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2014年9月

2014年9月27日 (土)

「花子とアン」 ごきげんよう、さようなら

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ごきげんよう。

NHKの連続朝ドラ「花子とアン」の放送が終了してしまいましたね。いやいや、半年間1回も欠かさずに楽しませてもらいました。その前の「ごちそうさん」も実に面白かったのですが、「花子とアン」はそれを上回るほどの面白さでした。そのまた前の「あまちゃん」には楽しめなかったですが、最近の二つの朝ドラは大好きです。次回の「マッサン」はどうでしょうね。予告を見た限りでは中々に面白そうですが。

そういえば大河ドラマの「軍師官兵衛」ももうじき終わりですね。これも本当に素晴らしいです。「平清盛」「八重の桜」と3作も続けて面白い作品が続いたのは驚きです。

それともう一つ密かに?楽しんでいるのが木曜時代劇で、このショートシリーズも大好きです。「吉原裏同心」が終わってしまったのは残念。

それにしても最近のNHKのドラマは充実していますね。現代ドラマは今ひとつのように思いますが、歴史、時代物の充実ぶりはさすがは国営放送です。まぁ受信料を払っているのだから当たり前と言えばそうなのですが。民放にも面白いものは有りますが、流れゆく大河の如きじっくりと腰を据えて制作された作品というのには中々お目に掛れないようです。今後に期待しましょう。

ごきげんよう、さようなら。

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2014年9月21日 (日)

モーツァルト 歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」K588 名盤

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モーツァルトの歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」K.588の正式なタイトルは「Così fan tutte, ossia La scuola degli amanti」で、訳すと”女はみなこうしたもの、または恋人たちの学校”となります。台本は「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」と同じダ・ポンテの手によります。

ストーリーは、二人の姉妹のそれぞれの彼氏が、彼女らの貞節を試すために互いの相手を口説いてみたところ、二人とも心変わりをしてしまう。けれども、どちら側にも言い分が有るので、そのままお互いに認め合うしかないものだという内容です。
そんな内容から、長い間この作品は不道徳であるとして低く評価されて来ましたが、20世紀になると再評価されて、現在では「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」「魔笛」の三大オペラに加えて”四大オペラ”と称されるようになりました。

―あらすじ―

時代:18世紀末
場所:イタリアのナポリ

第1幕
青年士官のフェルランドとグリエルモは、老哲学者ドン・アルフォンソの「女は必ず心変わりするものだ」という主張に対して、「自分たちの恋人に限ってそんなことはない」と反論する。そこでドン・アルフォンソは、自分の主張を証明するために二人と賭けを行なうことを提案する。フェルランドとグリエルモはドン・アルフォンソの提案に同意する。

彼らの恋人のフィオルディリージとドラベッラの姉妹が登場して、愛を讃える歌を歌うと、そこへドン・アルフォンソが現れて、フェルランドとグリエルモが国王の命令で戦場に向かうことになったと伝える。

フェルランドとグリエルモが現れて、彼女たちとの別れを悲しむ芝居をする。四人の恋人たちが愛を誓い合い、やがて兵士たちが出発する。

舞台はフィオルディリージとドラベッラの家に変り、女中のデスピーナが愚痴をこぼしながら働いていると、姉妹が悲しみに打ちひしがれて帰ってくる。デスピーナは、「男は他にも居るでしょう」と姉妹に浮気を勧め、「男や兵士の貞節なんて」と歌う。

ドン・アルフォンソはデスピーナを芝居に巻き込み、フェルランドとグリエルモをアルバニア人に変装させて家に連れて来て、フィオルディリージとドラベッラに「彼らは自分の古い友人たちだ」と偽り紹介をする。変装した二人は姉妹に求愛をして愛の歌を歌うが、姉妹は求愛を受け入れずに立ち去る。

フェルランドとグリエルモは「賭けに勝った」と笑うが、ドン・アルフォンソは芝居を続け、デスピーナと共に姉妹を陥落させる計画を進める。

姉妹は庭で恋人を想う二重唱を歌うが、そこへ変装したフェルランドとグリエルモが現れて、絶望の余り毒を飲んだふりをする。すると姉妹は驚いて、変装をした二人に同情をし始める。

