シューベルト(声楽曲)

2019年4月12日 (金)

シューベルト 歌曲集「白鳥の歌」 名盤 ~いっそセレナーデ~

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シューベルトの三大歌曲集の一つ『白鳥の歌』(Schwanengesang)は、シューベルト本人が編集した『美しき水車小屋の娘』や『冬の旅』とは異なり、彼の死の翌年に出版社のハスリンガーによりまとめられた遺作作品集で、レルシュタープ、ハイネ、ザイドルの3人の詩人による14の歌曲からなります。

元々シューベルトは、レルシュタープとハイネによる歌曲集をそれぞれ出そうと考えていましたが、未完成に終わったために、やむなく彼の遺稿集としてザイドルの詩による歌曲「鳩の便り」が加えられ、『白鳥の歌』と表題が付けられて出版されました。当然、全体としてのストーリーやテーマは有りません。

ちなみに新シューベルト全集では『レルシュタープとハイネの詩による13の歌曲』と『鳩の使い』(ザイドル詞)とに分けられていて、この『白鳥の歌』という歌曲集は存在していません。

また、ベーレンライター版では同じレルシュタープの詩で歌曲集には含まれなかった「秋」を補遺として挙げています。

それはさておき「白鳥の歌」14曲の内訳はこのようになっています。

「ルートヴィヒ・レルシュタープの詩による7曲の歌曲」
レルシュタープは詩集を最初ベートーヴェンに送り、歌曲の作曲を依頼しましたが、ベートーヴェンの健康状態が芳しくなかったために実現せず、詩集はシューベルトのもとに渡りました。その辺りのいきさつは定かではありませんが、ともかく完成した7曲と未完成の1曲 が残されました。

「ハインリヒ・ハイネの詩による6曲の歌曲」
どれもハイネの『歌の本』の中の「帰郷」から選び出された詩による6曲の歌曲で、シューベルトは生前これを完成させて出版社に手紙も出していました。

ヨハン・ガブリエル・ザイドルの詩による『鳩の便り』
ザイドルはシューベルトの仲間の一人で、『さすらい人が月に寄せて』など幾つかの詩が使われはしましたが、余り多く取り上げられはしませんでした。それでもこの作品はシューベルトの絶筆となりました。

<曲目について>

レルシュタープの詩による歌曲

第1曲「愛の使い」
 旅する若者が、故郷の恋人を想う愛の歌。

第2曲「兵士の予感」
 戦場の兵士が、故郷の恋人を想う歌。

第3曲「春の憧れ」
 心を騒がす春への憧れを歌った歌。

第4曲「セレナーデ
 恋人への思いをマンドリンを模した伴奏で切々と歌う歌。

第5曲「住処」
 河、森、野こそが私の居場所である、というさすらい人の孤独な心情を歌う曲。

第6曲「遠国にて/はるかな土地で/遠い地にて」
 故郷も家族も捨てて世俗から逃れようとする男の歌。

第7曲「別れ」
 故郷に別れ新しい土地に赴く主人公を乗せた馬車の歌。

(※補足)レルシュタープの詩による歌曲の順序は原詩の通りに並んでいます。

ハイネの詩による歌曲

第8曲「アトラス」
 世界の苦悩を負ったアトラスが「驕れる心よ、おまえが限りなく幸福になるか、もしくは限りなく不幸になるかを望んだために、俺は今不幸なのだ」と悲劇的に歌う。

第9曲「君の肖像/彼女の肖像」
 失恋した男が恋人の肖像を見つめ過去を思い返すが、ふと現実に戻る様子が歌われる。

第10曲「漁師の娘」
 海辺で戯れる若い男女の歌。

第11曲「街」
 街の情景を表し、重苦しく孤独を歌う歌。

第12曲「海辺にて」
 抒情とレチタティーヴォが融合された歌。

第13曲「影法師(ドッペルゲンガー)」
 恋に破れた者が、自分の慟哭を映し出す影法師(ドッペルゲンガー)を、失恋した場所で見つける、という極度の緊張感を持つ劇的な歌。

ザイドルの詩による歌曲

第14曲「鳩の便り」
 レルシュタープとハイネによる曲たちと雰囲気が大きく異なるが、この軽妙な歌曲はどこかモーツァルトが死の前にあっても軽妙で楽しい曲を書いていたことを思い出させる。

愛聴盤CDについて

さて『白鳥の歌』という歌曲集の位置づけは色々と議論されるでしょうが、シューベルトがいよいよ死の淵に近づいてから書かれた作品ばかりですので、それぞれの曲の凄さで言えば、あの「冬の旅」をも凌駕していると思います。演奏者によっては時に「秋」を追加して歌うことが見受けられますが、その解釈の是非はともかくとして、やはり昔から慣れ親しんだ14曲の形で聴きたいとは思います。

