« 2016年2月 | トップページ | 2016年4月 »

2016年3月

2016年3月28日 (月)

團伊久磨作曲 オペラ「夕鶴」公演

Dscn0434

今日は東京文化会館で團伊久磨のオペラ「夕鶴」を観て参りました。

私の生まれる前に初演されたこの作品は、おそらく日本人が作曲したオペラの中でも最も有名で上演回数も多いと思われます。でも私が観たのは今回が初めてです。

今回は新演出ということで、演出:市川右近、美術:千住博、衣装:森英恵、指揮:源田茂夫といったスタッフ陣でした。主役のつうを歌うのは佐藤しのぶです。

これまでのイメージは、舞台は質素な民家で土間には鍋や釜が置いてあり、登場人物の衣装は古い着物という感じでした。雑誌写真からはそう思っていました。

ところが今回は大きな回り舞台が有るだけで、あとは照明で変化を付けて、雪が時折降り注ぐだけです。極めてシンプルです。衣装は洋服ですし、村の子供たちは何色ものパステルカラーのガウンを着ています。

これが新しい「夕鶴」ということですが、こういう作品には奇をてらった演出よりも、昔話の絵本を見るような演出がやはり好きです。

この作品は、夫が妻つうの機織りをしている部屋を覗いてしまうまでの第1部が95分、つうが鶴の姿となって飛んで去ってしまう第2部が35分と非常にアンバランスな配分です。

音楽的には第1部はほとんど抑揚が無く、旋律も余り無く、淡々としたセリフもどきの歌で進んでゆきます。それで95分はちょっと辛いです。第2部は多少ドラマティックに成るので聴けますが、いかんせん第1部が長過ぎです。こういう音楽を風情のない舞台や衣装で見せられては正直言って楽しめません。

このオペラの台本は同名の戯曲からですが、『妻の隠れた姿を見てはならない』というのは、その逆も言い得て、『夫の隠れた姿を見てはならない』ということになります。つまり「夫婦はお互いに隠れた部分が有り、それを無理に暴けば亀裂が入る」というのがテーマなのではないでしょうか。それは現代にそのまま通じます。

そもそもオペラに仕上げるには、この物語は余りに単純過ぎるのではないでしょうか。古典的な演出の舞台を観たとしても、この音楽で楽しめるとは思えません。イタリアオペラやドイツオペラのあの楽しさはどこにも有りませんでした。それとも観る人が観ればちゃんと面白い作品なのでしょうか?自分には残念ながら理解出来ませんでした。

オーケストラ演奏はシティ・フィルでした。お世辞にも入念な音造りとは言えませんでしたが(はっきり言えばお粗末)、それはオペラピットの演奏には良く有ることですし、自分にはそれ以前の問題が大きいので余り気になりませんでした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年3月27日 (日)

山田和樹指揮日本フィル演奏会 マーラー交響曲第6番

Dscn0430

いまや大活躍の指揮者、山田和樹が2015年から2017年の3年にわたり渋谷のオーチャーホールで日本フィルと演奏するマーラー・チクルス第6回目を聴いて参りました。第1番から順番に演奏しているので、今回は第6番「悲劇的」となります。

山田和樹は私の住む厚木市からほど近い秦野市の出身ですので、やはり応援をしたくなります。地元出身に声援を送るのは相撲や高校野球だけではありませんね。

日フィルを聴くのは久しぶりです。7年前に第九を聴いて以来かもしれません。世代交代が遅れた感のある日フィルは当時は余り優れているとは思えませんでした。それがどう変わっているかも興味深いところです。

マーラーに先立って演奏されたのは武満徹の「ノスタルジア」で、この曲はヴァイオリン独奏と弦楽オーケストラのための15分ほどの作品です。淡々とした静寂に包まれた曲でした。

メインのマーラー第6はとても好きな曲です。しかしこの曲は熱演をすると、ともすると絶叫型の演奏に陥り易く、案外と難しいです。マーラーを得意とするバーンスタインのニューヨーク・フィルとの録音もそうですし、エリアフ・インバルが都響とこの曲を演奏した時にも金管の絶叫がうるさくて閉口した記憶があります。

