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2014年12月

2014年12月30日 (火)

今年一年を振り返ってみました

一年が過ぎるのは本当に早く、もう残すところ2日だけになってしまいました。この一年、本当にありがとうございました。

今年は個人的には仕事の上で大変苦労をしましたが、それもようやく目途が立ち、年明けからは落ち着いて仕事に励めると思います。

それにしても今年は、かつてないほど多くの出会いや再会が生まれました。佐村河内氏のゴーストライター疑惑に疑問を投げかけたことからテレビにも出演された野口剛夫氏とは十数年ぶりに再会が出来ましたし、氏が主催した講演会がきっかけで、やはり十数年ぶりに音楽プロデューサー/執筆者の中野雄氏とお会いすることが出来ました。野口氏の主宰するフルトヴェングラー研究会のメンバーとも知り合うことが出来ました。

今、歌手クミコの歌う「広い河の岸辺」がヒットしていますが、この原曲のスコットランド民謡を日本語に訳したケーナ演奏家の八木倫明氏とは十数年前にお仕事上でのお付き合いが有り、氏のテレビ出演がきっかけで活躍を知ることとなりました。再会も出来て本当に嬉しかったです。

また、このブログがきっかけで世田谷の民間コミュニティ、シェア奥沢を運営する堀内正弘先生とお近づきとなり、音楽鑑賞会の企画を任せて頂くことになりました。先生もテレビ、新聞でその画期的な活動が何度も取り上げられています。また御縁あって知り合えた若手ヴァイオリニストの國本樹里さんとピアニストの山田磨依さんにはこちらで素晴らしい演奏会を行なってもらうことが出来ました。もちろん、これまで音楽鑑賞会に参加された大勢の方たちと知り合うことが出来ました。

ということで、仕事以外でこれほど多くの出会いが生まれた年というのはちょっと記憶が有りません。そして、このブログにお立ち寄り下さる方、コメントを寄せて下さる方々との日々の楽しい交流も本当に有り難いと思っています。
それらの出会い、触れあいの一つ一つが自分にとって本当にかけがえのない大切なものです。フィフティーズ最後の年でこれだけの御縁に恵まれていることに心から感謝しています。来年はグレードアップして、いよいよシックスティーズの仲間入りをする年になりますが、元気に頑張りたいと思っています。

また、最後に成りますが、このブログは今年は”モーツァルト・イヤー”でした。ほぼ8カ月をモーツァルトの記事に当てましたが、おかげで自分でも何かが得られたような気がしています。来年の計画については新年にじっくり考えてみようと思っています。

それでは皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。年が明けましてもこれまでと変わらぬお付き合いをどうぞよろしくお願い致します。

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2014年12月29日 (月)

ベートーヴェン 交響曲第9番 クルト・ザンデルリンク/ベルリン・ドイツ響のライブ盤

今年もいよいよ終わりに近づきましたね。昨日はシェア奥沢での今年最後のクラシック鑑賞会でしたが、歌劇「フィガロの結婚」の全幕をベーム/ウイーン国立歌劇場の日本公演DVDで鑑賞しました。つくづく凄いキャストと演奏だったと今更ながら驚かされます。年の瀬の慌ただしい中をいらして頂いた皆さんも、この演奏には一様に圧倒されていたようです。

さて、今年最後に取り上げるCDは、やはり”この曲”しかありませんね。もちろんベートーヴェンの第九です。何だかんだ言いながら、結局聴き納めには今年も第九を聴いています。

51facl7ssjl__sy300_クルト・ザンデルリンク指揮ベルリン交響楽団、
ベルリン放送合唱団、ベルリン国立歌劇場合唱団、ベルリン・コミッシェ・オパー合唱団
エヴァ・マリア・ブントシュー(S)、ウタ・プリエフ(Ms)、ペーター・シュライアー(T)、テオ・アダム(Bs)(1987年録音/Weiblick盤)

今年購入した第九のCDは、クルト・ザンデルリンクが1987年にベルリン・ドイツ響を指揮したライブ録音です。これはベルリン市制750周年を記念した祝賀演奏会の記録です。ですので合唱はベルリン放送合唱団、ベルリン国立歌劇場合唱団、ベルリン・コミッシェオパーの3つの団体からの混成です。独唱歌手も当時の東ドイツの歌手が揃いました。

ザンデルリンクというとブラームスの演奏の印象がとても強く、イン・テンポで堂々とした巨大な造形を構築するように感じています。ですので余りに人間的でドラマティックなベートーヴェンの音楽には今一つ合わない様なイメージを持っていました。ところが、この第九では堂々として立派には違いないのですが、フォルテの音は激しく、アクセントもかなり強調されていますし、テンポに揺れも感じられます。通常のザンデルリンクからは想像が出来ないほど極めてドラマティックな演奏なのです。

第1楽章からエンジンは全開。精神は激しく高揚しています。ティンパニの強打にも驚かされます。その激しさは「フルトヴェングラーのようだ」と言えば少々オーバーになりますが、中々に胸に迫るものが有ります。第2楽章も叩きつけるように激しいアクセントが興奮を呼んでいます。第3楽章では一転して静寂の雰囲気を一杯に漂わせていて非常に美しいです。第4楽章も導入部は冒頭から気合のこもった激しい音で表情豊かに迫ります。主部に入ると主題の歌わせ方の大きさに圧倒される思いです。独唱はバスをテオ・アダムが歌いますが、ここまでのオーケストラに比べると威厳と深さにやや物足りなさを感じます。その点、テノールを歌うペーター・シュライヤーは声、力強さともに十二分です。女性歌手の二人は平均的ですが歌のアンサンブルに不満は有りません。展開部でのオーケストラと合唱の白熱ぶりは非常に素晴らしいです。大きなスケール感と精神の高揚ぶりが見事に両立していて聴き応え充分です。コーダの迫力も中々のものです。
ライブですのでオーケストラの演奏には小さなキズが何か所も見られます。恐らくそれを気にする聴き手も多いかもしれませんが、個人的には問題とするほどでは無いと思っています。

CDの音質としては、残響が多い割には音に芯が有るので生々しさが感じられて良いです。初めはイコライジングが過剰に感じられますが、聴いているうちに気にならなくなります。問題はアナログで録音されているために、数か所で微妙な音揺れが感じられます。これはマスターテープに起因するのものだと思います。第1楽章で1箇所ホルンが引っくり返ったように聞こえるのは問題ですが、それ以外は個人的にはギリギリ無視できるレベルです。

