ヴェルディ(声楽曲)

2013年10月27日 (日)

リッカルド・ムーティ指揮シカゴ響のヴェルディ「レクイエム」特別コンサート

先日のヴェルディ「レクイエム」の記事の中で、10月10日にリッカルド・ムーティがシカゴ・シンフォニーと同曲の特別コンサートを開いて、それがWEB配信されるというご紹介をしましたが、その全曲の映像をYouTubeで観ることが出来ます。もしも、まだご覧になっておられない方がおられれば、ぜひご鑑賞ください。自分もライブでは無く、あとから観ました。パソコンの小さなスピーカーではもったいないので、AKGのヘッドフォンで聴きましたが、実に素晴らしい演奏です。ミラノ・スカラ座のような押しの強いコーラスではありませんが、オーケストラも含めて極めて繊細な美しさを如何なく表現しています。

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2013年9月28日 (土)

ヴェルディ 「レクイエム」 名盤 トスカニーニ、サバタ、カラヤン、アバド、そしてムーティ他

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初演が行われたミラノのサン・マルコ寺院

ヴェルディは、彼が敬愛したイタリアの詩人であり作家であるアレッサンドリ・マンゾーニの一周忌のために「レクイエム」を作曲しました。数多く作曲されたオペラと並んで有名な、ヴェルディの「レクイエム」です。

マンゾーニの一周忌は1874年にミラノのサン・マルコ寺院で行なわれましたが、その時に指揮をしたのはヴェルディ自身で、オーケストラはミラノ・スカラ座のメンバーを中心とする100名、コーラスが120名、4人のソリストは当時の一流を揃えたそうです。その三日後には会場をスカラ座に移して数回のコンサートが開かれました。

何しろ、この「レクイエム」は、円熟期の大傑作オペラ「アイーダ」の更に3年後の作品でもあり、それまで前例の無いほどにドラマティックだったことから、「余りにイタリア・オペラ的」「ドラマ的に過ぎる」「教会に相応しく無い」という多くの批判にさらされました。熱烈なワグネリアンであるハンス・フォン・ビューローも、この曲を「聖職者の衣服をまとった、ヴェルディの最新のオペラ」だと皮肉りました。
もっともブラームスは、こうしたビューローの評を聞いて、「奴は馬鹿な事を言ったものだ。これは天才の作品だ。」と言ったと伝えられています。

こうして酷評と賛美の両方が飛び交った「レクイエム」ですが、直に海外でも次々と演奏されるようになり、あのビューローも後になって「どんな下手な楽団員の手で演奏されても、涙が出るほど感動させられる」と評価を改めたそうです。

ヴェルディ自身は、「この曲をオペラと同じように歌ってはいけません。オペラで効果のある音声装飾はここでは私の趣味では無いのです。」と語っています。とは言っても、この曲への「教会音楽らしくない」という批評が的外れで無いことは紛れも無い事実ですし、どこからどう聴いても彼のオペラに聞こえてしまいます。けれども、例えばモーツァルトの書いた教会音楽も、やはり彼のオペラと同じように聞こえますので、作曲家の作法というのは中々変えられないもののようです。
ヴェルディがいかにもヴェルディらしく書いた、敬愛する詩人の為の鎮魂歌。それがこの「レクイエム」です。

曲の構成は下記の通りですが、全体で演奏時間が90分近くになる大曲です。

1.レクイエムとキリエ
  レクイエム(安息を)
  キリエ(憐れみ給え)

2.ディエス・イレ(怒りの日)
  怒りの日
  くすしきラッパの音
  書き記されし書物は
  あわれなるかな
  みいつの大王
  思い給え
  我は嘆く
  判決を受けた呪われし者
  ラクリモーサ(涙の日)

3.オフェルトリウム(主イエズス)

4.サンクトゥス(聖なるかな)

5.アニュス・デイ(神の子羊)

6.ルックス・エテルナ(永遠の光りを)

7.リベラ・メ(我らを救い給え)

