スメタナ

2011年6月25日 (土)

スメタナ 連作交響詩「我が祖国」 続・名盤

昨日は本当に暑かったです。今日は幾らか気温が下がっているようですが、それにしても毎日不快でうっとうしい天気が続きますね。こんな時期に僕が良く聴くのはスメタナの「モルダウ」なのです。そのことは2年前に、連作交響詩「我が祖国」名盤で記事にしたことが有ります。この曲を聴くと、本当にボヘミアの爽やかな空気が部屋いっぱいに広がる感じです。それに、何と言っても、あの誰でも知っているメロディは稀代の名旋律ですしね。名曲中の名曲です。この「モルダウ」を聴くときには、連作交響詩「我が祖国」の第1曲「高い城」から続けて聴くことが多いのですが、勢い余って(ということも無いのですが)全曲聴き終えてしまうことも、しばしばあります。前回の記事の中でも、ご紹介しましたが、この曲の演奏で僕が最高に気に入っているのは、カレル・アンチェル指揮チェコ・フィルの1968年のライブ盤です。もっとも、この演奏は熱すぎて、とても涼しく聴いてなどはいられないのですけれども。他にも、アンチェルのスタジオ盤とか、ノイマン、スメターチェク、クーベリックといった素晴らしい演奏が目白押しです。そんな中で、前回ご紹介していない名演奏をご紹介します。

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イルジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィル(1990年録音/スプラフォン盤) 

またか、と思われるかもしれませんが、僕がやはり好きなのは、チェコ(もしくはスロヴァキア)出身の指揮者が自国のオーケストラを指揮した演奏なのです。旋律の歌いまわしや響きを聴いて、何とも自然に心に入って来るのです。ビエロフラーヴェクは30年以上前から、日本のオーケストラに数えきれないくらい客演に来ているのでお馴染みです。でもCDの世界でアンチェル、ノイマン、クーベリックほど売れているかと言うと、はなはだ疑問です。でも、この人がやはりチェコ・フィルと録音した「新世界より」も、中々に良い演奏でした。この「わが祖国」も、チェコ・フィルの美しい音を楽しませてくれる点で、ノイマンに充分匹敵します。変わったことをしないので、平凡に感じるかもしれませんが、スメタナの音楽を表現するのに不足しているものは何も有りません。それに、プラハ城の中で収録した録音もとても美しく優れています。

もうひとつは、以前アナログ・レコードについて記事にしたコシュラー盤ですが、CDでも入手することが出来ました。

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ズデニェック・コシュラー指揮スロヴァキア・フィル(1977年録音/ビクター盤)

この演奏の素晴らしさについては、以前の記事に書いた通りです。アナログ盤では入手済みだったのですが、CDでも欲しくてしばらく探していたところ、運よく中古店で見つけました。この録音は元々はスロヴァキアのオーパス(OPUS)レーベルのものですが、日本ビクターがライセンスで出したものです。それにしても、この演奏を改めて聴くと、余りの素晴らしさに感服します。響きはチェコ・フィルに比べるとずっと田舎臭くて素朴ですが、コシュラーの指揮は全てのフレーズに意味深さを感じさせていて驚くほどに説得力が有ります。当時のコシュラーとスロヴァキア・フィルとの相性は最高でした。晩年に新設のチェコ・ナショナル響とも録音を残していますが、歴史のあるスロヴァキア・フィルの魅力には到底及ばないと思っています。この演奏はアンチェル/チェコ・フィルの1968年ライブ盤に匹敵する名演奏だと思いますが、現在は廃盤なのが本当にもったいないです。

さて、次回は再びモーツァルトのピアノ協奏曲の特集に戻ります。

<補足>
コシュラー盤については、以前チェコのGZレーベル盤で紹介しましたが、その後国内のビクター盤に買い直したために一部修正しました。音質はビクター盤が優れます。

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2009年7月 5日 (日)

スメタナ 連作交響詩「我が祖国」 名盤

7月になりました。梅雨時というのは毎日がじめじめと蒸し暑くて嫌なものですね。四季の変化を味わえる日本に生れて良かったとは思いますが、この時期だけは梅雨の無い国に移動したくなります。でも日本でも北海道のように梅雨の無い土地も有るのですよね。とっても羨ましい限りです。

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実は僕が毎年この嫌な季節に無性に聴きたくなるのが「モルダウ」なのです。だってこの曲は本当に爽やかじゃありませんか。森の泉から湧き出た水の流れが徐々に川幅を増していって、いつしか大河の流れになる情景が実に見事です。それになんといってもあの主題は稀代の名旋律ですしね。「モルダウ」はチェコ国民楽派の開祖スメタナが書いた6曲の連作交響詩「我が祖国」の第2曲目です。6曲というのは順に1.「高い城」 2.「モルダウ」 3.「シャールカ」 4.「ボヘミアの森と草原より」 5.「ターボル」 6.「ブラニーク」です。

僕は第1曲の伝説上のチェコ建国の象徴であるヴィシェフラト城の栄光と没落を描いた「高い城」と、この「モルダウ」の2曲をよく聴きます。気が向いて「シャールカ」まで聴いてしまうと、大抵はそのまま全曲鑑賞になります。5、6曲目の「ターボル」「ブラニーク」は演奏によっては曲が単調に感じられることも有りますが、自国チェコの演奏家であればいずれも民族の共感に溢れていますので退屈することはまず有りません。僕はこういう曲はどうしてもチェコの演奏家で聴きたくなります。他の国の演奏家のものではどうも気分が落ち着かないのです。ですのでご紹介するCDはほとんどが本場物ということになりますが、どうかご容赦ください。

