ロシア音楽(ムソルグスキー、ボロディン、カリンニコフなど)

2016年1月31日 (日)

グリゴリ・アルフェーエフ 「マトフェイ受難曲」 日本初演

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昨日は浜離宮朝日ホールへ「マトフェイ受難曲」の日本初演を聴きに行きました。
この曲は英語で「St Matthew Passion, grand oratrio for sloists, choir and orchestra」ですので、「独唱、合唱、オーケストラ(弦楽)のためのオラトリオ”マタイ受難曲”」ということです。

作曲者のグリゴリ・アルフェーエフは、1966年生まれのれっきとしたロシア正教会の司教です。幼少期に音楽を習い、モスクワ音楽院に入学して作曲を習いました。

ところが彼は仕事を音楽では無く、聖職者になる道を選びます。
40歳までは聖職に専念しましたが2006年、たまたま自分の作品がモスクワの正教会音楽祭で演奏をされたのをきっかけに、再び作曲を始めました。その年に書いた三番目の作品がこの「マトフェイ受難曲」です。

初演は翌年2007年にモスクワ音楽院大ホールでフェドセーエフ指揮モスクワ放送響により行われ、大成功に終わりました。ちなみにそのライブはCDにもなっています。

アルフェーエフはこう語りました。
「偉大なるロシア人作曲家ミハイル・グリンカの夢を実現させたと思う。」

その夢とは『西洋音楽のフーガとロシア正教会の歌を融合させること』だったようです。

確かに、実際に曲を聴いてみると、バッハの「ヨハネ受難曲」の第1曲に似たように書かれた曲や厳かな正教会風の合唱の印象が強いです。しかし曲によってはフォーレの「レクイエム」のような繊細な雰囲気を表す曲も現れます。

作品全体は伝統的な作風で書かれていますので、とても聴き易く、現代曲的な難解さは少しも有りません。ソロ楽器によるオブリガートもしばしば登場しますが、どれもとても楽しく書かれています。

全体は通しで約1時間半の演奏時間ですが、全く退屈しませんでした。

指揮者の渡辺 新さんはロシア、北欧、東欧の音楽を得意にしておられ、オーケストラ・ナデジーダ、合唱団ナデジーダを率いてそのような音楽の普及に力を入れられているそうです。よく思いますが、このように明確なコンセプトを持たれた音楽活動というのは本当に貴重だと思います。

演奏のレベルも非常に高く、特に合唱団は人数こそ各パート10人弱ですが、パートごとのパワーバランスが良く、大変美しかったです。弦楽オーケストラもフーガなどパートが独立する部分ではプロのようには行きませんが、合奏ではとても美しかったです。独唱者にはロシア人をはじめ、優れた日本人声楽家が担当していたのでとても良かったです。
初めて耳にするこの作品の良さを充分に感じさせてくれた素晴らしい演奏でした。

この作品はもっと多くの人に聴いて貰いたいと思います。他の団体が取り上げることは中々考えにくいので、この団体で是非とも再演を願いたいと思います。

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終演後に楽屋でソプラノ独唱の中村初恵さんを囲んで

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2014年2月 5日 (水)

「ロシア民謡集」 ワレリー・ポリャンスキー/ソビエト国立室内合唱団

Valeripolyansky1mask9         ワレリー・ポリャンスキー

いよいよ、ソチ・オリンピックが開幕します。開会式は7日ですが、早い競技は明日の午後から、もう始まってしまうのですね。日本選手の準備は大丈夫でしょうかね?
「おのおの方、いざ出陣でござる!支度はよいか。そちはどうじゃ?」てなもんです。
とにかく日本選手の活躍に期待しましょう!