しかし編集された経緯からも、この歌曲集を一人の歌い手が万全に歌い切るのは中々に困難です。抒情的な要素の強いレルシュタープ曲はテノールで聴くのを好みますし、「セレナーデ」などは特にそのように思います。ところがハイネの曲集では音楽が非常に重く深刻なので低声で聴きたいと思います。ただし声質や歌い方も有りますので、必ずしもどちらでなければということでもありません。ということで、いっそセレナーデ以外の曲はお気に入りの歌手で聴けば良いではないかという気すらしてきます。

とにかく愛聴盤を順にご紹介します。まずバリトンからです。

81d2gklfsal__sx569_ ハンス・ホッター(Br)、ジェラルド・ムーア(Pf)(1954年録音/EMI盤) モノラル録音ですが音質は良好で聴き易いです。本領を発揮しているのはやはりハイネ歌曲で、ことさら劇的に歌うわけでは無いのに、その深々とした声には思わず引き込まれます。何となく「指輪」のヴォータンを想わせるのも面白いです。レルシュタープ曲や「鳩の便り」などでも、淡々とした自然体の歌に独特の魅力を滲ませます。

41xsdgw7ckl ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、ジェラルド・ムーア(Pf)(1962年録音/EMI盤) 声に若々しさが有るのと後年の演出臭さが感じられないストレートな歌い方に好感が持てます。もちろん歌唱の上手さについては既に完璧ですし、人によってはこちらを好む方も多いのではないでしょうか。但しEMIの録音に鮮度が不足するのがかなりマイナスです。

51tinrajxl ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、ジェラルド・ムーア(Pf)(1972年録音/グラモフォン盤) 「冬の旅」と違い録音回数は限られますが、この人の全盛期の「白鳥の歌」の録音です。例によって表現の彫りの深さは尋常でありませんが、EMI盤と比べるともってまわった演出臭さが幾らか気になります。しかし声もピアノも録音が優れていますので、EMI盤に心惹かれるものの、やはりこちらを代表盤にするべきかと思います。

51onmmcopml ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、アルフレッド・ブレンデル(Pf)(1982年録音/フィリップス盤) グラモフォン盤から僅か10年後の録音ですが、声の輝きがが驚くほど失われています。それと同時にもってまわった歌い方が陰を潜めました。一般的には評価の低い録音のように思いますが、個人的には結構好んでいます。ブレンデルのピアノも大変美しく透徹感がとても感じられて惹きつけられます。

41etmcv2x3l クリスティアン・ゲルハーエル(Br)、ジェラルド・フーバー(Pf)(1999年録音/Arte Nova盤) ゲルハーエルは特に深い声を持つわけでも無く、精緻極まりない解釈を聴かせるわけでもありません。歌い方も中庸で強い個性を持ちませんが、非常に多くのものを要求されるこの歌曲集で、それらの要素を過不足なく手堅くこなしているように感じます。これはこれで中々に立派なことです。決して廉価盤などと侮れません。

81dn9alvoxl__ss500_ マティアス・ゲルネ(Br)、アルフレッド・ブレンデル(Pf)(2003年録音/DECCA盤) これもロンドンにある室内楽の殿堂ウィグモア・ホールでのライヴ録音です。ゲルネの声はとても深く、演出臭さの無い歌いっぷりが現代のハンス・ホッターという趣です。レルシュタープ曲で全体的に重苦しく成り過ぎに感じられますが、ハイネ曲に入ると感銘度合いは圧倒的となります。「ドッペルゲンガー」の凄いこと!ブレンデルのピアノもやはり素晴らしいです。なお、やはり晩年のレルシュタープ詩による「秋」が間に差し挟まれているのと、「鳩の便り」がアンコールとして歌われるのはライヴならではユニークです。

続いてはテノールです。

61aybneurdl エルンスト・ヘフリガー(T)、イェルク・エーヴァルト・デーラー(Hf)(1985年録音/クラーヴェス盤) ヘフリガーの美声が三大歌曲集で最も適するのは「水車小屋」で、続いては「冬の旅」「白鳥」という気がします。シューベルトが死の淵に立った怖さがこの「白鳥の歌」という作品ではやや物足りないように思えてしまいます。声そのものに凄みが足りないのが一番の理由なのでしょう。

51mcs1xtl ペーター・シュライヤー(T)、アンドラーシュ・シフ(Pf)(1989年録音/DECCA盤) 若い時のシュライヤーとはうって変わって、劇的で濃厚な表情付けの歌い方をしていますが、それがこの歌曲集にはピッタリで非常に深い感銘を受けます。「セレナード」など抒情的な曲での美しさは絶品ですが、反面「アトラス」や「ドッペルゲンガー」でのドスが効いた声が凄いです。シフのピアノの素晴らしさも特筆に値します。「秋」も挟み込まれ、「鳩の便り」以外にもザイドルの詩の曲が3曲も収められています。これは掛け値なしの名盤です。