この曲の核心は言わずと知れた長大な「ディエス・イレ」ですが、「オフェルトリウム」の神秘的な美しさもまた大きな魅力で聴きものです。

ところで音楽評論家の故宇野功芳先生は、たびたび「レクイエムならモーツァルトやフォーレよりもヴェルディのほうが感動的だ。」と書いています。もちろんヴェルレクは大変な傑作ですが、僕個人としてはモーツァルトやフォーレ、あるいはブラームスのほうに更に惹かれますし、感動的なように思えます。まぁ、これは好みの問題ですね。

さて、僕の愛聴盤のご紹介です。曲の持つ性質、その歴史から言っても、やはりミラノ・スカラ座に代表されるイタリアのオーケストラと合唱団による演奏、あるいはイタリアの指揮者の演奏を中心に聴きたくはなります。

Verdi-61wcnlkml0l_ac_sl1075_ アルトゥーロ・トスカニーニ指揮BBC響/合唱団(1938年録音/TESTAMENT盤:EMI原盤) トスカニーニの「ヴェルレク」の録音を数えたことは有りませんが、かなりの数が残されています。しかしいずれも古く、大半は鑑賞には向きません。その中で鑑賞に耐え得るものとして、古いところではロンドンでのBBC響とのライヴが上げられます。英国で戦前に手兵としていたBBC響と合唱団は。鬼神が乗り移ったかのようなトスカニーニの指揮に全身全霊を傾けて食らいついていき、前のめりで火の玉のような演奏に圧倒されます。独唱ではソプラノのジンカ・ミラノフが凄いですが、アルトのトルボルイ、テノールのロスヴェンゲ、バスのモスコーナといずれも入魂の絶唱と言えます。EMIによる録音はもちろんモノラルで貧しい音ですが、バスドラの迫力ある低音がしっかり捉えられていて録音年にしては全体のバランスも良く案外と聴き易いです。

Verdi-51y2ohnxl8l_ac_ アルトゥーロ・トスカニーニ指揮ミラノ・スカラ座管/合唱団(1950年録音/Istituto Discografico Italiano盤) トスカニーニのスカラ座での古いライヴ(年代不詳)は正に阿修羅と化した壮絶な演奏で、あれほど凄い演奏はこれまで聴いたことが有りません。しかし録音が劣悪で、しかも現在はそのディスクを見つけることが出来ません。現在入手可能なものではこの1950年のライヴ盤が有ります。一般的に質の落ちるイタリア録音とはいえ、この録音年であればモノラルなのはともかくも、もう少し音質に期待したいところですし、せっかくのスカラ座の合唱がやや遠めに感じられるのは残念です。しかしそれでも流石はトスカニーニのスカラ座ライヴです。この熱気と凄さは何なのでしょう!独唱ではソプラノのテバルディとバスのシェピの両者が圧巻の素晴らしさです。

1198031392アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC響/ロバート・ショウ合唱団(1951年録音/RCA盤) これはカーネギーホールにおけるライヴ録音で、数あるトスカニーニの「ヴェルレク」録音の中でどれか一つとなれば、演奏が素晴らしく、録音も明瞭なRCA盤が最適です。もちろんモノラルですし最新録音には遠く及びませんが、その演奏に圧倒されて、直ぐに慣れてしまいます。冒頭の「レクイエム」からフレージングが明瞭で、ムードよりも旋律線の強調が目立ちます。これがトスカニーニのイタリア音楽の魅力です。「怒りの日」では速さだけでは無く、ズシリとした聴きごたえが最高です。続く「くすしきラッパの音」での大見得を切るような音のタメと迫力にはゾクゾクします。トスカニーニの声が大きく入っているのも興奮します。独唱陣もシェピやステファノを始め強力ですし、ロバート・ショウ合唱団もトスカニーニの演奏と一体化した素晴らしさです。普通なら、録音の良し悪しが印象を左右する「ヴェルレク」ですが、音の多少の古さを物ともしないこの演奏はトスカニーニの起こした奇跡のうちの一つだと思います。