このブログでも、先月からソチ・オリンピック記念の”ロシア音楽特集”を続けていますが、今回は「ロシア民謡集」とゆきましょう。

ロシアの名指揮者ワレリー・ポリャンスキーが指揮をしている素敵なCDが有るので是非ご紹介したいと思います。

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「ヴォルガの舟唄、ともしび ロシア民謡集」 
ワレリー・ポリャンスキー/ソビエト国立室内合唱団(1990年録音/日本ビクター盤)

―曲目―
1.カチューシャ
2.バイカル湖のほとり
3.トロイカ
4.ともしび
5.アムール河の波
6.ヴォルガの舟唄
7.ポルシュカ・ポーレ
8.赤いサラファン
9.行商人
10.ステンカ・ラージン
11.仕事の歌
12.道
13.黒い瞳
14.バルカンの星のもとに
15.黒い瞳の
16.カリンカ
17.モスクワ郊外の夕べ

ワレリー・ポリャンスキーは1949年モスクワ生まれの、知る人ぞ知る隠れたる名指揮者です。音楽活動がほとんどロシア国内に限られているので、当然日本での知名度は低い(ほとんど無名?)と言って構わないでしょう。

元々この人は合唱指揮を得意としているので、ラフマニノフなどロシアの合唱入りの楽曲の録音は案外と出ています。管弦楽曲についても、シャンドス・レーベルへロシア国立交響楽団と録音を行なったチャイコフスキーの後期三大交響曲集などは、他のどの指揮者の演奏と比べても極めてユニークな名演奏でした。中でも「悲愴交響曲」での、悲しみを通り越して涙も枯れ果ててしまったかのような虚しさに覆われた演奏は衝撃的でした。他にも自分は未聴なのですが、グラズノフの交響曲全集の録音も有ります。
あの広大なロシアには、ピアノのグリゴリー・ソコロフや、指揮者のポリャンスキーなど、とんでもない名演奏家が存在するものです。

さて、そのポリャンスキーの意外な録音が上記のCDです。ソビエト国立室内合唱団を率いてロシア民謡を演奏した録音です。録音場所はモスクワ音楽院大ホールです。

この合唱団はアカペラで歌いますが、録音された17曲はロシア人の手による編曲では無く、3人の日本人が編曲を行なっています。もちろん伴奏の無いクラシカルな編曲なので、泥臭い民謡調の合唱団とはだいぶ趣が異なります。けれども、どこか昔の日本人が好んで歌っていたような味わいを感じます。自分は、実際に歌っていた世代では無いのですが、テレビで当時の映像を幾度も観ていますので、イメージは湧きます。

それにしても、哀愁が漂うロシア民謡には本当に魅了されますね。僕はアメリカのカントリー&ウエスタンも大好きですが、ずっと日本人の感性に近いのはやはりロシア民謡ではないでしょうか。

ロシアとは過去の戦争をめぐって、いまだに国家間の問題が未解決ですが、日本に隣接していて、膨大な自然資源を持っている国ですので、今後は中国や韓国よりも、むしろロシアに軸足を移したほうがよほど得策ではないかと、かねてから思っています。極端な話、将来の地球温暖化を考えたら、北海道へ首都機能を移して、ロシアと協力発展したらどうかとすら思うぐらいです。

話が脱線しました。(苦笑)
でも、どうですか?このCDに収められた曲のうち、すぐにメロディが浮かんだ曲が何曲有りましたか?10曲以上浮かんだ人は、たぶん歌声喫茶世代でしょうね。(笑)

このCDは残念なことに既に廃盤ですが、アマゾンなどの中古では比較的多く出回っているようです。ご参考までにリンクをこちらへ貼ります。試聴も出来ますよ。

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2011年4月24日 (日)

”名曲シリーズ” ムソルグスキー 「展覧会の絵」 ~演奏いろいろ~

今夜のN響アワーは、ムソルグスキーの「展覧会の絵」なのですね。丁度このブログの名曲シリーズの題材を考えていたところなので、相乗りしてしまいましょう。

実は「展覧会の絵」は、自分の音楽人生を左右した大変に思い出深い作品なんです。僕は中学~高校時代にバリバリのハード・ロック少年だったのですが、当時エマーソン・レイク&パーマー(略してELP)という前衛ロックグル―プが有りました。このグループが、こともあろうに「展覧会の絵」をロックに編曲して1枚のアルバムにしてしまったのです。元々、このグループのリーダーのキース・エマーソンという人は、以前からバッハ、チャイコフスキー、ドヴォルザーク、シベリウスなどの名曲をロックにアレンジしては演奏していましたが、最高傑作となったのがこの「展覧会の絵」です。僕はELPのアルバムを夢中になって聴きましたが、そのうちに原曲を聴いてみたくなり、リヒテルの弾いたピアノ版のレコードを買ってきたのです。この曲は、オリジナルのピアノ曲版を別の人の手によってオーケストラに編曲された版も有れば、ELPのようにロックにもなってしまうことが驚きで、実に面白いなと思いました。