51kwltmd0gl ペーター・シュライヤー(T)、アンドラーシュ・シフ(Pf)(1991年録音/ウィグモア・ホール盤) ロンドンにある室内楽の殿堂ウィグモア・ホールでのライヴ録音です。2年前のDECCA盤も大変に濃厚な歌いっぷりでしたが、それがライヴでは更に倍増されていて言葉にならないほどです。表現が余りに大げさだと抵抗を感じる方も居るかもしれませんが、これは絶対に聴いておくべき壮絶な演奏です。ただし「鳩の便り」が歌われていないので、残念ながら「白鳥の歌」のファーストチョイスには成り得ません。

51kubm7xell ヴェルナー・ギューラ(T)、クリストフ・ベルナー(Hf)(2006年録音/ハルモニアムンディ盤)  ギューラも美声ですが、声質が太くも細くもなく、知と情どちらにかに偏ることなく、演出臭さを感じることなく自然な歌い方が大好きです。「アトラス」や「ドッペルゲンガー」では骨太さに欠ける感が無きにしもあらずですが、抒情的な「セレナーデ」や「鳩の便り」の美しさは正に絶品です。特に後者では、もう直ぐこの世を去らなければならないシューベルトの心の寂しさが溢れ出てくるようでちょっと言葉にならないほどの感動です。

71jvwbzbfel__sx569_ イアン・ボストリッジ(T)、アントニオ・パッパーノ(Pf)(2008年録音/EMI盤) ボストリッジの声は非常に細身なので、この歌曲集を透明感のある美しさで弱音に重きを置いて歌い上げています。通常声の太さが要求される「アトラス」や「ドッペルゲンガー」でも同様です。ですので、まるで「水車小屋」を聴いているかのような錯覚を起こしそうです。大変ユニークですが、演出臭さの無い真摯さに好感が持てます。共演のパッパーノは指揮者ですが、ピアノもとても上手く、オーケストラのように豊かな響きでボストリッジの細身の歌唱を見事に支えていて素晴らしいです。

さて、この中でマイ・フェイヴァリットを上げるとすれば、断然シュライヤー/シフのDECCA盤です。次点としてはギューラ/ベルナー盤を上げたいと思います。番外として外すことが出来ないのはシュライヤーのウィグモア・ホールのライヴ盤です。

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2019年3月18日 (月)

シューベルト 歌曲集「美しき水車小屋の娘」 名盤 ~さすらい人の子守歌~

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歌曲集「冬の旅」で絶望と孤独感に満ちた若者の心象風景を描いたシューベルトですが、その4年前に書き上げた歌曲集「美しき水車小屋の娘」では希望に胸を膨らませて、さすらいの修行の旅に出る若い粉ひき職人が主人公でした。

若者はさすらいの旅が楽しくて仕方が無く、見るもの聞くものに新鮮な驚きと喜びを感じます。やがて立ち寄った水車小屋で美しい娘と出会い、甘い憧れの恋に落ちます。ところがやがて狩人が現われて彼女を奪われてしまいます。打ちひしがれた若者は小川に苦しい心のうちを語りかけますが、ついには川の水に誘われるように身を投げてしまいます。小川は若者を水で包み込み、せせらぎをまるで子守歌のように優しく聞かせます。

この歌曲集は全部で20曲から成りますが、どの曲をとっても抒情的で美しい名曲ばかりです。とりわけ第8曲から第10曲ではシューベルト歌曲の魅力が極まった傑作が連続していて息つく間もありません。そこから若者が娘を奪われてしまう恐れ、苦しみを経て最後の小川の慰めに至るまでの展開と音楽は何物にも代え難いです。

この歌曲集も元々テノール歌手に献呈されましたし、そもそも主人公は若き旅人ですので、テノールで歌われるのがイメージ的にベストです。バリトンで歌われると、どうも娘に恋して憧れる青年には聞こえにくい気がします。あのFディースカウも「冬の旅」と違って「水車小屋」を晩年までレパートリーとすることは有りませんでした。この作品はテノールが歌うのが本来の姿だと考えていたようです。

ということでテノール歌手はこの作品をこぞって歌っていますし、所有CDも自然と多くなりますので、ここはズバリ本命のテノールからご紹介したいと思います。

Schubert_mullerin51jde2pgcwl アントン・デルモータ(T)、ヒルダ・デルモータ(Pf)(1953年録音/DECCA盤) ウイーンのオペラ界で活躍した往年の名テノール歌手デルモータの録音です。それにしても、まあ何というおおらかな気分にさせてくれる歌唱なのでしょう!現代の緻密で彫琢の限りを尽くしたようなスタイルとはまるで世界が異なります。やはり時代の違いなのでしょうね。もっともそれは楽器の世界でも同じです。こういう人間の柔らかな肌の温もりを感じる演奏というのはやはり捨てがたいです。時々思い出しては聴きたくなります。ピアノを弾くヒルダは奥様です。