ということから、確かにキズは幾つも有るものの、ザンデルリンクがこの3年後に同じベルリン響と録音したブラームス交響曲全集での悠揚迫らざる演奏と比べて、とても同じ指揮者とは思えないほどドラマティックな演奏であるのが驚きであり、非常に楽しめます。そういう点で、ザンデルリンクのファンにとって、とても価値の高い録音だと思います。

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2014年12月27日 (土)

ブラームス 室内楽曲集 ハンガリー弦楽四重奏団の名盤

Mi0001046430ブラームス 室内楽曲集 ハンガリー弦楽四重奏団/ジェルジー・ショルチャニー(Pf)/デイヴィッド・グレイザー(Cl)(1968年録音/EMI盤)

今年新しく入手したブラームスの室内楽CDは僅かに一つだけでした。まぁ「ダメよ、ダメダメ~」と言わないでつかぁさい。(←マッサン風広島弁)

ハンガリーの往年の名カルテット、ハンガリー弦楽四重奏団の2枚組のCDで、弦楽四重奏曲第1番と第2番、ピアノ五重奏曲、クラリネット五重奏曲という4曲が収められています。少々古い録音ではありますが、これは結構気に入っています。

ハンガリー弦楽四重奏団は名ヴァイオリニスト、シャーンドル・ヴェーグによって1935年に結成されましたが、セーケイ・ゾルターン加入後に拠点をハンガリーから移すこととなったためにヴェーグは退団して、ゾルターンをリーダーとして戦後は主にアメリカで活動を行いました。ブダペスト四重奏団、ヴェーグ四重奏団と並ぶハンガリーの輩出した往年の名カルテットです。

Szekely_zoltan           セーケイ・ゾルターン

ブダペスト四重奏団のメンバーは実はロシア生まれで、ドイツで研鑽、ハンガリーで入団と、ヨーロッパをカバーする経歴を持つのに対して、ハンガリー四重奏団のメンバーはあくまで生粋のハンガリー生まれなので、演奏のスタイルが幾らか異なります。ハンガリーのジプシー音楽の要素を少なからず持っているブラームスの曲にとっては、このローカルな味付けはプラスに感じられます。かといって情緒綿々として造形感が損なわれているような演奏では決してありません。メンバーの持つ技術は秀れていますし、古典的な造形性をしっかりと保有しています。要するに古典的な造形性を保持しながらも、ハンガリーの民族的な雰囲気をそこはかとなく持ち合わせた演奏スタイルだという印象です。また、ハンガリー出身の弦楽器奏者たちが持っている、悲哀が感じられる暗めの音色はブラームスの曲にはうってつけです。

もっともハンガリー四重奏団は、表現力と音楽の大きさでブダペスト四重奏団の後塵を拝し、綿々とした情緒表現の深さではヴェーグ四重奏団に及ばないという、両団体の中間に位置するような立ち位置が、彼らの印象をやや弱めている点は否定できません。ベートーヴェン演奏でもそうでしたが、このブラームスの演奏でも同様に感じられます。そう理解したうえで聴いてみれば、これは中々に味わいの有る演奏だと思います。ピアノ五重奏曲とクラリネット五重奏曲のテンポ設定は速過ぎも遅過ぎもしない中庸ですが、後者の終楽章などでは各変奏をゆっくりと後ろ髪を引かれるように情緒一杯に演奏しています。弦楽四重奏曲においても平均より遅めの速さでじっくりと歌わせています。これは中々に効果的だと感じました。

ちなみに共演者のピアニストは同郷のハンガリー生まれのジェルジー・ショルチャニーで、クラリネット奏者はアメリカ人のデイヴィッド・グレイザーです。2人ともテクニック的には申し分が無いですし、ハンガリー四重奏団と織成している緊密でバランスの良いアンサンブルは特筆ものです。

録音についてはEMI録音ですので、大きな期待は出来ませんが、このフランスEMI盤は決して悪くは無いと思います。

このCDは必聴盤として何が何でもお勧めするほどでは無いものの、ブラームスの室内楽が好きで色々と聴かれたい方にとってはとても愉しめるディスクの一つであると思います。

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2014年12月24日 (水)

ハインリッヒ・シュッツ オラトリオ「イエス・キリスト生誕の物語」SWV435 名盤

メリー・クリスマス!
世の中がもっともっと平和になりますように。
ということで、今日はやはりクリスマスにちなんだ曲で行きたいと思い、ハインリッヒ・シュッツのオラトリオ「イエス・キリスト生誕の物語」SWV435にします。

ドレスデンの宮廷楽長として活躍したシュッツは、何しろヨハン・セバスティアン・バッハより100年も早く生まれているので「ドイツ音楽の父」と呼ばれていますね。ルネッサンス風の古い無伴奏合唱曲も多く書いていますが、聴き易いのはやはり管弦楽伴奏が付いた曲です。中でも晩年に書かれたクリスマス・オラトリオは、キリスト誕生の物語を独唱、重唱、合唱、器楽合奏を用いて演奏する非常に親しみやすい名作です。

キリストが生まれる物語を聖書から福音史家(エヴァンゲリスト)がレチタティーヴォで朗唱し、それに天使、羊飼い、東方の博士たち、祭司長、律法学者、ヘロデ王といった登場人物たちの歌と合唱がからみあい、幸福感に満ちてとても落ち着いた雰囲気のうちに曲は進行してゆきます。終曲の合唱ではキリスト誕生の喜びが高らかに歌われますが、ここでもある種の”奥ゆかしさ”が失われることはありません。全体の演奏時間は30分ちょっとの規模なので、聴き惚れているうちに終わってしまい、もっともっと聴いていたくなるほどです。ですので気付かないうちに何度も繰り返して聴いてしまいます。

それでは愛聴ディスクをご紹介します。

6684093アンドリュー・パロット指揮タヴァナー・コンソート/タヴァナー合唱団/タヴァナー・プレイヤーズ
福音史家:ナイジェル・ロジャース(T)
天使:エマ・カークビー(S)
ヘロデ王:デヴィッド・トーマス(B)
(1985年録音/EMI盤)

