プロコフィエフ(管弦楽曲)

2024年6月18日 (火)

プロコフィエフ バレエ音楽「ロミオとジュリエット」全曲 Op.64 名盤

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「ロミオとジュリエット」というと過去の記事にも書きましたが、どうしても青春時代に観たフランコ・ゼフィレッリ監督の映画が忘れられません。ゼフィレッリ監督が造りだした中世の街やお城の世界が夢のように美しく、ニーノ・ロータの音楽は中世のイメージを生かして魔法のようでした。そして主役のオリヴィア・ハッセーとレナード・ホワイティングの何という初々しさ!あの映画こそが自分の「ロミオとジュリエット」体験の原点です。

それはそれとして、バレエ音楽として最も有名なのは、セルゲイ・プロコフィエフの作品です。プロコフィエフがパリからロシアに戻り、たまたま接したシェイクスピアの悲劇的な戯曲に感激して、バレエ音楽の創作を思い立ちました。

作品は1936年に、たった4か月の期間で一気に書き上げられました。元々はレニングラード・バレエ学校の創立200年祭で上演される予定でしたが、酷評された為に契約は破棄となります。そして2年後の1938年にチェコのブルノ劇場で初演されて成功を収めます。
ブルノでの上演が成功したことから、1940年にキーロフ劇場で上演されることになりましたが、この時はダンサー達が楽曲のシンコペーションのリズムに非常に苦労してしまい、ボイコットされかかったそうです。それでも何とか上演に漕ぎつけると成功を収め、ソビエト・バレエの最高の作品の一つだと讃えられました。プロコフィエフのバレエ音楽の中で最も長大でドラマティックな傑作ですし、ストラヴィンスキーの「春の祭典」やラヴェルの「ダフニスとクロエ」などに続く革新的な作品です。 

<あらすじ>

第一幕 時は14世紀。北イタリアの街ヴェローナ。
第1場 モンタギュー家とキャピュレット家という二つの名家が有ったが、長年お互いに抗争を繰り返していたので、ヴェローナを治める大公は、とうとう再び争い沙汰を起こした者はこの街から追放すると命じる。 

第2場 モンタギュー家とキャピュレット家には、それぞれロミオという若者とジュリエットという娘が居た。あるときキャピュレット家で開かれた仮面舞踏会に、ロミオは友人たちと紛れ込む。するとロミオとジュリエットは出会って恋に落ちてしまう。 

第3場 キャピュレット家のバルコニー。ロミオは夜更けに庭から隠れるようにしてジュリエットに会いに来て、二人は愛を交わす。 

第二幕
第1場 街の市場でロミオが若者たちと楽しんでいる。そこへジュリエットの乳母が秘密の使者としてやって来る。 

第2場 ロレンス神父の邸。ロミオとジュリエットは秘密裏に結婚式を挙げる。神父は二人の結婚が両家の抗争を終わらせることになることを願っている。 

第3場    街の市場。モンタギュー家とキャピュレット家の若者たちが出くわす。キャピュレット家のティボルトの挑発が発端となって争いが起きてマキューシオが命を落とす。ロミオは親友の死に激高してティボルトを殺してしまう。 

第三幕
第1場
 ジュリエットの寝室。追放処分となったロミオはジュリエットと一夜を共にする。朝になるとロミオは悲嘆にくれながら出て行く。一方ジュリエットは両親からパリスとの結婚を迫られて困り、ロレンス神父に助けを求める。神父はジュリエットに仮死状態となる薬を渡す。ジュリエットが死んだと見せかけて、その隙にロミオとともに逃げる計画だったのだが、それはロミオに上手く伝わらなかった。 

第2場 キャピュレット家の墓所。棺のジュリエットの元へロミオが駆けつける。薬による仮死状態だと知らないロミオは哀しみ、毒薬を飲んで自ら命を絶つ。その直ぐ後にジュリエットが目覚めるが、ロミオの死を知ると短剣で後を追う。 

<愛聴盤のご紹介>

この作品のディスクは組曲版が多く出ていて、もちろん気軽に楽しめはしますが、どうせなら全曲版で鑑賞したいです。そこで愛聴盤のご紹介です。 

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ロリン・マゼール指揮クリーヴランド管弦楽団(1973年録音/DECCA盤)
マゼールがセルの後任としてクリーヴランド管の音楽監督に就任して初の録音でした。セルに鍛え上げられたクリーヴランド管の精緻なアンサンブルと澄んだ響きはプロコフィエフの近代的な管弦楽を表現するのにはうってつけでした。マゼールの指揮も速いテンポでサクサクとしたキレの良さが格別です。ただしその分、重量感が欲しい楽曲において音が軽く感じられてしまったり、もう少しゆっくり歌わせて欲しいと感じる箇所が有ります。プロコフィエフの持つロシア的な情緒感や暗さといったものもかなり稀薄です。マゼールのことですからもう少し個性を打ち出しても良かったようにも思いますが、日本でもレコードアカデミー賞を受賞して、この当時とても話題となったディスクでした。DECCAのアナログ録音技術が頂点を極めた時代の録音ですので音質的にも文句無しです。 

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アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団(1973年録音/EMI盤)
1973年は、この作品の当たり年で、マゼール盤の録音直後にプレヴィンとロンドン響によるEMI録音も行われました。マゼール盤の録音終了が197366日、プレヴィン盤の収録開始がその翌々日68日なのはびっくりです。こちらはバレエ音楽を得意とするプレヴィンらしく、メリハリをつけた音楽と躍動するリズムの冴えが、息つく間を与えないほどに聴き手を惹き付けます。まるで映画を観るような雰囲気も有りますし、フィナーレも感動的です。もっとも全体的に楽しく、暗さや悲劇性に関しては幾らか薄いようにも感じられますし、ロシア的な情緒も物足りません。ロンドン響はプレヴィンとの相性の良さが際立っていて、アンサンブルのレベルも高いですが、細部の精緻さにおいては他盤より幾らか劣ります。録音はEMIにしては優秀なので鑑賞上の不満はほとんど有りません。 