Schubert_mullerin230073054 フリッツ・ヴンダーリッヒ(T)、フーベルト・ギーゼン(Pf)(1966年録音/グラモフォン盤) 不世出のドイツリート歌手ヴンダーリッヒの代表盤です。とにかく声の美しさ、歌のきめ細かさ、力強さ、情感、どれをとっても最高ですし、その大きく伸びやかな歌い回しはドイツリートの”ベルカント”とでも称したくなります。後にも先にもこんな歌を聞かせるリート歌手は居ません。ここでは”さすらう若者”に成り切った歌を聞かせてくれます。これこそは本当の”不滅の名盤”です。ところがこの人は若くして不慮の事故で命を落としてしまいます。なにもそこまで成り切らなくても良かったのですが。

Schubert_mullerin_haefli エルンスト・ヘフリガー(T)、エリック・ウェルバ(Pf)(1967年録音/SONY盤) ヘフリガーも美声で日本でとても人気が有りました。この壮年期の録音は、とても端正で清潔感に溢れる歌唱を聞かせます。さすがは名エヴァンゲリストとしての面目躍如というところでしょうか。しかし個人的には少々真面目過ぎる印象を感じてしまします。主人公の若者に成りきるというよりは、客観的に物語を語っているかのようです。ストレートな歌い方とのギャップが有るように思います。テンポに関してはこの時代にしては随分と速めで軽快です。

Schubert_mullerinzap2_g2778616w エルンスト・ヘフリガー(T)、イェルク・エーヴァルト・デーラー(Hf)(1982年録音/クラーヴェス盤) ヘフリガーが既に60歳となった時の録音ですが、驚くことに声の美しさや若々しさが全く失われておらず、むしろ声には艶やかさが増しているほどです。歌い方も主人公の若者に成り切ったような主体的な印象が強くなりました。これは旧盤との大きな違いです。やはりこの方が聴き手の心に直接届くような気がしてなりません。それでも古楽器の伴奏ということもあり、全体的にはとても古典的なスタイルを感じます。

Schubert_mullerin51vs3dco8el_sy355_ ペーター・シュライヤー(T)、ワルター・オルベルツ(Pf)(1971年録音/Berlin Classics盤) シュライヤーの若い時代の録音で、ゆったりとしたテンポで過度な表情付けは全く見られず、とてもシンプルで美しく歌い上げています。声質も若々しい主人公に近い印象ですが、この人は声が賢過ぎて、どうも常に知性が勝っているようなイメージが有ります。作品によっては足を引っ張るように思います。この作品でも、とても失恋でこの世を捨てるような青い若者には聞こえないのですが、皆さんは如何でしょう?

Schubert_mullerina1fxqwv4mcl_sl1416 ペーター・シュライヤー(T)、アンドラ―シュ・シフ(Pf)(1989年録音/DECCA盤) シュライヤー壮年期の録音では表現主義的な歌唱となり、そのオーバーな表情付けが余り好みではありません。演出臭さというまでは感じませんが、何かリートというよりもオペラを聴いているような印象です。声の質がインテリ臭いのもこの歌曲集にはマイナスです。個人的にはタミーノ王子とかの役では大好きなのですが。但しシフのピアノは全体的に素晴らしく、特に終曲は白眉です。小川の水が若者を包み込み静寂に流れゆく様をこれほど美しく弾いた人を知りません。この曲ではシュライヤーも最高です。

Schubert_mullerin910 クリストフ・プレガルディエン(T)、アンドレアス・シュタイアー(Hf)(1991年録音/ハルモニアムンディ盤) プレガルディエンは宗教曲で鍛えられた真摯さ、敬虔さが滲み出る歌唱が素晴らしいです。作りものめいた表情は一切なく、しかし無表情ということでは無く、ここぞという部分ではかなり大胆に攻めています。インテリ臭く感じることもなく、さすらいの修行にひたむきな若者そのものを感じられるの声の質がとても好ましいです。シュタイアーのピアノも素晴らしく、時にギターを思わせるようなアルペジオを奏でていてユニークです。