そこへ医者に変装したデスピーナが現れて、苦しみもだえる二人を支えるように姉妹に指示する。意識を取り戻したふりをして二人は姉妹にキスを迫り、混乱のうちに幕を閉じる。

第2幕
デスピーナは姉妹に気晴らしをすることを勧め、「女の子は恋の手管を覚えなければなりません」と歌う。
そこで姉妹は互いに「二人のどちらを選ぶ?」と尋ね、ドラベッラは「ブルネット」(グリエルモ)の方、フィオルディリージは「ブロンド(フェルランド)の方」と実際の恋人とは逆の相手を選んでしまう。

ドン・アルフォンソは姉妹を庭へ誘い、そこへ変装したフェルランドとグリエルモが現れる。ドン・アルフォンソとデスピーナは四人をくっつけようとする。
フェルランドとフィオルディリージが庭に散歩に出かけると、残されたグリエルモがドラベッラを口説くと、ドラベッラは陥落してしまう。一方、フィオルディリージはフェルランドの求愛を拒絶する。

フェルランドとグリエルモは互いの結果を報告する。グリエルモはフィオルディリージの貞節を喜ぶが、フェルランドはドラベッラの心変わりにショックを受ける。グリエルモはフェルランドを慰めて「女はたくさんの男と付き合うものだ」と歌うが、フェルランドは「裏切られた」と悲しむ。
ドン・アルフォンソは更に芝居を続けることにする。

悩むフィオルディリージに対して、ドラベッラは恋の楽しさを陽気に歌う。フィオルディリージは貞節を守るために恋人のいる戦場へ行こうと決意して軍服を着るが、そこに現れたフェルランドに激しく求愛をされてついに陥落してしまう。

賭けに勝ったドン・アルフォンソは、互いに認め合いそれぞれの恋人と結婚すれば良いと提案し、「女はみなこうしたもの」と歌う。

結婚式の祝宴の準備が進められ、フィオルディリージと変奏したフェルランド、ドラベッラと変奏したグリエルモの二組のカップルが登場する。公証人に扮したデスピーナが現れ、4人はそれぞれの結婚の証書にサインをする。

そこへ突然、兵士たちの歌声で「婚約者たちが戻ってきた!」と知らされたので姉妹は呆然とする。変装を止めたフェルランドとグリエルモが現れて結婚証書を見つけ激怒するふりをする。姉妹は平謝りするが、そこですべてが種明かしをされて、一同が和解して幕となる。

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というわけで、非常にナンセンスなドタバタコメディなのですが、モーツァルトの音楽は例によって極めて美しい旋律に溢れています。この作品は登場人物が6人に限られていて、歌も独唱よりも重唱が非常に多いのが特徴です。管弦楽も派手さが無く、すこぶる緻密な書き方なので、まるで室内楽のようです。4大オペラの中では特に室内楽的な作品だと言えます。作品番号から判るように、この作品はモーツァルトの最後のオペラ・ブッファであり、円熟の業を如何なく発揮した素晴らしい作品です。

それでは愛聴盤のご紹介ですが、ディスクはごく少数に限られます。

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カール・ベーム指揮ウイーン・フィル
エーリッヒ・クンツ(Tr)、アントン・デルモータ(Br)、リーザ・デラ・カーザ(Sp)、クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)(1955年録音/DECCA盤)

1955年には翌年のモーツァルトの生誕200年記念の為のレコーディングが多く行われましたが、デッカがウイーン・フィルを使って録音したエーリッヒ・クライバーの「フィガロ」、ヨーゼフ・クリップスの「ドン・ジョヴァンニ」、そしてこのベームの「コジ」という一連のオペラ全曲盤では、現在では失われてしまった古き良きウイーン・フィルの甘く柔らかい音と、その管弦楽の響きにまろやかに溶け合う当時のウイーンで活躍した名歌手たちの饗宴が最高の味わいを与えてくれます。ベームは「コジ」には相当な思い入れを持っていたようで、スタジオ録音ではこのデッカ盤から7年後の1962年にEMIに再録音をしています。大物歌手を揃えたEMI盤も確かに歌唱の魅力は素晴らしいのですが、オーケストラがフィルハーモニア管というのが惜しいです。ベームの引き締まった音造りがストレートに出過ぎていて、このオペラの愉悦感が少なくとも管弦楽からは聞こえて来ません。その点、このデッカ盤の夢見るような美しさに一度魅入られてしまったら絶対に離れられません。録音年代から低域の音像がかなり甘いですが、全体的には明瞭な録音で聴き辛さは感じません。

