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2014年6月12日 (木)

モーツァルト ピアノ協奏曲第24、21、17、12番 マウリツィオ・ポリーニ/ウイーン・フィル盤

20121103005410

マウリツィオ・ポリーニはもちろん押しも押されぬ現代の巨匠ピアニストですが、この人を一番好んで聴いたのは、現代物は別として、1970年代にショパンの「エチュード」や「プレリュード」「ポロネーズ」あたりを録音していた頃です。シューマンの演奏もとても好きでした。一方、ベートーヴェンやブラームスの曲はそれほどではありませんでした。モーツァルトは、と言えば、ベーム/ウイーン・フィルと共演したピアノ協奏曲第23番&19番が忘れられません。”共演”と言っても、音楽を完全にベームがリードしていて、若きポリーニは「ベームさんの邪魔をしてはいけないぞ」とばかりに、忠実な使徒さながらの奥ゆかしい印象を受けました。

それ以降、ポリーニのモーツァルトを聴いた記憶はほとんど有りません。興味が薄かったせいもあるでしょう。ただ、ひょんなことでウィーン・フィルを弾き振りした協奏曲のライブ収録されたCDが2枚有ったのを思い出して、これを聴いてみることにしました。

Uccg50065m01dlピアノ協奏曲第21番K467&第17番K453(2005年録音/グラモフォン盤)

Uc0011ピアノ協奏曲第24番K491&第12番K414(2007年録音/グラモフォン盤)

ポリーニのような大ピアニストになると、ギャラの高額さから、小規模のホールでは採算が取れなくなります。その為にどうしても客席数の多い大ホールで演奏することになります。この演奏は全てウイーンのムジークフェライン大ホールで行われたコンサートライブです。ポリーニのようなヴィルティオーゾであればグランド・ピアノを弾きこなして音量も充分出せますし、それには幾らか大きめの編成の管弦楽がバランス的に合います。結局、そういう条件がモーツァルトのピアノ演奏に相応しいかどうかなのですが、これは最良だとは思えません。決してフォルテピアノによるこじんまりとしたモーツァルト演奏が好きな訳では無いのですが、今どき肥大化したモーツァルトはどうかなと思います。

とにかく演奏を聴いてみます。

まずは第21番K467です。ポリーニのピアノはロマン派的で、十六部音符を常にキッチリとは刻みません。ですので古典派を演奏すると、音符の音の座りがどうも悪く、落ち着かない印象を受けます。その点、先日のルプー盤とは決定的に異なります。更にダイナミクスの巾も大きいです。フォルテではここぞとばかり打鍵を強く打ちこみます。まるでベートーヴェンのようです。
さて、それではこの演奏は嫌いかというと、これが意外に楽しめます。ウイーン・フィルの音、とりわけ弦の柔らかい歌を聴いているだけでもうっとりします。ポリーニの指揮にベームのような貫禄は有りませんが、ウイーン・フィルの音はやはり特別です。それをバックにポリーニがポリーニらしく思い切り良くピアノを弾いているので痛快と言えば痛快です。不満を感じながら聴いていたのに、いつのまにか愉しんでいます。第2楽章などロマンティックの限りで、”みじかくも美しく萌え??”というところかな。終楽章も速いテンポで生命力に溢れていて心が躍ります。

第24番K491では冒頭の管弦楽の迫力に圧倒されます。弦楽がうなりを立てているのに興奮させられます。その割に騒々しく感じないのは、さすがにウイーン・フィルです。管楽やティンパニが目立ち過ぎずに全体の音に溶け合っているからですね。ポリーニのピアノは徹底的にロマン派的な演奏ですが、最もロマン派的なこの曲の場合には余り違和感は感じません。フォルテの強打は凄まじい限りですが許してしまいましょう。第2楽章はウィーン・フィルの弦の表現力は最高なのですが、神秘感は今一つのように感じます。こういう楽章はバレンボイムがやはり素晴らしいです。