Schubert_mullerin41sgkhppmel ヴェルナー・ギューラ(T)、ジャン・シュルツ(Pf)(1999年録音/ハルモニアムンディ盤) これもまた素晴らしいシューベルトです。声質で言えばヴンダーリッヒの次に好みます。歌い回しも非常にセンスが良く、わざとらしさやインテリ臭さ、また神経質な感じも皆無で、粉屋の修行にひたむきな若者のイメージにピッタリです。シュルツのピアノも特筆もので、これだけ上手く音楽的な伴奏ピアノは中々聴いたことが無いかもしれません。

Schubert_mullerin51vcvomoygl_sx355_ イアン・ボストリッジ(T)、内田光子(Pf)(2003年録音/EMI盤) 二人の細かい表情の変化が驚くほどですが、余り演出臭さは感じません。どれだけ入念な準備をしたのでしょうか。内田光子のピアノも立派で聴き応えが有ります。ボストリッジの声質は澄んでいてとても綺麗ですが、人物のキャラクターがひ弱そうに感じられます(声そのものではなく、あくまでイメージがです)。第1曲目から、この若者に果たして修行の旅が務まるのだろうかと思えてしまいます。もっとも狩人に恋人を奪われて、傷心して川に身を投げてしまうあたりは、むしろ『らしい』のかもしれません。

ここからはバリトンですが、どうしても保有ディスクの数は少なくなります。

Schubert_mullerin1e8hdd092l ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、ジェラルド・ムーア(Pf)(1961年録音/EMI盤) Fディースカウはこの作品の録音を4回行いましたが、代表盤としては後述のDG盤かこのEMI盤になります。声の若々しさは理想的ですが、元々バリトンで声に風格が有り過ぎるのと、第15曲「嫉妬と誇り」など速い曲での発声が余りに歯切れが良すぎて可笑しくなるほどです。ゆったりとした曲での情感は見事ですが、既に演出臭さがかなり感じられるのが好みでは有りません。ムーアのピアノの録音が不明瞭なのもマイナスです。

Schubert_mullerinzap2_g6403339w ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、ジェラルド・ムーア(Pf)(1971年録音/グラモフォン盤) 世評に高い録音で、Fディースカウのというよりも「水車小屋」のベストに選ぶ方も多いです。確かに全盛期のディースカウの歌唱は驚くほどの上手さで、どんなに些細な部分でも意味のない歌われ方は有りません。ムーアのピアノも正に同様のことが言えて最高の歌曲伴奏ですので、両者はある意味で究極の演奏です。しかし好みというのは難しいもので、「ディースカウは余りに上手過ぎるのが鼻につく」と感じられる天邪鬼?も世にはおられるでしょう。何を隠そう、自分もその一人ではあります。演出臭さも拭い去ることは出来ませんが、それは聴き返すうちに抵抗感が減りはします。

4127pzs4xglクリスティアン・ゲルハーエル(Br)、ジェラルド・フーバー(Pf)(2003年録音/Arte Nova盤) 正統的なドイツリート歌唱として安心して鑑賞することが出来ます。ピアノも手堅いです。録音も良いので、廉価で1枚購入したいと思う方にはお薦め出来ます。但し数ある名盤の中でこれを真っ先にお薦めしようとまでは思いません。声も立派ですし、欠点のない演奏ではありますが、閃くような感動を与えてくれることは少なくとも自分に対しては有りません。

Schubert_mullerine40884e841ce07dddb マティアス・ゲルネ(Br)、クリストフ・エッシェンバッハ(Pf)(2008年録音/ハルモニアムンディ盤) バリトンの中ではFディースカウの1971年盤と並んで愛聴しています。演出臭さを全く感じさせない、しっとりとした歌い方と声そのものの質ではゲルネの方をずっと好みます。しかもエッシェンバッハのピアノの見事さにはとことん魅了されます。歌曲の伴奏としてはムーアが完璧だと思いますが、ピアニストとしての表現力と風格ではエッシェンバッハに軍配が上がると思います。

以上、マイ・フェイヴァリットは何を置いてもヴンダーリッヒ盤です。次点としてはギューラ盤を上げたいです。
バリトンでもFディースカウの1971年盤とゲルネ盤は上げておきたいと思います。

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2019年2月26日 (火)

シューベルト 歌曲集「冬の旅」 名盤 ~死に向かう旅~

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歌曲王シューベルトの三大歌曲集と言えば、いわずとしれた『冬の旅』、『美しき水車小屋の娘』、『白鳥の歌』ですが、その中でも『冬の旅』は特に人気が高いですね。レコーディングも昔から数多く行われてきました。

これより4年前に作曲された『美しき水車小屋の娘』と同じ、ドイツの詩人ヴィルヘルム・ミュラーの詩集によりますが、『水車小屋』が若者の希望に満ちた旅立ちから始まり、甘い恋と失恋を経て、最後の自殺までを描いた作品だったの対し、『冬の旅』では最初から失恋した若者が登場します。彼は追い払われるように街を出て、さすらいの旅を続け、そして慰めとしての「死」を求めゆくという、はなはだ絶望的な作品です。

