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2014年4月 4日 (金)

モーツァルト ヴェスペレ(荘厳晩課)ハ長調 K.339 名盤

Salzburg_dom03
          ザルツブルク大聖堂

この曲こそがモーツァルトのザルツブルク時代の最後を飾る作品です。ということは有る意味モーツァルトの教会音楽の一つの集大成とも言えるかもしれません(ウイーンで宗教曲の大作は完成させていませんので)。ところが、この曲はお世辞にも人気作とは言えず、日常的に愛聴しているのは、まずモーツァルト愛好家だけでしょう。

そもそも「ミサ曲」ならいざしらず、「ヴェスペレ」って一体何だ?ということから始まりそうです。

ヴェスペレは「晩課」と訳されますが、 カトリックの8つ有る聖務日課の中で日没時に行われる7番目の祈りのことだそうです。 うっかりすると「晩歌」と間違えそうですが「晩課」です。

ヴェスペレは宗教音楽の上ではミサ曲に次ぐ重要なジャンルで、歌詞は聖書の中の”詩篇”からの5章と、ルカ伝の中の「我が魂は主を崇める」(マニフィカト)の合計6曲から成ります。と聞いてもカトリック教徒でも無ければ、ちんぷんかんぷんですよね。もしも自分がカトリック教徒でしたら、歌詞に大いに意味が感じられると思いますが、そうではないので、美しい音楽にひたすら耳を傾けるだけです。何しろ作曲をしたモーツァルトは、まるでオペラのような美しく華麗な音楽を書いていることですし。
それぐらい素晴らしい曲なので、ヨーロッパではとても人気が有るそうですが、日本で演奏されることは滅多に無さそうです。

曲の構成は下記の通りです。
 1.ディキシト・ドミヌス(主は言われる)
 2.コンフィテボール(心をつくして主に感謝する)
 3.ベアートゥス・ヴィール(喜ぶ人は幸いなるかな)
 4.ラウダーナ・プエリ(主のみ名を誉め讃えよ)
 5.ラウダーナ・ドミヌム(主を誉め讃えよ)
 6.マニフィカト(我が魂は主を崇める)

壮麗で美しい合唱曲が並びますが、ソプラノによる独唱が入る第5曲「ラウダーナ・ドミヌム」の静寂に覆われた敬虔な美しさは格別で、この一曲を聴くだけでもK339を聴く価値が有ると言えるのではないでしょうか。

CDの所有盤ですが、この曲は残念ながら一つしか有りません。

Mozart_sacredmusic_2
ニクラス・アーノンクール指揮ウイーン・コンツェントゥス・ムジクス、アーノルド・シェーンベルク合唱団(1986年録音/テルデック盤) 

アーノンクールのモーツァルト宗教曲全集に収録されています。ウイーン的な柔らかい演奏の好きな自分には、アーノンクールのかっちりとした演奏は必ずしも好きなタイプではありませんし、アーノルド・シェーンベルク合唱団も非常に優秀なのですが、何となく《プロっぽさ》が鼻について感じられことがあります。
けれども、この全集盤は一人の指揮者がモーツァルトの全ての宗教曲を演奏している点で非常にかけがえの無いものです。

幸い、この「ヴェスペレ」K339でのアーノンクールの演奏は、ほとんど刺激的な表現の無い常識的なもので、コーラスの上手さが鼻につくことも有りません。その分、もっと過激な演奏を好む方もおられそうです。確かに天にも上るような高揚感はここには無いかもしれません。でもまぁ、これはサンセットの祈りですし、これぐらいの落ち着き具合で丁度良いのではないでしょうか。あんまりライジング・サンのような元気さでは、夜に眠れなくなってしまいますものね。

聴きものの「ラウダーナ・ドミヌム」のソプラノ・ソロを唱っているのはイギリスのジョアン・ロジャースですが、とても美しく、敬虔さが感じられる歌唱で素晴らしいです。

Joan_rodjers

ジョアンのちょっと可愛いらしいオバちゃん顔にも惹かれますよねぇ。いやー、本当に美しい曲、美しい声、美しい・・・

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