音楽(ジャズ・ボサノヴァなど)

~恋人に捧げるコンチェルト~ 「ラヴァーズ・コンチェルト」 サラ・ヴォーン

Cci00016 今日は天下分け目の総選挙。政権交代が決定的な情勢です。そんな日本列島には台風が近づいていて夕方からは大雨。正に嵐の一日でした。それにもう直ぐ夏も終わりを遂げようとしています。今日は何となくクラシックと言う気分では有りません。そこでお気に入りのCDを取り出しました。ジャズ・ヴォーカルの女王(と僕は思っている)サラ・ヴォーンのスタンダード曲のベストアルバムです。

実はこのアルバムの1曲目の「ラバーズ・コンチェルト」は僕の大好きな曲なのです。半分はこの曲が聞きたくてこのアルバムを買ったようなものです。原曲はJSバッハの「メヌエット」ですが、よもやこれがバッハとはとても思えないほどの名曲に化けています。恐らくはクラシック曲のアレンジとしてはベートーヴェンの「エリーゼのために」がザ・ピーナッツの「情熱の花」(あるいは後年の「キッスは目にして」)に化けたのと双璧では無いでしょうか。

このアルバムには名曲が目白押しです。順に紹介しますと、1.ラバーズ・コンチェルト 2.スターダスト 3.酒とバラの日々 4.ムーン・リバー 5.いそしぎ 6.セプテンバー・ソング 7.イエスタデイ 8.ミスティ 9.オール・オブ・ミー 10.マイ・ファニー・バレンタイン 11.煙が目にしみる 12.誰かが誰かを愛してる 13.イパネマの娘 14.シャレード 15.ラヴ 16.ミッシェル 17.ダニー・ボーイ 18.思い出のサンフランシスコ 以上です。

もちろんこれらが全て他の歌手の持ち歌よりも優れた歌唱であるなどと言うつもりは毛頭有りません。「イパネマの娘」なんかは、あのアストラッド・ジルベルトのポワ~ンとした歌い方がやはり最高ですし、「イエスタデイ」や「ミッシェル」はビートルズの方が断然好きです。ですが、実力派サラ・ヴォーンが余裕を持って歌うスタンダード曲をまとめて味わうのも本当に楽しいものです。

いやー、それにしてもジャズ・ボーカルはイイですね。こんな風に歌の上手な女性に近くで歌われたら最高でしょうね。きっと僕はイチコロです。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

~JAZZの帝王~ 「カインド・オブ・ブルー」 マイルス・デイヴィス

アメリカという国はとても広大であり、そこには様々な人種や文化が存在していることは誰でも知っています。そんなこの国で最も「アメリカらしい」音楽とは何かと考えてみました。

008_3 僕は仕事で何度かアメリカへ行きましたが、広大な台地のどこまでも一直線で続く道路を車で走り続ける時にはカントリー&ウエスタンが一番しっくりきました。カントリーミュージック専門のラジオステーションは一日中そればかりを流しているので何時でも聞けるのです。と言っても現代のC&Wはテンポがたいてい速くてやはりカー向きです。古いC&Wの曲だとテンポがずっとゆっくりであたかも馬の背中に乗って歩いている風情なのです。やはり時代の変化ですね。話は逸れましたが、田舎ならばカントリー&ウエスタンこそが最もアメリカらしい音楽だと思います。

0065_md_stand2 それでは都会ではどうでしょう?ニューヨークやシカゴでカントリー?ちょっと違いますね。ブルース?ゴスペル?ソウル?ロック?僕ならやはりジャズだと思います。白人と黒人が混在して暮らす都会。そんな都会の夜の音楽といえばジャズを置いて他に無いと思うのです。それでは古今のジャズミュージシャンの中で最も代表的なプレーヤーは誰でしょう?たぶんこの質問には100人中99人はマイルス・デイヴィスと答えるのではないでしょうか。この人は昔から「帝王」と呼ばれていますが、モダンジャズを自ら確立させて更に比類なく進化させた正に「キング・オブ・ジャズ」です。この人にジャズのエッセンスが有るのではなく、ジャズのエッセンスがこの人そのものなのです。随分偉そうなことを言いましたが、僕は実はジャズについてはほとんど素人です。そんな素人ですら自信を持って言えるほどマイルスは偉大なのですね。

41ym8bq03xl__ss500__2 さて僕はマイルスの膨大な作品群は代表的な作品しか聴いていません。理由は余りに多すぎるからです。ですがその中でも最も惹かれるアルバム作品であり、専門家に聞いても同様に評価が特に高いアルバムが「カインド・オブ・ブルー」なのです。即興演奏が命のジャズはどんなに名曲を演奏してもミュージシャンが良くなければ何の魅力も有りません。そこがクラシックとはだいぶ違います。その点で、このアルバムでマイルスが集めているミュージシャンは最高のメンバーです。「最高」というよりも「奇跡的な」メンバーですね。常に最高のメンバーを揃えたマイルスの作品の中でも特に素晴らしいメンバーと言えるでしょう。パーソネルをご紹介します。

