーケストラからこれほど見事に醸し出すというのは、エッシェンバッハの実力なのでしょう。

Brahms_384ギュンター・ヴァント指揮北ドイツ放送響(1996-97年録音/RCA盤) シュターツカペレ・ドレスデンの持つ暖色系の音に対して暗いモノトーンの北ドイツ放送は正にブラームスの生まれ故郷ハンブルグのどんよりした曇り空を想わせます。ヴァントが晩年にライブ録音したこの全集はその暗く渋い響きを生かした演奏です。全体的に引き締まった演奏ですが、時にテンポのギア・チェンジが頻出してスケール感が損なわれてしまいます。彫の深いのは良いとしても少々神経質に聞こえるのがマイナスです。金管が時に張り出して聞こえるのもやはり煩わしさを感じます。

Uccg1674m01dlクリスティアン・ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデン(2013年録音/グラモフォン盤) 最新の録音が非常に素晴らしく、現在のシュターツカペレ・ドレスデンの美音を忠実に捉えた全集だと思います。にもかかわらずティーレマンの演奏は正にジキルとハイドのようで、スケールの大きさを感じさせたかと思えば、しばしばテンポに余計なギア・チェンジをして矮小さを感じさせてしまいます。少なくとも古典派形式の曲に対してはまだまだ青さを感じてしまいます。それはヴェートーヴェンの全集では見逃せるレベルでしたが、ブラームスではちょっと見逃し切れません。しかし、そうは言っても、このセットには交響曲の他に、ピアノ協奏曲とヴァイオリン協奏曲のライブ映像のDVDが含まれていて、そちらは非常に魅力的です。

ということで、マイ・フェイヴァリット盤はこれまで何度も書きましたが、ザンデルリンク/ドレスデン・シュターツカペレ盤で決まりです。この不動の王座は揺らぎません。次いではスイトナー/シュターツカペレ・ベルリン盤を上げたいと思います。ザンデルリンクと同じ純ドイツ・スタイルですが、武骨なザンデルリンクに対して、しなやかさを備えている点で異なる魅力が有ります。
純ドイツ風の演奏でもう一つ加えるとすればマズア/ゲヴァントハウス盤です。
その他には、ウイーン・フィルの演奏からも選んでおきたいので、ベーム、ジュリーニ、バーンスタインの3つを上げます。どれも素晴らしいのですが、どれか一つと言われたら、僅差でジュリーニというところでしょうか。

上記に上げていない全集盤はフルトヴェングラーやトスカニーニ、あるいはカラヤン、ベイヌム、ケンぺ、ケルテス、バルビローリなど色々と有りますが、全集としてはそれほどの魅力を感じていません。

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2014年11月19日 (水)

ブラームス 今年聴いた交響曲全集のCDから

ティーレマン/シュターツカペレ・ドレスデンの新盤(その記事はこちら)以外に、今年聴いたブラームスの交響曲のCDをご紹介したいと思います。
聴いてるのは大半が新録音ではなく古いものばかりですが、ブラームスの音楽の真髄は”温故知新”ですので、「ダメよ~ダメダメ」なんて言わずに「いいじゃないか~ぁ」(日本ブラキイテル連合??)

馬鹿な事を言っていないで、まずは全集盤からです。

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レナード・バーンスタイン指揮ウイーン・フィル(1981‐82年録音/グラモフォン盤)