第12番K414と第17番K453は、いわば前プロに当たるのでしょうが、どちらも明るくチャーミングな名曲です。特に第12番はルプー盤にも収録されていましたが、実に魅力溢れる曲ですね。ポリーニにしては、この2曲をなるべく若々しく弾こうと心がけているように感じます。若きモーツァルトの愉悦感を精一杯に感じさせてくれて楽しめます。但し、やはりフォルテ部分でロマン派的な重い打鍵がしばしば現れるのが気にはなります。
管弦楽伴奏については、もちろんウイーン・フィルの柔らかい音と豊かな表情が特筆ものです。ただ、リズムの刻みにやや甘さが有るので、優れた専門の指揮者が振れば更に良かったような気はします。そんな些細な点を全て忘れさせてくれるのがウイーン・フィルの美しい音ではあります。

必ずしも全面的に好きなタイプの演奏では無いのですが、中々に聴きどころと愉しさの有るポリーニ/ウイーン・フィルのコンビのモーツァルトです。今後また録音される機会は有るのでしょうか。続編が出たとしたら、何だかんだと言いながらもきっと聴きたくなることと思います。

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モーツァルト(協奏曲: ピアノ 第20~27番)」カテゴリの記事

コメント

こんばんは、ハル様。 モーツァルトへのコメントでなくて申し訳ありませんが、今日「アリス紗良オット」 ちゃんのリサイタルに行ってきました。 スタイル抜群(9頭身か?)色白でお人形さんみたいでしたね~♪
実力も評価通りでルックスの分が割増されてるなんて事はありませんでしたね。
テンペストの第3楽章なんて、もうゾクゾクしたですよ。
愛の夢3番は甘く美しく(でも、ちょっとテンポ遅いなぁ、これだと真央ちゃんは演技し難いなとは思ったけど)
ラ・カンパネラに至ってはもう鳥肌ものですよ! 上手く言えないけど、まるで音が真珠の粒になって転がるような感じ。〈この曲を十八番にしてる平民愚さんとはエラい違いだな〉←この呟き軽く流して下さい。。。年々口の悪いオバチャンになっております(反省)

投稿: from Seiko | 2014年6月11日 (水) 22時50分

Seikoさん、こんにちは。

モーツァルトでなくて良いんですよ。
なんといってもSeikoさんですから(笑)

アリス紗良オットちゃんのコンサートが有ったのですね。僕も何年か前に聴きましたよ。
裸足で登場してそのままピアノを弾いていましたっけ。
アリスちゃんの色が白くて綺麗なお顔のように美しい演奏ですよね。(その昔、純アリスちゃんも可愛くて好きでしたけど・・・カンケイない?)
とにかく美しい姿とピアノを堪能できて良かったですね。

”呟き”は軽く流します。アーネスト・ヘミングウェイは素晴らしいのですけどね。

投稿: ハルくん | 2014年6月12日 (木) 10時10分

ハルくん様
ポリーニの指揮と言えば、Sonyからロッシーニの湖上の美人と言うオペラ全曲が、出ておりました。スターソロイストが、我も我もと棒振り稼業に手を染める昨今、これを唯一の例外として指揮を拒んでいたポリーニ氏が、2回目のそれに挑まれた訳ですね。
老ベームとの協奏曲を別にしますと、モーツァルトを中核のレパートリーにされていないこのお方のアプローチ、いかなる物でしょうか。独奏・指揮とも、興味が尽きませんよね。

投稿: リゴレットさん | 2018年5月30日 (水) 07時11分

リゴレットさん

ポリーニさんは指揮者には向いていなかったと思っています。この人はやはり生粋のピアニストですね。
ただ余りにストイックで、ある意味”息苦しさ”を感じるので、この人のモーツァルトは決して好きだということではありません。
それでもつい聴いてはしまいますが・・・(笑)

投稿: ハルくん | 2018年5月30日 (水) 14時16分

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