マイルス・デイヴィス(トランペット)、ジョン・コルトレーン(テナーサックス)、ビル・エヴァンス(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)、ジミー・コブ(ドラムス)ですが、一部の曲にキャノンボール・アダレイ(アルトサックス)とウイントン・ケリー(ピアノ)が入ります。

収録曲は全部で5曲。いずれも夜の都会のしじまに染み入るような音楽です。これほどまでに静けさと美しさを湛えた繊細なジャズの演奏って他に有るのでしょうか?それは決して神経質ということでは無く、優しくも孤独な大人の男の背中に滲み出るような雰囲気ですね。ブラームスの最良の室内楽演奏を聴いている感じでしょうか。マイルスのトランペットはもちろん無類の素晴らしさですが、ビル・エヴァンスのピアノがもう美しさの極みです。コルトレーンもさすがです。何より凄いのはメンバー全員の音が一体と成り切っていることです。それはやはりマイルスのリーダーシップなのでしょうね。

とにかく夜聴くのにこれほど相応しい音楽は有りません。昼間にボサノヴァやカントリー&ウエスタンを楽しんだ後に夜更けになったら、ウイスキーグラスを傾けながらマイルスを聴きましょう。「あ~素晴らしいなぁ。うーんマイルス!」

| | コメント (10) | トラックバック (0)

真夏のボサノヴァ・ジャズ 「スタン・ゲッツ/ジョアン・ジルベルト」 ~イパネマの娘~

Dscn4726 今週は世の中はすっかり夏休みモードですね。お休みにならないサービス関係などのお仕事をされている方々には大変申し訳なく思いますが、サラリーマンである小生は今日から休みに入ります。今週は台風やら地震やらで日本列島も色々落ち着きませんでしたが、お盆ぐらいは帰省される皆さんが故郷で落ち着いてゆっくりくつろげることを祈ります。

そこでクラシック音楽を聴くのも何となくいまひとつの気分の暑苦しい真夏ですので「サマースペシャル」ということで、クラシック以外の記事にしてみようかと思います。

さて「真夏に聴くベストミュージックは何か?」と質問されたとしたら、サザンとかチューブとかあるいはワイルドワンズ(古い!)とか色々挙げられるでしょう。ですが僕が挙げるとすればやはりブラジル音楽のボサノヴァです。そして、なかでも1曲選ぶとすればやっぱり「イパネマの娘」です。この曲のあの、けだるい雰囲気は何とも言えません。体の力が全部抜け切って、すっかりだらしなくなってしまいます。

Cci00010 かつてのボサノヴァ音楽の中心的存在であったジョアン・ジルベルトが、ジャズの人気サクソフォンプレーヤーであるスタン・ゲッツと共演して録音したアルバムが「スタン・ゲッツ/ジョアン・ジルベルト」です。「イパネマの娘」はこのアルバムに収録されています。話は少々逸れますが、最近「1Q84」が大変なベストセラーとなって話題の村上春樹さんが以前に書いた著書「意味が無ければスイングは無い」の中でスタン・ゲッツのことを取り上げていました。村上さんは無類の音楽好きなのですが、愛好するジャンルの巾の広さは驚くほどです。実はかくいう自分もクラシックに限らず広いジャンルの音楽が好きなのでとても興味深かったです。

このアルバムは発売された1963年当時のグラミー賞も受賞しましたし、「イパネマの娘」の世界的大ヒットもあり大変なベストセラーとなりました。その音楽はは50年近く経った現在耳にしてもとても新鮮に響きます。ところが録音の時のエピソードを知ると、「イパネマの娘」であのなんとも魅力的なヴォイスを聞かせる女性アストラッド・ジルベルトは当初は参加予定が無く、たまたま旦那さんのジョアン・ジルベルトに付き合って飛び入り参加しただけだったそうなのです。ですのでスタン・ゲッツはジョアン・ジルベルトに「あんたの奥さんのギャラは要らないだろ」とか言ったとか。その真偽の程はともかく、このアルバムは売れに売れたので参加者全員がハッピーな思いをしたことでしょう。なんでもジョアン・ジルベルトはスタン・ゲッツの演奏がボサノヴァのリズムとは違うと文句たらたらだったそうですが、そんな事はどうでも良いぐらいにボサノヴァとジャズが見事に融合していると思います。

真夏のけだるくなるような暑い午後、冷房のきいた室内でも、クソ暑い屋外でも、ひとたびこの音楽を聴くと幸せな気分になります。そんな音楽が他に有るでしょうか。

<パーソネル> スタン・ゲッツ(テナーサックス)、ジョアン・ジルベルト(ギター/ボーカル)、アストラッド・ジルベルト(ボーカル)、アントニオ・カルロス・ジョビン(ピアノ)、トミー・ウイリアムス(ベース)、ミルトン・バナナ(パーカッション)

| | コメント (8) | トラックバック (0)