バーンスタインは後期ロマン派の曲を演奏するとテンポは遅く、しかも大きく揺れに揺れて限りなく濃厚な演奏をします。ところが古典派形式の曲だと、確かにロマンの味わいは強いのですが、しっかりとイン・テンポを守り、様式感をとても大切にします。ですのでモーツァルトやブラームスのシンフォニーも安心して聴くことが出来ます。この全集も、どの曲の演奏でも奇をてらった演出は一切行わずに造形性を重視しています。ですので「踏み外し」が全く有りません。これはブラームスの演奏としては我が意を得たりです。4曲ともゆったりとしたテンポでスケール大きく聴き応え充分です。緩徐楽章などでは幾らか耽美的に過ぎるような印象を受けないでもありませんが、その分ロマン的な情緒表出がとても豊かです。第4番の3楽章では腰の軽さを感じますが、これはこれで解釈として許容できます。ウイーン・フィルの音は幾らか明るめに響いていますが、これはこの楽団の元々の特徴ですし、しっとりとした歌や楽器の音色の美しさは正に絶品で魅了されます。それは4つの交響曲のどの曲についても共通しています。

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ギュンター・ヴァント指揮北ドイツ放送響(1996-97年録音/RCA盤)

ブラームスを演奏させてシュターツカペレ・ドレスデンと並ぶのが北ドイツ放送響だと思いますが、ドレスデンの持つ暖色系の音に対して暗いモノトーンの北ドイツ放送は正にブラームスの生まれ故郷ハンブルグのどんよりした曇り空を想わせます。ヴァントが晩年にライブ録音したこの全集はその暗く渋い響きを生かした演奏です。第1番は全体的には引き締まった好演なのですが、問題が有るのは終楽章で、突然のテンポのギア・チェンジが頻出します。それによってスケール感が極端に損なわれてしまい矮小な印象を受けます。ティンパニーの強打も目立ち過ぎて気になります。第2番は他の3曲と比べるとずっと南ドイツ的なおおらかさと美しさを感じる曲なのですが、ヴァントの演奏は極めて北ドイツ的で、彫の深いのは良いとしても少々神経質に聞こえます。始終金管が張り出して聞こえるのも煩わしさを感じます。第3番は速めのテンポでリズムの刻みが浅いためにスケールが小さく感じられてしまいます。もたつかないで良いと感じられる方も居られるでしょうが、自分の好みとは異なります。第4番でも細部のニュアンスへの非常なこだわりが感じられますが、それには抵抗を感じないばかりか愉しめます。これはやはり曲想のせいでしょう。決して重量級ではありませんが、イン・テンポを通していて聴き応えは充分です。

ということで色々と不満を述べてはいますが、ティーレマン盤も含めて、今年新たにコレクションに加えた全集盤はどれも一聴の価値が有りました。
次回は単独曲のディスクです。

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2014年11月11日 (火)

クリスティアン・ティーレマン/シュターツカペレ・ドレスデンのブラームス交響曲全集 新盤

♪更け行く~秋の夜~♪には、別に旅の空を見上げなくてもセンチメンタルになってしまいます。そんな時にピッタリなのが哀愁漂うブラームスの曲ですよね。

毎年恒例の『秋のブラームス祭り』ですが、この1年モーツァルトばかりを聴いていたせいで、余り新しいディスクを聴いていません。”祭り”とは名ばかりの特集となりますが、ご容赦願います。

ということで、まずは今年リリースされたクリスティアン・ティーレマン/シュターツカペレ・ドレスデンの交響曲全集です

Uccg1674m01dlクリスティアン・ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデン(2013年録音/グラモフォン盤)

第1番は1楽章の開始早々から重厚なテンポと響きに心を奪われます。イン・テンポを保っているのが良いです。2、3楽章も美しい響きが素晴らしいのですが、その割に味わいに於いては最高レベルからほんの僅かに下がるような気がします。もっとも、問題は終楽章の有名な第一主題です。楽譜の指定はポーコ・フォルテのアレグロ・コン・ブリオなのですが、どう聴いてもメゾ・ピアノ程度に聞こえます。テンポももったいを付けて遅く、到底”生き生きと”という感じではありません。通常聴かれる演奏とは大きく印象が異なります。ティーレマンはベートーヴェン演奏にも見られましたが、全体はとても堂々としているのに部分的に妙にこだわり過ぎて、逆に”姑息”に感じられることが有りますね。これは悪い癖です。真の巨匠となる為にはこのクセから抜け出す必要が有りそうです。

