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2018年11月

2018年11月14日 (水)

ドヴォルザーク チェロ協奏曲 カザルスとフルニエ両巨匠の歴史的ライブ

ドヴォルザークのチェロ協奏曲は掛け値なしの名曲だと思いますし、溺愛している曲の一つです。今年は夏ごろに良く聴いていました。チェロの技巧を駆使したヴィルトゥオーゾ的な要素も聴き応えが有りますが、チェコ音楽に特有の素朴で爽やかな雰囲気に加えて、ほの暗い抒情性がなんとも魅力的です。

この曲の愛聴盤については、過去に「ドヴォルザーク チェロ協奏曲 名盤」の記事を書いていますが、その後も色々な演奏を加筆していますので良かったらご覧になられてください。

しかし今日は二人のいにしえの大チェリスト、カザルスとフルニエのライヴ録音盤についてご紹介したいと思います。

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パブロ・カザルス独奏、アレクサンダー・シュナイダー指揮プエルトリコ・カザルス音楽祭管(1960年録音/グリーンドア盤) 
ライナーノートを書いた浅岡弘和氏によれば、1960年にカザルス音楽祭を全演目ステレオ録音した米エベレスト社が唯一リリースしたのがこのドヴォルザークとのことです。しかし希少なLPのために店頭から直後に回収されたという憶測もあったらしいです。それほど貴重な音源で、しかも日本国内では正式に発売もされなかったようです。それがこうしてCD化されましたが、そのCDさえも今では貴重品となっているわけです。
この演奏当時カザルスは84歳でした。60年代になると指揮はしていましたがチェロの演奏はかなり減っていたはずです。この演奏も現代のチェリストと比べれば正確な技術面で相当聴き劣りするのは確かです。しかしここに存在する音楽の実在感は一体何なのでしょう。単なる「表現力」などという言葉ではあてはまらない凄まじいまでの魂の燃焼が有ります。それはカザルスが晩年に指揮をした管弦楽団とのあの一連の演奏の凄さと正に共通しています。
1950年代にスペインで隠遁生活をしていたカザルスを説得して音楽祭開催の立役者となったシュナイダーの指揮するオーケストラも、あたかもカザルスが乗り移ったかのように熱く素晴らしい演奏を繰り広げています。それはシュナイダーが、あのブダペスト四重奏団の一員(私が思うにこの人は世界最高のセカンドヴァイオリン奏者!)だったことも無関係ではないでしょう。

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ピエール・フルニエ独奏、イシュトヴァン・ケルテス指揮ルツェルン祝祭管(1967年録音/AUDITE盤) 
カザルスがいかに偉大だとしても、フルニエの弾くチェロの音色と奏でる演奏は本当に素晴らしいと思います。ロストロポーヴィチのような豪快さこそ有りませんが、比類の無い格調の高さを持つからです。音楽そのものの充実感は全く遜色有りません。
ドヴォルザークの協奏曲も数種類の録音が残されていて、中でも定評のあるセル/ベルリン・フィルとのグラモフォン盤は歴史的な名盤と呼べます。それとクーベリック/バイエルン放送響とのプライヴェート盤がベストを争う素晴らしさでしたが、それに新たに若くして水難事故でこの世を去ったイシュトヴァン・ケルテスとの共演盤が登場しました。1967年のルツェルン音楽祭でのライブですが、オールドファンにはたまらない組み合わせですね。更に嬉しいことにステレオ録音で音質も時代を考慮すれば大変優れています。
フルニエも正に全盛期にあり、ライブでも技術的な破綻がほとんど有りません。スケールの大きな音楽というスタイルでは無いのですが、実演による気迫は充分、フレーズ毎の歌い回しにも心がこもり切っていて、聴いていて胸にじわじわと迫ってきます。
ケルテスの指揮するオーケストラも非常に素晴らしいです。臨時編成の弱さを感じさせることもなく、集中力の高い音で独奏チェロを十全に支えています。大好きなこの曲に新たな名盤が加わったことは嬉しい限りです。

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