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2014年2月

2014年2月28日 (金)

人間の感情を理解する犬

数日前のロイターニュースである記事を読みました。

『 犬は人間にとって最良の友。それを裏付けるような、犬が人間の感情を理解している可能性を示す研究結果が、ハンガリーの科学者によって明らかにされた。

ハンガリー科学アカデミーの研究チームは、MRI装置(磁気共鳴画像装置)内で動かないよう11匹の犬を訓練し、約200種類の音を聞かせ、脳の神経画像を撮影。同様の実験で撮影した人間の神経画像と比較した。その結果、泣き声などの感情的な音に対して犬が人間と同じように処理していることが分かった。
エトゥベシュ・ロラーンド大学(ELTE)のアッティラ・アンディクス氏は、人間と非霊長類の脳の機能を比較した初の研究だとし、「犬と人間が似たような社会環境を共有していることは長い間知られていることだが、われわれの研究結果により、社会的な情報を処理する脳のメカニズムも似ていることが判明した」と語った。

研究チームは、犬が人間の感情を理解し得ると分かれば、飼い主のペットへの接し方も変わり、新たな「犬生観」をもたらすことにつながるとしている。』

という内容なのですが、犬が人間の感情を読み取る能力は人間の2歳児レベルだとは以前から言われていましたね。それが科学的に検証されたということでしょうか。

飼い主が嬉しければ一緒に嬉しがり、悲しんでいれば一緒に悲しくなるというのは動物の中で犬だけがとる行動なのだそうです。それは、犬が3万年もの間、人間に寄り添って生きてきたからこそ身に付いたDNAだと言われています。
そもそも人間の大人ですら、空気が読めない、人の気持ちの分からない輩はそこいらじゅうに居るというのに大したものですよね。

そうしたところ、昨日のニュースでは、ロシア・ソチ五輪に出場した米国のアイスホッケーの男子選手が現地で出会った野犬2匹を連れて帰国したという記事が有りました。ソチでは狂犬病などを理由に野犬が殺処分されていて、この選手は「救出」できたと喜んでいるそうです。
宿泊先の近くで出会った2匹が同選手から離れたがらないので、部屋でも一緒に過ごしたのだそうです。米ミズーリ州の動物保護施設で約1カ月間、健康診断や英語でのしつけを受ける予定とのことです。米国はホッケーではメダルを持ち帰れませんでしたが、心の温まる話ですね。

我が家にも人の顔色を読み取る能力にはホント感心する犬がいます。普段はこんなアクビをしていてもね・・・。

Cockie       クッキーくん(2歳オス)

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2014年2月26日 (水)

バレエ「春の祭典」 ウヴェ・ショルツ&ライプチッヒ・バレエ団(映像)

ソチ・オリンピックが終わってしまいましたが、”冬の祭典”が終われば、次はもちろん”春の祭典”ですね。

バレエ「春の祭典」は、初演こそパリのオペラ座で行われましたが、ロシア・バレエ団の団長ディアギレフが構想をし、ストラヴィンスキーが音楽を書いた、れっきとしたロシア・バレエです。20世紀初頭のロシアは音楽、絵画、舞踏といった広い芸術分野において優れた先進性を持つ凄い国でした。ソチ・オリンピックの開会式でもこの曲が大事なところで使われていましたね。

そのバレエ「春の祭典」で、ドイツ人の振付師ウヴェ・ショルツがライプチッヒ・バレエ団と2003年に公演を行った時のDVDを以前ご紹介しました(その記事はこちらから)。

このDVDは、オーケストラ演奏版だけでなく、2台のピアノ演奏版も観られるというとても斬新な内容です。前衛的な演出の後者も非常に興味深いです。
既にご覧になられた方は良いのですが、まだ観られていない方の為に全曲映像がYouTubeにアップされています。是非とも一度ご覧になられることをお勧めします。

それにしても100年後に、このような演出が行われるのも、ディアギレフとストラヴィンスキーの偉業が有ったからこそですね。

ということで、ソチ・オリンピック記念の「ロシア音楽特集」も閉幕です。

<関連記事>
アンジュラン・プレルジョカージュ振付によるバレエ「春の祭典」
ストラヴィンスキー バレエ音楽「春の祭典」 名盤

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2014年2月24日 (月)