第2番においてもドレスデンの響きは最高です。録音が良いので非常に満足できます。全体的に遅いテンポで美しく歌わせています。強いて問題点を上げるとすれば終楽章のコーダで、効果を狙ってテンポを煽ってしまうがために、結局は凡百の演奏に陥ってしまうのです。これは非常に惜しいことです。

第3番では1楽章から非常に細かく音量の変化とアゴーギクを伴って歌わせるのですが、これが逆に煩わしさを感じさせてしまい、どうも落ち着きません。2、3楽章には抵抗感は無く、特に3楽章では極めて美しい響きと歌を堪能できます。終楽章はスケールが大きく、重戦車のような分厚い響きに圧倒されて、これには大満足です。

第4番は元々の曲の構造からか、ティーレマンの細かいニュアンス付けが裏目に出ることもなく、音楽を自然に楽しむことが出来ます。録音の良さやオーケストラの響きが全て生きて来ます。ゆったり目のテンポも理想的です。ザンデルリンクの旧盤のような武骨さこそ有りませんが、ライブならではの感興の高さと相まって非常に聴き応えが有ります。1楽章の終結部では徐々にテンポを速めていきますがフルトヴェングラーのような極端さは有りません。2楽章の美しさは秀逸ですし、3楽章は速いテンポの燃えた演奏で、幾らか腰の軽さを感じるものの愉しめます。終楽章は各変奏に旺盛な表現意欲を感じます。多少造りものめいた感は有りますが、終結部へ向かって高揚してゆく様は圧巻です。

総合的には録音が非常に素晴らしく、現在のシュターツカペレ・ドレスデンの美音を忠実に捉えた全集だと思います。にもかかわらずティーレマンの演奏は正にジキルとハイドのようで、スケールの大きさを感じさせたかと思えば、しばしばテンポに余計なギア・チェンジをして矮小さを感じさせてしまいます。少なくとも古典派形式の曲に対してはまだまだ青さを感じてしまいます。それはヴェートーヴェンの全集では見逃せるレベルでしたが、ブラームスではちょっと見逃し切れません。

このセットには交響曲の他にも、シェア奥沢での鑑賞会の記事でご紹介したピアノ協奏曲とヴァイオリン協奏曲のライブ映像のDVDが含まれていて、そちらは非常に魅力的です。
交響曲の演奏に幾らか不満が有るものの、シュターツカペレ・ドレスデンの素晴らしい響きが味わえる点と、DVD付きというコストパフォーマンスの高さから、購入をされても決して損は無いセットだと思います。

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2012年9月27日 (木)

ブラームス 交響曲全集 エードリアン・ボールト盤 ~熟年男性向け名盤?~

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朝夕がすっかり涼しくなりました。秋の気配を感じると、何となくブラームスを聴きたくなるから不思議です。もう何年もそうしているうちに身体にすっかり染み付いてしまったようです。

エッシェンバッハのブラームス交響曲全集を聴いたところで、ついでにもう一つ最近購入した全集を。と言っても正確には再購入になります。
指揮者はサー・エードリアン・ボールトで、オーケストラはロンドン・フィルハーモニー(3番のみロンドン交響楽団)です。録音されたのは1970~73年です。

以前は、海外のDiskyというレーベルがEMIからのライセンスで出したCDを持っていましたが、現在は所有していません。そこへ最近ボールトの「バッハからワーグナーまで」という11枚組の廉価ボックスがリリースされたので購入した次第です。今回は本家EMIの販売ですし、他にもバッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ワグナーなどのドイツの作曲家の名曲を収録して大変充実していますが、中核となっているのは、やはりブラームスの4曲の交響曲です。