この当時、シューベルト自身も梅毒に感染してからは健康が回復する見込みもなく、次第に死について考えるようになっていたのは間違いありません。

『冬の旅』は全部で24曲から成りますが、初めに作曲されたのは前半の12曲です。というのはミュラーの詩集が初め出版されたのもその前半分だけだったからです。完成後にシューベルトは友人たちの前でこの12曲を自分で歌いましたが、その音楽の暗さに皆が驚いたそうです。

シューベルトはその後、詩集の続編の存在を知り、後半の12曲を完成させました。但し彼の生前に出版された楽譜は前半のみです。

全24曲では非常に長い作品にもかかわらず、暗い曲調が連続するために、聴いていて楽しくなることはありません。人によっては聴くのが最も苦痛な作品かもしれません。にもかかわらず、この作品には悪魔に(死神に?)引き寄せられるがごとき強烈な魔力(魅力?)が有ります。

この作品が聴き手にとってどのような位置を占めるかは聴き手自身に委ねられますが、これだけ広く愛聴されている事実は、やはり誰しもが決して逃げることのできない「死」という大きなテーマに向き合っているからかもしれません。

全体を覆う暗闇の中にも、うっすらと光が見える「菩提樹」「春の夢」「郵便馬車」など数曲にはとても心が癒され、それが束の間の夢のような幸せに感じられます。

『冬の旅』には多くのCDが出ていますが、「決定盤」や「お奨め盤」などは余り意味が有るとは思えません。声楽は器楽と違い「声」そのものを好きかどうかが大きな決め手となるからです。

この曲集をシューベルトは最初にテノール用に書いていますが、それが自分の声に合わせて書いたのかどうかは知りません。しかし「主人公の若者」はシューベルト自身の投影でもあるので、若者らしい声で歌われるのは一つの理想です。確かに曲の暗さを表すにはバリトンの声質の方が向いていますが、反面バリトンではどうも若者っぽくなくなり、「さすらう中年」といった印象になることが多いです。ですので個人的にはこの曲集はテノールで聴くのを好みます。もちろん実際は、語りかけるように歌うのか、劇的に歌い上げるのか、流麗に歌うのか、様々な歌い方が有って、それを自分の耳や心がどう受け止めるかで印象は大幅に変わります。必ずしもテノールなら良いということではありません。

の所有CD盤をご紹介はしますが、余り当てになさらず、興味ある演奏を実際にお聴きになってご評価されてください。

では本命のテノールは後にして、まずはバリトン盤からご紹介します。しかしFディースカウは質量ともに圧倒的です。

Schubert51zaojdudkl_sy355_ ゲルハルト・ヒッシュ(Br)、ハンス・ウド・ミュラー(Pf)(1933年録音/EMI盤) もちろん第二次世界大戦前の録音ですので、音の擦り上げなどが目立つ古めかしい歌唱に聞こえます。けれども何と人間的で温かな味わいに溢れているのでしょう。この時代の演奏は器楽奏者も楽団も皆共通していますね。ここでは主人公と同化して悶え苦しむというよりも、若者を慈愛の心で見守っているような優しさを感じてしまいます。録音は古いですが、それが逆に郷愁を誘います。

Schubert81bkj9dfhtl_sy355_ ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、ジェラルド・ムーア(Pf)(1962年録音/EMI盤) Fディースカウはこの曲集を何度も何度も録音しましたが、最初のステレオ録音であり、Fディースカウとしても完成の域に達した歌唱だと思います。それまでの情緒綿々と歌われる声楽界のスタイルから遥かにスタイリッシュで細部まで完璧にコントロールされた歌唱を成し遂げました。同じムーアとの後年の録音と比べても遜色は有りませんが、EMI録音の音の鮮度が余り良いとは言えません。

Schubert61whbvol9ol ハンス・ホッタ―(Br)、ハンス・ドコウピル(Pf)(1969年録音/ソニー盤) ホッタ―にはモノラルとステレオによるスタジオ録音盤が有りますが、これは60歳の時の東京文化会館でのライヴ盤です。深い情感の表現は圧倒的で、その歌にはただならぬものを感じさせます。ただ元々深い声質が若者のイメージでは無く、どうしても「年老いた旅人」に聞こえてしまいます。従ってこのディスクをファーストチョイスに選ぶことは有りませんが、偉大な歌手の記録として是非とも聴いて貰いたいです。