ソチ・オリンピック2014 閉幕

Closingceremony

”雪と氷の上のスポーツの祭典”、ソチ冬季オリンピックがとうとう終わってしまいましたね。スポーツ観戦好きでは人後に落ちない自分ですので、この2週間というもの毎日テレビにくぎ付けとなり、喜びと涙のシーンを一杯味合せて貰いました。

ロシアの国を挙げたセレモニーは開会式も閉会式も素晴らしかったですね。アメリカのようにひたすら派手さを押し出すわけでもなく、中国のように膨大な人間を繰り出して圧倒するわけでもありません。演出はメルヘン的で詩情にあふれていて、そこに華を一杯に添えたのが文化や芸術だったのが凄く良かったです。チャイコフスキーにラフマニノフの音楽、ボリショイ・バレエやマリインスキー・バレエが次々に登場するのですからドキドキでした。

それにしても、競技の結果、勝敗は正に『筋書きのないドラマ』ですね。だからこそ尊く、見る人の感動を呼ぶのでしょう。映画やテレビドラマのように、ある程度は結末が予測出来たとしたら、感動の質も変わって来ることでしょう。競技の結果は選手個人個人の才能や努力、指導者の力量、戦略の正しさ、そして時の運、あらゆる条件の組み合わせの結果です。いちばん一生懸命に練習をした人が必ずしも勝つとは限りません。それは尊くも非情なものだと思います。

栄冠をつかむことが出来た選手たちには心からの祝福を捧げたいです。逆に、思うような結果を残せなかった選手たちには余り失望はしないでほしいと思います。人生が終わったわけでは無いのですから。失敗した経験は後から必ず自分の役に立ちます。
『人生においては無駄な経験など一つたりとも無い』というのは自分の座右の銘ですが、その言葉を是非贈りたいと思います。

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2014年2月23日 (日)

グラズノフ 交響曲第5番変ロ長調op.55 ムラヴィンスキーの1979年東京ライヴ

ソチ・オリンピックの熱き戦いもいよいよ今日で終わってしまいますね。(寂)
TVで今夜の閉会式の予行練習の映像が流れていましたが、あの開会式のようにドキドキわくわくする内容であるのは間違いなさそうです。とても楽しみです。

ということで、オリンピック記念の”ロシア音楽特集”も佳境に入りました。

グラズノフの書いた8曲の交響曲の出来栄えは平均していて、どの曲にも良さが有りますので、中々「この曲は」という選択が出来ません。ですので、「お勧めは?」と聞かれると、結局のところ「全集です」ということになってしまいます。ただ、単独盤にも非常に注目すべきものが有りますのでご紹介したいと思います。

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グラズノフ 交響曲第5番変ロ長調op.55
エフゲニ・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル(1979年録音/Altus盤)

残された録音こそ多くは有りませんが、ムラヴィンスキーはグラズノフの音楽をとても好んだそうです。中では第5番を取り上げる機会が多かったようです。それはモーツァルトなら第39番、ベートーヴェンなら第4番、チャイコフスキーなら第5番、ショスタコーヴィチなら第5番、というようにムラヴィンスキーは頻繁に取り上げる曲目を絞り込んでいたのと同じです。

けれども、さすがにグラズノフの録音で条件の良いものは限られていて、第5番の代表盤として上げられるのが、この1979年6月8日のNHKホールでのライブ録音です。同時にこれは合計4度来日したムラヴィンスキーの日本における最後のコンサートですので、記録としても貴重だと思います。

第1楽章の長い序奏部は、ワーグナーの楽劇「ラインの黄金」の冒頭を想わせます。レニングラード・フィルの純度の高い響きが美しく、その印象を助長します。

第2楽章の軽快な音楽はメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」の世界ですが、突然ロシア民謡調に変わるのが愉しいです。ムラヴィンスキーはここをとてもチャーミングに演奏しています。

