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2015年6月18日 (木)

野田秀樹の天才! モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」

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昨夜は演劇界の巨人、野田秀樹が演出したモーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」をミューザ川崎で観劇しました。指揮は井上道義ですが、何でも井上さんから野田さんへの30年越しのラブコールがようやく実現したプロジェクトなんですって。今年の春と秋に全国で公演されますが、昨夜は春のラスト公演です。

野田さんと言えば中村勘三郎と組んだ幾つかの抱腹絶倒の創作歌舞伎が思い起こされますし、「アイーダ」をパロディにした歌舞伎も楽しかったです。それに比べると、今回はあくまでもまっとうなオペラ演出。ですが!そこは野田さんのこと、手垢にまみれた伝統的な演出とはかけ離れていますし、といって奇をてらった現代的な演出とも異なります。ドタバタコメディでありながら「男と女の愛情ドラマ」を本当に面白おかしく見せてくれました。

何しろ舞台設定が黒船来航時代の長崎です。通常ならば一番端役の庭師アントニ男(アントニオ)が初めから終わりまで語り部を務めます。レチタティーヴォを減らして物語の進行を歌手ではない俳優の廣川三憲を起用し、アントニ男として雄弁に語らせるという奇抜なアイディアです。受難曲で言えばさしづめ福音史家というところでしょうか。ですので、登場人物が複雑に入り組むこのオペラに初めて接した人でもとても理解し易くなっていたと思います。それは『普段オペラは観ないけれども、野田さんだから観てみようか。』という客層への配慮もあるようです。

<庭師アントニ男よりみなさまへ>
今宵は、懲りない「男と女」のお話しを、この庭師がいたします。 ところは長崎、港の見える丘。 時は黒船来航の世。 その黒船より、フルーツ、ピアノ、ダンス、牛鍋、オペラ、 そして西洋人が降りてまいります!

登場人物の伯爵と伯爵夫人、それに小姓ケルビーノの3人は黒船で海外から来た外国人の設定なので歌手も外国人です。その他の役は日本人の設定なので日本の歌手が演じます。歌詞やセリフについては外国人は原語で、日本人は日本語で演じました。その言葉が見事に融合していましたし、日本語で歌われるアリアの数々が不思議と違和感を感じさせません。確かに言語とは大きく異なるのですが、驚くほど自然に感じられています。歌詞は全て野田さんが書いたそうですが、これは正に天才のなせる業です!

演出には得意の歌舞伎の要素なんかも織り交ぜて、面白いこと楽しいこと!

川崎公演では管弦楽を東京交響楽団が担当しました。序曲や冒頭では幾らか不揃いの印象でしたが、途中から音が良くまとまってきて、素晴らしい演奏となりました。

歌手陣の配役もとても良く考えられたもので、感心しきりでした。フィガ朗(フィガロ)の大山大輔は美声で上手いのですが少々柔か過ぎで、もう少し力強さが欲しかったかな。小林沙羅のスザ女(スザンヌ)は一番良かったかもしれません。外国人3人についてはまず問題なし。ケルビーノは個人的には好まないカウンターテナーでしたが、この演出ではこれで良いのでしょう。
この他の歌手も良かったし、新国立歌劇場合唱団メンバーによる合唱も素晴らしかったです。

ともかく、こんなオペラを楽しむことが出来て本当に良かったです。
秋には全国公演の後半が有りますので、1000%のおススメですよ!

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