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2024年4月

2024年4月17日 (水)

推して知るべしシルヴェストリ

Silvestri_constantin_05


コンスタンティン・シルヴェストリという指揮者は昔から知っていましたし、ショスタコーヴィチの第5番やコーガンの弾くチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の指揮など、中々良いと思っていました。けれども、それ以上聴いたことは無く、ほぼノーマークの存在だったのは確かです。

ところが最近、このブログに多くご投稿を頂いている“げるねお”さんからドヴォルザークの「新世界より」を強く推薦されたので聴いてみました。そうしたところ、確かに本当に凄い演奏でした。そこで調べてみると、その他にも興味深い録音が幾つも有ったので夢中になり聴いてみました。 

ルーマニア出身のシルヴェストリは1956年にパリに移り、仏EMIと契約をして数多くの録音を残しますが、55歳で他界した為に次第に忘れられてゆき、EMIの販売戦略からも外れて行きます。
しかし、ステレオ初期に録音したチャイコフスキーの三大交響曲、ドヴォルザークの後期三大交響曲(新世界よりはモノラルでも録音しています)、ベルリオーズの「幻想交響曲」あたりは、いずれも「超」を付けても良いと思われる名演です。スケールの大きさ、緩急の巾が大きいドラマティックさ、深い情感の表出など、どの演奏についても当てはまる凄い指揮者です。

シルヴェストリは一般的に「個性的」と思われ、それもどちらか言えばネガティヴな意味で使われることも多いでしょう。もちろん個性的には違いないですが、世によく見られる恣意的で姑息な演出を好むような指揮者とは根本的に異なります。それは常識にとらわれない芸術の本質を表現するための唯一無二の本当の個性だからです。

今回シルヴェストリの演奏を色々と聴いて考えました。オーソドックスであることの功罪です。現代の演奏家に共通して言える、特に欠点の見当たらない模範的な演奏の価値とは何だろうか?ということです。20世紀に活躍したかつての巨匠達(指揮者に限らず、器楽奏者でも声楽家でも全て)には強い個性が有りました。その演奏を聴けば誰かがすぐに分かるようなです。それが現代では演奏技術の水準は上がったと思いますが、そういった個性が失われているとしか思えません。それでもあなたはクラシック音楽を楽しめますか?
芸術とは?クラシック音楽とは?これからの未来の為にも一度立ち止まって考えた方が良さそうです。その為にも、シルヴェストリの演奏を是非聴いてみてください。推して知るべし“シルヴェストリ“。

シルヴェストリのCDを加筆した記事は下記の通りです。

チャイコフスキー 交響曲第4番
チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
ドヴォルザーク  交響曲7番
ドヴォルザーク  交響曲8番
ドヴォルザーク  交響曲9番「新世界より」
ベルリオーズ  「幻想交響曲」

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