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2014年12月27日 (土)

ブラームス 室内楽曲集 ハンガリー弦楽四重奏団の名盤

Mi0001046430ブラームス 室内楽曲集 ハンガリー弦楽四重奏団/ジェルジー・ショルチャニー(Pf)/デイヴィッド・グレイザー(Cl)(1968年録音/EMI盤)

今年新しく入手したブラームスの室内楽CDは僅かに一つだけでした。まぁ「ダメよ、ダメダメ~」と言わないでつかぁさい。(←マッサン風広島弁)

ハンガリーの往年の名カルテット、ハンガリー弦楽四重奏団の2枚組のCDで、弦楽四重奏曲第1番と第2番、ピアノ五重奏曲、クラリネット五重奏曲という4曲が収められています。少々古い録音ではありますが、これは結構気に入っています。

ハンガリー弦楽四重奏団は名ヴァイオリニスト、シャーンドル・ヴェーグによって1935年に結成されましたが、セーケイ・ゾルターン加入後に拠点をハンガリーから移すこととなったためにヴェーグは退団して、ゾルターンをリーダーとして戦後は主にアメリカで活動を行いました。ブダペスト四重奏団、ヴェーグ四重奏団と並ぶハンガリーの輩出した往年の名カルテットです。

Szekely_zoltan           セーケイ・ゾルターン

ブダペスト四重奏団のメンバーは実はロシア生まれで、ドイツで研鑽、ハンガリーで入団と、ヨーロッパをカバーする経歴を持つのに対して、ハンガリー四重奏団のメンバーはあくまで生粋のハンガリー生まれなので、演奏のスタイルが幾らか異なります。ハンガリーのジプシー音楽の要素を少なからず持っているブラームスの曲にとっては、このローカルな味付けはプラスに感じられます。かといって情緒綿々として造形感が損なわれているような演奏では決してありません。メンバーの持つ技術は秀れていますし、古典的な造形性をしっかりと保有しています。要するに古典的な造形性を保持しながらも、ハンガリーの民族的な雰囲気をそこはかとなく持ち合わせた演奏スタイルだという印象です。また、ハンガリー出身の弦楽器奏者たちが持っている、悲哀が感じられる暗めの音色はブラームスの曲にはうってつけです。

もっともハンガリー四重奏団は、表現力と音楽の大きさでブダペスト四重奏団の後塵を拝し、綿々とした情緒表現の深さではヴェーグ四重奏団に及ばないという、両団体の中間に位置するような立ち位置が、彼らの印象をやや弱めている点は否定できません。ベートーヴェン演奏でもそうでしたが、このブラームスの演奏でも同様に感じられます。そう理解したうえで聴いてみれば、これは中々に味わいの有る演奏だと思います。ピアノ五重奏曲とクラリネット五重奏曲のテンポ設定は速過ぎも遅過ぎもしない中庸ですが、後者の終楽章などでは各変奏をゆっくりと後ろ髪を引かれるように情緒一杯に演奏しています。弦楽四重奏曲においても平均より遅めの速さでじっくりと歌わせています。これは中々に効果的だと感じました。

ちなみに共演者のピアニストは同郷のハンガリー生まれのジェルジー・ショルチャニーで、クラリネット奏者はアメリカ人のデイヴィッド・グレイザーです。2人ともテクニック的には申し分が無いですし、ハンガリー四重奏団と織成している緊密でバランスの良いアンサンブルは特筆ものです。

録音についてはEMI録音ですので、大きな期待は出来ませんが、このフランスEMI盤は決して悪くは無いと思います。

このCDは必聴盤として何が何でもお勧めするほどでは無いものの、ブラームスの室内楽が好きで色々と聴かれたい方にとってはとても愉しめるディスクの一つであると思います。

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ブラームス(室内楽)」カテゴリの記事

コメント

ハルくんさん、こんにちは。
私も、ブラームスの室内楽は 先日の エディ・ダニエルズと モーツァルトのカップリングでの ホープリッチの2枚の「クラ五」しか今年は購入していません。(笑)
でも、どちらも素晴らしかったので、まあ 満足しています。
 
ハンガリーQのCDは バルトークの全集(名演です)を持っていますが、ブラームスもあるのですね。
良さそうですが、ちょっと調べてみると 入手性は あまり良くないようです…。
気長に探してみます。

投稿: ヨシツグカ | 2014年12月27日 (土) 14時15分

ヨシツグカさん、こんにちは。

今年はモーツァルトばかりを聴いていたので、それ以外は余り聴くことができませんでした。それはそれで良かったと思いますが。

ハンガリーQの「バルトーク全集」は、やはり古典的な名盤でしょうね。
このブラームスのEMI盤は廃盤なので中古のリーゾナブルな価格のものを待つべきでしょうね。今のところはAmazon UKが比較的安いようですが、「そのうちに」で良いと思います。

投稿: ハルくん | 2014年12月27日 (土) 14時51分

こんにちは。今年も宜しくお願い致します。

ハンガリーSQは緊張感が高くていいですね。私はベートーヴェンの14番が好きなのですが、ブダペストやヴェーグより切れ味があるように感じます。14番の終楽章は血管が切れるくらいの情熱で鋭角的に弾いてほしいです。その他最近聴いたものではリンゼイSQは非常に優秀だと思いましたが、日本ではファンが少ないようです。ハンガリーSQのブラームスはネットではちょっと見つかりませんでした。

エディ・ダニエルズはハルくんさんとヨシツグカさんの推しもあって安心ですねー。私の中ではすでに横綱級の名演に昇格しましたので、今年初のCD購入予定です(笑)。

投稿: NY | 2015年1月 5日 (月) 07時01分

NYさん、こんにちは。
こちらこそ今年もどうぞよろしくお願いします。

第14番はやはり最高傑作でしょうね。個人的には第15番を更に好みますが。

以前はハンガリー四重奏団のベートーヴェンの全集を持っていたのですが、今は有りません。どうして手放したのか分りませんが、もったいないことをしました。
第14番の演奏の好みでは重厚感の最も有るブダペスト四重奏団ですが、ハンガリーをもう一度聴き直してみたいです。

エディ・ダニエルズのクラ5はいずれ購入したいと思います。ありがとうございました。

投稿: ハルくん | 2015年1月 6日 (火) 21時20分

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