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2016年11月 2日 (水)

ショパン ピアノ協奏曲第1番 ホ短調  続・名盤

CDを新しく入手したものの記事にアップしていないものが相当溜まってしまいました。1~2枚であれば、その曲の旧記事に加筆しているのですが、数枚に及ぶ場合は新たに記事にします。ということで、まずはショパンから。

ショパンのピアノ協奏曲第1番は青春の息吹に包まれた美しい名曲で、音楽のシンプルさから一見飽きそうな気がしますが、僕は案外飽きもせずによく聴く曲です。
この曲は随分以前に「ショパン ピアノ協奏曲第1番 名盤」で記事にしていますが、今回は久しぶりにその続編です。どうぞごゆるりとお楽しみいただければ幸いです。

Chopin146273574760143956178ハリーナ・チェルニー=ステファンスカ独奏/ロヴィツキ指揮ワルシャワ国立フィル(1958年録音/MUZA原盤:日本コロムビア盤) ポーランドの大ベテランCステファンスカ女史の古い録音ですが、無心で聴いていると自然に引き込まれてゆき心が幸福感で満たされるという良い演奏です。誇張や大げさな表現は皆無なので、現代の挑戦的で刺激的な演奏を聴いた後だと、微温的でまだるっこく感じるかも知れませんが、このゆとりは実に得難いです。決して退屈なわけではありません。さすがにピアノの音に少々古めかしさはありますが、個人的には下手に金属的な音よりもむしろ好ましく感じます。

Chopin81zfl5yitwl__sl1420_ホルヘ・ボレット独奏デュトワ指揮モントリオール響(1989年録音/DECCA盤) 時にもたれるぐらい遅い演奏をすることがあるボレットですが、この演奏でもその片鱗は伺えます。極端に遅いわけでは無いのですが、音楽が盛り上がる部分でもインテンポに徹していて決して煽ったりはしません。デュトワもボレットのピアノに忠実に合わせています。一音一音を大切にしているのは分からなくはありませんが、音楽が停滞してしまっていては問題です。特に第3楽章に頭書に出ています。もっとも第2楽章に関しては遅いテンポが詩情を醸し出していて中々に味わい深いです。

Nakamichi_chopin334仲道郁代独奏/コルト指揮ワルシャワ国立フィル(1990年録音/BMG盤) とても美しい音で奏でられたショパンです。アルゲリッチのような切れの良さや凄みこそ有りませんが、この曲の美しさが充分に感じ取れます。オーケストラがワルシャワ・フィルというのもアドヴァンテージです。祖国の生んだ偉大な音楽家への共感に満ち溢れていますし、ピアノと管弦楽が美しく溶け合ったまろやかな響きに思わずうっとりとさせられます。往年の巨匠や鬼才の演奏ばかりでなく、時には日本のピアニストの優れた演奏を聴いてみるのも「目から鱗」でとても楽しいものです。但し、しいて言えばピアノも指揮も少々真面目過ぎて面白みに不足するのが玉に瑕です。

Chopin0204スタニスラフ・ブーニン独奏/コルト指揮ワルシャワ国立フィル(2001年録音/EMI盤) ブーニンは1985年ショパンコンクール優勝時のライブが非常な秀演でした。それから16年後に再びライブ録音を札幌で残しました。相変わらず見事な演奏で大きく変わることは有りませんが、ひたむきさがより多く感じられるのは旧盤のように思います。新盤には逆に余裕が感じられますが、どちらを好むかは聴き手次第というところです。オーケストラ演奏はどちらもワルシャワ・フィルで優れていますが、個人的には旧盤の方により強く惹かれます。どちらにしてもブーニンのショパンは素晴らしいです。

Chopin713jtrghuhl__sl1050_ラファル・ブレハッチ独奏セムコフ指揮ロイヤル・コンセルトへボウ管(2009年録音/DG盤) ずっと若い世代の優秀なピアニスト、ブレハッチもまたライブ録音です。ブレハッチは極めてオーソドックスでポーランドの伝統を強く感じさせます。曲のメロディアスな部分をそれほど大げさに歌うわけではなくむしろあっさりと流しますが、連続するスケールやアルぺッジオの部分から驚くほど豊かなニュアンスの変化を聴かせてくれます。これは高い技術に裏付けされているのでしょうし、正に新世代の才能輝くといった感が有ります。コンセルトへボウはもちろん非常に上手いオーケストラですが、音が重過ぎるのと、音楽への共感度においてはやはりワルシャワ・フィルに及ばないように感じます。

この曲のマイ・フェイヴァリットは何といってもルービンシュタインの1966年ワルシャワ・ライブですが、続くブーニンの1985年ライブに加えて、これからはブレハッチ盤を頻繁に聴きたくなりそうです。

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コメント

こんばんは。

ブレハッチをまったく知らなかったので、早速聴いてみました。
とてもセンスの良い演奏に思えます。
力んだり、生真面目、神経質に弾いているワケではなく
淡々としていますが、とにかく音が語り掛けてきます。
安心して音楽に身を任せることができます
(アルゲリッチではそうはいかない)ね。
曲の美しさがストレートに伝わってきます。
これは良い演奏です!
ご紹介ありがとうございました。

投稿: 影の王子 | 2016年11月 4日 (金) 21時01分

影の王子さん、こんにちは。
お返事が大変遅くなりましてすみません。

ブレハッチお気に入られたのですね。良かったです!
仰る通り正攻法でとても素晴らしい演奏ですよね。

アルゲリッチも若い時の演奏は好きでしたが、年齢を重ねるにつれて段々と恣意的で不自然な演奏になっていったのがとても残念です。

投稿: ハルくん | 2016年11月 8日 (火) 12時37分

ハルくんさん、お久しぶりです。
ショパンの第1協奏曲ですか・・・。
この曲のイメージは、”自らの音楽活動のため 故郷を離れる 若者の 情熱と不安感の葛藤・・・”と言った感じでしょうか。    
 
私の愛聴盤ですが、ハラシェヴィッチの すっきり した中に作品への”共感”が感じられる演奏を好んで聴いています。
 
あと、ピアノの演奏だけなら、やはり リパッティが最高と思います。
 
ご紹介のCDでは、ステファンスカ盤に食指が動きます。
 
購入リストに入れようと思います。

投稿: ヨシツグカ | 2016年11月 9日 (水) 01時08分

ヨシツグカさん、こんにちは。
ご無沙汰しましたがお元気そうで何よりです。

ハラシェヴィッチはまだ聴いていませんが、ポーランド出身でしたっけ?
であればいい演奏でしょうね。
ショパンの円熟期の曲であれば演出たっぷりでも面白いですが、この曲なんかは表現過剰な演奏だと抵抗が有ります。
そういう意味ではステファンスカの地味さも中々に味が有ると思います。

リパッティは録音状態とオーケストラがつくづく残念ですね。

投稿: ハルくん | 2016年11月 9日 (水) 17時30分

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