モーツァルト(諸々その他)

2010年3月22日 (月)

アンスネス&ノルウェー室内管弦楽団 日本公演

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土曜日夜中の凄まじい春の嵐も治まったので、作日はレイフ・オヴェ・アンスネスのコンサートを無事に聴きに行けました。会場は新宿のオペラ・シティです。アンスネスを実演で聴くのは初めてなのですが、彼のデビュー直後の録音のグリーグのピアノ協奏曲やシューマンの独奏曲はとても気に入っていました。何しろ音楽的なセンスが抜群だったからです。その彼もいまや40歳になって、今回はノルウェー室内管を弾き振りしてのモーツァルトのピアノ協奏曲ということですので、聴き逃せませんでした。しかも、とっても心が弾むプログラムです。モーツァルトが生れ故郷のザルツブルクでのコロレド司教の官僚的な監督下からやっとのことで離れられて、音楽の都ウイーンに移り住んだ頃の傑作作品を並べているので実に魅力的です。これはもう、聴く前から期待で一杯になってしまいます。演奏曲目は順番に変更が有りましたので、実際には次の通りでした。

①モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」K.385

②モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番K.488

③グリーグ:「ホルベルク組曲」

④モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番K.491

このコンサートがユニークなのは、2曲のピアノ協奏曲はアンスネスがピアノを弾きながら指揮をしますが、交響曲「ハフナー」とグリーグは指揮者無しでコンサート・マスターのイザベル・ファン・クーレンがリードします。

そして、その実際の演奏ですが、「ハフナー」でまず気が付いたのは、ほとんどノンヴィブラート奏法である事です。これはやはり古楽器を意識しての演奏なのでしょう。ヴィブラートを行わないとどうしても「音の痩せ」につながりますから、その分を速いテンポで、アクセントを強くつけていました。その結果、躍動感の有る音楽を聞かせてくれました。ただし指揮者がいないことによって、アンサンブルの自発性は生れますが、逆に細部の表現付けにやや物足りなさを感じてしまいます。

2曲目のピアノ協奏曲第23番ですが、僕はこの曲は最後の第27番と並んで大好きです。アンスネスの指揮ぶりはオーソドックスですが、アクセントと表情に随分と気を使っているのに、しばしばハッとさせられました。そしてピアノ独奏ですが、16分音符を全てかっちりと聞かせるドイツ/ウイーンの伝統的な弾き方ではありません。といって現代的に快速で音符をパラパラッパラッと弾き飛ばす弾き方でもありません。どちらか言えば後者に近いのですが、アンサンブルと溶け合うような目立ち過ぎない柔らかい音なので好感が持てます。曲そのものをじっくり味わうことができました。それにしても23番は良い曲です。休憩後の第24番も弾き方は同じです。ただし曲の性格から、更にデモーニッシュな面が強調されても良かったかな、とは思いました。

1曲だけグリーグの「ホルベルク組曲」が有りますが、これは母国ノルウェーの作曲家の作品という事でサービスでしょう。演奏は弦楽のみですが、さすがに素晴らしかったです。メンバーが自発性に溢れて力強く、かつ自然に弾き切っていて、「ああ、これがお国ものというものだなぁ」と感じ入りました。

アンコールは2曲でした。1曲目はモーツァルトのピアノ協奏曲第14番の第3楽章です。この、まるで初期の作品のようなシンプルかつチャーミングな曲も良いですね。2曲目は、アンスネスの独奏でショパンの嬰ハ短調ワルツでした。あっさりとさりげなく弾いているのに、とても味わいのあるセンスの良さに感心します。彼のピアノ・ソロ・コンサートを聴きたくなってしまいました。

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2008年11月 1日 (土)

モーツァルト クラリネット協奏曲&ピアノ協奏曲第27番

とうとう11月です。秋がいよいよ深まってきました。

僕は秋の夜長にはブラームスを聴くのが大好きです。特に夜も更けてきたら彼の室内楽が一番。では昼間に聴くとしたら?僕はモーツァルト。ただし晩年の曲を。特に「クラリネット協奏曲」K622と最後の「ピアノ協奏曲第27番」K595が良いのです。

晴れた日の秋の空。どこまでも抜けるように澄み切った青い空。果てしなく宇宙のかなたへまで繋がっている青い空。

そんな青空を眺めているとなんだか寂しくなってきます。ちっぽけな我々の命のはかなさとか自然界の永遠性だとか、なんだか良く分からないけれどそうことを嫌でも感じさせられてしまうからでしょうか。

このモーツァルトの晩年の2曲はそんな気分に実にふさわしいです。そして素晴らしい演奏があります。どちらもカール・ベームの指揮です。ベームにモーツァルトのこういう曲を振らせるとちょっと他の指揮者では真似のできないほどの深みが現れます。

「クラリネット協奏曲」イ長調K622

709_2  アルフレート・プリンツ独奏、ベーム指揮ウイーン・フィル(ドイツグラモフォン盤)は、プリンツの素晴らしさももちろんですが、ベーム/ウイーン・フィルの演奏の素晴らしさに尽きます。文春新書「クラシックCDの名盤」の新版では中野雄先生が旧版の推薦盤ウラッハからこちらに変更されました。生意気のようですが僕は昔からこの曲に限ってはウラッハよりもプリンツ(というかベームの)この演奏のほうが格段に好きでした。第1楽章の頭の弦のきざみを聴いただけで他の演奏とはまるで違います。柔らかくゆったりとしているが実に立派。人に依っては遅過ぎと感じるかもしれないですが、この曲の持つ永遠性の雰囲気を感じるためにはこの演奏が一番だと思います。そして第2楽章の天国的なまでの美しさ!もうとても言葉にはできません。

「ピアノ協奏曲第27番」変ロ長調K595

Cci00028ウイルヘルム・バックハウス独奏、ベーム指揮ウイーン・フィル(DECCA盤)

ベームはこの曲をグラモフォンに再録音しています。それは独奏はエミール・ギレリスです。ベーム/ウイーン・フィルの演奏だけで言えば互角の素晴らしさだと思います。しかしこの旧DECCA盤は1955年当時のウイーン・フィルのおそらく録音で聴くことのできる最も魅惑的な響きを味わえる時代のかけがえの無い演奏なのです。DECCAには他にも親父クライバーの「フィガロの結婚」とかの最高の録音が多く残されています。

ここでのバックハウスのピアノは正に彼岸の曲の彼岸の演奏です。宇野功芳先生が昔から「演奏を超越して直接曲自体と結ばれる、厳しいまでに純潔、純白な演奏だ」という風に推薦し続けている演奏ですが、全く異論が無いところです。(生意気ですが師に異論を感じることは度々あります)(^^)

思えば僕がモーツァルトに開眼したのはこの演奏でした。名曲喫茶で曲名も演奏者も分らずに耳にした瞬間に脳天に電気が走ったのです。慌ててカウンターに行ってみたらこのレコードでした。人間の直感というものはある時は全てを越えてしまうようです。

この録音は現在は先のブラームスのピアノ協奏曲第2番とカップリングになっています。2大名演が1枚のCDで聴けるとは何とも有りがたいことです。

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