その演奏ですが、どの曲でもロマンティシズムに溺れ過ぎない節度を保っています。テンポは速からず遅からずの中庸で、ほぼインテンポを守り、劇的な表情の変化は見せません。正に英国紳士の気品ある姿を想わせるような雰囲気です。それは決してブラームスの音楽から離れてはいません。

響きの面でも、イギリスのオーケストラは地味で暗く、くすんだ音色を持ちますのでブラームスに似合います。但し、トゥッティで金管が弦よりも一瞬早めに音を出すことが有るのは気になりました。また、微動だにしないインテンポを守るというわけではなく、音楽が高揚する部分では僅かに加速を見せます。それは通常では自然な表現なのですが、ブラームスの場合にはインテンポを頑固なまでに守った方が立派な造形性を感じられるので好ましいとは思います。

それにしても、この演奏はどれもが良質のブラームスです。噛み続けるほどに味わいの増すスルメのような演奏と言えるかもしれません。ザンデルリンクやベーム、ジュリーニの素晴らしい全集以上とは思いませんが、それらとはまた一味違った名盤のように思います。4曲の出来栄えは安定していて出来不出来は有りません。それでも特に印象に残るのは、名ヴァイオリニストのユーディ・メニューインが自ら志願してコンサートマスターに就いたという第1番です。もちろん2楽章のメニューインの独奏も聴きものですが、大きく高揚する終楽章も感動的です。第4番は、素晴らしい人生の黄昏を感じさせるような非常に味わい深い演奏です。と言っても枯れているわけでは無く、終楽章の変奏など案外と情熱的で面白く聴かせてくれます。

うーん、これは正に大人の男(熟年男性とも言う?)の音楽です。まあ、もともとブラームスの曲にはそういうところが有りますが、このCDはR40指定にするべきかもしれませんね。

この新盤の音質をDisky盤と直接聴き比べてはいませんが、かなり良くなった印象ではありました。

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2012年9月21日 (金)

ブラームス 交響曲全集 エッシェンバッハ/ヒューストン響盤 ~こちらヒューストン~

51tpouw3ykl__ss400_クリストフ・エッシェンバッハ指揮ヒューストン交響楽団(1991~93年録音/EMI Virgin盤)

現代の指揮者は、どうしても仕事量が多く忙し過ぎるために、短時間で仕事をまとめあげる器用な能力が求められます。ひと昔前の巨匠時代の指揮者のように、じっくりゆっくりと時間をかけて自分の音楽を徐々に熟成させてゆくようなタイプは生き残れないでしょう。ですので、どの演奏家も金太郎飴のように何となく似たり寄ったりで、特別な個性の感じられない演奏家が多くなりがちです。ホールで生で聴くのならまだしも、CDを購入して家で聴こうとは中々思えなくなるというのが正直な気持です。

そんな現代の指揮者たちの中で、数少ない個性を持つ人という点で僕が興味を駆り立てられるのは、クリスティアン・ティーレマン、パーヴォ・ヤルヴィ、そしてクリストフ・エッシェンバッハの3人です。少し前まではワレリー・ゲルギエフと小林研一朗が好きでしたが、二人とも最近の活動にはそれほど大きな興味は感じられません。

そのうちのティーレマンとエッシェンバッハには共通点を感じます。二人とも現代流行の古楽器的で速いテンポのスタイルには目もくれずに、かつてのドイツの巨匠時代の重厚長大路線を再現しているように感じるからです。

そして、ワーグナーやブルックナーを得意とするティーレマンにはクナッパーツブッシュを、比較的テンポの変化を自由に行うエッシェンバッハにはフルトヴェングラーを連想させられます。