アンドリュー・パロットはバッハの曲の演奏を聴くと、余りに美し過ぎて、逆に峻厳さに欠けるような気がしてしまいます。けれどもヘンデルやシュッツのこの作品では、楽しさや明るさが音楽に100%奉仕して心から満足させてくれます。合唱は透明感が有り極めて美しく、独唱陣も素晴らしい出来栄えです。
メンバーにイギリス人が多い為か、ドイツ語で歌っても余り”それらしく”は聞えませんが、曲が持つ性格からも、これはこれで良いと思います。
ナイジェル・ロジャースとエマ・カークビーの歌はさすがに魅力充分で文句有りません。タヴァナー・プレイヤーズの演奏もいつもながら素晴らしいです。

ディスクはこの素晴らしい演奏だけでも充分なのですが、やはりドイツ系の演奏家も聴きたいと思い、フリーダー・ベルニウス盤をオーダーしました。クリスマス・イブの記事には間に合いませんでしたが、25日に聴けたので加筆します。

Shutzフリーダー・ベルニウス指揮シュトゥットガルト室内合唱団/ムジカ・フィアタ・ケルン/シュトゥットガルト・バロック・オーケストラ
福音史家:クリストフ・プルガルティエン(T)
天使:モニカ・フリンマー(S)
(1990年録音/VIVARTE:SONY盤)

ドイツの古楽器派のベテラン、ベルニウスの録音です。全体的に南ドイツらしい一種のおおらかさ、温かさを感じます。それはこの曲の曲想にとても良く合っていてキリスト生誕の喜びが一杯に感じられることになります。余り神経質にならない合唱や器楽演奏も非常に好ましいものです。独唱では福音史家のプルガルティエンの美しいドイツ語がやはり本物を感じさせます。問題は天使を歌うフリンマーで、大きくアクセントの付いた歌唱がどうも人間的に感じさせてしまい、天使には聞こえません。この点がパロット盤のカークビ―に大きな差を付けられています。ですので、もしもどちらか一つを選べと言われたら、迷うことなくパロット盤の方を取ります。

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2014年12月22日 (月)

黒田官兵衛 ~播磨灘物語~ 司馬遼太郎

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毎週欠かさず観ていたNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」が終わってしまいました。
昨年の「八重の桜」やその前年の「平清盛」も非常に面白かったですが、今回の「官兵衛」が一番楽しめたかもしれません。主役の岡田君についてはアイドルグループV6のメンバーだということぐらいしか知らなかったので、最初は大丈夫かと思っていましたが、放送回数が進むにつれてすっかり役に溶け込んで、後半では入魂の演技が素晴らしかったと思います。

それにしても、こんなに面白く観られたのは、やはり黒田官兵衛という人物の魅力そのものに他ならないでしょう。田舎武士の家に生まれて、信長-秀吉-家康の三人に仕えあるいは対峙し、その間に命を落としても不思議で無い窮地をも乗り越えてついに晩年まで生き抜いたという、間違いなく「奇跡の人」ですね。
秀吉が畏れたほどの聡明さはもちろんですが、およそ私利私欲を持たない、この時代ではこの人と竹中半兵衛以外にはほとんど見当たらない稀有な人物なのでしょう。だからこそ奇跡のように生きられたのだと思います。出家してから黒田如水(じょすい=水の如く)と名乗りましたが、人生を流れる水のように自然に逆らうことなく身を任せて生きることが奇跡を生んだのですね。戦国時代に生きた人物として、これほど興味深い存在は中々他に居ないような気がします。

実は、司馬遼太郎の小説「播磨灘物語」を読んでいるところです。もちろん官兵衛の話ですが、今はまだ荒木村重の伊丹有岡城の獄中から奇跡的に助け出された場面のあたりです。大河の中で余り詳しく描かれなかった場面が色々と詳しく表現されているので、とても愉しく読んでいます。Kuroda_614yw82kyyl__sx220_

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2014年12月21日 (日)

雨天の中をダブルヘッダー

昨日は大雨の降る中を強行軍でした。と言っても、天気が問題なのでは無く、コンサートを連続して聴いたからです。但しどちらもアマチュアオケです。

まずは昼間、野口剛夫氏の率いる東京フルトヴェングラー研究会管弦楽団の演奏会を聴きました。ダブルヘッダーの第1試合にして非常に聴き応えの有る内容でした。前プロがフルトヴェングラーが13歳の時に作曲をしたという「序曲」変ホ長調ですが、こんな曲は他では中々聴くことは出来ません。13歳の少年の作とは思えないような聴き応えの有る内容に驚きます。そして続く曲目が、何といっても自分が溺愛するブラームスのピアノ協奏曲第2番と交響曲第4番とくれば、私はいったいどうすれば良いでしょう!(黙って聴けば、いーじゃないかぁ。)(笑)
ピアノの独奏はウイーン音楽大学のシュテファン・メラー教授です。さりげなく舞台に登場するも、演奏が始まるやいなや実に熱いピアノを聴かせてくれました。もちろんウイーン流ですので、気をてらうことのない正攻法のブラームスです。うーん、さすがだ!
オケの編成は弦が4-3-2-2.5プルトと比較的少人数ですが良く鳴りますし、上手い人が揃っているので室内楽的な面白さが楽しめます。小さめのホールの近い席で聴くので、音が非常に生々しいのも魅力です。
聴きどころの交響曲4番の冒頭、野口さんは大きめの音で非常に明確に開始しました。フルトヴェングラーのやり方とは全然違う!でも自分のブラームスの好みはこちらの方なんですね。全体的にもテンポを大きく変化させるフルヴェン流では無く、どちらか言うと決め所でテンポを落としてぐっと音を溜めるクナパーツブッシュ流に近いかも。
良い演奏を聴かせて頂けて感謝です!

