映画(音楽映画)

2011年6月19日 (日)

映画「マーラー 君に捧げるアダージョ」

Mv

公開前から観たかった映画「マーラー 君に捧げるアダージョ」をようやく観に行くことが出来ました。これはマーラー生誕150年・没後100年記念映画だそうです。

この映画はGWに公開されましたが、今月24日で終了ということなので、慌てて観に行ったのです。といっても上映館は渋谷のユーロスペースのみ。現在はモーニングシアター?ということで、上映は午前の1回だけです。

ユーロスペースは渋谷の東急文化村のわきを入ってすぐですが、回りにはラブホテルが何件か有るので、朝帰りの若いカップル達とすれ違います。彼らはホットなナイトを過ごした帰り。こちらは朝から暗~いマーラーの映画鑑賞。ホント「人生いろいろ」だぁ~(笑)

それにしても劇場は座席数90人ちょっとのミニシアターですが、今日の観客はどう見ても半分ぐらいでした。意外に年配者(自分も含めて)が多かったですが、あんまりマーラーの音楽とは結びつきそうにない風の人が多かったです。案外と映画って、そんなものですよね。

さて、映画はいきなり未完成交響曲の第10番のアダージョで始まります。というよりも、この曲が映画全体に流れ続けます。他には第5番のアダージェットも流れますが、それはごく一部。君に捧げるアダージョって、第10番のことみたいです。

話は、マーラーが19歳下のアルマを見染めて結婚したところから、一足飛びにアルマが建築家のグロピウスと不倫をするくだりに展開します。苦悩するマーラーが、精神科医のフロイトにカウンセリングを依頼して、アルマの不倫の原因を分析しようとします。それはマーラーがアルマを自分の音楽の協力者としてのみみていて、アルマの音楽活動を封印してしまったことと、女としての肉欲に満足を与えられなかったことが原因だったように描かれてゆきますが、最後にフロイトが何気なく語る「彼女はあなたの目を覚まさせたかったのかもしれませんね。」の一言が有るおかげで、二人が救われたような気になります。

というわけで、この映画はマーラーの伝記映画でも何でもなく、妻の不倫原因の分析映画です。マーラーの曲がアダージョ以外に色々と聴けるわけでも有りません。従って、マーラー・ファンがこの映画を見て大いに楽しめるとは思いません。それでも、当時ウイーンで活躍をしていたクリムトやツェムリンスキー、ブルーノ・ワルターらが次々に登場して楽しませてくれます。ウイーンの街や国立歌劇場、近郊の自然風景なんかも見ていて楽しいです。大満足にはほど遠いですが、退屈することは有りません。人間マーラーについて理解を深めるには、こういう映画も一見の価値は有るのではないでしょうか。

補足ですが、音楽はエサ・ペッカ・サロネン指揮スウェーデン放送響の演奏です。この人らしい、余りドロドロしないスッキリとした演奏でした。

<過去記事> 

交響曲第5番嬰ハ短調 名盤

交響曲第10番アダージョ 名盤

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2010年6月27日 (日)

映画「アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち」

Cafe_de_los_maestros_2 渋谷の東急文化村ル・シネマで映画「アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち」を観てきました。昨日は公開初日でしたので、僕が観た3時の回も上映40分前にはチケットは売り切れとなりました。この映画は予告編を見たときから観たいなぁ~と思っていたのです。1940年代から50年代にタンゴの母国アルゼンチンで黄金時代を築いた演奏家達は既に70歳から80歳代ですが、彼らの多くは現在でも現役で、正に人間国宝級です。そんな国宝マエストロが総勢22人、タンゴの聖地ブエノスアイレスのコロン劇場に一堂に会して一夜のコンサートを開いたのです。この映画の前半は、その時に行われたレコーディング風景、後半がコンサートのドキュメントです。ですがその中で、出演者の現在と昔の映像、あるいはブエノスアイレスの街やタンゴ・カフェの現在と昔の映像、はたまたサッカースタジアムの風景などがふんだんに盛り込まれていて、時代の変化を強く感じさせます。その映像の切り替えがまるで魔法のような素晴らしさなのです。そして、タンゴといえばあの情熱的なダンスですよね。音楽に合わせて、老いも若きも大勢の踊る姿が映し出されます。とりわけ美人が美しい足を見せて激しく情熱的に踊る姿には魅了されました。