そこで、ELPの演奏している他のクラシック曲のオリジナルも聴いてみたくなり、次々と聴き進んでいるうちに、気がつけばクラシック・ファンになっていました。ですので、この曲は自分にとって、クラシック音楽を聴くようになるきっかけとなった、とても重要な曲なんです。

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ムソルグスキーは友人であった画家ヴィクトル・ハルトマンが亡くなったあとに開かれた遺作展で10枚の絵を見て、その印象をピアノ曲にしました。それらは、ロシアやさまざまな国の風物が描かれていました。但し、10枚の絵の曲が単純に並ぶのではなく、「プロムナード」という短い前奏曲(間奏曲)が繰り返して挿入されています。この「プロムナード」というのは、ムソルグスキーが展覧会で絵を順に見ながら歩く姿なんだそうです。

曲は「プロムナード」、「古城」、「卵の殻をつけた雛の踊り」、「ビドロ」、「鶏の足の上に建つ小屋 - バーバ・ヤーガ」、「キエフの大門」、などですが、どれもが非常に親しみ易い旋律と変化にとんだユニークな曲ばかりです。そして、これだけ色々な編曲版が現れるというのは、やはりムソルグスキーの天才の作なのだと思います。

それでは僕の愛聴盤をご紹介します。

―ピアノ版(原曲)― 

1台のピアノによる楽曲の表現力は凄いです。驚くほど色彩と変化に富んでいて飽きさせません。やはり原曲の素晴しさですね。但し現在はCDを持っていません。昔レコードで聴いたのは、リヒテル盤とホロヴィッツ盤なのですが、久しぶりに聴いてみたくなりました。

―管弦楽版― 

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ワレリー・ゲルギエフ/ウイーン・フィル(2000年録音/フィリップス盤)

色々な人が編曲版を書いていますが、一番有名なのはモーリス・ラヴェル版です。ただラヴェルの編曲は、音色が少々華やかに過ぎるように感じられます。従って、個人的には明るい音のフランスやアメリカのオケの演奏は余り好みません。そこで気に入っているのが、ワレリー・ゲルギエフがウイーン・フィルを指揮した演奏です。これは華やか過ぎないウイーン・フィルの音色に上手くロシア風味の味つけを加えたものなので、自分の好みに合います。こういう演奏で聴くと、この曲はフランスのラヴェルの作曲では無くて、やはりロシア人の作った曲なのだなぁ、という風に実感します。そして、こういう曲の語り口の上手さという点でも、ゲルギエフは本当に素晴らしいです。

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セルジュ・チェリビダッケ/ミュンヘン・フィル(1993年録音/EMI盤)

チェリビダッケの演奏は大抵の場合で極度に遅いテンポが息苦しくなり好きではありませんが、確かにユニークな愉しさを覚えることはあります。この曲でも、異常に遅い「プロローグ」には吹き出しそうですが、元々破格の作品ですので、異常な演奏も有る意味「可」なのかもしれません。「ビドロ」や「キエフの大門」での天を仰ぎ見るような壮大なスケール感は、しばし言葉を失うほどです。一方「バーバ・ヤーガ」などの曲では、音楽が遅く重くもたれるのに閉口してしまいます。オーケストラの響きはフォルテでも澄んでいて綺麗ですが、その割に明る過ぎないのは良いです。まともな演奏のリファレンスとしてはゲルギエフ盤を選びますが、もう一つ変わり種の演奏を聴いてみたい場合には、チェリビダッケ盤は案外面白いと思います。

―非クラシック版―

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エマーソン、レイク&パーマー(1971年録音/アトランティック原盤)