フルトヴェングラー没後60年記念演奏会です。ご来場をお待ち申し上げます。メールでご連絡の先着100名様を無料でご招待します。
60ter Gedenkkonzert von Wilhelm Furtwaengler (20.12.2014. Komatsugawa Sakura Hall, Tokio) Furtwaengler: Ouvertuere in Es dur, Brahms: Klavierkonzert Nr.2 (Solo: Stephan Moeller), Sinfonie Nr.4 Dirigent: Takeo Noguchi

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続いて夜には、母校である明治大学交響楽団の定期演奏会を聴きに行きました。演奏を聴くのは本当に何年ぶりかのことで、前回聴いたのはいつだったか全く覚えていません。
しかし素晴らしい演奏会でした。後輩団員たちの技術的な進歩には目を見張るものがありましたが、指揮者の中田延亮さんの素晴らしさに驚かされました。
指示が非常に細かい、けれども実に音楽的。緻密にして大胆。 指示がやたら細かいのに音楽がつまらない、というのとは全く違います。
まずブラームス「大学祝典序曲」が非常に良かったです。この曲は聴いていてもよく飽きてしまいがちなのに、リズム、ハーモニー、バランスのどれもが極上で実に愉しめました。前プロにも手を抜かずに充実した演奏を聴かせてくれるとはただものでは無い、と感じました。...
チャイコフスキー「くるみ割り人形」組曲も中々の好演。二曲目なのでこちらの期待のハードルが上がりますがクリアです。
そしてメインはブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」。「音楽」にするのがこんなに難しい作曲家は居ないといつも思っていますが、その中でも特に面白く聴かせるのが難しい4番。プロオケでも滅多に面白いと思わない曲ですが、昨夜の演奏はアマオケとしては最上のブルックナーだったように思います。それも奇をてらった方法では無く正攻法で真正面から取り組んだブルックナー。その中に垣間見える中田流の隠し味付け、ニュアンス。大したものです。
後輩には、この方には是非指揮台に再び上がって頂けるように三顧の礼を尽くすべきだと言いたいですが、それはともかくとしても、今度は中田さんがプロオケを振る演奏会を是非聴きに行きたいと思います。

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2014年12月19日 (金)

木星音楽団のコンサート

スコットランド民謡「The Water is Wide」の日本語訳の歌「広い河の岸辺」が大ヒットして、最近は何かと作詞家”やぎりん”としての活躍が目立つ八木倫明さんですが、八木さんがケーナ奏者として参加している木星音楽団の出演するコンサートが今週水曜日に世田谷区民会館で開かれました。演奏が本当に素晴らしかったので、八木さんに感想をメールでお送りしたところ、ご自身のブログでそれを紹介してくれました。
  ケーナ奏者/作詞家やぎりん 公式ブログ

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2014年12月18日 (木)

ブラームス ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調op.83 新々・名盤

人後に落ちぬブラームジアーナーを自負している自分ではありますが、とりわけ溺愛している曲の一つがピアノ協奏曲第2番です。このブログでも、これまで「名盤」「続・名盤」「続々・名盤」「新・名盤」と所有するCDを色々とご紹介してきました。
今年、新しく聴いた演奏としては、シェア奥沢のクラシック鑑賞会で取り上げたポリーニとティーレマンのドレスデン・ライヴが有りますが、それを含めてご紹介したいと思います。偶然ですが、同じ世代の名ピアニストが三人並ぶことになりました。

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ウラディーミル・アシュケナージ独奏、ベルナルト・ハイティンク指揮ウイーン・フィル(1982年録音/DECCA盤)

これは演奏スタイル、録音時期から言っても、ポリーニの1回目のアバド/ウイーン・フィル盤と比較されるべき録音だと思います。アシュケナージのピアノは相変わらず、クリスタルグラスのように透明で美しい響きです。その点ではポリーニ以上です。但し、この人のピアノはいつも感じることですが、余りに端麗ですっきりとしている為に、音楽の翳りの濃さというものが感じられません。ですのでブラームスの音楽の性質がそっくり抜け落ちているように思えます。その点が不満です。ハイティンクはゆったりと落ち着いたテンポでスケールの大きい指揮ぶりです。ウイーン・フィルも時に豪放に鳴り響いて快感です。一方で第2楽章などではピアノを含めた音の静寂の美しさが最高です。オーケストラの演奏と録音のみに関してはアバド盤よりも好みます。トータルでは非常に難しいところで、中々軍配が上げられません。

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アルフレッド・ブレンデル独奏、クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィル(1991年録音/フィリップス盤)

以前からブレンデルの弾くシューベルトは好きなのですが、モーツァルトやブラームスは余り好みませんでした。しかし人気盤を無視するわけにも行かないので改めて聴いてみました。この人のピアノの音はひんやりと冷たいイメージなので、シューベルトでは独特の透徹感が醸し出されて良いのです。しかしブラームスは音色だけで勝負するわけには行きません。ブラームス特有の感情のうねりが欲しくなるからですが、ブレンデルはそういう直接的な感情表出はしません。そこが時に物足りなさを感じたり、理屈っぽさを感じさせたりするように思います。他のウイーン出身のピアニストが往々にして見せるおおらかさとはブレンデルは無縁です。と言って「神経質」だとも思いません。意外に強打音などで豪放さを表したりもします。この演奏は非常に立派です。その点ではアシュケナージよりも数段上の風格を感じます。アバドもブラームスの音楽の翳りには幾らか不足するものの、この大曲を充分に聴かせています。フィリップス録音の影響か、ベルリン・フィルの音色の明るさが余り気にならないのも嬉しいです。

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マウリツィオ・ポリーニ独奏、クリスティアン・ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデン(2013年録音/グラモフォン盤)

ポリーニはこの曲を得意としていて、正規録音だけでもこれが3回目です。1回目のアバド/ウイーン・フィル盤は若きポリーニの鋭利で研ぎ澄まされたピアノが楽しめますが、いわゆる晦渋なブラームスの味わいはありません。2回目のアバド/ベルリン・フィル盤はそれよりも円熟味を増したポリーニの演奏が聴ける点で、どちらを選ぶかは好みの問題でしたが、今回のティーレマン/シュターツカペレ・ドレスデン盤が出てしまっては、2回目のベルリン・フィル盤の存在意義が薄れそうです。基本的な解釈は以前と大きく変わりませんが、鋭利さはかなり後退していて、代わりに武骨さが加わった印象を受けます。ブラームスの音楽として考えた場合には、ずっとそれに近づいたように感じます。演奏の気迫も凄まじく、とても70歳を越えた奏者には聞こえません。ティーレマンも同様の熱演ぶりで、シュターツカペレ・ドレスデンの持つドイツ伝統の分厚い響きを生かしていて素晴らしいです。

