映画「マーラー 君に捧げるアダージョ」
公開前から観たかった映画「マーラー 君に捧げるアダージョ」をようやく観に行くことが出来ました。これはマーラー生誕150年・没後100年記念映画だそうです。
この映画はGWに公開されましたが、今月24日で終了ということなので、慌てて観に行ったのです。といっても上映館は渋谷のユーロスペースのみ。現在はモーニングシアター?ということで、上映は午前の1回だけです。
ユーロスペースは渋谷の東急文化村のわきを入ってすぐですが、回りにはラブホテルが何件か有るので、朝帰りの若いカップル達とすれ違います。彼らはホットなナイトを過ごした帰り。こちらは朝から暗~いマーラーの映画鑑賞。ホント「人生いろいろ」だぁ~(笑)
それにしても劇場は座席数90人ちょっとのミニシアターですが、今日の観客はどう見ても半分ぐらいでした。意外に年配者(自分も含めて)が多かったですが、あんまりマーラーの音楽とは結びつきそうにない風の人が多かったです。案外と映画って、そんなものですよね。
さて、映画はいきなり未完成交響曲の第10番のアダージョで始まります。というよりも、この曲が映画全体に流れ続けます。他には第5番のアダージェットも流れますが、それはごく一部。君に捧げるアダージョって、第10番のことみたいです。
話は、マーラーが19歳下のアルマを見染めて結婚したところから、一足飛びにアルマが建築家のグロピウスと不倫をするくだりに展開します。苦悩するマーラーが、精神科医のフロイトにカウンセリングを依頼して、アルマの不倫の原因を分析しようとします。それはマーラーがアルマを自分の音楽の協力者としてのみみていて、アルマの音楽活動を封印してしまったことと、女としての肉欲に満足を与えられなかったことが原因だったように描かれてゆきますが、最後にフロイトが何気なく語る「彼女はあなたの目を覚まさせたかったのかもしれませんね。」の一言が有るおかげで、二人が救われたような気になります。
というわけで、この映画はマーラーの伝記映画でも何でもなく、妻の不倫原因の分析映画です。マーラーの曲がアダージョ以外に色々と聴けるわけでも有りません。従って、マーラー・ファンがこの映画を見て大いに楽しめるとは思いません。それでも、当時ウイーンで活躍をしていたクリムトやツェムリンスキー、ブルーノ・ワルターらが次々に登場して楽しませてくれます。ウイーンの街や国立歌劇場、近郊の自然風景なんかも見ていて楽しいです。大満足にはほど遠いですが、退屈することは有りません。人間マーラーについて理解を深めるには、こういう映画も一見の価値は有るのではないでしょうか。
補足ですが、音楽はエサ・ペッカ・サロネン指揮スウェーデン放送響の演奏です。この人らしい、余りドロドロしないスッキリとした演奏でした。
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