これはもうエマーソン、レイク&パーマーしか有りません。ムソルグスキーの音楽の味わいを残しながらも、パーフェクトなプログレッシヴ・ロックに仕上がっています。原曲とは関係の無いアコースティック・ギターと歌の「賢人」や、バリバリのロック「ブルース・バリエーション」は、ムソルグシキーの音楽の流れに自然に溶け込んでいますし、「バーバヤーガ」での演奏の迫力はオーケストラをむしろ凌ぎます。終曲「キエフの大門」での、主旋律に対位法的に加えたボーカルメロディの感動的なことも正に天才的です。ボーカルのグレッグ・レイクの声質がとても美しいので音楽にとても良く合います。アンコール曲として挿入されたチャイコフスキーの「くるみ割り人形」からの行進曲が「ナット・ロッカー」というのも揮っていますね。このアルバムはロックのアルバムとしても歴史上のトップ5に入ろうかという傑作だと思いますし、ラヴェル編曲版と比べても、楽しさの点では、むしろ上回る傑作だと思います。

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2011年2月 4日 (金)

カリンニコフ 交響曲第1番ト短調&第2番イ長調 ~ロシア音楽紀行~

早いもので立春を迎えました。今日の東京はとても暖かく感じました。北国ではまだまだ厳しい寒さと雪に見舞われているものとは思いますが、陽射しが随分と明るくなってきたのを感じられますし、もう少し我慢すれば本格的な春がやってくることでしょう。そこで、「暖炉にあたった気分でロシア音楽を聴きましょうシリーズ」の第7回は最終回として、春の訪れを感じる名曲を聴くことにします。

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ヴァシリー・カリンニコフというと、何年か前に交響曲第1番がロシア音楽ファンの間で静かなブームになりました。けれども、それ以前にこの曲を聴いたことの有るのは、よほどのマニアのみだったと思います。

カリンニコフは19世紀後半の1866年に生まれましたが、20世紀になってすぐの1901年にこの世を去りました。それは彼が僅か34歳のときです。貧しい警察官の家に生まれながらも、子供の時から音楽の才能に恵まれて、14歳で町の聖歌隊の指揮者になったそうです。その後、モスクワで金銭の苦労をしながらも音楽を学び、チャイコフスキーに認められます。ようやく本格的な音楽の仕事を初めて間もなく、元々体が丈夫ではなかった彼は結核の病に侵されてしまいます。そこで、やむなく療養のために温暖なウクライナのヤルタに住みながら作曲を行いました。彼が残した2曲の交響曲もそこで書かれました。その後、彼はウラル山脈の山荘に移りますが、とうとう病が治ることは無く生涯を閉じてしまいます。

この2つの交響曲作品は師であるチャイコフスキーの影響をかなり強く受けています。ロシアの民謡をもとにした旋律は、さしずめチャイコフスキーの初期の交響曲のようです。管弦楽の響きも随分似ているように感じます。但し、チャイコフスキーが荒涼とした冬のロシアの大地を想わせるのに対して、カリンニコフはもっとずっと爽やかで、それはまるで春の息吹を感じさせるかのようです。曲想も若々しいので、「早春の譜」とか「青春の詩」というイメージがぴったりです。正にそこがカリンニコフの魅力です。僕はチャイコフスキーの初期のシンフォニーでは第1番「冬の日の幻想」と第2番「小ロシア」が大好きですが、カリンニコフの二つの交響曲にも抗しがたい魅力を感じます。哀愁漂う旋律の第1番のほうが一般の人気は高いですが、第2番も内容はよく似ていますし、聴くほどに魅力が増してゆく点で、この2曲はどちらも大切にしておきたい音楽です。

CDは、やはり1番と2番をカップリングしたもので聴きたいです。幸い素晴らしいCDが有りますのでご紹介します。

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エフゲニ・スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立交響楽団(ヴェネツィア盤)

2曲の録音時期は幾らか離れていて、第1番が1975年、第2番が1968年ですが、ロシア・メロディアの録音は1965年あたりからかなり進歩したので、録音の差異はほとんど感じません。ヴェネツィアによるリマスターも優秀ですし、鑑賞には全く問題ありません。それにしてもスヴェトラーノフに、このようなロシアものを演奏させると本当に素晴らしいです。旋律の情緒的な歌いまわしは最高ですし、何しろロシアの素朴な田舎の空気そのものを感じさせます。そしてフィナーレで金管を力強く吹かせるところはチャイコフスキーのシンフォニーと全く同じスタイルです。カリンニコフの師からの影響を改めて感じさせてくれる演奏です。