第3楽章はロシアン・ナイトの静寂ですが、ムラヴィンスキーはまるでロマンテックな夢を見るように聴かせてくれます。

第4楽章は、疾走するコサックの騎馬隊を想わせるような荒々しいロシアン・リズムの愉しい聴きものですが、演奏のテンポ設定の違いで印象が大きく変わります。僕が聴いた演奏で終楽章だけを比較すると、テンポが遅い順に、ポリャンスキー>フェドセーエフ≒ムラヴィンスキー>スヴェトラーノフとなります。ポリャンスキーは幾らか遅過ぎて重々しく、スヴェトラーノフは逆に速過ぎで忙しなさを感じます。個人的には、その中間でほぼ同じような速さであるフェドセーエフとムラヴィンスキーを好ましく感じます。けれどもダイナミクスの巾が大きく、スケールの壮大さを感じるのはムラヴィンスキーです。

ということで、ムラヴィンスキーがレパートリーとする曲は、やはりムラヴィンスキーが一番かなぁ、とは思ってしまいます。

録音はオフマイクでステージから遠く、色彩感が幾らか不足するように感じられますが、会場の臨場感が有りますし特に悪いということはありません。貴重な曲のライブを聴けるだけでも有り難いです。

YouTubeでこの演奏を聴くことが出来ますので、ご紹介しておきます(こちら)。

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2014年2月22日 (土)

”ロシアの夜” ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 エレーヌ・グリモー&クラウディオ・アバドの演奏(映像)

毎年冬になるとロシア音楽を聴くのが日課になる自分なのですが、今年はロシアでオリンピックが開かれていることもあって、テレビの競技観戦の合い間に例年にも増してよく聴いています。

昨日のフィギュア女子フリープログラムでの浅田真央さんの演技がテレビで繰り返し放送されていますが、そのたびに耳に入るのが使用されたラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の第1楽章です。ロシアの広大な大地風にもニューヨークの都会風にもどちらにも聞こえるこの曲は大好きですが、その季節は凍てつく真冬。今回の大会に最高の選曲だったのではないでしょうか。

ということで、もう一度この曲を聴きましょう。僕の好きなピアニストのエレーヌ・グリモーが、残念ながら今年の1月20日に亡くなってしまった名指揮者クラウディオ・アバドの伴奏指揮で弾いた演奏です。2008年のスイス・ルツェルン音楽祭で『ロシアン・ナイト(A Russian Night)』と題されたコンサートの中で演奏されたものです。DVD化もされています。

<関連記事>
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 エレーヌ・グリモー盤
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 名盤

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2014年2月21日 (金)

ソチ・オリンピック フィギュアスケート女子シングル ”感動をありがとう!”

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冬季オリンピックの華、フィギュアスケート女子シングルが終わりました。結果は皆さんご存知の通りです。

今回の大会前の浅田真央さんには、何となく悪い予感がしていました。彼女がどんなに練習で完璧に滑れてはいても、「前回のバンクーバーで金メダルを逃したので、今回こそは絶対に取りたい」「完璧な演技をして競技人生の集大成としたい」と強い意欲を示せば示すほど不安が増しました。

というのも、それは裏を返せば⇒「もしも金メダルが取れなかったらどうしよう」という、大きな期待を受ける競技者であるが故の宿命的な不安を抱えてしまうからです。過去にどれだけ大勢の有能な競技者が、そのような不安に押し潰されたかが思い起こされてしまうからです。

真央さんの脳が強い意欲をそのように変換してしまうことは予測が出来ました。案の定、ショートプログラムでは不安と緊張で、まるで体に重りを引きずって演技しているようでしたね。

一方、キム・ヨナは試合前に「金メダルは前回手にしたので、今回は試合を楽しむ」と言っていました。それでも緊張しているように見えましたが、真央さんほどに自分を追い詰めることもなく、演技が出来ましたね。

「勝つと思うな、思えば負けよ」とは言い得て妙です。

ただ、佐藤信夫コーチには不満を感じます。ショートプログラム終了後に「やるべきことは全てやってきた。彼女にいったい何が起きたかわからない。それが五輪大会だ。」だなんて、随分と無責任な発言ではありませんか。事前に選手の心理、精神状態を予測して、対応策を考えるのがコーチの役目というものでしょう。どんなに練習で良くてもそこを何とかしなければ無意味です。

その点では、冒頭の難しいジャンプを失敗する前提で羽生くんの作戦を立てていたというブライアン・オーサーさんは流石です。緊張からフリーの冒頭ジャンプを失敗しても、パニックに陥らずに徐々に立て直してゆくことに成功しましたね。