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カール・ベーム指揮ウイーン・フィル
ペーター・シュライヤー(Tr)、ヘルマン・プライ(Br)、グンドゥラ・ヤノヴィッツ(Sp)、ブリギッテ・ファスベンダー(Ms)(1974年録音/グラモフォン盤)

カール・ベームが80歳の誕生日にザルツブルクで行った公演の収録です。全体にゆったりとしたテンポですが、それでいてライブならではの高揚感をしっかりと持ちます。オーケストラは厳しく統率されていて一点一画も揺るがせませんが、ウイーン・フィルの持つ柔らかい響きが演奏を硬直させることも無く素晴らしいバランスをもたらしています。オペラ・ブッファにもかかわらず格調の高さにおいて比類が無く、これぞ晩年のベームの至芸です。歌手陣は実力者揃いですのでライブにもかかわらずキズも少なく、スタジオ録音では得られない生き生きとした見事な歌のアンサンブルを繰り広げます。録音も優れていて、実際の舞台を目にするような臨場感が感じられます。同じザルツブルグ収録でも、放送用に録音されたものとはレベルが異なります。ベームの記念すべき公演にかける出演者やスタッフ全員の意気込みが伝わる素晴らしい名盤だと言えます。

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オトマール・スウィトナー指揮ベルリン国立歌劇場
ペーター・シュライヤー(Tr)、ギュンター・ライブ(Br)、チェレスティーナ・カーサピエトラ(Sp)、アンネリース・ブルマイスター(A)(1969年録音/エテルナ原盤:DENON盤)

スウィトナーはやはりモーツァルトの演奏に一番魅力を感じます。シンフォニーでもオペラでもその演奏スタイルは全く変わらず、速めのテンポによる弾むようなリズムが心地良いです。管楽器が16分音符で幾らか転んでいるのが気にはなりますが、オーケストラ全体の統率としては素晴らしいです。とにかく大きく歌い崩さないにもかかわらず微細なニュアンスの変化に富んでいるのがスウィトナーの最大の美徳です。典型的なドイツスタイルの演奏ですので、ウイーン風の甘さや、イタリア風の明るさを聴きたい場合には必ずしも向いてはいませんが、かっちりとした室内楽的な演奏としてお勧め出来そうです。聴いていてどことなく当時のコンサートマスターのズスケが主催するベルリン弦楽四重奏団の演奏を連想してしまうのは自分だけでしょうか。歌手陣は水準以上を保っていますが、フィオルディリージを歌うカーサピエトラが他盤に比べ少々聴き劣りするのが残念です。フェルランドを歌うシュライヤーもベーム盤と比べるとまだ未成熟な印象を受けます。

もちろん上記の3種とも愛聴していますが、やはりベームの2種には効し難い魅力を感じます。これをどちらか一つに絞るのは難しいですが、個人的にはDECCA盤を上げます。ただ、他人に奨めるならグラモフォン盤を上げるかもしれませんし、オーケストラの音色や味わいに特にこだわらなければEMI盤も選択肢に上げられるでしょう。

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2014年9月20日 (土)

「クラシック音楽鑑賞会 in シェア奥沢 Vol.3 初期ロマン派音楽」のお知らせ

東京世田谷のコミュニティスペース、シェア奥沢で定期開催するようになったクラシック音楽鑑賞会も今月(9月28日)で早くも第3回目となります。第1回目がバロック、第2回目が古典派でしたので、今回は初期ロマン派がテーマです。曲目と使用音源はほぼ決まりましたが、さて、どんな話をしようかと考えているところです。参加される皆さんに気軽に楽しんで頂くことを趣旨としていますので、なるべくマニアックな曲は避けて、良く知られた名曲を集めるように心がけています。鑑賞会終了後の交流会で色々な方とおしゃべりが出来るのも楽しいです。もしも参加をご希望される方は下記へご連絡ください。

「クラシック音楽鑑賞会 in シェア奥沢 Vol.3 初期ロマン派音楽」
連絡先:シェア奥沢  堀内正弘
158-0083 東京都世田谷区奥沢 2-32-11
E-mail: horiuchi.masahiro@gmail.com
tel: 03-6421-2118、mobile: 090-7401-5103

