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2020年12月15日 (火)

もう一つの「バイロイトの第九」 カール・ベーム 1963年ライブ

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ドイツの有名なバイロイト音楽祭は、リヒャルト・ワーグナーが自分の作品のみを上演する目的で建てた祝祭劇場で毎年夏に開催される音楽祭です。けれどもベートーヴェンの第九だけは、開幕記念演奏会のときにワーグナーが自分で指揮をして演奏されたことから例外的に節目節目に演奏をされて来ました。

オールド・クラシック愛好家にとっては「バイロイトの第九」と言えばまず、第二次大戦で中断したバイロイト音楽祭が戦後に再開した1951年の開幕で行われたフルトヴェングラーの演奏が思い浮かぶことでしょう。フルトヴェングラーは1954年にもバイロイトで演奏をしていますが、メジャーレコード会社のEMIが1951年の録音をレコード化したことから、こちらが圧倒的に良く知られています。その神がかった演奏はどれほどの時を経ても第九の一つのスタンダードと成り得ています。(この録音も含めて第九の様々な演奏家のCDについてはこちらから)

しかし今回取り上げるのは、もう一つのバイロイトの第九で、ワーグナーの生誕150年、没後80年記念となった1963年にカール・ベームが指揮した演奏です。この演奏は過去に幾つか海賊レーベルから出ていましたが、近年になりバイエルン放送局所蔵の音源をオルフェオがCD化しました。モノラル録音ですが広がりや臨場感が有るので聴き易く、年代的にはかなり良好の音質です。リマスタリングされた音が幾らかイコライジング気味な音なのが残念ですが、この手の復刻ではむしろ控え目の方ですし、何より高音域が過度に強調されることもなく、中音域から低音域のしっかりした音に支えられているのが嬉しいです。その為に木管楽器やチェロ、コントラバスの低弦、ティンパニなどの音が非常に明瞭で力強く響きます。

ベームの指揮はもちろんフルトヴェングラーの山あり谷あり波乱万丈型とは違い、基本的にインテンポを守り造形感を強く感じさせます。しかし実演で燃えて鬼神となるベームの本領をかなり発揮していて、そのエネルギー感が半端有りません。後年のグラモフォンの録音では遅いテンポで巨大な広がりの有るスケールを感じさせましたが、それよりも全楽章ともテンポは速めで直線的な迫力を強く感じさせます。爆発する推進力と重厚感がここでは見事に両立しています。

フルトヴェングラーのバイロイト盤と並べても決して遜色のない素晴らしい演奏であり録音であると思います。

グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ)
グレース・バンブリー(メゾ・ソプラノ)
ジェス・トーマス(テノール)
ジョージ・ロンドン(バス)
カール・ベーム(指揮)
バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団
録音:1963723
場所:バイロイト祝祭劇場
録音:モノラル(ライヴ)

発売:独オルフェオ

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ベートーヴェン(交響曲第7番~9番)」カテゴリの記事

コメント

ご無沙汰してます。ベームの第9、いいですね。今年の大晦日はベーム/VPOの第9を聴いて締める予定だったのですが、コロナ禍終息のメドが立つまで我慢しようかと思い立ちました。我々がコロナに打ち勝った後に改めて歓喜を味わいたいと思います。ハルくんさんには、投稿で色々とご迷惑をお掛けしました事を改めてお詫びいたします。一瞬だけ復帰させて頂きました。来年が良い一年でありますように。

投稿: 灰色熊 | 2020年12月30日 (水) 12時15分

灰色熊さん

こんにちは。第九のご封印ですか?
それでは1年以上聴けなくなるかもしれませんよ。コロナ禍の中だからこそ、自宅で聴かれるのは良いことのようにも思いますが。。。

ご迷惑などということはございませんでしたので、いつでもまたご参加ください。

どうぞ良い年をお迎えに成られますよう!

投稿: ハルくん | 2020年12月31日 (木) 06時56分

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