僕はタンゴといってもせいぜいアストル・ピアソラぐらいしか聴いていませんでしたが、この黄金時代のマエストロ達の演奏を観て聴いて心底圧倒されました。バンドネオンというのは、アコーディオンに良く似たタンゴの中心的な楽器ですが、名人達の音の変化、表情の変化は正に千遍万化です。この楽器とヴァイオリンがタンゴ・オーケストラの主役ですが、それがピアノ、ベース、ギターと一体となった演奏の、それはまあ素晴らしいこと。タンゴの音楽の持つ「情熱」と「哀愁」を心の底から味合わせてくれます。歌手も何人か登場してきますが、これがまた人生の年輪をひしひしと感じさせられて実に素晴らしいのです。でも驚く事に、彼らの演奏に「老い」や「衰え」は全く感じられません。逆にルービンシュタインのピアノやミルシテインのヴァイオリンのように老いてますます魅力を放っているのです。

演奏家や歌手については、これまで全く知らなかったので、ここに詳しく書くことはできませんが、知識が無くても映画は充分に楽しめます。なぜならどんな音楽でも、本物の素晴らしさは耳にするだけで分かるからです。それはきっと音楽好きな方なら、誰でも同じだと思います。クラシック・ファンでもJAZZファンでも、ROCKファンでも楽しめると思います。マエストロたちは演奏の合い間に、昔の思い出話をたくさん語ってくれますが、それがまたとても味わい深いのです。

アルゼンチン・タンゴの映画ということで、昨日の観客はほとんどが60歳以上の方たちでした。若者の街渋谷のル・シネマにこんなに年配者ばかりが集まったことってあるのかなあ。この映画は若い人にも是非観てほしいと思います。

ちなみにこの時にレコーディングされた演奏が2枚組みのCDアルバム「CAFE DE LOS MAESTROS」として販売されています。なんでも2006年のラテン・グラミー賞の最優秀アルバムだそうです。さっそくオーダーしましたので、聴いた後の感想はいずれ記事にしたいと思います。

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2010年4月29日 (木)

映画「オーケストラ!」 ~チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲~

Orhestra

記事にするのが遅くなりましたが、日曜日に公開中の映画「オーケストラ!(原題:Le Concert)」を観てきました。以前、予告編を見てとても観たいと思ったからです。これは2009年製作のフランス映画ですが、本国では大ヒットとなった作品だそうです。

ソヴィエト共産主義時代にボリショイ交響楽団で主席を務めた天才指揮者が、共産党指導部のユダヤ人音楽家排斥に抵抗した為に、指揮者を解雇されて、劇場の清掃員に成り下がってしまいましたが、どうしても指揮への想いを断ち切ることが出来ずにいました。そんなある日、劇場の事務所に外国のオーケストラから出演依頼のFAXが届きましたが、それを隠して一人で勝手に出演を承諾してしまいます。ところが、いざコンサート会場のパリへ向かったのは、彼と昔一緒に仕事をして、今では落ちぶれてしまった同僚達でした。彼は何と寄せ集めのメンバーで、偽のオーケストラを編成したのです。そのメンバー集めからパリのコンサートへ向うまでを、面白おかしく話を進めますので、すっかりこの映画はコメディ映画なのかと思いきや、最後に感動的なドラマが待ち受けていました。これからご覧になる方の為に、そのストーリーは書きません。

この映画は色々な新聞や雑誌で紹介されたみたいで、映画館にはお客さんが随分入っていました。途中までのドタバタ調は個人的にはいまひとつ付いて行けませんでしたが、話の結末と、舞台で演奏されるチャイコフスキーのバイオリン協奏曲が非常に感動的でした。元々好きな曲なのですが、映画の中で大変効果的に使われているので、曲の良さを改めて思い知らされた気がします。参考までに、実際に素晴らしいバイオリンの演奏を行なっているのは、フランス国立管弦楽団の第一コンサートマスターである、サラ・ネムタヌさんという女流演奏家です。フランスの女流とは思えないような、ロシア風のたっぷりとした歌いまわしと激しい情熱のほとばしりが、従来の数多くの名演奏さえをも凌ぐ素晴らしさに感じてしまいました。彼女の演奏するこの曲のCDは現在まだ有りませんが、将来出した時には是非聴いてみたいですね。

なお、この曲の推薦CDについては下記の記事をご参照ください。僕の愛聴盤、名盤の数々をご紹介しています。

補足:その後、サラ・ネムタヌさんのCDがリリースされました。下記の記事をご参照ください。

<関連記事>
チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 名盤
チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 サラ・ネムタヌの新盤

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2010年1月17日 (日)

映画「シャネル&ストラヴィンスキー」

Cci00021 今日は公開初日の映画「シャネル&ストラヴィンスキー」を観てきました。上映は渋谷、新宿、銀座のみですが、僕が観たのはシネスイッチ銀座です。このブログを覗いてくれる方であれば、僕がこの映画を観たいと思った理由はお判りでしょう。そう、ストラヴィンスキーの映画だからです。バレエ音楽「春の祭典」のパリ初演がブーイングと怒号の嵐にさらされて大酷評に終わったことは知っていても、彼のプライヴェートの部分については余り語られないので知りませんでしたし、そのストラヴィンスキーを公私共に支援したのがココ・シャネルだったことも知りませんでした。