ということで、今回の3枚を加えてこれまでに全部で27枚のディスクを紹介したことになりますが、その中のマイ・フェイヴァリットとなると、やはりバックハウス&ベーム/ウイーン・フィル盤です。音楽の気宇のあれほどまでの大きさというのは、ちょっと他の演奏者からは感じ取ることが出来ないからです。
とは言っても、ルービンシュタイン、ゼルキン、アンダ、リヒテル、アラウなど気に入っているCDは他にも多く有りますし、どの演奏からも異なった良さが感じられるので楽しめています。ということで、未聴のディスクもまだ沢山有りますし、これからも色々と聴き続けてゆくつもりです。

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2014年12月16日 (火)

モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」 DVD鑑賞会の予告

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シェア奥沢での今年最後のクラシック鑑賞会が12月28日に予定されています。モーツァルトの大傑作オペラ「フィガロの結婚」の全曲をDVDで鑑賞します。まだ正式告知はされていませんので、これは予告情報です。

このオペラは、モーツァルトの美しい音楽とダ・ポンテの書いた愉快な台本との融合が最高に楽しめますが、それをカール・ベームが1980年にウイーン国立歌劇場と日本へ引っ越し公演を行った際に、東京文化会館で収録された名舞台のライブ映像で鑑賞します。
市販されているDVDですので、ご覧になられた方も多いと思いますが、元々NHKがFM放送用に録音した高音質な音源をテレビ放送用の映像に組み合わせて編集したものですので、シェア
奥沢の素晴らしい音響装置と大スクリーンで楽しむことで、感動が新たになることでしょう。

日時:12月28日(日) 午後2時より
場所:シェア奥沢(東急自由が丘駅より徒歩6分)
参加費用:未定(但し若干)
予約方法::下記へお名前、連絡先をメールください
       
rsa54219@nifty.com ハルくん
 

(演奏)
カール・ベーム指揮ウイーン国立歌劇場管弦楽団、ウイーン国立歌劇場合唱団
ヘルマン・プライ(Br)、ルチア・ポップ(S)、ベルント・ワイクル(Br)、グンドゥラ・ヤノヴィッツ(S)、アグネス・バルツァ(S)他
(1980年9月30日収録/NHKエンタープライズ)

<追記>
正式イヴェント情報はこちらから

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~スケートリンクの怪人~ 羽生結弦くん GPファイナル連覇!

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あの優しい顔立ちの羽生くんを「怪人」というのも何なのですが、音楽が「オペラ座の怪人」ですし、まぁ良いかなと。昨日のグランプリファイナルは凄かったですね。外出をしていたので、今日録画を観ましたが、本当に凄い!
中国大会でのアクシデント直後の演技続行も色々と批判的な意見は出ていましたが、あれで2位に入ったのと、NHK杯で出場したことで薄氷のファイナル出場が決まったのでしたね。それでいて他を大きく(なんてものじゃない別次元の得点!)引き離しての完全優勝です。なんというドラマなのでしょう!
これがドラマの「怪人」でなければ「超人」かも?
というよりも既に世界のスケート界の至宝と呼べるでしょう。間違いなく。
羽生くんの向上心と言うのは底なしのようですので、これからも最高のドラマを何度も演じて見せてくれることでしょう。そして彼は一体どれほどの高みに登ってゆくことか。

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2014年12月11日 (木)

2015夏 ポリャンスキー/ロシア国立交響楽団の来日公演決まる!

Polyansky          (クリックすると拡大します)

こいつは大変なことになりました!
来年の7月、ヴァレリー・ポリャンスキーが手兵のロシア国立交響楽団を引き連れて東京、横浜、名古屋でチャイコフスキーの三大交響曲を演奏するそうです。

ポリャンスキーが録音したチャイコフスキーの演奏の素晴らしさは、以前ブログで記事にしましたが(こちら)、とりわけ「悲愴」に至っては、かのフェレンツ・フリッチャイ、エフゲニ・ムラヴィンスキーに並ぶ三大名盤の一つだと思っています。(ディスク入手については最下段を参照)

来年の日本公演では、信じ難いことに毎回まとめて3曲を演奏するのだそうです。ですので間に休憩が2回入るとのことです。何とタフなプログラムでしょう。

但し、間違えないように付け加えますと、このロシア国立交響楽団というのは、昔スヴェトラーノフが率いていた楽団とは別の楽団です。現在はロシア国立シンフォニー・カペラという正式名称であり、元々はロジェストヴェンスキーの為に結成されたソヴィエト国立文化省交響楽団なのです。
「なーんだ」と言うことなかれ。CDで聴く限りオーケストラの力量は超一流と比べると僅かに劣る気がしますが、それを補って余りあるのがポリャンスキーの持っている深い深い音楽性だからです。チラシ紹介にある”爆演型指揮者”というのとはちょっと異なるように思います。
どちらにしてもポリャンスキーを実演で聴くことが出来るとは本当に嬉しいです。一体どんな演奏になるのでしょう。
いやぁ、来年の夏は熱いぞぉ~。今から楽しみで成りません。

<参考> 招聘元HP:テンポプリモ

なお、補足ですが、現在「悲愴」のCDはオリジナルのシャンドス盤をAmazon U.K.から購入が可能です。中古であれば日本円決済で¥1,000少々ですのでストックが有るうちにお早めに。

<関連記事>
ポリャンスキー ロシア国立交響楽団 日本公演

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2014年12月 8日 (月)

ブラームス ヴァイオリンとチェロの為の協奏曲 メニューイン&パーナス、パブロ・カザルス/祝祭管弦楽団

Casals51ypk3dnn2lユーディ・メニューイン(Vn)、レスリー・パーナス(Vc)、パブロ・カザルス指揮カザルス祝祭管弦楽団(1969年録音/カナダDremi盤)

1876年生まれの偉大なチェリスト、パブロ・カザルスは80歳近くになっても、なお演奏を続けていましたが、晩年には指揮者としても偉大な演奏を多く残しました。

そのカザルスの、これはちょっと珍しい録音です。この演奏が行われた1969年といえばカザルスが亡くなる4年前であり、最晩年の記録です。カザルス祝祭管弦楽団を指揮していて、独奏を務めているのはヴァイオリンがユーディ・メニューイン、チェロがレスリー・パーナスです。CDの解説ではオーケストラが、Casals Festival Orchestra(カザルス祝祭管弦楽団)とだけ記載されていて、演奏場所の記載は見当たらないのですが、おそらくはプエルトリコで行われたカザルス音楽祭か、あるいはフランスのプラドでの音楽祭のどちらかであると思われます。

