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2016年3月28日 (月)

團伊久磨作曲 オペラ「夕鶴」公演

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今日は東京文化会館で團伊久磨のオペラ「夕鶴」を観て参りました。

私の生まれる前に初演されたこの作品は、おそらく日本人が作曲したオペラの中でも最も有名で上演回数も多いと思われます。でも私が観たのは今回が初めてです。

今回は新演出ということで、演出:市川右近、美術:千住博、衣装:森英恵、指揮:源田茂夫といったスタッフ陣でした。主役のつうを歌うのは佐藤しのぶです。

これまでのイメージは、舞台は質素な民家で土間には鍋や釜が置いてあり、登場人物の衣装は古い着物という感じでした。雑誌写真からはそう思っていました。

ところが今回は大きな回り舞台が有るだけで、あとは照明で変化を付けて、雪が時折降り注ぐだけです。極めてシンプルです。衣装は洋服ですし、村の子供たちは何色ものパステルカラーのガウンを着ています。

これが新しい「夕鶴」ということですが、こういう作品には奇をてらった演出よりも、昔話の絵本を見るような演出がやはり好きです。

この作品は、夫が妻つうの機織りをしている部屋を覗いてしまうまでの第1部が95分、つうが鶴の姿となって飛んで去ってしまう第2部が35分と非常にアンバランスな配分です。

音楽的には第1部はほとんど抑揚が無く、旋律も余り無く、淡々としたセリフもどきの歌で進んでゆきます。それで95分はちょっと辛いです。第2部は多少ドラマティックに成るので聴けますが、いかんせん第1部が長過ぎです。こういう音楽を風情のない舞台や衣装で見せられては正直言って楽しめません。

このオペラの台本は同名の戯曲からですが、『妻の隠れた姿を見てはならない』というのは、その逆も言い得て、『夫の隠れた姿を見てはならない』ということになります。つまり「夫婦はお互いに隠れた部分が有り、それを無理に暴けば亀裂が入る」というのがテーマなのではないでしょうか。それは現代にそのまま通じます。

そもそもオペラに仕上げるには、この物語は余りに単純過ぎるのではないでしょうか。古典的な演出の舞台を観たとしても、この音楽で楽しめるとは思えません。イタリアオペラやドイツオペラのあの楽しさはどこにも有りませんでした。それとも観る人が観ればちゃんと面白い作品なのでしょうか?自分には残念ながら理解出来ませんでした。

オーケストラ演奏はシティ・フィルでした。お世辞にも入念な音造りとは言えませんでしたが(はっきり言えばお粗末)、それはオペラピットの演奏には良く有ることですし、自分にはそれ以前の問題が大きいので余り気になりませんでした。

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日本人作品」カテゴリの記事

コメント

ハルくん様

今日は終戦記念日です。

この時期になると、マスコミによる閣僚の靖国参拝や旧日本軍による非人道的行為と題された報道番組が放送される等、隣国に媚を売るような扇動報道にうんざりします。
そもそも東京裁判なんて、アメリカが多くの日本人を殺しておきながら、それを正当化するために一方的に日本を裁いた裁判だと思っています。第一、日本人が戦火で亡くなられた日本人を弔って何が悪い、といつも思います。

この時期によく聴くのが、

  黛敏郎作曲 涅槃交響曲

です。

最初にレコードでこの曲を聴いた時、まるでホラー音楽みたいだと思いました。
しかし、NHKホールで、岩城宏之/NHK交響楽団、日本プロ合唱団の生演奏で聴いた時、感動のあまり、しばらく席を立てませんでした。後日、同じメンバーで録音されたCDでこの曲を聴く度に、あの時の感動が蘇ります。
これは、自虐史観に基づく嘘と綺麗事で固めた戦後民主主義に反対の主張をされていた黛敏郎さんに対する、同じく反戦後民主主義者である僕の礼賛と言えるのかもしれません。

関西では暑い日々が続きますが、関東では雨が多いとの事、体調を崩しやすい時期ですので、ハルくん様もお身体には十分ご注意下さい。


投稿: motosumiyosi | 2017年8月15日 (火) 22時47分

motosumiyosiさん、こんにちは。

ある時期からブログ上で政治問題の話題からは遠ざかってきました。思想を誤解なく文章で書き表すのは中々に難しいのと、各自の思想の異なりがせっかくの音楽の楽しみに水を差してしまうからですね。

敗戦国が戦勝国を裁くことなど出来ませんが、アメリカ軍による日本の都市に対する無差別爆撃や原爆投下は戦争犯罪として裁かれるべきだと思います。
また戦勝国が何十年もそのまま常任理事国に居坐る国連の体制にも否定的です。民主主義的な新連盟が絶対に必要です。
などと思いますがこれぐらいにしておきます。

motosumiyosiさまも体調管理にはどうぞお気を付け下さい。

投稿: ハルくん | 2017年8月17日 (木) 13時06分

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