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2014年12月 8日 (月)

ブラームス ヴァイオリンとチェロのための協奏曲 メニューイン&パーナス、パブロ・カザルス/祝祭管弦楽団

Casals51ypk3dnn2lユーディ・メニューイン(Vn)、レスリー・パーナス(Vc)、パブロ・カザルス指揮カザルス祝祭管弦楽団(1969年録音/カナダDremi盤)

1876年生まれの偉大なチェリスト、パブロ・カザルスは80歳近くになっても、なお演奏を続けていましたが、晩年には指揮者としても偉大な演奏を多く残しました。

そのカザルスの、これはちょっと珍しい録音です。この演奏が行われた1969年といえばカザルスが亡くなる4年前であり、最晩年の記録です。カザルス祝祭管弦楽団を指揮していて、独奏を務めているのはヴァイオリンがユーディ・メニューイン、チェロがレスリー・パーナスです。CDの解説ではオーケストラが、Casals Festival Orchestra(カザルス祝祭管弦楽団)とだけ記載されていて、演奏場所の記載は見当たらないのですが、おそらくはプエルトリコで行われたカザルス音楽祭か、あるいはフランスのプラドでの音楽祭のどちらかであると思われます。

カナダのDremiレーベルは貴重な歴史的ライブ音源の発掘で定評が有りますが、このCDも大変興味がそそられるものでしたので、目に留まって直ぐに飛び付きました。このCDには他にブロッホの「チェロとオーケストラのための”シェロモ”」とチャイコフスキーの「ロココの主題による変奏曲」が収録されていますが、どちらもパーナスのチェロ独奏ですが、指揮をしているのはカザルスではありません。ですので見ようによってはこのCDはパーナスのものの様ではあります。

さて、ともかくディスクを聴いてみると、カザルスの録音にしては年代が比較的新しいせいもあって、モノラルながら中々に聴き易い音質です。Dレンジは狭く残響も少ないのですが、分離は良いですし、高音と低音のバランスの良さは上々です。それに、やはり感じられるのはカザルスの造り出す音楽の気宇の大きさです。聴き手の心の内に向かってぐいぐいと入り込んでくるような凄みが有ります。独奏者のユーディ・メニューインもレスリー・パーナスも大好きな演奏家ですし、二人ともとても素晴らしい演奏をしています。ところが、それでも二人を大きな掌の上に載せて好きなように演奏をさせているのは、実はカザルスだという気がしてしまうのです。演奏のどこまでが独奏者本人のものなのか、カザルスの影響によるものかが判らなくなります。
メニューインのヴァイオリンは時々音程が外れたりもしますが、音楽そのものの威容の前にはほとんど気になりません。そんな些細な疵を気にして演奏の魅力を少しでも聞き漏らしてしまっては勿体無いと思うのみです。
パーナスはカザルスから絶大な信頼を寄せられて、いつも祝祭管弦楽団のチェロ・パートの首席を務めていただけあって、実に素晴らしい演奏です。

カザルスのブラームスと言えば、弦楽六重奏曲第1番に決して忘れられない歴史的な凄演がありますが、この協奏曲の演奏にもそれと共通した魅力を感じます。この演奏を聴いていると、単に上手いだけの演奏が如何につまらなく虚しいものかということを思い知らされるような気がしてなりません。
パブロ・カザルスという人は何と偉大な演奏家で、音楽家、芸術家、人間であったことでしょうか。

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コメント

ハルくんさん、こんばんは。
カザルス指揮での「ドッペル」が存在していたのですね。
カザルスのブラームスでは やはり あの、"超弩級"の「弦六第1番」を思い浮かべますが、このCDでも 「ブラームスが どうこう…」よりも、ただ "おおきな"(そして、感動的な)音楽が そこで鳴っている……。と言ったところでしょうか?
もし、そうなら 機会があれば、是非とも聴いてみたい演奏ですね。 
ご紹介 ありがとうございます。

投稿: ヨシツグカ | 2014年12月 8日 (月) 21時19分

ヨシツグカさん、こんにちは。

あの六重奏曲は凄いですよね。他にもピアノトリオとか、カザルスが加わった室内楽はどれも凄いので、共演者へ与える影響力が半端でないのでしょう。
協奏曲を指揮しても、ソリストの音楽がみな大きく変わってしまうようです。これほど大きな影響を与えてしまう演奏家は他にちょっと思い浮かびません。

>「ブラームスが どうこう…」よりも、ただ "おおきな"(そして、感動的な)音楽が そこで鳴っている… 
正にそのような印象です。是非聴かれてみて下さい。

投稿: ハルくん | 2014年12月 9日 (火) 15時17分

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