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2014年2月 8日 (土)

チャイコフスキー 交響曲第4番 ~40年ぶりに聴くズデニェク・コシュラーの名演~

なにもソチ・オリンピックの開幕に合わせたわけでもないのでしょうが、全国的に雪となり、関東でも16年ぶりの大雪となるようです。雪国の人からみれば数十センチの雪で「大雪」だと慌てふためく都会がきっと可笑しいことでしょうが、雪に慣れていない都市にとってはやはり大ごとです。

雪に覆われると、無性に聴きたくなるのがやはりチャイコフスキーです。交響曲で言えば、第1番と第2番、それに第4番ですね。これは自分のイメージなのです。ですので、今日は朝から3曲を順に聴いています。

ところで最近、交響曲第4番で40年ぶりに聴いて感動した演奏が有ります。それはチェコの名指揮者ズデニェク・コシュラーの録音です。

ズデニェク・コシュラーは1995年に亡くなりましたので、早いものでもうじき20年になろうとします。日本のオーケストラにも度々客演していたので、当時はかなり親しまれていたと思います。けれども録音が決して多いというほどでは無かったために、いつの間にか忘れ去られた印象です。この人がスロヴァキア・フィルと残したドヴォルザークの「新世界より」や「スラヴ舞曲集」、スメタナの「我が祖国」などは、各曲の1、2を争う超名盤なのですが、今ではそのことを語る人をほとんど知りません。

そんなコシュラーの録音の中で、今から40年も前に友人の家でたった一度しか聴いたことが無いのに、鮮烈な印象を脳裏に焼き付けられている演奏が有ります。それはロンドン交響楽団を指揮して1972年にConnoiseur Societyというマイナーレーベルに残したチャイコフスキーの交響曲第4番です。何しろ長いことオケがチェコ・フィルだったかロンドン響だったか、あるいはどこのレーベルだったか憶えていなくて、探すことも出来ませんでした。それを、ようやく中古アナログ盤かダウンロードでなら入手が出来ることを突きとめました。CD化はされていないようです。結局ダウンロードで購入したのですが、記憶の通りの凄い演奏でしたのでご紹介しておきます。

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ズデニェク・コシュラー/ロンドン響(1972年録音/Connoiseur Society原盤)(ダウンロード専用:こちら

ちなみに、中古アナログ盤の画像も有りましたので下に貼り付けておきます。頭が光っているのは禿げているから??でしょうか。

Tchaikkosler

第1楽章の冒頭のファンファーレをゆっくりと威厳を持って開始しますが、気合の籠った音です。そして第1主題が始まりますが、非常に遅いテンポです。悲しみに沈んで息絶え絶えに感じられます。ロシアのポリャンスキーのテンポに近いのですが、フレージングの良さと抑揚の上手さは特筆に値します。ちなみにこの楽章を20分10秒で演奏していますが、ポリャンスキーでも20分は越えていません。チェリビダッケの23分というのは(余りに遅過ぎで)論外としても、極めて遅いテンポにもかかわらず非常に緊迫感を持った素晴らしい演奏です。

第2楽章はコテコテのロシア節で歌ってほしいところですが、ロンドン響としては精一杯の雰囲気を出しています。やはり遅めのテンポでじっくりと歌わせているのが良いです。

第3楽章は平均的なテンポですが中々にリズミカルで愉しめます。

第4楽章はことさらテンポを速めるわけでも無く、堂々と恰幅の良い演奏です。ロンドン響としてはかなり重みのある壮絶な響きを聞かせてくれています。中間部での微妙なテンポの変化も、わざとらしさを感じさせること無く愉しめます。終結部の迫力もかなりのものです。

とても残念なのは、恐らくアナログ音源のデジタル化の問題でなのでしょうが、音が薄く安っぽいことです。ただ、正規リマスター盤ではありませんし、この名演奏を聴けただけでも有り難いと言っておきましょう。何しろ演奏の魅力だけで言えば、マイ・ベストを争えるほどの名演奏です。40年ぶりに初恋の人に会ったような熱い気持ちにさせられました。

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チャイコフスキー(交響曲)」カテゴリの記事

コメント

いやあ、懐かしいことこの上なし デスね‼
これが紹介されるとは思ってもいませんでした。昔はこの演奏に入れ込んでいたことを思い出しました。ロンドン交響楽団のチャイコフスキー4番といえばセルが有名ですがコシュラーを聞いた途端に問題にならない差をすぐに感じたものです。ジャケットも貧弱だったしレコードも彼の頭と同じでなんとなく薄かったように感じていましたが演奏は超一級でしたね。録音も良かったはずです。久々に思い出させていただきありがとうございました。ハルくんさん、ありがとうございました。

