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2014年2月 3日 (月)

グラズノフ バレエ音楽「ライモンダ」全曲 名盤 ヴィクトル・フェドートフ/キーロフ管

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       パリ・オペラ座 バレエ「ライモンダ」

ロシアバレエの音楽と言えば、やはりチャイコフスキーですが、美しい抒情性にあふれるアレクサンドル・グラズノフもとても魅力的です。この人は主に交響曲作曲家として活躍しましたが、チャイコフスキーのようにバレエ音楽にも傑作を残しました。

グラズノフの書いたバレエ音楽で良く知られているのは「フォー・シーズンズ(四季)」と「ライモンダ」です。日本人にとっては「四季」というだけで人気が出ますし、実際にとても美しい曲です。けれども、全三幕で構成される極めて充実した大作が「ライモンダ」です。

それでは曲を聴く前に、一応お話を簡単に。

―バレエあらすじ―

<第1幕>
中世のフランス、プロヴァンス地方のドリス伯爵夫人の館。

伯爵夫人の姪である美しいライモンダは、騎士ジャン・ド・ブリエンヌと婚約しているが、ジャンは出征することになり、館に別れを告げに来る。そこで伯爵夫人はジャンを送り出すための舞踏会を催す。
全員で賑やかに舞踏が繰り広げられる。ジャンはライモンダと踊りを踊り、出征の決意を示し出発して行く。

やがて一人残ったライモンダのもとに、ドリス家の守護者である白の貴婦人が現われて、ライモンダを幻想へと導く。するとジャンの幻影が現われて二人で踊りを踊る。

そこへ見知らぬ男、アブデラフマンの幻影が現われて、ライモンダに熱い想いを訴えて姿を消す。ライモンダは夢から目覚めて、異郷のジャンの身を案じる。

<第2幕>
伯爵夫人の館の華やかな宴。

宴に集った客の中に、夢に出てきたアブデラフマンの姿が現れる。
踊りのあと、ライモンダはアブデラフマンから求愛をされるが、それを断る。

アブデラフマンと従者たちが異国的な踊りを次々と披露してフィナーレとなるが、アブデラフマンはライモンダを無理やり連れ去ろうとする。
そこに間一髪のところでジャンが戻り、アブデラフマンと決闘となる。
二人の決闘の結果、敗れたアブデラフマンはライモンダの足もとに倒れ、彼女への想いを訴えて息を引きとる。

ライモンダとジャンは無事に結婚することになり、白の貴婦人の幻も現れて二人を祝福する。

<第3幕>
ライモンダとジャンの盛大な結婚祝賀会。

大広間でチャールダッシュやマズルカが人々によって踊られる。
やがて全員が華やかに舞い納めて、フィナーレとなる。
ライモンダとジャンは皆から祝福を受け、一同楽しそうに踊り続けるうちに幕となる。
 
とまあ、こんなところです。馬鹿馬鹿しいとまでは言いませんが、なんとも単純極まりないストーリーですよね。
でも構わないのです。バレエは音楽が美しくて踊りが踊れればそれで良いのですから。
グラズノフのバレエ音楽は、交響曲以上に美しい抒情性に溢れた曲のオン・パレードです。すっかり幸せな気分になってしまいます。

それでは、僕の愛聴盤をご紹介します。

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"ミスター・キーロフ"ことヴィクトル・フェドートフはロシア・バレエの神様として尊敬されていて、日本でもバレエファンにはお馴染みの指揮者ですが、一般的にはそれほど知名度は高くないと思います。初台の新国立劇場がオープンした時にはバレエ公演のために来日してくれましたが、残念なことに2001年に亡くなりました。

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ヴィクトル・フェドートフ/キーロフ管弦楽団(1990年録音/原盤:露Classical Records;英CARLTON Classics盤)

フェドートフの演奏する「ライモンダ」のディスクは、これが初録音だったようです。その貴重なCDを制作したのはロシアの新興レーベルClassical Recordsです。国営のメロディアレーベルに独占されていたロシアの音楽ビジネスも、国の民主化に促されて広がりを持ってきたのは喜ばしいことです。もっとも、自分の所有しているCDは英国のCARLTON Classicsがライセンスで出しているものです。

オーケストラがホームグランドであるマリインスキー劇場のキーロフ管弦楽団というのは嬉しいです。機能的にも非常に優秀な楽団でありながら、いかにも劇場オーケストラらしい雰囲気や、鮮やかな色彩、軽やかな音が素晴らしいからです。

フェドートフの指揮はリズム感覚と間の取り方が、実際の舞台の上で演じられるバレエを彷彿させるもので、例えばスヴェトラーノフの演奏する極めてシンフォニックな表現とは正反対になります。そこが正に魅力なのです。もちろん、「ライモンダ」らしいチャーミングさとファンタジーに満ち溢れていますし、およそグラズノフのバレエ音楽には最適の演奏であると思います。