実は、クリストフ・エッシェンバッハが凄い指揮者だと知ったのは、2005年にサントリーホールでシュレスヴィヒ・ホルシュタイン祝祭管弦楽団を率いて演奏したブラームスの第4交響曲を聴いた時です。アゴーギグを多用した変幻自在なテンポ感を持ち、白熱した演奏が、まるでフルトヴェングラーが現代に蘇ったかのように感じられたのです。それでいてフルトヴェングラーほどには極端で無いので、ロマンティックで充実したブラームスを聴けた喜びで一杯になりました。シュレスヴィヒ・ホルシュタイン祝祭管弦楽団というのは若手演奏家を主体とした臨時編成の団体ですので、技術的には完璧とは言えませんが、エッシェンバッハの音楽を忠実に表現していました。

さて、そのエッシェンバッハが既にブラームスの交響曲全集を1991年から93年にかけてEMIに録音していたのは知っていましたが、オーケストラがアメリカのヒューストン交響楽団だったので、これまで敬遠をしていました。アメリカのオケのブラームスの音には抵抗感が有るからです。ましてやヒューストンというのが興味を損なっていました。「こちらヒューストン」と言えばNASAの通信でお馴染みの言葉ですが、この都市のあるテキサス州には仕事で行ったことがありますが、その土地に似合うのはクラシック音楽ではなく、カントリー&ウエスタンだったからです。

そうは言っても、実演で聴いたブラームスの素晴らしさを知っている者にとっては、やはり聴いてみたいですし、いずれはドイツのオケと再録音する可能性も有るでしょうが、それではいつになるか判らないので、ダメもとで聴いてみました。このCDセットには、4曲のシンフォニーと「ハイドンの主題による変奏曲」「大学祝典序曲」「悲劇的序曲」「アルト・ラプソディ」が収められていて充実しています。

全ての曲を聴いてみて感じるのが、演奏表現の統一性です。基本はゆったりとしたテンポのスケールの大きな表現ですが、微動だにしないイン・テンポで古典的な造形性を強調するという演奏とは異なります。適度なアゴーギグとテンポの流動性を生かしたロマンティックなスタイルです。但し、それは極端な動きでは有りませんので、とても正統的なブラームスを感じさせます。実演で聴いたスタイルとも少々異なる印象です。
1番の第1楽章や終楽章のような速い楽章での充実感も素晴らしいですが、3番の2、3楽章のような緩徐楽章での静けさと美しさも大変なものです。

ヒューストン響で最も印象的なのは弦楽の優秀さです。ヴァイオリンは澄んだ音で良く歌いますし、中低弦の厚みも大したものです。木管群もまずます問題ありません。問題が有るとすれば、やはり予想をしていた金管の音色です。ホルンの音はドイツの渋く深い音とは反対の明るい音色でブラームスには不向きです。但し、管楽の音を浮き立たせるのではなく、あくまでも弦楽の上に柔らかく乗せるというヨーロッパ的にブレンドされた響きです。アメリカのオーケストラから、これほど柔らかい響きを醸し出すというのは、やはりドイツ人であるエッシェンバッハの力でしょう。

それにしてもエッシェンバッハのブラームスは本当に素晴らしい。この人が北ドイツ放送響あたりと再録音を行なってくれたら、何を置いても飛び付きたいと思います。

この4枚組CDは、日本でも再リリースされましたが、旧盤にもかかわらず4000円近くと少々割高です。Virginレーベルの海外盤ならせいぜい元は20ドル程度ですし、自分も中古店で1000円以下で入手しました。東芝は相変わらずこういう、せこい商売を続けているようなのが余り感心できません。

ところで、前述のサントリーホールでの第4番のライブ演奏はヘンスラーからCD化されています。CDで聴くと、どうしてもオケの粗さが感じられてしまい、会場での感動には遠く及びませんが、テンポや表情の変化の大きさはヒューストン響との演奏以上で、非常にドラマティックです。興味をお持ちの方はこちらも是非お聴きになられて下さい。

51zthntyphlクリストフ・エッシェンバッハ指揮シュレスヴィヒ・ホルシュタイン祝祭管弦楽団(2005年録音/ヘンスラー盤)

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2011年11月12日 (土)

