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2015年4月 2日 (木)

ラフマニノフ ピアノ三重奏曲「悲しみの三重奏曲」 名盤

Rachimaninov_mi0001039482_2モスクワ・ラフマニノフ・トリオ(2000年録音/英Hyperion盤)

ラフマニノフの作品には2曲のピアノ三重奏曲が有りますが、どちらも「悲しみの三重奏曲」(Trio Élégiaque)と呼ばれることから、うっかりすると混同しかねません。2曲とも20歳前後の若い時期の作品ですが非常な魅力作です。

ピアノ三重奏曲第1番ト短調
ラフマニノフが、まだモスクワ音楽院の学生だった19歳の時に作曲をした単一楽章による作品には作品番号が付けられて無いこともあり、1947年まで楽譜が出版されませんでした。しかし現在ではピアノ三重奏曲第1番とされます。何しろ、チャイコフスキーの「偉大な芸術家の想い出」に極似していて、哀愁漂う旋律とスケールの大きな構成、締めくくりの葬送行進曲など、チャイコフスキーの作品を参考にしたことは疑う余地が有りません。ラフマニノフというよりも、まるでチャイコフスキーそのものなのですが、その分親しみ易さは抜群ですし僕は大好きです。

ピアノ三重奏曲第2番ニ短調op.9
名ピアニストにしてモスクワ音楽院の設立者ニコライ・ルビンシテインが亡くなった際に、チャイコフスキーが追悼のために作曲した大傑作がピアノ三重奏曲イ短調「偉大な芸術家の想い出」でしたが、今度はそのチャイコフスキーが亡くなった1893年にラフマニノフが追悼して書いた曲がピアノ三重奏曲第2番です。従って「悲しみの三重奏曲」と名付けられました。
こうして追悼曲としてピアノ三重奏曲あるいは室内楽曲を作曲することがロシアの伝統となり、ショスタコーヴィチなどに受け継がれています。

この曲は3楽章構成から成ります。

第1楽章 モデラート
第2楽章 クヮジ・ヴァリアツィオーニ
第3楽章 アレグロ・リゾルート

もちろんこの曲も、チャイコフスキーの影響を受けてはいますが、第1番より遥かにラフマニノフのオリジナリティを感じます。それでいて第2楽章冒頭のピアノ単独部などはブラームス風に聞えるのが面白いです。全体は非常に充実していて演奏時間も40分を越え、室内楽としては大作です。

市販されているCDの数は決して多く有りませんし、第2番のみを収録しているディスクも多く見受けられます。けれどもあの魅力的な第1番を聴かないのは余りに勿体無いので、絶対に2曲とも収録されたものを選ぶべきです。
そうなるとアシュケナージ盤などは、入手性からも第一に上げられそうですが、僕の愛聴しているのはロシアのモスクワ・ラフマニノフ・トリオの演奏です。英国レーベル盤ですが、モスクワでセッション録音されたものです。

このトリオのメンバーは、ヴィクトル・ヤンポルスキー(Pf)、ミハイル・ツィンマン(Vn)、ナターリャ・サヴィノワ(Vc)と、3人ともロシア人ですが、どの人も余り情報が有りません。しかし演奏を聴くと正に純正ロシアの演奏そのものです。もちろん、ギレリス、コーガン、ロストロポーヴィチのトリオが残した「偉大な芸術家の想い出」の演奏ほどの凄みは有りませんが、演奏技術の高さ、音の力強さ、ロシアの哀愁、などラフマニノフの演奏に必要と思われるものを全て持ち合わせています。このCDにはピアノ・トリオの第1番と第2番の他にもチェロとピアノの為の2つの小品op.2、ヴァイオリンとピアノの為の2つの小品op.6が収録されていますが、これらも情緒溢れる佳曲ですので、とてもお得感が有ります。

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ラフマニノフ」カテゴリの記事

コメント

ハルくんさん

お久しぶりです!

ラフマニノフピアノ三重奏、桜の花が舞い散るこの時期に聴いても心に染みますね。

私が良く聴くはレジス・パスキエ、ペニティエ等のフランス人達のCDです。
本場のものでは無いですが万華鏡を覗いている様な素敵な演奏です。

投稿: よーちゃん | 2015年4月 3日 (金) 19時43分

よーちゃんさん、こんにちは。
ご無沙汰しましたがお元気そうで何よりです!

私のお国もの好きは少々”偏執的”??で仕方が無いのですが、確かにラフマニノフの音楽には洒落た感じが有りますので、フランスの演奏家からはまた別の良さが生まれそうですね。
ご紹介ありがとうございました。

投稿: ハルくん | 2015年4月 3日 (金) 22時23分

ハルくんさん、こんにちは。
この記事を読んで、私もラフマニノフのピアノ・トリオを聴いてみたくなり、チャイコフスキーの演奏が良かった ボロディン・トリオ盤を購入。聴いてみました。
ラフマニノフらしいロマンディックな曲ですね。ロシアの"哀愁"も漂っていて、ロシア音楽好きには たまりません。隠れた名曲だと思いました。
ボロディン・トリオは、ボロディン四重奏団の 元 第1ヴァイオリンのドゥビンスキーがソ連からの亡命後に結成したロシア人達によるアンサンブルなので、こうした曲は間違いありません。共感に満ちた 素晴らしい演奏です。

投稿: ヨシツグカ | 2015年4月 9日 (木) 09時53分

ヨシツグカさん、こんにちは。

ドゥビンスキーは素晴らしいヴァイオリニストですよね。CDを選ぶにあたり、最後までボロディン・トリオにしようかラフマニノフ・トリオにしようか迷ったのですが、やはり名前で「ボロディン」ではなく「ラフマニノフ」を取りました・・・というのは冗談で(笑)、チェロやヴァイオリンとピアノの為の小品集が組み合わさっていたからです。
次に購入するとすればやはりお勧めのボロディン・トリオになると思います。
ご紹介をどうもありがとうございました。

投稿: ハルくん | 2015年4月 9日 (木) 18時11分

お早うございます。

少し前ですが、中古屋でボロディントリオのを見かけ、1,2番ともに収録のは余りないと拝読していたので視聴して購入。

1番から引き込まれます。19歳の曲ですか...ミゾミゾしますw←

ピアノ協奏曲第2番みたく、フィギュアスケートで使われても◎に思うのですけど、1つのテーマで展開が繰り返される曲なので、普通に3楽章構成の2番と比較すると、実験的作曲だったのかなーと。

ボロディントリオは録音◎だし、コレさえ在れ盤でした。

投稿: source man | 2017年3月19日 (日) 08時53分

source manさん、こんにちは。

ボロディントリオのCDはとっくに入手しているのに記事のアップが出来ていません。なにせアップアップで・・・(苦笑)
しかしこれは素晴らしい演奏ですね。特にドゥビンスキーの歌い回しが流石です。
チャイコフスキーのピアノトリオも聴きましたが、これがまた素晴らしいです。早くアップしなければ。

投稿: ハルくん | 2017年3月21日 (火) 12時39分

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