51iz5bn2ql_ac_ ヴィクトル・デ・サバタ指揮ミラノ・スカラ座管/合唱団(1954年録音/NAXOS盤) しかし、トスカニーニの後を継いでスカラ座の監督となった”炎の指揮者”サバタを忘れてはなりません。マリア・カラスの歌う歌劇「トスカ」EMI盤が余りにも有名ですが、このヴェルレクもまたサバタの数少ない録音の中で「トスカ」と並び称されるものです。スカラ座の合唱団の圧倒的な迫力、シュワルツコップ、ステファノ、シェピと声楽陣も最高ですし、何よりも演奏の熱量に於いてトスカニーニと互角と言えます。むろんモノラル録音ですし、時代による音質の限界は有りますが、ナクソスがLP盤から復刻したCDが音の明瞭さと中低音域の音の厚さも有って優れます。なお、この録音はアナログ初期にEMIからもコロムビアからもリリースされていて原盤がどちらなのかは良く分かりません。また、サバタには1951年のライブ録音も存在しますが残念ながら未聴です。

Verdi-61b5re8rtrl グィド・カンテッリ指揮ニューヨーク・フィル/ウェストミンスター合唱団(1955年録音/ARCHIPEL盤) 36歳という若さでミラノ・スカラ座の音楽監督に就任が決まっていたカンテッリでしたが、その前に航空機事故で亡くなります。これは亡くなる前年にニューヨークで行われた演奏会のライブ録音です。イタリアの指揮者なら誰しもが得意とするヴェルレクですが、カンテッリは単に熱くなるだけではなく、全体のパースペクティブの良さも感じさせます。残した録音にドイツ・オーストリアの音楽が多いことからも欧州的な音楽性と指揮の才能を伺い知ります。ネッリ、ターナー、タッカー、ハインズと当時の米国で活躍した声楽陣も優れますし、合唱もまた力強く素晴らしいです。録音はこの手のものとしては優れます。音は明瞭ですし音域バランスも悪く無いです。

Verdi-857 トゥリオ・セラフィン指揮ローマ歌劇場管/合唱団(1959年録音/TESTAMENT盤:EMI原盤) イタリア・オペラの権威の一人セラフィンも、1968年に亡くなるまで第一線で活躍を続けました。ヴェルレクにはローマ歌劇場との1939年の録音が有りますが、その20年後にこのステレオ再録音を行いました。一般的には再録音盤が勧められると思います。管弦楽はイタリアの名門歌劇場だけあって熱い血が煮えたぎっていて、トゥッティの迫力に惹き付けられます。合唱団も厚い歌声が素晴らしいです。但し、ヴァーテニシアン、コッソット、フェルナンディ、クリストフ達ソリストの歌唱がオペラ的過ぎるという難点が有ります。「そういう曲だろ」という意見も有るでしょうが、これはちょっと極端で、曲によっては抵抗が有ります。本家のEMI盤では聴いていませんが、このリマスターは成功していると思います。

81vaooq24pl_ac_sl1500_ カルロ・マリア・ジュリーニ指揮フィルハーモニア管/合唱団(1963-64年録音/EMI盤) ジュリーニもまた39歳の若さでスカラ座の音楽監督となりました。この人は70年代あたりから極端に遅いテンポを取るようになり(それはそれで魅力ではあり)ますが、この録音の時代では若々しさを残したテンポと張り詰めた緊張感が心地良いです。声楽陣は、シュヴァルツコップ、ルートヴィヒ、ギャウロフと揃い、管弦楽と合唱も美しく、かつ迫力ある音で力演をしています。録音はこの時代のEMIのものとしては普通ですが、強奏音で音がだいぶ割れ気味なのがマイナスです。それが気になってしまう人にはお勧めできません。