この映画は「春の祭典」初演のシーンに始まって、直後にシャネルがストラヴィンスキーに出会って彼を支援をする為に家族ごと彼女のパリ郊外の別荘に住まわせること、2人の肉体関係やそのことを知る彼の妻の心の苦しみ、シャネルが香水「シャネルNo.5」の開発に執念を燃やすこと、その後「春の祭典」の再上演にシャネルが尽力を尽くして大成功を収めること、そして2人が別れるまでの僅か1年程の間の話を描いています。監督のヤン・クーネンはこの映画にとって付けた様な話は一切交えずに、事実を忠実に淡々と描いています。ですので話の進行がとてもゆっくりしていて大人の映画に仕上がっています。(事実この映画はR-18指定でしたがいやらしさは全く有りません) 映像がとても美しく、当時のパリの香り(当然!)をいっぱいに漂わせています。配役もよく吟味されていて、シャネルもストラヴィンスキーも本人に似ていて違和感が有りませんし、「春の祭典」の初演指揮者ピエール・モントゥー役まで似ているのは可笑しかったです。

この映画は昨年のカンヌ映画祭でクロージング作品に選ばれて話題となったそうですが、いかにもそんな感じのフランス映画でした。こういう大人の映画はやっぱりいいなぁと思います。ご興味の有る方には是非お薦めします。

尚、この映画を観て「春の祭典」のバレエDVDや音楽CDをこれから鑑賞してみたいという方には、以前の記事でご紹介していますのでご参考までに。

<旧記事>ストラヴィンスキー/バレエ「春の祭典」 DVD他名盤

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2009年2月22日 (日)

傑作オペラ映画「ラ・ボエーム」

Cci00012s 先週公開されたオペラ映画「ラ・ボエーム」を観に行きました。マスコミでも結構取り上げていますが、何といっても私がイタリアオペラの中で最も愛する作品ですし、主役が絶世の美人歌手アンナ・ネトレプコにローランド・ビリャソンのコンビとあっては見逃すわけには行きません。プッチーニ生誕150周年記念というこの映画はドイツ・オーストリアの合作です。監督はロバート・ドーンヘルム、音楽はベルトラン・ド・ビリー指揮、バイエルン放送響です。

さて、その映画ですが、幕が上がって(じゃなくて上映が始まって)いきなりスクリーンに目を奪われます。美しい!オペラの舞台では無く完全な映画として撮影されているのですが、19世紀のパリのうす汚れた部分、美しい部分がそっくり再現されています。映像そのものが詩情を表現していて本当に素晴らしいのです。そして、この映画は完璧にオペラの楽譜通りに進行しますが、音とシーン、演出が有機的に結合していて実に自然です。「映画」として見事に完成されているのです。

ミミ役のネトレプコは大スクリーンに映し出されると、正直ちょっと齢を取ったかな、という感じです。但しそれは若い娘役として見た場合であって、彼女の美しさ、色っぽさは今だ健在であり、演技ぶりも立派なものです。おじさん的には実にそそられてたまりません。歌の方も、その美貌で大幅にポイント加算されるので問題ありません。そしてルドルフォ役のビリャソンが本当に素晴らしいのです。見た目も役柄にぴったりだし、演技がまた驚くほど上手いし、おまけに歌の方も抜群です。これは過去の名歌手達と比べても充分並び立つ素晴らしさです。他の脇役達もとても達者で感心することしきりです。僕の大好きな第1幕の若い2人が恋に落ちるシーンの感動、終幕のミミの息絶えるシーンの悲哀さなどは観ていて涙がこぼれるほどです。

また、この映画は音楽伴奏にも手を抜くことなく、オペラの得意なビリーの指揮するバイエルン放送響の演奏が素晴らしい表現力で酔わせます。これはCDとして聴いても充分満足出来る演奏ではないかと思います。

この映画は恐らくは過去のあらゆるオペラ映画を越える完成度でしょう。どんなに素晴らしいオペラ公演とも違った音と映像とドラマの魅力を伝えてくれると思います。いずれDVDにも成るでしょうが、是非とも劇場の大スクリーンの迫力でご覧になられることをお薦めしたいと思います。しかしこれほどの名画が現在東京では新宿のタイムズスクエア1館のみの上映というのは寂しいものです。もっとも土曜午後というのに空席が目立っていましたから興行的には致し方ないのでしょうね。

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