この曲を他の指揮者で聴いたことは有りませんが、スヴェトラーノフの演奏は大変に魅力的ですので、これ1枚でも不満は感じていません。ですが、もしもゲルギエフが手兵のキーロフ管と録音をしてくれたら、是非とも聴きたいと思います。実現すると良いのですが。

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2011年1月16日 (日)

ボロディン 弦楽四重奏曲第2番ニ長調(ノクターン) ~ロシア音楽紀行~

毎日ほんとうに冷え込みます。北陸や日本海側では大雪とのニュースが伝えられています。皆様お気を付けて下さい。それにしても昨年のあの長く暑い夏がなんだかとても懐かしく感じられますね。さて「暖炉にあたった気分でロシア音楽を聴きましょうシリーズ」も第4回です。前回はチャイコフスキーの三大交響曲と派手に行きましたので、今回はずっと静かな曲を聴きましょう。ボロディンの弦楽四重奏曲第2番です。

Ab_b01 ボロディンはムソルグスキーやリムスキー・コルサコフと同じ時代に活躍した作曲家ですが、作品は決して多くは有りません。歌劇「イーゴリ公」からの「ダッタン人の踊り」が有名ですが、あとは交響曲と管弦楽曲などが有ります。この人の作品は余りロシアの土俗感を強く感じません。冬の寒さというよりもむしろ夏のロシアの屋外の温かさを感じさせます。そんな作品の中で僕が昔から大好きなのが、弦楽四重奏曲第2番です。第3楽章の「ノクターン(夜想曲)」は単独でも「ボロディンのノクターン」として知られています。NHKの深夜のラジオ番組のエンディング・テーマとしてよく流れていました。この曲も寒さを感じないので、温かい室内で夜更けに一人ソファに座って聴くのにこれほどうってつけの名曲はありません。

この曲は4楽章構成です。第1楽章はアレグロ・モデラートですが、第1主題はとてもゆったりとした味わいでロマンティックです。ノクターンならずとも夜更けに聴くには既に最高です。途中で闊達になりますが、この楽章も僕は大好きです。第2楽章はスケルツォですが、やはりとても甘い雰囲気を持っていて魅力的です。第3楽章が有名なノクターンで、夜のしじまが遠く聞こえてくるような本当に夢見る様に静かな名曲です。こんな曲を聴きながら暖炉にあたることが出来たら本当に素敵でしょうね。第4楽章はアンダンテ・ヴィヴァーチェで、最後は闊達に曲を締めくくります。

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この曲のCDはたった1枚しか所有していません。学生時代にLP盤で愛聴した演奏を今はCDで聴いています。ボロディン弦楽四重奏団が1962年にDECCAへ録音した演奏です。この当時は第1ヴァイオリンをロスティスラフ・ドゥヴィンスキーが弾いていて、まだコぺルマンには変わっていません。ドゥヴィンスキーのほうが全体的にアクセントが強めで歌いまわしもダイナミックです。一方しなやかな美しさでは後のコぺルマンのほうが上だと思います。二人とも素晴らしいヴァイオリニストなのですが、コぺルマン時代には彼らはこの曲を何故か録音していません。ですのでいまだに自分の愛聴盤は変わっていません。もちろん他のメンバーも上手いですし、ロシアの雰囲気いっぱいのこの演奏は何物にも代えがたいです。

カップリング曲はLP時代と変わらず、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第8番ですが、これも素晴らしい演奏です。現在のCDには、更にヤナーチェク弦楽四重奏団の演奏するドヴォルザークの「アメリカ」も収められています。第1ヴァイオリンのイジー・トラーブニーチェクを中心に土俗的でダイナミックな演奏で楽しめます。僕はもちろんスメタナ四重奏団の演奏が一番好きなのですが、この演奏も中々に好きです。

というわけで、ボロディンをもう一度聴きながら寝ます。おやすみなさい・・・(Zzzzz)

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