Schubert61joyjyqiml_sy355_  ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、ジェラルド・ムーア(Pf)(1972年録音/グラモフォン盤) Fディースカウの数多くの「冬の旅」の中でも頂点に立つディスクだと思います。どんなに細かい音符にも意思が行き渡り、完ぺきな声のコントロールで歌われているからです。反面、この人特有の演出臭さが感じられたり、余りの上手さが鼻に付く方も少なくないでしょう。ムーアは伴奏ピアニストとして最高で、驚くほど表現力豊かに歌にピタリと寄り添っています。両者の完成度はちょっと比類が無いと思います。 

Schubert61yn6xofgll_sy355_ ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、ダニエル・バレンボイム(Pf)(1979年録音/グラモフォン盤) ムーアとの盤に並ぶFディースカウの頂点に立つディスクだと思います。この盤の決め手はやはり共演のバレンボイムです。ムーアとは違い独奏家のピアノですが、何も自分勝手な演奏をしているわけでは無く、様々な部分で「冬の旅」のドラマを雄弁に語ります。

Schubert41kvn0t7cbl_sl500_ ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、アルフレッド・ブレンデル(Pf)(1985年録音/フィリップス盤) Fディースカウの声が絶頂期を過ぎてからの録音は総じて彼のファンには余り評価されないように感じます。けれども自分のようにこの人の歌唱の上手さが必ずしも好きに感じられない人間にとってはむしろこの録音が向いていると思います。ブレンデルの結晶化したようなピアノも素晴らしいですし録音の良さがそれを万全に捉えています。 

Schubert51flnlzqttl_sy355_ ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、マレイ・ペライア(Pf)(1990年録音/ソニー盤) Fディースカウが最後に残した録音ですが世評は最悪です。確かに全盛期の声の輝かしさは見る影も有りません。では何故そんな録音を行ったのかということですが、それまでと大きく変わっている点は弱音でのつぶやくような歌い方です。それはまるで主人公に成り切って絶望や孤独を声にならない声で吐露しているみたいです。そう思うとこの録音にはある種の共感を覚えてしまいます。ただこの人の代表盤とするには無理が有ります。

Schubert12zfmrdajl クリスティアン・ゲルハーエル(Br)、ジェラルド・フーバー(Pf)(2001年録音/ArteNova盤) 廉価盤ですがゲルハーエルの三大歌曲集はどれも侮れない良さが有ります。バリトンとして声の良さを感じますし、過度にならない自然な歌いまわしには共感が持てます。過去の多くの名盤を凌駕するまでには思いませんが、さしあたり三大歌曲集を聴いてみたいという方には安心してお勧め出来ます。

Schubert315ktwx79flティアス・ゲルネ(Br)、アルフレッド・ブレンデル(Pf)(2003年録音/DECCA盤) ゲルネとしてもブレンデルとしても二度目の「冬の旅」の録音ですが、これはロンドンの室内楽の殿堂ウィグモアホールでのライヴです。録音が柔らかいので、演奏がやや平たく聞こえますが、両者とも力みなく、しっとりとしたシューベルトの抒情を表現しています。ゲルネの声質が深いので若者の印象は受けませんが、分析でなくストレートな歌唱には曲を追うごとにぐいぐいと引き込まれてゆきます。

ここからは本命のテノール盤です。

Schubert51s4tl5jdl_sx355_ エルンスト・ヘフリガー(T)、イェルク・エーヴァルト・デーラー(Hf)(1980年録音/クラーヴェス盤) 晩年の録音ですのでロングブレスで息が続かない箇所が幾らか見受けられます。しかし声質は非常に美しく若々しいのでまるで若者が歌っているように感じます。その表情は適度な豊かさを持ちますが、伴奏に古楽器のハンマーフリューゲルが使われ、速めでキビキビと演奏されているのでロマン派の濃密さを回避した古典的な印象を受けます。

Schubert41x5a5kncdl_sy355_ ペーター・シュライヤー(T)、スヴャトスラフ・リヒテル(Pf)(1985年録音/フィリップス盤) ゼンパーオパーにおけるリヒテルとの共演ライヴ録音です。リヒテルはさすがに大ピアニストで、ことさらに力まなくても存在感が抜群です。得意のシューベルトの独奏を聴いているような深さと充実感を感じます。力が入っているのはシュライヤーで、やや力こぶの入り過ぎな歌唱に聞こえますが、元々尋常な歌曲集では無いですし、ライヴであればこれぐらい思い入れの入った歌唱が楽しめると言えなくもありません。演奏記録としても充分過ぎる価値が有ります。

Schubert41rkkoesuil ペーター・シュライヤー(T)、アンドラ―シュ・シフ(Pf)(1991年録音/DECCA盤) シュライヤーのこちらはセッション録音なので当然完成度は高いです。その反面リヒテルとのライヴ盤のようなスリリングさは無くなります。ピアノがシフであることもその理由でしょう。どちらも好きですが、リヒテル盤の後に聴くと物足りなさを感じられるかもしれません。しかしテノールの「冬の旅」としては極めて優秀な演奏だとは思います。