Verdi-cr8004 ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ミラノ・スカラ座管/合唱団(1964年録音/RELIEF盤) カラヤンのこの曲のライブ録音は幾つか残されていますが、録音の古いものが多いのが残念です。その点、歴史的にも特筆されるのが、1964年のミラノ・スカラ座とのソヴィエト公演です。この時にはモスクワのボリショイ劇場でヴェルレクと「ボエーム」を演奏しています。スカラ座が威信を掛けてのツアーだったのは疑いなく、大熱演を繰り広げています。ソリストにもレオンティン・プライス、コッソット、ベルゴンツィ、ザッカリアというメンバーが揃いましたが、特にプライスの美しく深い歌唱が絶品です。録音はステレオで明瞭、レンジも広め、合唱が幾らか遠め以外は当時の条件を考えるとかなり優秀です。入手性は余り良くないでしょうが、カラヤンのみならず、ヴェルレクの隠れたる名盤として外せません。

Verdi-71nl1fiynal_ac_sl1500_ ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィル/ウィーン楽友協会合唱団(1972年録音/グラモフォン盤) カラヤンはヴェルレクのセッション録音を2回行いましたが、これは1回目のもので、若々しくベルリン・フィルをドライブし切った非常に迫力の有る演奏です。かつてのドイツ的な響きが、既に明るく変貌したこの楽団の音色もヴェルディには適しています。但しイタリアの指揮者達が血の熱さを感じさせるのに対して、やや音響的な熱さのようにも感じられます。聴いていて否応にも興奮を誘われるのは前述のスカラ座とのモスクワ・ライブです。合唱は力演していますが、イタリアの歌劇場のような凄味ではなく静謐さに惹かれます。ソリストのフレーニ、ルートヴィヒ、コッスッタ、ギャウロフは手堅いところで、重唱も非常に美しいです。録音は重低音域が物足りませんが、当時としては優秀です。 

Uccg4809m01dlクラウディオ・アバド指揮ミラノ・スカラ座管/合唱団(1980年録音/グラモフォン盤) アバドは、この曲を3回録音していますが、その最初の録音です。やはりスカラ座での演奏というのがポイントです。オーケストラと合唱の力強さと厚み、それに何よりもイタリア的な味わいが魅力だからです。録音もマスターはアナログですが非常に優れていて、分離の良さも優れます。強音でも音割れは有りませんし、彫の深い演奏を充分に味わうことが出来ます。「怒りの日」などでは後年のベルリン・フィル盤ほどの迫力と興奮は見られませんが、むしろ繰り返しの鑑賞には向いています。リチャレッリ、ドミンゴ、ギャゥロフらの独唱陣も実に充実していて素晴らしいです。アバドのヴェルディはオペラも含めて、この当時が最高だったのでは無いでしょうか。

Verdi-61ftnzmolel_ac_ ズービン・メータ指揮ニュ-ヨーク・フィル、ムジカ・サクラ合唱団(1980年録音/SONY盤) イタリアオペラを得意とするメータはヴェルレクも三種類は録音を残しています。余り話題に上りませんが、これはそのうちニューヨークのエイヴリー・フィッシャー・ホールで行われたライヴ録音で、演奏の集中力と白熱度それに迫力が凄いです。ムジカ・サクラは、ニューヨーク市で長く継続的に演奏しているプロ合唱団ですが、この合唱がまた素晴らしいです。独唱もカバリエ、ドミンゴは言うまでもなく素晴らしいですが、メゾのベリーニ、バスのプリシュカもとても良いです。ソニーの録音はマイクを近くに立てたようで、管弦楽もコーラスも独唱もみな音が明瞭で分離も良く、セッション録音のようです。ホールの残響が少なめなので、とても生々しさが有ります。

Verdi_requiem_muti_scalaリッカルド・ムーティ指揮ミラノ・スカラ座管/合唱団(1987年録音/EMI盤) ムーティとしては2回目の録音です。スカラ座の録音としてはアバド盤の7年後ですが、演奏にはアバド以上の熱さが有ります。「怒りの日」も快速テンポで突き進み、正に炎のようです。スカラ座の合唱の凄さにはさすがに本家の底力と貫禄を感じますし、独唱もハーモニーも揃っていて不満は有りません。パバロッティもショルティ/VPO盤の時の美しさこそ失われましたが、まだまだ素晴らしい歌声を聞かせてくれます。この曲をいったい何度演奏したかわからないオーケストの自家薬篭中の上手さと雄弁さには舌を巻きます。このイタリア・オペラ的な味わいには抗しがたい魅力を感じます。但し音質的にはやや混濁感が有り、最強音で音に荒れが感じられるのが心残りです。