音質も1990年のデジタル録音ですので良質です。何よりフェドートフの最晩年の貴重なバレエ指揮芸術がこのような形で残されたことは本当に感謝の極みです。

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コメント

私は、このバレエはDVDで楽しんでいます。
一番のお気に入りは2009年の新国立歌劇場バレエ団の公演の映像。(世界文化社。書店で購入しました)
ライモンダを演じるスヴェトラーナ・ザハロワの美しさから逃れることが出来ません。

投稿: オペラファン | 2014年2月 3日 (月) 00時50分

オペラファンさん、こんにちは。

「ライモンダ」のDVDは残念ながら持っていません。
スヴェトラーナ・ザハロワが観られるDVDとは最高ですね。購入する際には最有力候補となりそうです。
ありがとうございました。

いよいよ今週からソチ・オリンピックですね。胸が高まります。

投稿: ハルくん | 2014年2月 3日 (月) 09時23分

「音と言葉の中間領域」をやっていますナオGです.

グラズノフ「ライモンダ」はアマチュアで演奏した経験があり,大好きな作品です.
チャーミングな曲ですよね.
「組曲」だといいところが端折られてしまうので,やっぱり全曲で聴くのがいいですね.
CDでは父ヤルヴィしか持っていませんが,まあまあ気に入っています.

フェドートフはノーマークでしたが,入手機会があれば聴いてみたくなりました.

投稿: ナオG | 2014年2月 7日 (金) 13時36分

ナオGさん、初めまして。
コメントを頂戴してありがとうございます。
大変嬉しく思います。

「ライモンダ」を演奏されたとは珍しいですね。自分もアマオケはやりましたが、グラズノフの曲を演奏したことは有りません。

グラズノフのバレエ音楽はドラマティックなチャイコフスキーと比べると、幾らか変化に乏しい気もしますが、そのぶん大袈裟にならない抒情性が感じられてとても良いですよね。聴くほどに魅力が増すような気がします。

フェドートフとマリインスキー管の組み合わせは良いと思いますよ。機会が有りましたら是非聴かれてみて下さい。

「音と言葉の中間領域」、フルトヴェングラーとモーツァルトなのですね。切り込みの深い記事が沢山有りそうですので、ゆっくりと拝見させて頂こうかと思います。

また何でもお気軽にコメント下さい。今後ともどうぞよろしくお願いします。

投稿: ハルくん | 2014年2月 7日 (金) 14時17分

こんばんは。

グラズノフはヴァイオリン協奏曲と交響詩「ステンカ・ラージン」
しか聴いていませんでした。
フェドセーエフとマタチッチの抜粋録音で聴きましたが
本当に夢見るように美しい音楽ですよね。
嫌なことや辛いことが頭から消え、幸せな気持ちになれます。
(健康のため食べませんが)ひたすら甘い甘いお菓子のようです。
しかし、ロシア音楽って奥が深いですよねぇ・・・


投稿: 影の王子 | 2017年1月14日 (土) 23時51分

影の王子さん、こんにちは。

ロシア音楽は案外と聴かれていない作曲家や作品が沢山ありますね。
交響曲だけをとってもボロディン、リムスキーコルサコフ、カリンニコフ、それにこのグラズノフなどはとても魅力的です。ロシアの情緒がどの曲にも感じられて楽しいことこの上無しです。
特にグラズノフはもっと聴かれて良いですね。

投稿: ハルくん | 2017年1月17日 (火) 13時06分

ロシア音楽だと、スクリャービンも魅力的ですね。
特にピアノ協奏曲は「ショパンの第3番」的な美しさです。
まだ2回しか聴いてませんが交響曲第2番もなかなか良いです。

漫画「ナニワ金融道」の著者:青木雄二氏がエッセイで
「ロシア人は寒さの中で生きてるから頭がいい。
だからチャイコフスキーのような偉人が生まれる」
という趣旨を書かれていました。

安倍総理じゃプーチン大統領にしたら「お子様」なのでしょうか?

投稿: 影の王子 | 2017年1月21日 (土) 21時23分

影の王子さん、こんにちは。

スクリャービンも良いですね。
ピアノ独奏曲、協奏曲、シンフォニーなどをじっくりと聴きたいですが中々実現出来ていません。

ロシア人が頭が良いかどうかは良く分りませんが、商売、政治などでの駆け引きは達者ですよね。芸術分野に対する才能も素晴らしいと思います。
ということはやはり頭が良いということでしょうかねぇ。

投稿: ハルくん | 2017年1月23日 (月) 12時37分

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