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ワレリー・ゲルギエフ/キーロフ管弦楽団(1990年録音/フィリップス盤)
ゲルギエフは「ロミオとジュリエット」をロンドン響と再録音を行なっていますが、自分が所有するのはキーロフ劇場管との旧録音盤です。ゲルギエフは一世代前のロシアの爆演系指揮者とは異なり、迫力は有っても決して音量のリミッターを外すような真似はしません。繊細かつ多彩な管弦楽の音色の変化も持ち合わせます。その音色感覚はCDでは中々聴き取ることが出来ませんが、実演で生の音を聴くとそれは驚異的です。従って、プロコフィエフは最善のレパートリーの一つだと言えます。手兵のキーロフ管を駆使して、非常に美しい音とデリカシー溢れる歌い回し、そしてリズミカルで生き生きした演奏を繰り広げています。凄味の有る不協和音ですら騒々しく感じられることが無く、斬新な響きを楽しめます。フィリップスの録音も極上の出来栄えです。それまでのマゼールやプレヴィンの名盤を凌駕する素晴らしい全曲盤です。 

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ウラディーミル・アシュケナージ指揮ロイヤル・フィルハーモニー(1991年録音/DECCA盤)
アシュケナージの指揮に才能が有るかどうかは良く分かりませんが、マエストロがプロコフィエフを好んでいる事だけは確かです。リズムが生き生きとしていて軽やかな場面と重々しい場面での切り替えも秀逸ですし、ダンサー達の舞踏がまるで目に浮かぶようです。ロイヤル・フィルが元々持っている管弦楽の豊かな色彩感も魅力的ですが、それは決して極彩色では無く落ち着いた色合いなのはやはり英国の団体です。アシュケナージはロシア人指揮者にしてはそれほどロシア風の味が強く感じられないのは不思議で、むしろ英国風のスマートな印象が強いです。この人のピアノ演奏と共通していそうです。しかしこの演奏は聴いていて心が弾むように楽しくなる点では随一かもしれません。DECCAの録音はマゼール盤を凌ぐ優秀さです。

以上ですが、どれにも魅力が有るものの、どれか一つと言われれば迷うことなくゲルギエフ盤となります。

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バレエ「ロミオとジュリエット」 ゲルギエフ/キーロフ管の名盤

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2014年1月20日 (月)

プロコフィエフ バレエ音楽「ロミオとジュリエット」 ゲルギエフ/キーロフ管の名盤

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シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」は余りにも有名ですが、自分は青春時代に観たフランコ・ゼフィレッリ監督の映画がどうしても忘れられません。オペラの演出も手掛けるゼフィレッリ監督の映像が古典的かつリアルで、本当に中世の街や城の中に居るような錯覚を覚えたほどです。それに加えて、主役の二人、オリヴィア・ハッセーとレナード・ホワイティングの初々しく可憐な美しさには魅了されずにいられませんでした。そのうえニーノ・ロータの音楽が何と素晴らしいことか。中世のイメージを上手く生かした美しいメロディの数々がまるで魔法のようでした。
ということで、あの映画は自分の「ロミオとジュリエット」体験の原点です。

それはひとまず脇に置くとして、音楽のジャンルにも数多く用いられたこの戯曲ですが、ベルリオーズの劇的交響曲やチャイコフスキーの劇的序曲といった有名な作品と並び、バレエ音楽として最も有名なのは、やはりセルゲイ・プロコフィエフのものでしょう。

この作品は、やはり全曲版で鑑賞したいと思います。映像版のDVDも良いのですが、個人的にはむしろCDで音楽に集中して鑑賞するのを好んでいます。そこで全曲版CDの愛聴盤のご紹介です。

1453089ワレリー・ゲルギエフ/キーロフ管弦楽団(1990年録音/フィリップス盤)

最近ゲルギエフはロンドン交響楽団との録音が多いですね。首席指揮者としての契約上の問題なのでしょうが、母国の楽団では無く、イギリスの団体とチャイコフスキーやプロコフィエフなどロシア音楽の録音を行うのは、個人的には非常に残念です。「ロミオとジュリエット」もロンドン響と再録音を行なっていますが、僕が所有するのはキーロフ管弦楽団との旧盤です。旧録音と言ってもフィリップス録音ですから、音質は最新のものと比べても遜色ありません。

ゲルギエフが名を知られるようになったきっかけはカラヤン・コンクールで優勝してからですが、その為かどうかは知りませんが、この人は一世代前のロシアの爆演系指揮者とは異なりますね。指揮の師匠がテミルカーノフであるのも影響がありそうです。二人ともロシア的な迫力を持ってはいても、決して音量のリミッターを外すような真似はしません。多彩な音色の変化を持つことも共通しています。特にゲルギエフの繊細な音色感覚はCDでは中々聴き取ることが出来ませんが、実際の生の音を聴くと驚くほど感じられます。
ですので、プロコフィエフというのはゲルギエフにとって最善のレパートリーだと思います。いわばホーム・グラウンドの手兵オーケストラ、キーロフ管を駆使して、繊細で美しい音とリズミカルで生き生きした演奏を繰り広げています。不協和音でも決して騒々しく感じられることが無く、斬新な響きを楽しむことが出来ます。プロコフィエフはやはりこうでなければ面白くありません。これはとても素晴らしい全曲盤だと思います。

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