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2014年6月17日 (火)

モーツァルト ピアノ協奏曲第20、23、24、25番 イヴァン・モラヴェツ&ネヴィル・マリナー/アカデミー室内管

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チェコ出身のピアニストであるイヴァン・モラヴェツは、それほど人気の有る存在だとは言えないでしょう。戦後に活躍したチェコのピアニストというとヤン・パネンカが有名ですが、個人的には知名度の点で劣るルドルフ・フィルクスニーとか、このイヴァン・モラヴェッツのほうがずっと実力のあるピアニストだと思っています。モラヴェッツの録音では、ブラームスのピアノ協奏曲第1番と第2番が冴えたテクニックに加えて、名人芸と呼べる雄弁な語り口で非常に魅力的でした。

そのモラヴェッツが、サー・ネヴィル・マリナー指揮アカデミー室内管のオーケストラ伴奏で録音したモーツァルトの4曲の協奏曲集が有ります。元々は第20番+23番と第24番+25番の各1枚づつのCDでリリースされたものですが、現在は2枚組で購入できるのでお買い得です。

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ピアノ協奏曲第20番ニ短調 K.466
ピアノ協奏曲第23番イ長調 K.488
ピアノ協奏曲第24番ハ短調 K.491
ピアノ協奏曲第25番ハ長調 K.503
イヴァン・モラヴェツ(ピアノ)
サー・ネヴィル・マリナー指揮アカデミー室内管
録音1997年(20、23番)、1995年(24、25番)
録音場所:ロンドン
(ヘンスラー盤)

モラヴェッツはとても理知的な演奏家のようで、モーツァルトの場合には、ブラームス演奏で見せたような大胆な表現は影を潜め、ずっと控え目で古典的な造形性を守っています。ですので、何気なく聴いていると気付かないぐらいの微細なニュアンスの変化に留めています。

比較的新しい録音ですので、モラヴェッツのピアノの硬質で澄んだ音色が良く捉えられています。ちょっとブレンデルの音を連想します。録音全体の響きとしては柔らかくとても美しいです。タッチは切れが良くリズム感が抜群で、全く崩れが有りません。それでいてメカニカルな印象を受けないのも長所です。またフォルテで打鍵が強過ぎにならないのも現代のヴィルトゥオーゾ・ピアニストたちとは一線を画した良識を感じます。

ネヴィル・マリナーの伴奏指揮は例によって無駄な力みが無く、特別な個性を持たないオーソドックスなものですが、その分モラヴェッツのピアノを押しのける様な真似はしませんし、最上の引立て役に徹しています。誤解が有るといけませんが、もちろん演奏に気合が入っていないわけでは有りません。必要十分な迫力を持ち合わせています。テンポの設定も中庸でイン・テンポをきっちりと守っていますので安心して聴いていられます。

収録された4曲の演奏はどれも完成度が高いと言えますが、特に第25番は同曲の最上位に位置する美演かもしれません。これまではハイドシェックの古いEMI録音を好んでいましたが、茶目っ気たっぷりで悪戯者のハイドシェックに対して、モラヴェッツはもっと王道を行く演奏です。ところが音楽の愉悦感においてはハイドシェックに優るとも劣らず、あの野暮ったいモラヴェッツの顔つきからはとても想像が出来ないほどです。やはりピアノは顔で弾くものではありませんね。指揮は顔でするものですけれど(棒で指揮しているうちは大巨匠には成れません??)。マリナー/アカデミーの伴奏も美しく非常に素晴らしいです。

それ以外では第20番が気に入りました。節度のあるロマンティシズムと陰りが曲そのものの美しさを強く感じさせてくれます。同じ短調曲の第24番もやはり素晴らしく、曲の性格から第20番よりもロマンティック度は増しています。
残る長調曲の第23番は、幾らかタッチが重く感じるのと終楽章がやや男性的過ぎなのが気になりますが、均整のとれた演奏です。

とにかく、どの曲も水準の高いモーツァルト演奏ですので、もっと多くの人に聴いてほしいと思います。

<関連記事>
ブラームス ピアノ協奏曲第1番 名盤
ブラームス ピアノ協奏曲第2番 名盤

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モーツァルト(協奏曲: ピアノ 第20~27番)」カテゴリの記事

コメント

ハルくんさん
初めまして、モラヴェツの名前を見て投稿してみました。宜しくお願いいたします。私は、約50年の鑑賞歴です。
モラヴェツはLP時代にフィリップスから出たコニサー・ソサエティ盤のドビュッシーが有名で、オーディオ・マニアの仲間たちは皆、所有していました。私も例に漏れず購入しました。その当時は演奏内容よりは、その音響に魅かれ、また初めて聞くドビュッシーの前奏曲などに驚嘆しておりました。レコードなのに素晴らしい音がしていた記憶があります。その後、モラヴェツのLPを購入したことはありませんでした。数年前に、ブラームスのピアノ協奏曲2曲が収まったCDを見つけ、懐かしく思い購入しました。数ある名盤の中では目立ちませんが、なにかの折に聴いてみたくなるような演奏です。チェコフィルがバックというのも良いです。モーツァルトはまだ聞いたことはありませんが、是非CDを見つけて聴いてみたいです。マリナーのバックは本当にモーツァルトにはピッタリで、主にブレンデルを聴いている私としては新盤のマッケラスよりも、マリナーを好みます。モラヴェツ、やはり実力のあるピアニストなのでしょうね?ドビュッシーのCDもあれば入手したいですね!

投稿: クレモナ | 2014年6月17日 (火) 21時47分

クレモナさん、初めまして。
コメントを頂きまして有難うございました。
とても嬉しく思います。

私は鑑賞歴40年ちょっとですのでご先輩ですね。
コニサー・ソサエティ・レーベル有りましたね。オーディオ・マニアに人気が有ったのですか。
モラヴェッツはブラームスの2曲の協奏曲しか聴いていませんでしたが、ことピアノに関してはとても素晴らしい演奏だと思います。
このモーツァルトも期待以上でした。ブレンデルやマリナーがお好きであれば、絶対お気に召すと思いますよ。
お聴きになられたら是非ご感想をお寄せください。楽しみにお待ちしています。
また、他にもどうぞお気軽にコメント下さい。
今後ともよろしくお願いします。

投稿: ハルくん | 2014年6月18日 (水) 10時29分

ハルくんさん、こんばんわ
モラヴェッツを取り上げていただいて嬉しいです。
私のモラヴェッツは、ショパンのノクターンです。
語る言葉はいりません。
私の持っている盤はノンサッチの古いCDだけれど、スプラフォンが最近リマスターして再発してくれました。
機会があれば是非御一聴を

投稿: すーさん | 2014年6月22日 (日) 00時49分

すーさん、こんにちは。

モラヴェッツには案外と隠れファンが多いことが分かり良かったです。
ショパンのノクターンの演奏はまだ聴いていませんが、ロマン派の語り口の絶妙なモラヴェッツですから、きっと素晴らしいでしょうね。
是非聴いてみたいと思います。ご紹介ありがとうございました。

投稿: ハルくん | 2014年6月22日 (日) 13時57分

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