ハンガリー国立フィル 2014日本公演 ~小林研一郎のチャイコフスキー~
ハンガリー国立フィルはハンガリーを代表するオーケストラですが、以前はハンガリー国立交響楽団の名称で呼ばれていました。コバケン(小林研一郎)がかつて音楽監督を務めたことでも知られています(現在は桂冠指揮者)。もう十数年も前にこのコンビで来日してマーラーの「復活」を聴かせてくれましたが、その素晴らしい演奏を忘れることは出来ません。
コバケンがブダペスト指揮者コンクールに優勝して今年でちょうど40周年なのですね。コンクール以降、ハンガリーですっかり人気指揮者となったコバケンでしたが、よほどハンガリーの国民気質と合ったのでしょう。いわゆるマジャール気質ですね。良く分る気がします。(笑)
そのハンガリー国立フィルが再び来日してくれて、コバケンの指揮するコンサートが昨夜サントリーホールで有りましたので聴きに出かけました。何か、しばらくぶりに旧友に会うような嬉しさで一杯でした。
客席はほぼ満席でした。やはりコバケンは人気が有りますね。
それにしてもコバケンももう74歳ですが、ステージに上がると全く(!)年齢を感じさせません。小走りに登場して指揮台に登り、大きくうなり(笑)、エビぞりになって(笑)、ダイナミックに(笑)指揮します。本当に驚きですね。
昨夜のプログラムは、下記の通りです。
グリンカ ルスランとリュドミラ序曲
チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲
チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
まぁ定番のロシアン・プログラムですが、コバケンとハンガリアン・フィルのマジャール・コンビの演奏にも大いに期待しました。ちなみに協奏曲の独奏は千住真理子さんです。
さて、コンサートですが、グリンカは前プロですし、ウォーミングアップということで良かったように思います。
ヴァイオリン協奏曲では千住さんが真紅のドレスで登場して来ました。彼女は中々に好み(何が?)なので、どんなドレスで登場するか毎回楽しみです。何歳になっても知的で可愛らしい印象が変わらないで良いですねぇ(ドキドキ♡)
演奏については、やはりこの曲は難曲だなぁという印象。技巧だけでも大変だけど、音楽の魅力を引き出すのがまた大変。ロシアの巨匠が弾いてようやく本当の魅力が現れるというように思います。千住さん、頑張って弾いていたので、心の中で一生懸命応援しましたが、やはり曲が難曲過ぎる。でもイイんです。あの美しいお姿を見ているだけでも充分に満足です。
オーケストラは第一楽章の途中までは響きが今一つだったかもしれませんが、中盤過ぎから響いてきましたね。あの暗めだけれど芳醇な懐かしい音が響いてきました。あー、これこれ、これがマジャールの音!
プログラム後半の「悲愴」は聴きものでした。1楽章途中のアレグロヴィーヴォからの壮大なカタルシス!さすがはコバケンです。
2楽章も美しかったですが、三楽章のマーチは凄まじい迫力でした。でもオーケストラが単に音響的に鳴っている虚しい迫力とは異なります。
しかし本当の聴きものは終楽章です。パッションが籠りきった分厚い音の奔流に圧倒されました。全ての物を流し去るような凄みが有りました。
テミルカーノフとサンクトべテルブルグ・フィルの実演の「悲愴」は衝撃的でしたが、その次に感動した演奏だったように思います。
アンコールはブラームスのハンガリア舞曲から第1番と第5番です。わざわざコバケンが「変わった演奏です」と前置きを置いて演奏されましたが、本当にデフォルメが凄かったです。それはまるでハンガリーのジプシーがヴァイオリンを自由自在に演奏する様な趣でした。パーヴォ・ヤルヴィがフランクフルト放送響と聴かせてくれた同曲のアンコール演奏もデフォルメが圧巻でしたが、ジプシーの情念を濃厚に感じさせてくれる点で、昨夜のコバケンに軍配を上げたいと思います。なにせ演奏するメンバーは皆ジプシーの子孫達ですものね。
このコンビの演奏はまた聴けるチャンスが有るでしょうか。有ると良いなぁ。
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