Schubert516t9j56dfl_sy355_ クリストフ・プレガルディエン(T)、アンドレス・シュタイアー(FPf)(1996年録音/TELDEC盤) 落ち着いた声で低域も深いテナー、プレガルディエンも大好きです。古楽器のフィルテピアノを弾くシュタイヤーの演奏も素朴でよくマッチしていると思います。過度にドラマティック、ロマンティックにならないスタイルにむしろ新しさを感じます。古典的なシューベルトを感じさせる優れた演奏だと思います。

Schubert71jv1yvtgkl_sy355_ イアン・ボストリッジ(T)、レイフ・オヴェ・アンスネス(Pf)(2004年録音/EMI盤) イギリス出身ですがシューベルトやリートを得意とするボストリッジは、声の質が細身でどことなく弱そうな男の印象を与えるのが、この物語の主人公の若者にピッタリです。感情表現が豊かですが、それが自然なので作り物めいた演出臭さを感じることも有りません。長いこの曲集を少しも飽きずに自然に惹き込まれてしまいます。但しうるさい人には発音がいま一つドイツっぽく無いのがマイナスかも知れません。アンスネスのピアノも上手く美しいのですが、EMIの録音がやや焦点ボケした感じなのが勿体ないです。しかしトータルでは非常に良い演奏で大好きです。

3149020206607ェルナー・ギューラ(T)、クリストフ・ベルナー(FPf)(2009年録音/ハルモニアムンディ盤) ギューラの歌い方は比較的端正ですが、さりとて地味過ぎることは無く、はみ出さないレベルで表現豊かに歌います。いわゆる「演出臭さ」などは微塵も感じさせません。声の質が太過ぎず、細過ぎず、繊細でいてかつ力強さにも欠けていないのは素晴らしいです。

Schubert51vswt2c8l_sx355_ ヨナス・カウフマン(T)、ヘルムート・ドイチェ(Pf)(2013年録音/ソニー盤) オペラ界のスーパースター、カウフマンはリートにも取り組を見せていますが、オペラほどの世評の高さは得られていないようです。確かに余りにオーバーでオペラティックな歌い方が根っからのリートファンには余り受けが良くないのかもしれません。かくいう自分も例外ではなく、この歌唱はどうも好みません。これはあくまでもカウフマンのファンのためのディスクだと思います。

ということで、本命のテノールからは、最も主人公のイメージに近いボストリッジ/アンスネス盤をマイ・フェイヴァリットに上げます。対抗としては対照的に劇的なシュライヤー/リヒテル盤です。

バリトンではやはりFディースカウですが、個人的好みでブレンデルとの盤、完成度でムーアとの盤(グラモフォン)、バレンボイムとの盤、この三つを上げます。もう一つ加えるとすればゲルネ/ブレンデル盤でしょうか。

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2017年1月12日 (木)

シューベルト歌曲集「冬の旅」 ユリアン・プレガルディエン(T)と鈴木優人(Pf)のコンサート

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今日は寒い冬の夜、四谷の紀尾井ホールまで旅してシューベルトの歌曲集「冬の旅」を聴いて来ました。ユリアン・プレガルディエンのテノールと鈴木優人のフォルテピアノです。二人ともその道で有名な父親を持ちますので優秀な二世同士ということですね。

このコンサートを聴いてみたくなったのは「冬の旅」の原譜のテノールで歌われること(最近は家でもテノールで聴くのが好き)。二人とも30歳そこそこの同世代であり、シューベルトが「冬の旅」を作曲した年齢に近いこと。演奏に使われるフォルテピアノの製造時期が「冬の旅」が書かれた頃であること。などなどです。

ユリアンの声は非常に美しく、父上のクリストフに良く似ていますね。黙って聞かされたら分からなそうです。歌唱については父上のリートの域に届くにはもう少し時間がかかるかな、という印象ですが、この若さでこれだけの表現力が有るのは凄く、今後増々期待が出来るのは間違い無しです。
優人さんのフォルテピアノの伴奏も美しく表現力豊かでとても良かったです。古い楽器ですが大変綺麗な音がしていました。
驚いたのは終曲の「辻音楽師」で、明らかに辻音楽師の持つ”ドレーライヤー”の調べを模写するような細く金属的な音色でした。どういう仕掛けであのような音に出来たのか気になりますが、素晴らしいアイディアでした。

ということでコンサートは良かったのですが、本厚木の我が家まで帰るには冬の旅をして2時間です。満員電車でコンサートの余韻も消え去り、何をしにしに行ったのかな、と。平日の夜の都心のコンサートには二度と行くまい!と毎回思うのですが、懲りずにまた行っている自分が居ます。

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