Cci00048 ヴァーツラフ・ターリッヒ指揮チェコ・フィル(1954年録音/スプラフォン盤) ターリッヒはチェコ・フィルを世界的な名楽団に育てた大指揮者ですし、実際に「新世界より」のようなベストの座を争うような名盤も存在します。この「わが祖国」の演奏も味わい深さという点では非常に優れているのですが、録音が古いのがマイナスになっています。個人的にはどうしてももっと録音の良い演奏を聴くことが多いです。

511ess67kxl__ss500_ カレル・アンチェル指揮チェコ・フィル(1963年録音/スプラフォン盤) 全盛期のチェコ・フィルの音を聴くことができる名盤だと思います。アンチェルとしても「新世界より」とこの「わが祖国」は代表盤と言って良いでしょう。ですので僕も昔からずっと愛聴してきました。但し比較的最近リリースされた後述の1968年の歴史的ライブ盤を聴いてしまってからは少々影が薄く感じてしまいます。後半の3曲などはもっと熱く演奏できたはずだと思うのです。まあ、スタジオ録音では仕方が無いのかもしれません。

Cci00049 カレル・アンチェル指揮チェコ・フィル(1968年録音/Radio Servis盤) アンチェルは1968年にアメリカへ演奏旅行中に祖国でプラハの春事件が起きた為に帰国を断念。亡命の道を選びました。その直前の「プラハの春音楽祭」でのライブ録音が残されています。これはスタジオ録音盤とは次元の全く異なる演奏です。アンチェルがライブでどんなに熱く凄い演奏をしていたかの証明でしょう。果たしてこの時に彼が祖国に起きる事件を予感していたかどうかは分かりませんが、第1曲からエネルギー全開で特に「シャールカ」以降は驚異的にテンションの高い熱演を果たしています。この演奏だけは色々な意味で何を置いても必聴です。

51lj40glfml__ss500_ ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル(1975年録音/スプラフォン盤) ノイマンには東京でのライブ録音盤も有りますが、演奏はこのスタジオ盤のほうが優れていると思います。録音も含めてオーソドックスな名盤を選ぶとすればアンチェルのスタジオ盤に次いではこのノイマン盤が上げられるのではないでしょうか。ノイマン/チェコ・フィルはこの録音の頃に東京で生演奏を聴いていますが、それは本当に瑞々しく、ほれぼれする美しい音と演奏でした。

51rksbz3scl__ss500_ ヴァーツラフ・スメターチェク指揮チェコ・フィル(1980年録音/スプラフォン盤) スメターチェクもチェコが生んだ名指揮者です。派手な人気は有りませんが、この人にチェコのお国ものを演奏させたら、他の巨匠指揮者達に充分匹敵する演奏を成し遂げます。この「わが祖国」もとてもスケールが大きく血の共感を感じる名演です。チェコにはかつてシェイナとかグレゴルとかやはり同じような意味で非常に優れた指揮者が多く存在しました。

Smetana_044ラファエル・クーべリック指揮ボストン響(1971年録音/グラモフォン盤) クーベリックの「我が祖国」の録音は5~6種類有ったかと思いますが、恐らくは入念なセッション録音が行われたことが想像されるこの演奏はバランスが最も整っています。更に新しい録音と比べても楽器の分離が明確でスコアを見るには適しています。クーベリックの指揮にもセッション録音とは思えないほど熱が入っていて聴きごたえがあります。ボストン響は元々優秀ですが、柔らかいヨーロッパ的な響きと力強さの両方を持ち合わせていてチェコの楽団で無くても非常に魅力が有ります。

41tggf92p6l__ss500_ ラファエル・クーべリック指揮チェコ・フィル(1990年録音/スプラフォン盤) これは「プラハの春音楽祭」でチェコ・フィルと42年ぶりに共演した演奏です。同じコンビの日本でのライブ演奏もCD化されていますが、ホームでの歴史的な録音という点で個人的にはこの演奏を感慨に浸りながら楽しむことが多いです。この演奏には、その時の演奏家達の喜びが自然と滲み出ているからです。演奏には初めのうちは手探りさを感じますし、モルダウの冒頭のフルートも不揃いです。けれども徐々に高揚してゆく演奏がいかにもライブという趣で楽しめます。録音も聴き易いです。

Cci00048k ラファエル・クーべリック指揮バイエルン放送響(1984年録音/オルフェオ盤) クーベリックのこの曲の録音は多く、チェコ・フィル盤以外にもボストン交響楽団を指揮したグラモフォン盤や、手兵のバイエルン放送響盤を指揮したこの録音も非常に優れています。オーケストラの持つ音色ではチェコの楽団の魅力には及びませんが、クーベリックの表現力が最も強く出ていて、しかも堂に入っているのはこの演奏のように思います。録音は悪くは有りませんが、ホールトーン的に過ぎて細部がやや聞き取りにくいのはマイナスです。

これ以外にも、ズデニェック・コシュラー/スロヴァキア・フィルの非常に素晴らしい演奏とイルジー・ビエロフラーヴェク/チェコ・フィルの演奏を「続・名盤」として追加記事にしています。 
交響詩「わが祖国」 続・名盤

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