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2016年12月 5日 (月)

シューマン ピアノ協奏曲 続々・名盤 ~落穂ひろいに非ず~

シューマンのピアノ協奏曲イ短調はドイツ・ロマン派を代表するピアノ・コンチェルトの一つですので、このブログでもこれまでシューマン ピアノ協奏曲 名盤、さらに続・名盤と二度にわたり愛聴盤をご紹介しました。

録音状態を度外視して演奏だけで言えば、ディヌ・リパッティのアンセルメとのライブ盤がベストです。また録音やオーケストラを含めた総合点で言えば、リヒテルのムーティ/ウイーン・フィルとのライブ盤やグリモーのサロネン/SKドレスデンとのDG盤が挙げられます。

また個人的には僕の中学時代の同級生で僅か49歳でこの世を去ってしまった小池由紀子が生前ブルガリアのソフィアで演奏したライブ録音盤にも特別な想いが有ります。

それらはいずれも名演奏揃いなので、三度目ともなればともすると”落穂ひろい”になりかねません。ところがどっこい、まだまだ名盤が残っているものだと認識を新たにします。

それでは続々とご紹介してみます。

Schumann71h4pr6xkrl__sy355_アルトゥーロ・べネデッティ・ミケランジェリ独奏、ダニエル・バレンボイム指揮パリ管(1984年録音/グラモフォン盤) これはパリでのライブ録音から25年も経ってから突然発売されたCDです。その理由はミケランジェリが生前にリリースを許可しなかったからだそうです。確かにこの人にしては100%完璧だとは言えないのかもしれません。特に演奏開始後しばらくが演奏に乗り切れていないように感じられます。けれども第1楽章のあの美しい中間部に入る辺りから、がぜん演奏に感興が増してきます。それにつれてピアノの音もどんどん輝いて来るから不思議です。必ずしもがっちりとしたドイツ風の演奏ではありませんし、シューマンの音楽の持つ不健康さも余り感じません。どこまでもミケランジェリのピアノ美の様式で彩られた演奏です。そういう点ではホロヴィッツとこの人は正に双璧です。少しも粘ることなく、ロマンの香りを一杯に漂わせるのは流石はこの人です。幾らかゆったり目のテンポでじっくりと大人のロマンを味合わせてくれます。バレンボイムもミケランジェリと同質の音楽を感じさせて、雰囲気がピタリと合っています。

Scumann41jdvhzqgglホルヘ・ボレット独奏、リッカルド・シャイー指揮ベルリン放送響(1985年録音/DECCA盤) ボレットもまた大人好みの名人ピアニストだと思います。冒頭から非常にゆったりとしたテンポで、音楽に念を押しながら曲を進めて行っています。それが時にはもたれる印象を受けることも有りますが、この曲の場合には音楽に気宇の大きさを感じさせていて素晴らしいです。ピアノのタッチも神経質さからはかけ離れたおおらかな印象を受けます。かと言ってテクニックに劣ることは有りません。エンターテイナー的な印象を受けるのはルービンシュタインと似ています。とにかく演奏に温もりを感じさせていて、聴いている人を幸福感で包んでくれます。シャイーに関しては、部分部分でボレットの音楽に付いてゆけずに、やや軽さ、小ささを感じさせてしまうことが有るものの全体的にはさほど不満を感じさせることは有りません。

Shumann41gil0xlil__sl500__2仲道郁代独奏、クラウス・ペーター・フロール指揮フィルハーモニア管(1994年録音/BMGビクター盤) 仲道郁代はシューマンが最高だと思います。ショパンよりベートーヴェンよりです。もしそう言うのがおこがましければ、シューマンの演奏が一番好きです。その理由はピアノの音の、表情の「優しさ」「温かさ」に有ります。確かに「狂気」や「暗さ」には幾らか不足するかもしれませんが、とにかくシューマンの夢見るようなロマン性が自然にしかも充分に滲み出ているからです。その仲道さんの特性にピタリと合うのがピアノ協奏曲です。1楽章、2楽章と実にゆったりと穏やかにシューマネスクな世界に導かれます。3楽章は落ち着いたテンポが輝かしさに欠けるかも知れません。けれどもそれが味なのです。フロールの指揮は仲道さんの音楽の特徴と寸分の隙間も感じられずに素晴らしいサポートぶりですし、英国のオケからドイツロマン派の響きを引き出していて心地良いです。

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コメント

こんにちは。

ユストゥス・フランツのピアノ
バーンスタイン&ウィーン・フィルのDG盤は
初出以来30年、誰にも相手にされていません。

宇野先生の言葉を借りるなら「ユルフン」
第1楽章の緊張感の乏しさが大きなマイナスなのですが
第2楽章は逆にそれが幸いして、実に美しいのです。
「ああ、なんといい曲なのだろう」と思います。
第3楽章もそれほど悪くはないので、視聴後の満足感があります。

ピアノを聴くよりもウィーン・フィルを聴く演奏ですね。
それが誰からも相手にされない理由だとは思いますが・・・

投稿: 影の王子 | 2016年12月10日 (土) 15時32分

影の王子さん、こんにちは。

ユストゥス・フランツですね。名前は知っていますが、演奏を聴いたことは有ったかどうか・・・。
この曲で”ウイーンフィルを聴く演奏”となるとディスク的にはちょっと難しいでしょうかね。ワルター・ギーゼキング盤でのフルトヴェングラーも圧倒的にオケの演奏に耳を奪われる演奏でした。

投稿: ハルくん | 2016年12月13日 (火) 12時38分

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