山田和樹の演奏は基本テンポは速めでしたが、この曲を象徴する冒頭のザッザッザッという低弦の刻みの力強さが印象的です。3列目の席で聴いたので弦楽奏者の気迫、弓を大きく使い、音を割った迫力が生々しく感じられました。日フィルのイメージが変わります。

アルマのテーマの歌わせ方は中々です。個人的には更に大見得を切るような演奏が好きですが、これは悪くありません。中間部の壮絶な迫力は凄いですが、美観を損ねるような騒々しさにまで陥らないのが非常に良いです。この辺は山田和樹のバランス感覚だとしたら流石です。インバルよりも明らかに上です。

この曲は第2楽章と第3楽章でアンダンテ、スケルツォとアダージョが入れ替わる二つの版が存在していて未だに結論は出ていません。マーラー自身が迷っていて結論が出ていなかった為です。しかし今日は第2楽章スケルツォ、第3楽章アンダンテの順で演奏されました。山田和樹のこの見解はOKです。この逆にはどうしても馴染めないからです。

演奏については、第2楽章スケルツォのリズムの切れは良かったですが、第3楽章アンダンテの寂寥感、神秘感はもう一歩というところでした。これは自分の要求が相当高いところにあるからかもしれません。

終楽章は第1楽章と同じことが言えますが、あの長い楽章を乗り切りました。金管が幾らかバテ気味に感じられましたが、全体的に緊張感を最後まで維持して立派な演奏でした。

日フィルのマーラーもコバケン時代とだいぶ変わった印象です。以前は指揮者の要求に実際の音が応え切れない感が有ったのが、今日は山田和樹の棒にかなり応えていました。メンバーの世代交代と技術のレベルアップが着実に実現されていたように感じられました。ただしそれは他の在京オケにも言えることなので、さらに上を目指して欲しいと思います。

今日は色々な意味で聴きに来て良かったコンサートでした。残るは来年の7、8、9番ですが、9番は是非とも聴きたいと思います。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2016年3月16日 (水)

いちよ・たかこ・やぎりんトリオ 出逢いから1周年コンサート in シェア奥沢

12814329_1009618532437341_507913243

先週日曜日、「いちよ・たかこ・やぎりんトリオ 出逢いから1周年コンサート in シェア奥沢」が開かれました。

昨年の3月、自由が丘の古民家コミュニティ、シェア奥沢での共演が出逢いとなってこの素晴らしいトリオが誕生しました。言ってみれば、シェア奥沢はトリオにとって「聖地」なのです。

あれから1年。その聖地での記念コンサート&パーティに、やぎりんトリオのファンが大勢集り、とってもウォームでアットホームな楽しいひと時となりました。

アイルランド民謡の名曲「思い出のサリーガーデン」では、私もフィドルでゲスト出演させて頂きました。やぎりんがこの曲で吹くアイリッシュホイッスルとフィドルのハーモニーは大変に素朴でひなびた雰囲気を醸し出しました。忘れられない『思い出のオクサワガーデン』となります!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年3月 8日 (火)

ルッツ・レスコヴィッツさんのサロン・コンサート

12466086_10206341655598873_32197358

先週日曜日に聴いたルッツ・レスコヴィッツさんのサロン・コンサートは本当に素晴らしかったです。なにせイエルク・デームスと50年もの間DUOを組んだヴァイオリニストというだけで想像が付こうと言うものですが、実際に目の前で弾かれるルッツ氏のストラッドの音と言ったら圧巻!太くて柔らかくて美しくて・・・。その音は、僕の大好きな古き良きウイーンのヴァイオリニストのバリリやシュナイダーハンのイメージそっくり!ああ、音色も演奏スタイルも、あんな音楽を生演奏で聴くことが出来るだなんて思ってもいませんでした!

長谷川美沙さんのピアノ伴奏との息もピタリでしたが、やはりルッツさんが長年DUOを組んだデームスさんの愛弟子だからなのでしょうね。

夢のように素敵なコンサートを企画してくれたお店のマスター石田さんには大感謝です!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2016年2月 | トップページ | 2016年4月 »