投稿: まつやす | 2014年2月 8日 (土) 11時12分

まつやすさん

僕もこの演奏が再び聴けるとは思ってもみませんでした。なにしろ昔の印象ですから、それが崩れてしまう心配もあったわけですが、とんでもない。印象以上に素晴らしい演奏でした。
元の録音が良かったとなると、やはりリマスターの問題ですね。正規CD化される可能性が低そうなので、アナログ盤を買うしかないですかね。でも結構高価なのですよ。
でも良い音で聞きたいなぁ・・・

投稿: ハルくん | 2014年2月 8日 (土) 11時31分

ハルくん様

morokomanです。

>ところで最近、交響曲第4番で40年ぶりに聴いて感動した演奏が有ります。それはチェコの名指揮者ズデニェク・コシュラーの録音です。

>結局ダウンロードで購入したのですが、記憶の通りの凄い演奏でした
 
おめでとうございます!(^o^)
ずっと探していた、ないし気にかけていた録音が手に入った喜びは、何にも変えがたい大きなものがありますね。(^^)

自分も一昨年経験しました(しかも二度も)。なので、ハルくん様のお気持ち、ある程度わかる気がいたします。

コシュラーさん、95年にお亡くなりになっていたんですねぇ……。そのころ自分はクラシックの世界とは、少し疎遠になっていた状況があり、シベリウス&北欧だけは相変わらず聞いていましたが、それ以外の国についてはうとかったのです。

なので、亡くなられたことをこのブログで数年前に知ったときは「えええ~!」と絶句したものでした。

「ノイマン、クーベリックの後はコシュラーだ!」みたいな評価が以前あったし、自分もそう思っていたのですが……残念ですし、やや哀しいです。

ハルくん様お奨めの一品、コシュラー盤『スラブ舞曲』、いずれ聴いてみようと思っています。

コシュラーさんのチャイコフスキー、残っていて良かったですね。残っている以上、いずれ再評価される可能性もあるのではないでしょうか。

こうしてみると、やはり録音を残すことは、後世への大切な記録であり、遺産だと思います。

今、私はシベリウスの『オーケストラ伴奏の歌曲集』(BIS盤)を聴いております。指揮はパヌラ教授がイェーテボリ響を指揮したもの。全曲を覆いつくすノルディックな雰囲気がたまらなく素晴らしい!

ですが、後世のためにも教授にはもっとたくさん録音して欲しいものです。ヘルシンキ・フィルの、彼の前任者がたった6種類しか録音を残していないので、この悲劇を繰り返さないためにも、ぜひ!

投稿: morokoman | 2014年2月 8日 (土) 11時35分

morokomanさん、こんにちは。

本当にコシュラーの良い演奏は、ノイマン、クーベリック以上なのですが、チェコPOの常任には成れずに地味な存在だったのと、演奏に波が有ったのが、世界のメジャーになれなかった原因ではないでしょうか。

Naxosの「スラブ舞曲集」は絶品ですよ。それまではノイマン盤が一番好きでしたが、コシュラーを聴いてから入れ替わりました。そのうちに是非聴いてみてください。

パヌラ教授のシベリウス、良いですね。
本当に交響曲全集を録音してくれませんかねぇ。

投稿: ハルくん | 2014年2月 8日 (土) 11時47分

>パヌラ教授のシベリウス、良いですね。
>本当に交響曲全集を録音してくれませんかねぇ。


ナクソスには結構録音をなさっているようですが……なぜか交響曲全集には縁がありませんね。
 
ナクソスの全集といえば、弟子のペトリ・サカリがアイスランド響と全集を残しています。

ナクソスは更にインキネンという若い指揮者を起用して交響曲全集&管弦楽曲集を出そうとしているようです。おそらくインキネンも教授の弟子でしょう。

ただ、インキネンが指揮をしているのは、なぜかニュージーランドのオーケストラなので、私などは「トホホホホホ……」と脱力してしまい、聴く気になりません。

ナクソスも、なんでこんなアホなことをするのか……良い企画をしていることは高く評価したいのですが、オーケストラに関してはちょっと考え物です。

それだったら教授&トゥルク・フィルで全集を出せばいいのに……と思うのですけれども。

とはいえ、本当に(言葉は悪いですが)「雨後の筍」みたいに若い指揮者や演奏家たちがフィンランドから続出しています。教授の教育者としての凄さがここからも伺えます。

一転して、チェコではどうなのでしょう。コシュラーさんがチェコの次代を担っていると思っていたのに、亡くなられてしまったことは本当に残念です。

コシュラーさんの次の世代で、ハルくん様お奨めの方はいらっしゃるのでしょうか。チェコ音楽に関してはやや疎いので、もしご存知でしたら、教えていただければ幸いです。

投稿: morokoman | 2014年2月 9日 (日) 17時43分

morokomanさん

Naxosはせっかく良い指揮者を使うのに、オケの選択が今一つの場合がありますね。シベリウスの交響曲にしても、アイスランドやニュージーランドのオケでなく、なぜ、あのトゥルク・フィルを使わないのか不思議です。

