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2014年12月18日 (木)

ブラームス ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調op.83 新々・名盤

人後に落ちぬブラームジアーナーを自負している自分ではありますが、とりわけ溺愛している曲の一つがピアノ協奏曲第2番です。このブログでも、これまで「名盤」「続・名盤」「続々・名盤」「新・名盤」と所有するCDを色々とご紹介してきました。
今年、新しく聴いた演奏としては、シェア奥沢のクラシック鑑賞会で取り上げたポリーニとティーレマンのドレスデン・ライヴが有りますが、それを含めてご紹介したいと思います。偶然ですが、同じ世代の名ピアニストが三人並ぶことになりました。

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ウラディーミル・アシュケナージ独奏、ベルナルト・ハイティンク指揮ウイーン・フィル(1982年録音/DECCA盤)

これは演奏スタイル、録音時期から言っても、ポリーニの1回目のアバド/ウイーン・フィル盤と比較されるべき録音だと思います。アシュケナージのピアノは相変わらず、クリスタルグラスのように透明で美しい響きです。その点ではポリーニ以上です。但し、この人のピアノはいつも感じることですが、余りに端麗ですっきりとしている為に、音楽の翳りの濃さというものが感じられません。ですのでブラームスの音楽の性質がそっくり抜け落ちているように思えます。その点が不満です。ハイティンクはゆったりと落ち着いたテンポでスケールの大きい指揮ぶりです。ウイーン・フィルも時に豪放に鳴り響いて快感です。一方で第2楽章などではピアノを含めた音の静寂の美しさが最高です。オーケストラの演奏と録音のみに関してはアバド盤よりも好みます。トータルでは非常に難しいところで、中々軍配が上げられません。

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アルフレッド・ブレンデル独奏、クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィル(1991年録音/フィリップス盤)

以前からブレンデルの弾くシューベルトは好きなのですが、モーツァルトやブラームスは余り好みませんでした。しかし人気盤を無視するわけにも行かないので改めて聴いてみました。この人のピアノの音はひんやりと冷たいイメージなので、シューベルトでは独特の透徹感が醸し出されて良いのです。しかしブラームスは音色だけで勝負するわけには行きません。ブラームス特有の感情のうねりが欲しくなるからですが、ブレンデルはそういう直接的な感情表出はしません。そこが時に物足りなさを感じたり、理屈っぽさを感じさせたりするように思います。他のウイーン出身のピアニストが往々にして見せるおおらかさとはブレンデルは無縁です。と言って「神経質」だとも思いません。意外に強打音などで豪放さを表したりもします。この演奏は非常に立派です。その点ではアシュケナージよりも数段上の風格を感じます。アバドもブラームスの音楽の翳りには幾らか不足するものの、この大曲を充分に聴かせています。フィリップス録音の影響か、ベルリン・フィルの音色の明るさが余り気にならないのも嬉しいです。

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マウリツィオ・ポリーニ独奏、クリスティアン・ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデン(2013年録音/グラモフォン盤)

ポリーニはこの曲を得意としていて、正規録音だけでもこれが3回目です。1回目のアバド/ウイーン・フィル盤は若きポリーニの鋭利で研ぎ澄まされたピアノが楽しめますが、いわゆる晦渋なブラームスの味わいはありません。2回目のアバド/ベルリン・フィル盤はそれよりも円熟味を増したポリーニの演奏が聴ける点で、どちらを選ぶかは好みの問題でしたが、今回のティーレマン/シュターツカペレ・ドレスデン盤が出てしまっては、2回目のベルリン・フィル盤の存在意義が薄れそうです。基本的な解釈は以前と大きく変わりませんが、鋭利さはかなり後退していて、代わりに武骨さが加わった印象を受けます。ブラームスの音楽として考えた場合には、ずっとそれに近づいたように感じます。演奏の気迫も凄まじく、とても70歳を越えた奏者には聞こえません。ティーレマンも同様の熱演ぶりで、シュターツカペレ・ドレスデンの持つドイツ伝統の分厚い響きを生かしていて素晴らしいです。

ということで、今回の3枚を加えてこれまでに全部で27枚のディスクを紹介したことになりますが、その中のマイ・フェイヴァリットとなると、やはりバックハウス&ベーム/ウイーン・フィル盤です。音楽の気宇のあれほどまでの大きさというのは、ちょっと他の演奏者からは感じ取ることが出来ないからです。
とは言っても、ルービンシュタイン、ゼルキン、アンダ、リヒテル、アラウなど気に入っているCDは他にも多く有りますし、どの演奏からも異なった良さが感じられるので楽しめています。ということで、未聴のディスクもまだ沢山有りますし、これからも色々と聴き続けてゆくつもりです。

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ブラームス(協奏曲:ピアノ)」カテゴリの記事

コメント

ハルくんさん、こんばんは。
ブラームスの Pコン 第2番 、私も大好きですが CDは バックハウス/ベーム盤と アンダ/フリッチャイ盤があれば ひとまずは安心です。 (個人的には ラローチャも良かったのですが……。)
 
次に狙っているのは シュミット/ケーゲル盤と 来年 1月発売予定の ツィモン・バルト/エッシェンバッハ盤です。
特に バルト盤はオケが ベルリン・ドイツ響との事なので 期待しています。

投稿: ヨシツグカ | 2014年12月18日 (木) 22時56分

ヨシツグカさん、こんばんは。

>バックハウス/ベーム盤とアンダ/フリッチャイ盤

そうですねー。これだけあれば、と言えないこともありませんが、アンダを入れると、次にルービンシュタイン、ゼルキン、アラウ・・・・とゾロゾロ出てきてしまいます。(笑)
ツィモン・バルト/エッシェンバッハ盤ですか。聴きたいですね。エッシェンバッハのブラームスは絶品ですが、ピアノはどうでしょうね。

投稿: ハルくん | 2014年12月18日 (木) 23時58分

ワッツ(ピアノ)バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィル

これは秋に発売されたソニー・クラシカル(旧CBS)の80枚組の
LEONARD BERNSTEIN EDITION CONCERTOS&ORCHESTRAL WORKSの中の1枚です。
80枚組といっても1万4千円ほどですが・・・

「ノルマ」で期待せずに聴いたのですが、なかなか良かったです。
ピアノもオケも力ずくではない堂々とした迫力があります。
素直に「良い曲だなぁ」と思わせてくれました。

あまたの名盤がある中で、敢えて買うほどではありませんが
ご報告させていただきました。

投稿: 影の王子 | 2014年12月23日 (火) 16時55分

影の王子さん、こんにちは。

昔、吉田秀和さんがワッツの演奏(たしかブラームス)を誉めていましたね。気にはなったものの、結局は聴かず仕舞いでした。
機会あれば、これからでも聴いてみたいです。
どうもありがとうございました。

投稿: ハルくん | 2014年12月23日 (火) 18時06分

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