ブラームス交響曲全集 カルロ・マリア・ジュリーニ/ウイーン・フィル盤

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朝晩がすっかり冷え込んできて、いよいよ秋が深まりましたね。さて、「秋の夜長はブラームス」。ブラームジアーナーのこの合言葉通りに、今月はブラームスの曲を楽しみます。これまでも、交響曲、協奏曲、室内楽などの特集を行ないましたが、それ以降に聴いた演奏がだいぶ溜まりました。その中には、是非ともご紹介したい演奏も少なからず有りますので、今回はそれらをまとめてご紹介するつもりです。

手始めはシンフォニーです。最近は新しいディスクを購入することはすっかり減ってしまいましたが、しばらく前にコメントを頂いた、じゅりさんのお気に入りというジュリー二盤が気になっていたので聴いてみました。ジュリーニはウイーン・フィルと録音した「ドイツ・レクイエム」の演奏では、少々カンタービレが強過ぎてドイツ的な圭角が失われた印象でした。けれども考えてみれば、常に遅いテンポでイン・テンポを保ち、堂々としたスケール感を生み出すというジュリーニの演奏スタイルは、ブラームスの音楽の特徴とも重なります。

オーケストラに関して言えば、自分はブラームスには北ドイツ的な重厚な音を好むので、必ずしもウイーン・フィルの演奏が好きなわけでは有りません。けれども確かに流麗で美しいブラームスにも魅力を感じないことはないので、ジュリーニがどのように指揮しているか、じっくりと聴いてみました。

1989年から1991年にかけてグラモフォンに録音を行なったこの全集ですが、4曲ともに、遅く、重く、念押しするリズムでじわりじわりと音楽を高揚させてゆく表現はいつものジュリーニです。そしてカンタービレが非常に良く効いています。少しも力むことはありませんが、緊張感を失うことが無く、ずしりとした手ごたえが有ります。4曲の中で、特に優れていると感じたのは4番です。耽美的なワルターの演奏に重量感と演奏の立派さを加えた印象です。1番の第1楽章も絶品です。4楽章の有名な旋律ではカンタービレの効かせ過ぎのために幾らか高貴さを失い気味なのが気にはなりますが、やはり良い演奏です。2番もウイーン・フィルの美感を生かしている点では、ベームと並ぶかもしれません。3番はジュリーニにしては意外に速めのテンポに感じますが、自然な流れの良い演奏です。3楽章は何故か濃厚に歌わずに、弱音であっさりと歌うのがユニークです。

ということで、4曲のいずれもが非常に水準の高い演奏です。ブラームスの交響曲のディスクというと、曲ごとには好きな演奏が有っても、こと全集盤となると、これまではファースト・チョイスのザンデルリンク/ドレスデン盤以外にはほとんど思いつかないのが正直なところでした。強いて挙げれば、ザンデルリンク/ベルリン響の新盤か、むしろベーム/ウイーン・フィル盤でしたが、今後はセカンド・チョイスとしては、このジュリーニ盤を上げたい気持ちです。

それぞれの曲についての感想は、過去記事に加筆をしましたので、良ければ目を通してみてください。

交響曲第1番 名盤

交響曲第2番 名盤

交響曲第3番 名盤

交響曲第4番 名盤

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2008年9月29日 (月)

ブラームス 交響曲全集 ザンデルリンク/ドレスデン国立歌劇場管 ~最高の名盤~

100ここ数日すっかり涼しくなってきました。いよいよブラームスを聴くのに良い季節です。しかし室内楽にはまだ早過ぎます。もう少し秋が深まるまでは大切にとっておきたいところです。今はまだ交響曲か協奏曲あたりを楽しんでおきましょう。

ブラームスの交響曲のCDは世の中に数え切れないくらい有ります。演奏も様々です。僕もブラームスを好きになった高校生時代から30年以上の間に随分色々と聴いてきました。最初は何も判らないからカラヤン。それにフルトヴェングラー、ワルター、ベイヌムと聴きました。そしてクナッパーツブッシュが凄いと聞くと当時は高価だった海賊盤LPも買ってみたものでしだ。

