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2016年12月27日 (火)

ブルックナー 交響曲第7番 クリスティアン・ティーレマン/シュターツカペレ・ドレスデン ~今年聴いたCDから~

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さて、”今年聴いたCD”の締めくくりはクリスティアン・ティーレマンのブルックナーの交響曲第7番です。

この2枚組のCDがリリースされたのは今年の夏ですが、1枚目に収められているのは2012年9月のシュターツカペレ・ドレスデンへのティーレマンの首席指揮者就任祝いの演奏会でのブルックナー交響曲第7番、そして2枚目には2013年5月のワーグナー生誕200周年記念特別演奏会でのワーグナーの男声合唱とオーケストラのための『使徒の愛餐』が収められています。

ティーレマンは押しも押されぬ当代随一の人気指揮者ですが、伝統的なドイツ音楽の継承者として他には考えられない存在です。この人は常に遅めのテンポでスケールの大きい音楽を創り出していて、現代流行りの速いテンポによる切れの良さを求めた演奏スタイルに背を向けたところが逆にファンに支持される理由なのでしょう。

ですのでこの人が最も得意とするのは当然後期ロマン派ですし、若いころからオペラハウスの現場で鍛えられたワーグナーが一番です。次いでリヒャルト・シュトラウスやアントン・ブルックナーが上げられます。ブラームスやベートーヴェンもやはりスケールが大きく素晴らしいものの、このような古典的造形性を持つ音楽ではテンポを不自然に変えてしまう悪い癖が時々現れてしまう為に手放しでは称賛出来ません。

ティーレマンとシュターツカペレ・ドレスデンはこの演奏会の直ぐ後に行われた日本ツアーでも第7番を演奏していて、僕は残念ながら聴いていませんが評判は凄く良かったようです。

このCDの音質については、柔らかく美しいもののホールトーンの成分がやや過多に感じられて細部の分離に幾らか不満を感じます。編集段階で多少残響を付加しているのかもしれませんね。ただ、その代わり何気なく聞いている分には会場で生で聴いているような心地良さが感じられます。強音には僅かに歪み成分が混じるようですが気にするほどではありません。

肝心の演奏の基本テンポは遅めですし、呼吸の深さも妥当です。チェリビダッケのような極度に遅いテンポでは呼吸困難に陥る自分には丁度良いレベルです。

オーケストラについてはさしものシュターツカペレ・ドレスデンといえどもライブでは完璧とは言えません。しかしこれもCDではなく会場で聴いていれば果たして気になるかどうかという程度ですし、ライブでこれだけの演奏が可能なのはやはり凄いことです。これを名だたるセッション録音の名盤と比べたら瑕だらけ、ライブ盤として割り切って聴けば文句なし、そんなところでしょうか。

何だか褒めているようなケチを付けているような分かりにくい感想ですみません。自分としても良く分からないまま何度も繰り返して聴いています。それで最後まで聞き通せるのですから結局は気に入っているのでしょうね。特に終楽章は集結部に向かってじっくりと腰を落して立派に構えていて、壮麗な金管も少しもうるささを感じずに充実した音楽を味わえる稀有な名演奏だと思います。

『使徒の愛餐』は、「男性合唱と大オーケストラのための聖書の情景」と副題が付いていて、ワーグナーがドレスデンの音楽監督となった頃に書かれた作品で、1843年にワーグナーの指揮により100人のオーケストラと1200人の合唱によりフラウエン(聖母)教会で初演された記録が残っているそうです。

曲は聖霊降臨の場面に基づいた内容で、前半はアカペラによって壮麗に歌われ、後半ではオーケストラが加わって「パルジファル」の世界を想わせます。元々この曲はCDが少ないので、ワーグナー記念の年に初演の場所で行われた演奏会録音は貴重ですね。

【収録情報】
Disc1 [69:58]
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調 WAB107 (1944年、ハース版)
 録音時期:2012年9月2日
 録音場所:ドレスデン、ゼンパーオーパー

Disc2 [29:47]
ワーグナー:使徒の愛餐 WWV69
 録音時期:2013年5月18日
 録音場所:ドレスデン、聖母教会

 ドレスデン国立歌劇場合唱団 (Disc2)
 チェコ国立ブルノ・フィルハーモニー合唱団 (Disc2)
 ライプツィヒMDR放送合唱団 (Disc2)
 ドレスデン・フィルハーモニー合唱団 (Disc2)
 ドレスデン室内合唱団 (Disc2)

 シュターツカペレ・ドレスデン(演奏)
 クリスティアン・ティーレマン(指揮)

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ブルックナー 交響曲第7番 名盤

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コメント

こんばんは。

今年もお世話になりました。
本当にありがとうございます。
来年もよろしくお願いいたします。

さて、先日のHMVの売上ランキング
新録音での最も「売れ筋」であろう
ラトル&ベルリンのベートーヴェン全集が202位・・・
どれだけ新録が売れないのでしょうか?

私もですが、聴きてが「保守化」「内向き」になっているのでは?
限られた「予算」でハズれる「リスク」の新録より
「知ったとおり」の旧録を採る・・・
この傾向は続くのではないでしょうか。

それでは良い新年をお迎えください。

投稿: 影の王子 | 2016年12月28日 (水) 21時04分

影の王子さん、こんばんは。

こちらこそお世話になりました。
CD紹介記事の更新が長く滞っているときでも、古い記事に沢山のコメントをお送り下さり大変な励みになりました。心から感謝しております。

確かに新盤が売れる時代ではありませんね。
かつてのカラヤン、ベームの時代とは大きく異なるようです。これは演奏家側の責任のようにも思います。どれだけ魅力のある演奏家が居るかどうか・・・

それはもかく、来年も出来るだけ多くの記事の更新を続けて行きたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。
それでは良いお年をお迎えください。

投稿: ハルくん | 2016年12月31日 (土) 00時16分

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