真央さんがフリーでは金メダルの射程範囲外になってしまったことで、金メダルの呪縛から解き放たれて本来の演技が出来たのは皮肉でした。けれども、あの演技は涙が出るほど感動的でした。最高のラフマニノフだったと思います。自己ベストの得点を叩きだして、あわやメダルを獲得かと期待を持たせてくれました。真央ちゃん自身も、そして振り付け師のタラソワさんも非常に満足したようで、本当に良かったです。

それにしても10代の若い選手の台頭が目立った大会でしたね。これまで世界のフィギュアを牽引してきたキム・ヨナ、コストナー、そして真央さん、鈴木明子さんの時代がいつのまにか終わろうとして最後の輝きを見せた大会だったようにも感じられます。それぐらい若い選手たちの雄姿が目にまぶしく感じられました。次回の大会では、主役はすっかり入れ替わっているのかもしれません。でも真央さんの演技はいつまでも見たいし、次回の大会にも果敢にチャレンジをして欲しいと思います。葛西選手やプルシェンコ選手、それに出場は適いませんでしたが安藤美姫さんのように決して諦めないで欲しいと思います。

真央さん、明子さん、佳菜子さん、それに大勢の選手一人一人に「感動をありがとう」と言いたい気持ちで一杯です。

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2014年2月19日 (水)

グラズノフ 交響曲全集 名盤 ウラジーミル・フェドセーエフ/モスクワ放送響

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ロシアのアレクサンドル・グラズノフは第ニ次世界大戦直前の1936年まで存命した作曲家です。もっとも作曲様式は保守的で、ロシア五人組に代表される国民楽派を受け継ぎ、チャイコフスキーの流れを汲むロシア・ロマン主義の影響が大いに認められます。ですので、革新的だった作曲家のストラヴィンスキーやプロコフィエフ、ショスタコーヴィチたちからは「グラズノフの音楽は時代遅れだ」と評されました。

グラズノフの音楽には、ロマンティックで美しい旋律と、草原を想わせるような広がりと情緒が有ります。これはロシア音楽好きの人にとってはたまらない魅力だと思います。もっとも、グラズノフの音楽にはチャイコフスキーやラフマニノフの”砂糖をふんだんに使った濃厚な甘さ”とは違って、”果実が元々持っているような自然な甘さ”という印象を受けます。旋律線にも、しつこさや押しつけがましさを感じることは有りません(もちろん、チャイコフスキーやラフマニノフは、それが大きな魅力なのですが)。それはまた、”雪に覆われた暗く荒涼としたシベリアの大地”というよりも、東欧に近いウクライナやベラルーシなどの地方の陽光の明るさや爽やかさを印象付けられもします。それがグラズノフの音楽のとても大きな魅力だと思っています。

グラズノフは作品の数が多いことも特筆されます。8つの交響曲、バレエ音楽を含むそれこそ膨大な数の管弦楽曲、協奏曲、室内楽曲などです。もちろん自分もそれらを多く聴き込むことは出来ていませんが、第一にお勧めしたいのは交響曲全集です。

グラズノフがまだ若干16歳のときに、リムスキー=コルサコフの指揮によって初演された交響曲第1番「スラヴ風」に始まり、最後の交響曲となる第8番まで、8曲のどれもが大変魅力の有る交響曲ばかりです。

曲の構成は、第4番のみが3楽章の構成ですが、残りの曲は全て伝統的な4楽章構成で書かれています。グラズノフの保守的な作風を象徴しているとも言えるでしょう。
どの曲においても、グラズノフの音楽の持つ爽やかな美しさとロシア的な情緒が迸るようです。一般的には中期の第4番、第5番、第6番の3曲が演奏される機会が多いようですが、後期の円熟し切った第7番と第8番も実に素晴らしいです。特にベートーヴェンの「田園」を意識して書き、同じ標題が付けられた第7番「田園」は、スラヴの春を想わせるような美しい旋律に溢れていて、とても好んでいます。第8番も、どことなくドビュッシーやサン=サーンスなどのフランス音楽の響きを随所に感じさせますが、壮麗な趣を持っていて魅力的です。

ロシアの交響曲作曲家と言えば、チャイコフスキーとショスタコーヴィチでしょうが、どっこいグラズノフを忘れてはいけません。

それでは、僕の愛聴盤のご紹介です。

891グラズノフ 交響曲全集 ウラジーミル・フェドセーエフ/モスクワ放送響(1974年‐1981年録音/ヴェネチア盤:メロディア原盤)