チェコで興味ある若手は、まずプラハ響のトマーシュ・ネトピルですが、まだ聴いていません。このひとはパヌラ教授の弟子ですから期待度が大です。
あとはプラハ・フィルのヤクブ・フルシャが良さそうです。
誰が次のチェコ・フィルの首席になるか楽しみです。 

投稿: ハルくん | 2014年2月 9日 (日) 22時12分

ハルくん様

インキネンはおそらくパヌラ教授の弟子でしょう、などと書いたあとで調べてみたら、やっぱり教授の弟子でした。

この指揮者の風貌はまるでエサ=ペッカ・サロネンの弟みたいですね。カッコ良くて、女性ファンの支持も集めそうです。

日フィルの客演指揮者もなさっているそうで、昨年このオーケストラでとりくんだシベリウスの交響曲チクルスの録音を、そのまま全集として今年の6月にナクソスが出すそうです。こちらは聴きたいです。
 
 
>チェコで興味ある若手は、まずプラハ響のトマーシュ・ネトピルですが、まだ聴いていません。このひとはパヌラ教授の弟子ですから期待度が大です。

教授の教育手腕は、国際的にも高く評価されているようですね。そういう意味もあり、私もこのネトビルには期待したいですね。


>あとはプラハ・フィルのヤクブ・フルシャが良さそうです。

この方の名前は聞いたことがありませんので、逆に要チェックですね。
 
 
>誰が次のチェコ・フィルの首席になるか楽しみです。 

次のチェコ・フィルの主席に就任する方が、チェコの楽壇が望む次代の代表なのでしょうね。

ノイマン、クーベリックの世代には、他にもスメターチェクなどの素晴らしい人材がいたチェコの楽壇も、次の世代はややさびしい感じがありました(もっとも、私が知らないだけなのかもしれませんが……)。なので、若い俊英には本当に期待したいですね。


投稿: morokoman | 2014年2月 9日 (日) 23時59分

コシュラー、懐かしい名前です。でもこんな録音があるとは知りませんでした。
昨年の入院中シベリウスを聴き続けていた時、インキネンの録音も知りました。指揮は悪くないのですが・・・オケの技術的な問題というより、伝統の香りがしないという印象です。ニュージーランドも冬季オリンピック選手はけっこういて、氷と雪の世界がわからないオケではなさそうですが。

投稿: かげっち | 2014年2月10日 (月) 13時03分

かげっちさん

コシュラーは地味な存在でしたが、名指揮者だったと思います。埋もれてしまった録音を改めてリリースして欲しいと願ってやみません。

そうですね、ニュージーランドの楽団に伝統は無いかもしれませんね。
気候風土的には北欧に似ていそうな気がしますが、それだけではだめなのかなぁ。

投稿: ハルくん | 2014年2月10日 (月) 14時03分

ハルくん様

morokomanです。

先ほど、NHKのEテレで、スメタナの『モルダウ』を紹介していました。

その時、ヤコブ・フルシャが録画で登場。
なかなか若い指揮者でカッコ良く、私などは「おお、これがハルくん様が推薦された方かぁ~」などと思いながら見ていました。

番組ではフルシャ自身が(録画ですが)『わが祖国』は自分にとって特別な作品であり、子供のころからプラハの春音楽祭はテレビなどで欠かさず見て(聴いて)いたことや、自分自身の手で『わが祖国』指揮をできたことを「人生最大の名誉」であったことなどを話していました。

チェコの次代を背負う逸材として、この人の『わが祖国』を聴いてみたいものです。

投稿: morokoman | 2014年2月15日 (土) 22時12分

morokomanさん

僕もヤコブ・フルシャの「我が祖国」は聴いてみたいと思っています。
プラハの春ライブですし。

才能ある若手指揮者の登場は嬉しいです。
これからの活躍が楽しみですね。

投稿: ハルくん | 2014年2月15日 (土) 23時32分

コニサー・ソサエティと申しますと、愚生がレコ芸誌上の広告に目をやり出した頃、当時の日本フォノグラム社が、ヴァイオリンのワンダ・ヴィウコミルスカ、ピアニストのイヴァン・モラヴェツがこのレーベルに録れたLPを、発売していた記憶がございます。コシュラーさんがLSOを振ったチャイコの第4の録音が、あったんですねぇ。
同レーベルの現況は、クラシック・レコード業界が揺れ動き、不安定な情勢下の昨今、CD化されて新装再登場とは難しいでしょうか。

投稿: リゴレットさん | 2018年3月11日 (日) 04時55分

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