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2014年9月 9日 (火)

祝・準優勝!錦織圭 USオープンテニス2014 ~夢はまだ続く~

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錦織圭選手、準優勝おめでとう!
優勝は逃しましたが、全米オープン決勝の大舞台で彼のプレーが見られると大会前に予想した人はほとんど居なかったと思います。これだけでも日本、いえアジア初の快挙ですから、偉業を讃えたいと思います。

決勝戦に関しては、マリン・チリッチの出来が余りに良すぎました。準決勝までの好調ぶりをそのまま維持して決勝で実力を発揮できたことには脱帽です。錦織にとっては、常に主導権を握れていたジョコヴィッチ戦と丁度逆の展開になってしまいましたね。けれども彼の飛躍がこれで終わったわけでも何でもありません。今後の四大大会で必ず優勝を果たしてくれるはずです。夢はまだまだ続きます。

それにしても感じることは、しばらく続いていた4強(フェデラー、ナダル、ジョコヴィッチ、マレー)の時代が終わって、これからは有能な若手を含めて誰もが優勝チャンスの有る戦国時代に移り変わる大きな転換点となったのがこの大会だったように思います。その中の一人が日本人であることには大きな喜びを感じます。

かつてのコナーズ、ボルグ、マッケンロー、レンドルの全盛期から徐々に下方傾向にあったテニスの人気が再び盛り上がることにも期待します。もちろんテニスは自分でプレーするのが楽しいですが、優秀な選手同士の白熱した試合の観戦は何と面白いことでしょうか!それにはテレビ局の方針変換が求められますね。ウインブルドン以外はWOWOWだけの独占生放送というのはちょっといただけません。

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2014年9月 7日 (日)

快挙! 錦織圭、決勝進出! USオープンテニス2014

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やりました!!全米オープンテニス準決勝。錦織圭が世界ランキング1位のジョコヴィッチを撃破しての決勝進出です。本当に驚きです。
もちろん勝って欲しかったですが、まさか絶好調のジョコヴィッチを3-1のスコアで下すとは思いませんでした。プレーも最高、と言うよりか、それ以上のミラクル。鳥肌が立つような、もの凄さでしたね。

これはもう優勝しかありません。決勝の相手のチリッチとは過去5勝2敗ですし、自分の予想では80%の確率で優勝できると思います。でも、勝負は時の運。アクシデントが常に待ち受けます。それをもねじ伏せて優勝してくれたら本当に歴史が変わります。もちろん既に歴史は塗り替えられているのですが。
GO、GO、KEI!!

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2014年9月 4日 (木)

凄いぞ錦織圭、セミファイナル進出! USオープンテニス2014

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一昨日、全米オープン男子シングルスの4回戦で格上のラオニッチを下して、日本選手では92年ぶりのベスト8入りとなったばかりの錦織圭選手ですが、たった今、今日の試合で更に上位の第3シード、スタニスラス・ワウリンカを下しました!またもフルセットとなる大接戦でしたが、ミラクル圭の進撃は続きます。
いよいよ次はセミファイナル。何としてもファイナルへ進出して、あとは優勝有るのみですね。

圭がんばれ!テニスファンは日本から大声援を送っているぞ!

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モーツァルト 歌劇「後宮からの誘拐(逃走)」K384 名盤

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歌劇「後宮からの誘拐」(日本では「後宮からの逃走」とも)は、モーツァルトの5大オペラの一つとして数えられる人気の高い作品です。

この作品は、オーストリア皇帝ヨーゼフ二世の勅命により作曲されました。その背景には、前政権時に建てられたウイーンの宮廷劇場をヨーゼフ二世が自分の管理下に移して、ドイツ文化の啓蒙を目的とした演劇を行う国民劇場(ブルク劇場)と改めたものの、当時のオペラはイタリア語が主流であったという状況があります。ですので、この劇場で本格的なドイツ語オペラを成功させるというのが、皇帝の望みだったのです。

当時モーツァルトは故郷のザルツブルクからウィーンに移住したばかりでしたが、「後宮からの誘拐」の作曲に必死で取り組み、翌々年に完成させます。ブルク劇場での初演は大成功し、モーツァルトはウィーンでの名声を確立しました。
このあたりのいきさつは、ミロス・フォアマン監督のアカデミー賞受賞映画「アマデウス」でも大変面白く描かれていました。