カナダのDremiレーベルは貴重な歴史的ライブ音源の発掘で定評が有りますが、このCDも大変興味がそそられるものでしたので、目に留まって直ぐに飛び付きました。このCDには他にブロッホの「チェロとオーケストラの為の”シェロモ”」とチャイコフスキーの「ロココの主題による変奏曲」が収録されていますが、どちらもパーナスのチェロ独奏ですが、指揮をしているのはカザルスではありません。ですので見ようによってはこのCDはパーナスのものの様ではあります。

さて、ともかくディスクを聴いてみると、カザルスの録音にしては年代が比較的新しいせいもあって、モノラルながら中々に聴き易い音質です。Dレンジは狭く残響も少ないのですが、分離は良いですし、高音と低音のバランスの良さは上々です。それに、やはり感じられるのはカザルスの造り出す音楽の気宇の大きさです。聴き手の心の内に向かってぐいぐいと入り込んでくるような凄みが有ります。独奏者のユーディ・メニューインもレスリー・パーナスも大好きな演奏家ですし、二人ともとても素晴らしい演奏をしています。ところが、それでも二人を大きな掌の上に載せて好きなように演奏をさせているのは、実はカザルスだという気がしてしまうのです。演奏のどこまでが独奏者本人のものなのか、カザルスの影響によるものかが判らなくなります。
メニューインのヴァイオリンは時々音程が外れたりもしますが、音楽そのものの威容の前にはほとんど気になりません。そんな些細な疵を気にして演奏の魅力を少しでも聞き漏らしてしまっては勿体無いと思うのみです。
パーナスはカザルスから絶大な信頼を寄せられて、いつも祝祭管弦楽団のチェロ・パートの首席を務めていただけあって、実に素晴らしい演奏です。

カザルスのブラームスと言えば、弦楽六重奏曲第1番に決して忘れられない歴史的な凄演がありますが、この協奏曲の演奏にもそれと共通した魅力を感じます。この演奏を聴いていると、単に上手いだけの演奏が如何につまらなく虚しいものかということを思い知らされるような気がしてなりません。
パブロ・カザルスという人は何と偉大な演奏家で、音楽家、芸術家、人間であったことでしょうか。

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2014年12月 4日 (木)

ブラームス 交響曲全集 名盤 ~古典派の肉体にロマン派の魂~

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ブラームスはロマン主義音楽の時代にあって”新古典主義者”とも呼ばれていますね。それは古典派の様式を踏襲していたからです。けれどもブラームスの音楽は非常にロマンティックでセンチメンタルです。要するにブラームスは『古典派の衣を着たロマン派』あるいは『古典派の肉体にロマン派の魂を持つ』と言い表せるのではないでしょうか。ですので特に交響曲の演奏について、自分はそのバランスを重要視しています。たとえばフルトヴェングラーのブラームスは肉体も魂も完全にロマン派ですので、どんなに凄い演奏であっても好みません。その逆に、いくら造形がしっかりしていてもロマンの魂が抜けたような演奏もまた駄目です。というのが自分のブラームス演奏についての基本的な考え方なのです。

ブラームスの交響曲は僅か4曲ですが、どれも充実仕切った傑作なので、どんなに聴いても飽きることが有りません。最近は第4番を最も好んでいますが、昔から大好きな第3番にもやはり惹かれます。
第1番はとても理屈っぽく書かれているので、「いいかね、この音楽はここが聴きどころで、こういう風に聴かなければ駄目なんだよ。」と説教されてるかのような印象を受けます。ところが、そこにまた惹かれてしまうのですね。結局のところブラームスの愛好家”ブラームジアーナー”には理屈っぽい人が多いのかもしれません。同じアナのムジーナーなのです。
第2番は終楽章の”イケイケどんどん”的なノリが余り好みではありませんが、3楽章までが非常に美しく、やはり魅力の尽きない曲です。

演奏に於いて、これら4曲を全て満足させてくれるのは至難の業なのですが、その神業を見せる演奏家も稀に存在します。ということで、所有盤を順にご紹介します。

Srcr000001725__180_180_102400_jpgブルーノ・ワルター指揮コロムビア響(1959-60年録音/SONY盤) CBSの録音のせいもあるのでしょうが、オーケストラの響きが薄いのがブラームスには難点です。演奏に寂寥感が不足しているのもやや気になりますが、それをカバーしているのがワルターの豊かな歌い回しです。曲毎では、最も出来の良いのがノスタルジックな表現に惹かれる4番で、次いでは1番を取ります。逆に2番、3番の演奏にはブラームスの曲の良さが出ていないように思います。従って全集として購入する必要は感じられず、単独盤でも充分だと思います。またモノラル録音盤が高く評価される場合も見受けられますが、アメリカ的でマッチョな演奏には少しも魅力を感じません。

Brahms_14ハンス・シュミット-イッセルシュテット指揮北ドイツ放送響(1967-73年録音/EMI盤) ブラームスの生まれ故郷ハンブルクの北ドイツ放送響(NDR)のライブ録音による全集です。NDRの暗くくすんだ音色が、いかにもブラームスの曲に良く似合います。どっしりと構えたテンポも、いかにもドイツ的ですが、このリズムを念押しする感覚が無いとどうしてもブラームスには聞こえません。その点、この演奏は安心して聴くことができます。ちょうどザンデルリンクのスケールを一回り小さくしたような印象ですので、もちろん良い演奏なのですが逆に損をしているようにも思います。全体的に高音強調型のリマスターにも不満が残りますし、第1番がモノラル録音なのもマイナスです。

Brahms254サー・エードリアン・ボールト指揮ロンドン・フィル(3番のみロンドン響)(1970-73年録音/EMI盤) 「バッハからワーグナーまで」というCD11枚BOXに含まれます。どの曲でもロマンティシズムに溺れ過ぎない節度を保っていて、テンポは速からず遅からずの中庸で、ほぼインテンポを守り、表情の大袈裟な変化は見せません。正に英国紳士の気品ある姿を想わせる雰囲気です。オーケストラの響きも地味で、くすんだ音色を持ちますのでブラームスに似合います。どの曲においても良質のブラームスに仕上がっていますし、これらは噛み続けるほどに味わいの増すスルメのような演奏だと言えるかもしれません。第1番ではユーディ・メニューインが自ら志願してコンサートマスターに就いたといういわくつきです。