そんなある時、たまたま友達になったブラームス好きの家で、ひとつのレコードを聴かされました。それがクルト・ザンデルリンク指揮ドレスデン国立歌劇場管弦樂団(シュターツカペレ・ドレスデン)のブラームス交響曲全集だったのです。初版は確か日本盤も東独エテルナと同じ真白いジャケットにブラームスの顔が薄く描かれたデザインでした。

演奏を聴いて一発で参りました。これこそがブラームスかと思いました。それまで聴いたカラヤンやフルヴェンは何だったのだろうと。クナッパーツブッシュの巨大な演奏すら異型に思えました。それ以来このザンデルリンクのレコードを越える演奏にはお目にかかれません。この先ももう無理だろうと思います。この演奏は円熟期に入ったザンデルリンクが、絶頂期にあるシュターツカペレ・ドレスデンと組んだまさに一期一会の記録だからです。

それにしても当時のドレスデンは凄いオーケストラでした。弦楽は柔らかさとドイツ伝統丸出しのマルカートとを弾き分けて実に見事ですし、管楽の主席奏者達の上手さも比類が無かったです。フルートのヨハネス・ワルター、ホルンのペーター・ダムなどは当時のウイーン・フィル、ベルリン・フィルの名手達をもってしても音楽的な魅力で到底かなわないし、ゾンダーマンの叩くティンパニーはあの革張りの音と絶妙な合わせの上手さが最高でした。そして何より凄いのはそれらが全て溶け合ってあの正真正銘ドイツのいぶし銀の音になっていたことです。ウイーン・フィルの音が澄み切った絹ごし豆腐か更科蕎麦の味だとすれば、ドレスデンは最高に美味い木綿豆腐かやぶ蕎麦です。ブラームスにはウイーン・フィルよりもドレスデンの方がずっと合うと思っています。

しかしザンデルリンクの指揮があればこそ、この名演が可能になったのです。普通よりもずっと遅く微動だにしjないイン・テンポを守って、ずっしりと重厚なのにもかかわらず、音楽が推進力を失うことが無いのです。ブラームスの音楽の重厚さと心に秘めたる情熱、この両立が難しいのです。しかしこの演奏ではそのバランスがまさに黄金比なのです。

ザンデルリンクは後年にベルリン交響楽団と再録音を行っていますが、すっかり枯れてしまい、そこにはもうこの情熱と推進力は失われています。重すぎてもたれるのです。これを「真のドイツの音」だと世の評判は良いようですが、オケの質はドレスデンの敵では無いですし、残響の深い録音にずいぶん助けられているように感じます。果たして自分が70歳くらいになった時にはこの枯れた演奏のほうが良く聞こえることも有るのでしょうか?但し誤解が有るといけませんが、もしも旧盤の存在が無ければこの新盤は間違いなくブラームス交響曲全集としてはベストだと思います。それぐらい旧盤が素晴らしいだけなのです。

ということでブラームスの交響曲は4曲ともドレスデン盤以外は普段ほとんど聴きません。いぶし銀の音をどうしても聴きたくなるのです。その音を味わうには本当はアナログ盤がベストです。しかし現在のDENONクレスト1000のCDは20ビットのリマスタリングが非常に良く、アナログに充分肉迫しています。旧規格よりもかなり良いです。最近DENONはアンチェル/チェコ・フィルなんかを24ビットで新リマスタリングしていますが高音強調になってしまい必ずしも良くありませんので、今後の再発は余り期待はしていません。それよりもキングがハイパーリマスタリング盤で出してくれないでしょうか。あのシリーズは音がアナログ的で最高だからです。

(補足)
ブログ仲間のsource manさんの調査により、第2番のみはクレスト1000でも旧マスタリングのままだということが分かりました。

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