「後宮からの誘拐」のストーリーは、主人公ベルモンテが召使ペドリッロと共に、トルコの太守(たいしゅ=地方行政長官の意)セリムの後宮に囚われている婚約者のコンスタンツェ、それにペドリッロの恋人のブロンデを救い出すという内容です。

この作品にはレチタティーヴォは無く、代わりにセリフによって劇を進行するジングシュピール(歌芝居)です。

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―あらすじ―

場所:トルコの地中海沿岸にある太守の後宮
時代:18世紀

第1幕
ベルモンテは婚約者コンスタンツェを探して旅をしてきた。コンスタンツェはイギリス人の女中ブロンデとともに海賊に連れ去られ、太守セリムに売られたのだった。
セリムの家来オスミンが庭にやって来たので、ベルモンテが別行動を取ってきた召使ペドリッロの情報を聞き出そうとするが、オスミンは怒り出してしまう。
それでもベルモンテはペドリッロと何とか再会が出来て、二人でコンスタンツェを後宮から誘拐することを決意する。

セリムがコンスタンツェを連れて登場する。コンスタンツェはセリムからの執拗な求愛を拒み続けている。

ペドリッロの機転によって騙されたセリムはベルモンテをイタリアの建築家として雇うことにする。だが、オスミンはそれを不審に思っている。

第2幕
ブロンデもまたオスミンから粗野な求愛をされるがそれを拒絶する。コンスタンツェは悲しみに暮れながらブロンデを迎え入れる。

セリムは「自分に服従しないならば拷問にかける。」とコンスタンツェを脅迫するが、彼女は「どんな拷問が待っていようと苦痛も死も恐れません。恐れるのは貞操を失うことです。」と答える。

ペドリッロは恋人のブロンデに会うことが出来て、ベルモンテと二人で逃走の準備をしていることを教える。

ペドリッロはオスミンに酒を飲ませて眠らせ、ベルモンテはコンスタンツェと再会を果たせた。このときベルモンテとペドリッロは、一度はコンスタンツェとブロンデの貞節を疑うが、その疑いも晴れて喜び合う。

第3幕
ベルモンテとペドリッロがはしごを持って庭に忍び込んでくる。

ベルモンテはコンスタンツェを連れ出すことに成功するが、ペドリッロとブロンデがオスミンに見つかってしまう。結局、4人とも衛兵に捕えられて連行される。

セリムはベルモンテが仇敵の息子であることを知って死刑を命令しようとする。ところが、二人の悲嘆ぶりを聞いたセリムは心が変わってしまい、全員を釈放する。残忍な処刑を楽しみにしていたオスミンががっかりして幕を閉じる。

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このようにモーツァルトのオペラとしては、ストーリー展開や心理描写が非常に単純で理解しやすい作品です。ただ、原題の「後宮からの誘拐」ですと、恋人を取り戻す二人の方が何だか悪者のようなので、個人的には「逃走」のほうがむしろ好ましいという気がします。

『たとえ拷問を受けて命を落としてでも貞操を守る』というコンスタンツェの一途な愛には頭が下がります。なんと素晴らしい女性でしょうか。それに比べると、彼女の貞節に一度でも疑いを持ったベルモンテは少々情けないですね。まぁ、そうしないと話が面白くならないからかもしれません。”嫉妬”と”疑惑”はいつの世でもドラマ展開の基本ですからね。

それにしてもこのオペラの音楽はモーツァルトの若い時期の作品のため、緊張感に満ちていて、弾むような生命力と親しみ易く美しい旋律に溢れた傑作です。初演のあとにヨーゼフ二世が「素晴らしいが、少し音符が多過ぎるのではないか。」と感想を述べたのに対して、モーツァルトは「いえ、陛下、音符の数は適量でございます。」と答えたという有名なエピソードが有りますが、最近の研究によれば、どうもこのエピソードの信憑性は疑わしいとされるようです。