4110061113 クルト・ザンデルリンク指揮シュターツカペレ・ドレスデン(1972年録音/DENON盤) 過去に全集で出ていて、現在は単独盤ですが、一応全集扱いとします。シュターツカペレ・ドレスデンのことを「幾ら引っ張ろうとしても動かない牛車のようだ」と称したのは、指揮者フリッツ・ブッシュ(アドルフ・ブッシュの兄)でしたが、同じドイツのザンデルリンクが指揮をすると、遅めで微動だにしないイン・テンポを守り、その特徴が最高に生きてきます。どの曲でも念押しするリズムがスケール感を生み出し、厳格なマルカート奏法には凄みすら感じられます。柔らかく目のつんだ典雅で厚みのある響きには心底魅了されますが、管楽器奏者たちの音楽的な上手さにも惚れ惚れさせられます。ティンパニーのゾンダーマンの妙技も最高ですし、正に全盛期のこの楽団とザンデルリンクが組んだ一期一会の全集です。曲毎でも第2番以外はいずれもベスト盤に位置します。

Brahms_bohem_14 カール・ベーム指揮ウイーン・フィル(1975年録音/グラモフォン盤) ウイーン録音の全集盤です。ウイーン・フィルの透明感のある響きは必ずしもブラームスの音には合わないと思っています。一方、堅牢なドイツの音に対してしなやかなウイーンの音にも良さは有ります。ベームの演奏は落ち着き過ぎの傾向は有りますが、極めてオーソドックスなので安心して聴くことが出来ます。曲毎では第2番の演奏がベスト、続いては第4番の出来が良く、逆に第3番は落ちます。曲により出来栄えに差は有りますが、スタイルが一貫しているので好きな全集です。

Brahms_masur253クルト・マズア指揮ライプチッヒ・ゲヴァントハウス管(1977年録音/フィリップス盤) ゲヴァントハウスの音が素晴らしく、コンヴィチュニー時代の質実剛健な響きは後退しているものの、そんじょそこらのドイツのオケでは出せない重厚な音を聞かせています。マズアも期待以上に健闘しています。ザンデルリンクの貫禄には程遠いものの、非常に安心して聴いていられるオーソドックスなブラームスです。全体的に中庸か、いくらかゆったりとしたテンポですが、全てにおいてイン・テンポを守っているのでスケール感もそれなりに感じられます。所々で覇気の無さが散見されるのは玉に傷ですが、何よりもゲヴァントハウスの響きが最大の魅力で、やはり素晴らしい全集の一つとして数えられます。

515r2b7qvll__ss500_ ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送響(1983年録音/オルフェオ盤) ミュンヘンでのライブ録音の全集です。どの曲にも共通して感じられるのは、クーベリックのリズムに念押しが不足することです。結果としてどの部分でも呼吸の浅さを感じてしまいます。ブラームスにそれほど重厚さを求めない聴き手には構わないことなのでしょうが、自分の場合には不満がどうしても残ります。録音も優れていますし、一般的には決して悪い演奏では無いとは思うのですが余りお勧めは出来ません。


Brahms_0013502bcオトマール・スイトナー指揮シュターツカペレ・ベルリン(1985年録音/シャルプラッテン盤) 写真はドイツ盤ですが、単独盤でも、ボックス盤でも出ています。テンポは決して遅く有りませんが、呼吸の深さが有るので腰が据わった印象です。第1番や第2番の終楽章などでは幾らかテンポを煽りますが、全体には古典的、ドイツ的な造形性をしっかりと感じます。それに加えてロマン的な味わいを持っているのも素晴らしいです。どの曲でも弦と管が柔らかく溶け合った響きが美しく、強奏部分でも少しもうるささを感じさせません。これは録音の柔らかさも寄与していると思います。特に3番と4番の演奏が優れますが、4曲とも欠点の無いのが大きなポイントで、その点ではザンデルリンクに匹敵します。これは全集としてもっともっと注目されて良い名盤です。

41mqvx5jevl__sl500_aa300_ カルロ・マリア・ジュリーニ指揮ウイーン・フィル(1989-91年録音/グラモフォン盤) ジュリーニは、どの曲でも遅いテンポでイン・テンポを守り、ゆったりとスケールの大きさを感じさせます。その点が、ブラームスの音楽と大きく合致しています。その上、少しも力みが無いのに緊張感を失うことがありません。全体を通してカンタービレがよく効いていて美しいですが、部分的には幾らか過剰に感じる箇所も有ります。ウイーン・フィルの響きはシュターツカペレ・ドレスデンのいぶし銀の音とは異なりますが、流麗で非常に美しいです。これはウイーン・フィルのブラームス全集の中でもベスト盤の一角を争うと思います。

Vcm_s_kf_repr_500x500 クルト・ザンデルリンク指揮ベルリン響(1990年録音/カプリッチオ盤) ベルリン響との新盤ですが、オーケストラの実力において旧盤のシュターツカペレ・ドレスデンには到底敵いません。全体的にかなり遅いテンポが沈滞したロマンを感じさせはしますが、少々重過ぎてもたれた印象を受けてしまいます。確かにスケールは大きいのですが、リズムに切れの良さが有りませんし、音楽に推進力が感じられません。第4番の終楽章の凄さなどは正に圧巻ですが、全集としてザンデルリンクのブラームスを聴くならばやはり旧盤に限ります。

Brahms_963レナード・バーンスタイン指揮ウイーン・フィル(1981‐82年録音/グラモフォン盤) バーンスタインは古典派形式の曲だと、確かにロマンの味わいは強いのですが、しっかりとイン・テンポを守り、様式感をとても大切にします。ですのでブラームスのシンフォニーも安心して聴くことが出来ます。どの曲の演奏でも奇をてらった演出は一切行わずに造形性を重視しています。ゆったりとしたテンポでスケール大きく聴き応えは充分です。緩徐楽章などでは幾らか耽美的に過ぎるような印象を受けないでもありませんが、その分ロマン的な情緒表出がとても豊かです。ウイーン・フィルの音は幾らか明るめに響いていますが、しっとりとした歌や楽器の音色の美しさは絶品です。