グラズノフの交響曲の全集は、もちろんスヴェトラーノフ、ロジェストヴェンスキー、ポリャンスキー(一部は別指揮者)といったロシア勢が主流を占めますが、その中の一つがウラジーミル・フェドセーエフとモスクワ放送響のものです。フェドセーエフが、この優秀なオーケストラの首席指揮者を前任のロジェストヴェンスキーから引き継いで間もない頃の録音ですが、どの曲の演奏にもロシア的なダイナミクスと、余り重く成り過ぎない躍動するリズムや若々しさが感じられます。それはグラズノフの音楽が持っている爽やかさにとても適していると思います。もちろん情緒的で美しいメロディも充分に歌ってくれていて申し分ありません。

音質的にはオリジナルがメロディア録音ですので過剰な期待は持てませんが、メロディア録音の当時の水準は越えていると思います。

なお、CDはこのヴェネチア・レーベルや日本のビクターからライセンスで出ていますが、それ以外のレーベルから、ほぼ同じ時期の『ライブ録音』と称する全集が出ていますのでご注意ください。レヴューを読んだかぎりでは悪くは無さそうなので、そちらでチャレンジされても面白いかもしれません。(もっとも、メロディア盤と同じものだという説も有ります。詳細は分かりません。)

まだ手が回っていませんが、フェドセーエフ以外の全集盤も是非聴いてみたいとは思っています。

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2014年2月17日 (月)

仲道郁代 ピアノ・リサイタル ~ロマンティック極まる~

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人生は探求のかたまりです。
赤ん坊は母の乳を探し、生きる力を見出す。
若者は人生とは何かと、生きる意味を探す。
熟年は人生を振り返り、自分の生きざまの意味を探す。
どこにも答えなどなく、誰も答えを見つけられないのに・・・
そんな探究こそがロマンだと思うのです。
夢、渇望、自己との対話、果てしない”もがき”。

大作曲家は後世に残る素晴らしい作品を書きました。けれでも、その時、その瞬間は、等身大の”人生にもがく人”だったのです。それは偉大な作曲家の特別な何かではなくて、私たち一人一人が知っている”もがき”なのです。
そうです。私たちも、同じロマンに生きているのです。

  ―仲道郁代―(プログラムの「ご挨拶」からの引用)

仲道郁代さんは自分のアイドルですが、昨日は、まだ羽生君の金メダルと葛西選手の銀メダル、それに大雪の余韻が残る中をサントリーホールへピアノ・リサイタルを聴きに行きました。

なんたってタイトルが”ロマンティック極まる”ですよ。素敵ですよねぇ。
しかも、「ご挨拶」がまた気が利いています。演奏家としての智と心がこもっていますね。

演奏曲目を記しますと、

モーツァルト:ピアノソナタ第3番変ロ長調K281
シューマン :交響的練習曲作品13
ブラームス :3つの間奏曲作品117
     ―休憩―
ショパン   :バラード全曲

どーですか!いいでしょー!(⇒頭のてっぺんに抜ける高音になる:ジャパネットたかた風)(笑)
”ロマン”がジャパネットになってしまってはいけません。

とにかく郁代さんのピアノで聴いてみたい曲目ばかりだと思いました。プログラムには、各作曲家の亡くなった年齢と、曲を作曲したときの年齢がとても見やすく記されています。うーん、細かい配慮ですね。さすがは郁代さん。
それではそのリサイタルの様子をご紹介します。

曲を演奏する前にマイクで曲について解り易く解説するのはいつも通りですが、今日は特に曲の背景が解り易くて良かったです。

モーツァルトのソナタ第3番は、続く4番、5番ほど聴くことはありませんが良い曲です。僕がモーツァルトの演奏でポイントにするのはアレグロの16分音符がどれぐらい明確に美しく弾かれているかです。これは昔、ワルター・バリリ教授がモーツァルト演奏について強調していた点で、凄く重要なことだと思っています。その点では、今日の演奏では音が明確に聞こえませんでした。たぶんテンポの速さ、タッチ、ペダルの深さ、それらの組み合わせが必ずしも適当では無かったものと思います。大きな会場ですからこういう曲は難しいのでしょうね。緩徐楽章ではもちろん問題ありません。