第一幕の「太守の親衛隊の合唱」は短い曲ですが、大きな聴きどころであり、その迫力には圧倒されます。全体には幾つもの優れたアリアが散りばめられていますが、最も印象的なのは、協奏交響曲のような魅惑に溢れた独奏器楽伴奏を持つコンスタンテの「どんな拷問が待っていようと」でしょうが、第1幕冒頭のオスミンの連続した二つのアリアも印象的です。もちろんベルモンテが歌う幾つもの愛の歌はどれもが魅力的です。

このオペラはストーリーも音楽も非常に解り易く親しみ易い傑作です。深みという点では、三(四)大オペラとの差は有るかもしれませんが、それを補って余りある若々しい魅力に溢れていると思います。

それでは愛聴盤のご紹介です。

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ヨーゼフ・クリップス指揮ウイーン・フィル
アンネリーゼ・ローテンベルガー(S)、ルチア・ポップ(S)、ニコライ・ゲッダ(T)、ゴットロープ・フリック(B)(1966年録音/EMI盤)

ウイーンっ子の指揮者クリップスはモーツァルトを得意としました。それもウイーン・フィルと組んだ時にこそ、その魅力が最大限に生かされます。この演奏は「後宮」にしては随分とおだやかで、一聴したところ緊張感に不足するように感じられるかもしれません。しかし、これほど”ロココ的”とも呼べるような魅惑に満ち溢れた演奏はそうそう有るものではありません。身も心もとろけさせるような陶酔感では随一だと思います。歌手陣もとてもゆったりと情緒深く歌っていて、この歌唱に慣れてしまうと、他の演奏の歌手が何だか味気なく感じてしまうほどです。EMIの録音はやや古さが感じられ、ウイーン・フィルの持つ音の色合いや艶が鈍く感じられるのは残念ですが、演奏の魅力の前には気にならないレベルです。クリップスのモーツァルトのオペラではデッカへの「ドン・ジョヴァンニ」と並ぶ名演奏だと思います。なお、クリップスは1950年にも同オペラの録音を残していますが、そちらは未聴です。

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カール・ベーム指揮ドレスデン国立管弦楽団
アーリーン・オジェー(S)、レリ・グリスト(S)、ペーター・シュライアー(T)、クルト・モル(B)(1973年録音/グラモフォン盤)

ベームの振るドイツオペラは何故これほどまでに素晴らしいのかと毎回感涙させられますが、この演奏も例外ではありません。オーケストラがドレスデン管ということもあり、ベームの手足となって統率のとれた演奏を繰り広げていますが、音の表情はニュアンスに溢れていて流石です。トルコ風の打楽器も力強くとても効果的に使わていますし、「太守の親衛隊の合唱」での迫力も随一です。全体的に極めてドイツ的な演奏で、ウイーンの甘さは有りませんし、人によっては堅苦しく感じるかもしれませんが、それが逆にドラマの真実味が向上したかのような迫真性を感じさせます。「イタリアオペラの品の無い饒舌な歌は”愛”などではない!」とモーツァルトが本当に語ったかどうかは分かりませんが、こういう演奏こそがヨーゼフ二世が求めていた真にドイツ的で理想のオペラなのかもしれません。歌手陣には優れたメンバーが揃っていますが、台詞は俳優が行っています。声質の違いが気にはなりますが、このオペラの膨大なセリフを”立て板に水”のごとくこなしています。

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サー・ゲオルグ・ショルティ指揮ウイーン・フィル
エディタ・グルベローヴァ(S)、キャスリーン・バトル(S)、エスタ・ウィンベルイ(T)、マルッティ・タルヴェラ(B)(1984-85年録音/DECCA盤)

ショルティはモーツァルトのオペラとは相性が悪くないようで、「魔笛」に名盤が有りますが、「後宮」もまた素晴らしい演奏ぶりです。緩徐曲でのゆとりある味わいと、速い曲での切れのあるリズムによる躍動感とが絶妙なバランスを保っています。オペラ指揮の上手さや貫禄こそさすがにベームには及びませんが、それを補って余りあるのがウイーン・フィルの美しい演奏をデッカの優秀録音で聴けるという点です。歌手は女性陣が優れていて、グルベローヴァが勇気ある貞淑な女性のコンスタンツェを見事に歌い切っています。特に「どんな拷問が待っていようと」は器楽ソロ伴奏の素晴らしさも含めて最高です。バトルが清らかな声で歌うブロンデも非常に魅力的です。それに比べると男性歌唱陣は幾らか小粒な感はぬぐえませんが、いずれも水準以上の歌唱には違いありません。総合的な魅力において、やはり外すことのできない演奏です。