51tpouw3ykl__ss400_クリストフ・エッシェンバッハ指揮ヒューストン響(1991-93年録音/EMI Virgin盤) 現代の指揮者の中で数少ない強い個性を持つ点で注目するのが、クリストフ・エッシェンバッハです。流行のスタイルには目もくれずに、かつてのドイツの巨匠時代の重厚でロマンティックな路線を再現しているように感じるからです。この全集は、オーケストラがアメリカのヒューストン交響楽団だったので敬遠をしていましたが、実際に聴いてみて驚くのは演奏表現の統一感です。ゆったりとしたテンポが生み出すスケールの大きさとともにアゴーギグとテンポの流動性を巧みに生かしていて、ロマンティックなスタイルでありながらも正統的なブラームスを感じさせます。ヒューストン響の優秀さも印象的ですが、弦の上に管を柔らかくブレンドされたヨーロッパ風の美しい響きをアメリカのオーケストラからこれほど見事に醸し出すというのは、エッシェンバッハの実力なのでしょう。

Brahms_384ギュンター・ヴァント指揮北ドイツ放送響(1996-97年録音/RCA盤) シュターツカペレ・ドレスデンの持つ暖色系の音に対して暗いモノトーンの北ドイツ放送は正にブラームスの生まれ故郷ハンブルグのどんよりした曇り空を想わせます。ヴァントが晩年にライブ録音したこの全集はその暗く渋い響きを生かした演奏です。全体的に引き締まった演奏ですが、時にテンポのギア・チェンジが頻出してスケール感が損なわれてしまいます。彫の深いのは良いとしても少々神経質に聞こえるのがマイナスです。金管が時に張り出して聞こえるのもやはり煩わしさを感じます。

Uccg1674m01dlクリスティアン・ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデン(2013年録音/グラモフォン盤) 最新の録音が非常に素晴らしく、現在のシュターツカペレ・ドレスデンの美音を忠実に捉えた全集だと思います。にもかかわらずティーレマンの演奏は正にジキルとハイドのようで、スケールの大きさを感じさせたかと思えば、しばしばテンポに余計なギア・チェンジをして矮小さを感じさせてしまいます。少なくとも古典派形式の曲に対してはまだまだ青さを感じてしまいます。それはヴェートーヴェンの全集では見逃せるレベルでしたが、ブラームスではちょっと見逃し切れません。しかし、そうは言っても、このセットには交響曲の他に、ピアノ協奏曲とヴァイオリン協奏曲のライブ映像のDVDが含まれていて、そちらは非常に魅力的です。

ということで、マイ・フェイヴァリット盤はこれまで何度も書きましたが、ザンデルリンク/ドレスデン・シュターツカペレ盤で決まりです。この不動の王座は揺らぎません。次いではスイトナー/シュターツカペレ・ベルリン盤を上げたいと思います。ザンデルリンクと同じ純ドイツ・スタイルですが、武骨なザンデルリンクに対して、しなやかさを備えている点で異なる魅力が有ります。
純ドイツ風の演奏でもう一つ加えるとすればマズア/ゲヴァントハウス盤です。
その他には、ウイーン・フィルの演奏からも選んでおきたいので、ベーム、ジュリーニ、バーンスタインの3つを上げます。どれも素晴らしいのですが、どれか一つと言われたら、僅差でジュリーニというところでしょうか。

他にもフルトヴェングラーやトスカニーニ、あるいはカラヤン、ベイヌム、ケンぺ、ケルテス、バルビローリなど色々と有りますが、全集としてはそれほどの魅力を感じていません。

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2014年12月 1日 (月)

たかこ・やぎりんバンド♪ コンサート Sound For Life第5回〜第6回のご紹介

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今、大きな話題となっているスコットランド民謡「広い河の岸辺:The Water Is Wide」の日本語訳詩を書いたことで注目を集めているケーナ演奏家の八木倫明(やぎりんめい)氏、通称”やぎりん”のコンサートが来年1月に東京オペラシティで開催されます。いつも新年には余り堅苦しくないコンサートに出かけることが多いのですが、来春はこれに決まり!としました。

たかこ・やぎりんバンド♪ コンサート
Sound For Life第5回〜第6回

パラグアイのハープ(アルパ)とアンデスの笛ケーナのデュエットです。

出演:藤枝貴子(アルパ)、八木倫明(ケーナとナイ)、小川真弓(歌)、勝田麻吏江(朗読)

日時:2015年1月17日(土)
 昼の部 午後2:00開演 
 夜の部 午後6:00開演
会場:東京オペラシティ3階 近江楽堂(おうみがくどう)

―プログラム―
♪広い河の岸辺(The Water Is Wide)スコットランド民謡/八木倫明 訳詞
♪思い出のサリーガーデン アイルランド民謡/やぎりん訳詞
♪ラ・ゴロンドリーナ(つばめ) N.S.セビージャ/やぎりん訳詞
♪僕の森 遊佐未森/工藤順子作詞
♪いのち 古木涼子 作詞作曲
♪コンドルは飛んで行く D.A.ロブレス
♪アマポーラ J.M.ラカーリェ 
♪引き潮 R.マックスウェル
♪ラピュタ・シチリアーナ 久石譲
♪映画『ライムライト』〜テリーのテーマ Ch.チャップリン
♪ラ・サンドウンガ メキシコ民謡
♪黄色い村の門 アイルランド民謡 
♪映画『ミッション』〜ガブリエルのオーボエ E.モリコーネ
♪『銀河鉄道の夜』〜白鳥の停車場 藤平慎太郎
ほか
更に詳しくは、やぎりんさんのホームページをご参照ください。

それにしても癒されそうな曲目がずらりと並びますよね。
10年以上もお付き合いの途絶えていた八木さんが、これらの曲でどんな演奏を聴かせてくれるか本当に楽しみなんです。

チケットのお申込みは以下へどうぞ。

●前売料金(自由席)
一般¥3000 学生¥1000
(一般当日¥3500/学生当日¥1500)

●お申込み(主催)
地球音楽工房(やぎりんオフィス)

【電話】080-5379-4929

FAX】(03)6759-3297

E-mailyagirin88@gmail.com

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