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2018年7月

2018年7月17日 (火)

ドヴォルザーク 交響曲第6番ニ長調op.60 名盤 ~ボヘミアの草原にて~

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いよいよ全国的に猛暑の到来ですが、記録的な大雨による災害に合われた西日本各地の方々には心よりお見舞い申し上げます。 

さて毎年6月から今頃まで梅雨時から真夏にかけて聴きたくなってしまうのがスメタナやドヴォルザークなどボヘミアの音楽です。もちろん聴感上の”冷却効果”なら北欧の音楽ということになるのでしょうが、それではなにか冷房の効いた室内にいるような気分になってしまいます。そこへゆくとボヘミア音楽からは屋外、それもボヘミアの草原で爽やかな自然の風に当たるような爽快感が得られます。これはあくまで個人的なこだわりです。 

そこで今回はこれまで取り上げていなかったドヴォルザークの交響曲第6番です。ドヴォルザークの交響曲は第7番以降の三曲が断然素晴らしいのですが、それに次いでは6番と5番が優れているので是非聴いて頂きたいと思います。 

ドヴォルザークの交響曲は最初に現在の第5番から第9番の5曲が出版されました。そのためにその5曲は当初、第1番から5番の番号が付けられました。しかも番号が作曲順では無かったために少々ややこしくなってしまいました。 

出版時の第1番 ⇒ 現在の第6番
      第2番 ⇒ 現在の第7番
      第3番 ⇒ 現在の第5番
      第4番 ⇒ 現在の第8番
      第5番 ⇒ 現在の第9番「新世界より」

最初に出版されたのが第6番であったために、これが当時の第1番とされました。もちろん現在の番号は作曲された順番ですので後期の5曲がやはり作品として充実しており聴き応えが有ります。 

よくドヴォルザークの第7番はブラームスの交響曲第3番の影響を受けたと言われていますが、この第6番はブラームスの交響曲第2番の影響を受けているのが明らかです。この両曲に共通するのは、温かな日差しを一杯に受けているような穏やかで明るい雰囲気を持ち、牧歌的な美しさに溢れている点です。 

第1楽章はアレグロ・ノンタントで、広々と広がるボヘミアの牧草地や遠くの山並みなどをイメージさせます。とても幸福感に包まれています。 

第2楽章アダージョは静けさの中に詩的な抒情性を持つ大変美しい楽章です。 

第3楽章プレストはスケルツォ楽章ですが、スラヴ舞曲の中でも最も急速なフリアントが置かれています。血が沸き立つような魅力が有ります。 

第4楽章アレグロ・コン・スピーリトで、軽やかなリズムで楽しさいっぱいです。第7番以降のシンフォニーの迫力ある終楽章とはまるで異なります。 

それでは僕の愛聴盤のご紹介です。

51p5zwdrwklカレル・アンチェル指揮チェコ・フィル(1966年録音/スプラフォン盤) アンチェルのセッション録音らしい端正な演奏です。1960年代のチェコ・フィルの演奏は素朴さが有り良いです。ただ、これもアンチェルの特徴ですが、響きが凝縮され過ぎている印象で、この曲には、もう少しふくよかな柔らかさが感じられる方が良いと思います。その割に3楽章の切迫感がいま一つです。写真は国内の新リマスター盤ですが、実際に所有しているのは旧リマスター盤です。音質の比較はしていません。 

41841syprrlヴァ―ツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル(1972年録音/スプラフォン盤) ノイマンのチェコ・フィルとのドヴォルザーク交響曲全集のこれは最初の録音盤です。写真は所有する全集で、現在では単独盤は廃盤かもしれません。ノイマンのゆとりと広がりがあり、温かな味わいが、この曲の持つ楽想とピタリ一致した素晴らしい演奏です。3楽章の切迫感はいくらか物足りなさを感じますが、終楽章のまったり感は独特の魅力です。録音からはだいぶ経ちましたが各楽器の音が明瞭に聞き取れる優れたアナログ録音です。 

711lltp5pwl__sl1087_ズデニェック・コシュラー指揮スロヴァキア・フィル(1977年録音/オーパス盤) 交響曲全集としてオーパスレーベルに録音されましたが、ノイマンの全集に一歩も引けを取らないどころか魅力の点で上回る点が多々あります。コシュラーとスロヴァキア・フィルのコンビは本当に最高でした。コシュラーの高い音楽性を支える弦楽の優秀さ、管楽の音の味わいなど惚れ惚れとする魅力を感じます。所有するのは写真の英国のライセンスレーベルRegis盤です。当時国内ライセンスを所有したビクター盤よりも音が柔らかい印象ですが、明瞭で広がりもあり優秀なリマスターが施されています。 

1982_51x10n830nl_2ヴァ―ツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル(1982年録音/スプラフォン盤) 上記のチェコ・フィルとの全集録音からわずか10年後の再録音盤です。所有しているのは全集ですが写真は単独盤です。演奏そのものはテンポといい解釈といい旧盤とほぼ同じと言って良いです。デジタル録音となりましたが、オフマイクなので客席で聴くような印象です。各楽器が近く感じられる旧盤とどちらを好むかは聴き手により左右されるでしょう。当時のチェコ・フィルの生音はむしろこちらに近いようにも思いますが、あくまで再生録音で楽しむ前提としては旧盤を好みます。 

Dvorak_717tis6tkyl__sl1200_イルジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィル(2012年録音/DECCA盤) 最も新しいチェコ・フィルの全集録音盤ですが、ここにはビエロフラーヴェクの到達した円熟の境地の姿が在ります。といっても実に生命感に溢れ、3楽章の速いテンポの切迫感など最高です。終楽章も速く情熱的なのでノイマンのまったり感の対極にあります。好みは別として、これは大変に素晴らしい演奏です。DECCAによる録音も客席で聴くような臨場感があります。数年前に実演で聴いたチェコ・フィルの美音を味わえて、この全集は今は亡きマエストロの最上の遺産となりました。 

さてどれもがこの曲の魅力を伝えているので絞り込む必要はないと思うのですが、強いて好みで上げればノイマン/チェコ・フィルの旧盤とコシュラー/スロヴァキア・フィル盤というところです。

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