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2014年2月19日 (水)

グラズノフ 交響曲全集 名盤 ウラジーミル・フェドセーエフ/モスクワ放送響

Alexanderglazounov
ロシアのアレクサンドル・グラズノフは第ニ次世界大戦直前の1936年まで存命した作曲家です。もっとも作曲様式は保守的で、ロシア五人組に代表される国民楽派を受け継ぎ、チャイコフスキーの流れを汲むロシア・ロマン主義の影響が大いに認められます。ですので、革新的だった作曲家のストラヴィンスキーやプロコフィエフ、ショスタコーヴィチたちからは「グラズノフの音楽は時代遅れだ」と評されました。

グラズノフの音楽には、ロマンティックで美しい旋律と、草原を想わせるような広がりと情緒が有ります。これはロシア音楽好きの人にとってはたまらない魅力だと思います。もっとも、グラズノフの音楽にはチャイコフスキーやラフマニノフの”砂糖をふんだんに使った濃厚な甘さ”とは違って、”果実が元々持っているような自然な甘さ”という印象を受けます。旋律線にも、しつこさや押しつけがましさを感じることは有りません(もちろん、チャイコフスキーやラフマニノフは、それが大きな魅力なのですが)。それはまた、”雪に覆われた暗く荒涼としたシベリアの大地”というよりも、東欧に近いウクライナやベラルーシなどの地方の陽光の明るさや爽やかさを印象付けられもします。それがグラズノフの音楽のとても大きな魅力だと思っています。

グラズノフは作品の数が多いことも特筆されます。8つの交響曲、バレエ音楽を含むそれこそ膨大な数の管弦楽曲、協奏曲、室内楽曲などです。もちろん自分もそれらを多く聴き込むことは出来ていませんが、第一にお勧めしたいのは交響曲全集です。

グラズノフがまだ若干16歳のときに、リムスキー=コルサコフの指揮によって初演された交響曲第1番「スラヴ風」に始まり、最後の交響曲となる第8番まで、8曲のどれもが大変魅力の有る交響曲ばかりです。

曲の構成は、第4番のみが3楽章の構成ですが、残りの曲は全て伝統的な4楽章構成で書かれています。グラズノフの保守的な作風を象徴しているとも言えるでしょう。
どの曲においても、グラズノフの音楽の持つ爽やかな美しさとロシア的な情緒が迸るようです。一般的には中期の第4番、第5番、第6番の3曲が演奏される機会が多いようですが、後期の円熟し切った第7番と第8番も実に素晴らしいです。特にベートーヴェンの「田園」を意識して書き、同じ標題が付けられた第7番「田園」は、スラヴの春を想わせるような美しい旋律に溢れていて、とても好んでいます。第8番も、どことなくドビュッシーやサン=サーンスなどのフランス音楽の響きを随所に感じさせますが、壮麗な趣を持っていて魅力的です。

ロシアの交響曲作曲家と言えば、チャイコフスキーとショスタコーヴィチでしょうが、どっこいグラズノフを忘れてはいけません。

それでは、僕の愛聴盤のご紹介です。

891グラズノフ 交響曲全集 ウラジーミル・フェドセーエフ/モスクワ放送響(1974年‐1981年録音/ヴェネチア盤:メロディア原盤)

グラズノフの交響曲の全集は、もちろんスヴェトラーノフ、ロジェストヴェンスキー、ポリャンスキー(一部は別指揮者)といったロシア勢が主流を占めますが、その中の一つがウラジーミル・フェドセーエフとモスクワ放送響のものです。フェドセーエフが、この優秀なオーケストラの首席指揮者を前任のロジェストヴェンスキーから引き継いで間もない頃の録音ですが、どの曲の演奏にもロシア的なダイナミクスと、余り重く成り過ぎない躍動するリズムや若々しさが感じられます。それはグラズノフの音楽が持っている爽やかさにとても適していると思います。もちろん情緒的で美しいメロディも充分に歌ってくれていて申し分ありません。

音質的にはオリジナルがメロディア録音ですので過剰な期待は持てませんが、メロディア録音の当時の水準は越えていると思います。

なお、CDはこのヴェネチア・レーベルや日本のビクターからライセンスで出ていますが、それ以外のレーベルから、ほぼ同じ時期の『ライブ録音』と称する全集が出ていますのでご注意ください。レヴューを読んだかぎりでは悪くは無さそうなので、そちらでチャレンジされても面白いかもしれません。(もっとも、メロディア盤と同じものだという説も有ります。詳細は分かりません。)

まだ手が回っていませんが、フェドセーエフ以外の全集盤も是非聴いてみたいとは思っています。

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コメント

ハルくんさん、こんばんは。
実は、グラズノフの交響曲は 聴いたことがなかったので(笑) スヴェトラーノフの旧全集を 中古で安く購入。
一応、有名どころの 第4、5、7番を聴いています。
なるほど 「ロシアのドヴォルザーク」とキャッチコピーが付くだけの事は ありますね。
大げさにならない、叙情的なロマンは 他の作曲家からは味わえないと思います。
聴いたことのない作曲家に接する事も クラシック音楽を聴く醍醐味ですね。

投稿: ヨシツグカ | 2014年2月19日 (水) 23時25分

ヨシツグカさん、こんにちは。

「ロシアのドヴォルザーク」とは初めて聞きましたが確かにそうですね。「ロシアのブラームス」と呼ばれることもあるようですし、曲によっては「ロシアのドヴュッシー」「ロシアのワーグナー」とも・・・(笑)
でも「ロシアのドヴォルザーク」が一番言い当てているような気がしますね。交響曲の数でも良い勝負ですし。

ロシア音楽好きにとっては、比較的埋もれた作曲家が多く居ますので、それらを順に聴いてゆく楽しみが有ります。


投稿: ハルくん | 2014年2月20日 (木) 08時35分

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