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ズービン・メータ指揮ウイーン・フィル
アンネリーゼ・ローテンベルガー(S)、レリ・グリスト(S)、フリッツ・ヴンダーリヒ(T)、フェルナンド・コレナ(B)(1965年録音/オルフェオ盤)

これはライブ録音です。20代で華々しいデビューをしたメータですが、29歳にしてオペラの分野でも大成功を収めました。その記念碑的な公演の一つがこのザルツブルグでの「後宮」です。演奏には若きメータの良さが120%出ていて、生き生きとしたリズムによる躍動感に満ちています。そしてそれはモーツァルトがこのオペラに注ぎこんだ音楽の魅力ともピタリ一致しています。特に第一幕や終幕でのたたみ掛けるような最後の追い込みには興奮させられます。また、このオペラは元々異国趣味を持つので、その点でも東洋人のメータとは相性の良い作品です。歌手陣には優れたメンバーが揃っていますが、特にヴンダーリヒのベルモンテが聴けるのが目玉です。ヴンダーリヒには同じ年のヨッフム指揮バイエルン歌劇場とのスタジオ録音盤も有りますが、ライブでの歌唱の感興の高さが圧倒的です。録音はモノラルで管弦楽の細部に聴き取り難さは有りますが、歌は明瞭ですし鑑賞するのに不都合はほとんど感じません。

ということで、手持ちの4つの演奏はどれもが魅力に溢れていて、これを絞りこむことは難しいですが、個人的にはウイーン・フィルの音に後ろ髪を引かれながらも、あえてカール・ベーム盤を選びます。

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2014年9月 1日 (月)

國本樹里さん&山田磨依さん 「夢のあとに」サロンコンサート シェア奥沢にて

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昨日、シェア奥沢でのサロンコンサートが無事に終了しました。演奏をして頂いたヴァイオリンの國本樹里さんとピアノの山田磨依さんのお二人は共にパリに留学して勉強をされてきたので、コンサートのタイトルに「夢のあとに」と名付け、フランス音楽の小品を主体とするプログラムとしました。ちなみに演奏曲目はこんな感じです。

1、エルガー:愛の挨拶
2、J・Sバッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番BWV1006より”ガヴォット” 
3、グルック:精霊の踊りより”メロディー” (クライスラー編曲)
4、フォーレ:舟歌第3番
5、チャイコフスキー:ワルツ・スケルツォOp.34

  ~ティータイム~

6、ポルディーニ:踊る人形 (クライスラー編曲)
7、プーランク:ヴァイオリン・ソナタ
8、フォーレ:夢のあとに
(アンコール)ショスタコーヴィチ:4つの前奏曲から第2番、第4番

観客は全部で30名ほどでしたが、とても和気あいあいとしたアットホームな雰囲気の中でお二人に素晴らしい演奏をして頂きました。ピアノは電子ピアノだったのですが、ローランドの上位タイプにオーナーがオーディオスピーカーを補強して下さって中々の音となり、それを山田さんが旨く弾きこなしてくれました。國本さんの力強いヴァイオリンとのバランスも問題無く、プーランクのソナタなどは演奏にとても熱が入って凄かったです。観客の皆さんも心からお楽しみ頂けたようでした。

なお、曲の合間には私の曲目解説が織り込まれたのと、「夢のあとに」では演奏の前に原曲のロマン・ビュシーヌによる歌詞の和訳朗読をするという趣向をこらしてみました。これも概ね好評だったようで良かったです。

休憩時間には自由が丘評判の洋菓子店のマロンタルトと紅茶を頂き、演奏終了後には國本さんと山田さんを囲んで軽食付きの交流会が開かれました。これはまさしく”サロンコンサート”そのものですね。立派なコンサートホールで厳粛に行われる演奏会も素晴らしいですが、このような手造り演奏会の楽しさというのも中々に得難いものです。将来お二人が有名になられても、時々はこちらで楽しい演奏会を開いてくれたら嬉しい限りです。

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       会場風景(澤地真弓さん撮影)
筆者が解説で撮影出来なかったため澤地さんの撮られた写真をお借りしました。ありがとうございます。

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