Uccg4811m01dlクラウディオ・アバド指揮ウイーン・フィル/ウイーン国立歌劇場合唱団(1991年録音/グラモフォン盤) スカラ座盤から約10年後となる2回目の録音ですが、アバドがどういう演奏を意図したのかが良く分かりません。スカラ座の明瞭で押し出しの強い合唱に比べて、「ウイーンらしい抒情性」と言えば聞こえが良いですが、合唱の発声の柔かさがマイナスに感じられます。独唱陣ではカレーラスが一人極めてドラマティックに歌うので浮いてしまい、バランスを崩しているようです。「怒りの日」などでは、スカラ座盤以上に迫力が有りますし、部分的には良いと思えるのですが、全体では何か統一性の欠けた居心地の悪さを感じてしまいます。録音には広がりが有り、ダイナミックレンジも大きいですが、分離の良さはスカラ座盤が優位です。トータル的にはスカラ座盤を取りたいと思います。

Verdi-61ae8inb82l_ac_ クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィル、スウェーデン放送合唱団他(2001年録音/EMI盤) これはヴェルディの没後100周年となる命日にベルリンで行われたライヴ録音で、アバドとしても三回目の録音となりました。ベルリン・フィルの洗練された音が印象的で、合唱もスウェーデン放送合唱団、エリック・エリクソン室内合唱団、オルフェオン・ドノスティアラの混合チームですが、弱音のコーラスが極めて美しいです。それは英国や北欧の教会音楽を聴くような荘厳さを感じます。反面イタリア的な陽光の空気感からは離れています。しかし「怒りの日」の威力と迫力は相当なもので、アバドのスカラ座盤をむしろ凌ぐ感が有ります。独唱はゲオルギュー、アラーニャ、バルチェッローナ、コンスタンティノフと揃いましたが、個人的には余り魅力を感じません。ライヴながら録音も含めて全体の完成度は非常に高いですが、感動の度合いとしてはスカラ座盤の方に軍配を上げたいです。

51yz3bpgspl__sl500_aa300_リッカルド・ムーティ指揮シカゴ響/合唱団(2009年録音/CSO盤) ほぼ最新盤と言って良いムーティの3回目の録音はシカゴ響と演奏されました。合唱はシカゴ響のものですが、スカラ座の合唱団ほどの力強さは無いものの、透明感があり美しいです。オーケストラの音の美しさと相まって、オペラティックな旧盤よりも、ずっと宗教曲的な静けさを感じさせる部分が多々あります。それも優秀で分離の良い最新録音なので、「怒りの日」などは非常に充実した聴きごたえを感じさせます。独唱陣は余り各人の個性を感じさせず、管弦楽とコーラスに良く混じり合ったトータル・ハーモニーとして聴かせるコンセプトのように受け止められます。旧盤のイタリア・オペラ的な味わいも良いですが、ずっとユニヴァーサル的で純音楽的な美演の新盤も中々に良いと思います。

これ以外だと、宇野功芳先生がご推薦されていたショルティ/ウイーンPO盤は確かに美演ですし、ショルティの力みも普段ほどは感じさせないのですが、どうも音だけがクールに鳴り響いている感じがして余り感動はしませんでした。

ということで、個人的には未だにトスカニーニのRCA盤、サバタ盤に強く惹かれますが、カラヤン/スカラ座のモスクワ・ライブもそれに追従します。演奏、録音のトータルで優れたものとしてはアバド/スカラ座盤を挙げておきたいと思います。

<補足>トスカニーニのBBC響盤、ミラノスカラ座盤、サバタ盤、カンテッリ盤、セラフィン盤、ジュリーニ盤、カラヤンの二種、メータ盤、アバドのベルリン・フィル盤を後から追記しました。合わせて各盤についての感想も幾らか補筆しました。(補筆日:2024年1月22日)

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