シューマンの「交響的練習曲」。これは期待していました。郁代さんが一番向いているのはシューマンじゃないかと思っているからです。主題の美しさから非常に惹きつけられました。正に郁代ワールドです。ただ、第三変奏や最終変奏などのフォルテの音が非常に強く弾かれていたのは幾らか過剰なように感じました。彼女の最大の美点は”優しさ”だと思うのでここまで頑張らなくても・・・という印象です。ブリリアントな曲だからかなぁ。

ブラームスの「3つの間奏曲」では、一番良かったのはやはり美しい1曲目です。詩人ヘルダーの”不幸な母の子守歌”の詩を引用して、息子を亡くしたばかりのクララへの慰めの為にこの曲を捧げたブラームスの気持ちが一杯に滲み出ていました。子供の好きな郁代さんならではの共感溢れる演奏です。

休憩を挟んでの、後半のショパンの「バラード」。これは素晴らしかったです。特に大ピアニスト達の演奏で耳ダコの第1番が良かったのには驚きました。フレージング、ダイナミクス、タッチのどれも文句が無く、正直こんなに魅力的なショパンを聴けるとは思いませんでした。

アンコールは2曲。まず、ショパンのノクターン第20番嬰ハ短調<遺作>。これは「戦場のピアニストのラストシーンの曲ですね。そして最後はエルガーの「愛の挨拶」。コンサートの締めくくりに幸せな余韻を残すのには最上の曲ですね。

ということで、幸せなひと時を愉しめました。

それにしても彼女は2月13日の誕生日でもう51の齢を迎えたはずですが、美しさは少しも変わりませんね。本当に”儚い憧れ”を感じてしまいます。
自分は、あと二年足らずで還暦を迎えようという齢ですが、年齢的には郁代さんと丁度お似合いの齢なんですけどねぇ。人生のすれちがい。ああ、儚い・・

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2014年2月15日 (土)

ゲルギエフ/マリインスキー劇場管のチャイコフスキー交響曲全集(映像)

昨日はバレンタイン・デーでしたので、今日は一日遅れの”逆バレンタイン”です。(笑)

ソチ・オリンピック開会式で五輪旗を持って入場行進するメンバーの一人としてヴァレリー・ゲルギエフも加わっていましたね。(前から二人目)

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ゲルギエフは好きな指揮者ですし、チャイコフスキーの演奏も良いと思うのですが、何故かこれまでのCD録音については疑問が多いです。最初に手兵のマリインスキー劇場管と「悲愴」の録音をしたのは良いですが、次に出したのがウイーン・フィルとのライブで「5番」。これも演奏が素晴らしかったので良いです。それから同じウイーン・フィルと「4番」、それに2度目の「悲愴」を出して後期三大交響曲集としました。ところが最近出した初期の第1番から第3番まではロンドン交響楽団との録音です。これにはがっかりでした。マーラーの録音はロンドン響で良いとしても、プロコフィエフやチャイコフスキーはやはりマリインスキー劇場管と録音して欲しかったです。どうもロンドン響との録音には商業主義が強く感じられてなりません。

ところが、DVDではチャイコフスキーの全曲がしっかりとマリインスキー劇場管と演奏されているのですね。何なのでしょうね、これって。CDでも全集出してよと言いたいです。

と、まぁ文句ばかり言わないでYouTubeから聴かせて貰いましょう。
やっぱりチャイコフスキーはロシアのオーケストラが良いですね。

交響曲第1番「冬の日の幻想」

交響曲第2番「小ロシア」

交響曲第3番「ポーランド」

交響曲第4番

交響曲第5番

交響曲第6番「悲愴」

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祝・金メダル&入賞 男子フィギュアスケート 羽生くん、町田くん、高橋くん

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やりましたね!羽生結弦くん、金メダル獲得!日本の男子フィギュアスケート史上初の快挙ですね。夜中までテレビの前で応援したかいがありました。

羽生君は恐らく緊張からであろうミスが序盤に有りましたが、だんだんと落ち着きを見せて後半はすっかり立ち直り、「ロミオとジュリエット」のテーマ「ア・タイム・フォー・アス」の名曲に乗って見事に滑り切りました。それでも、パトリック・チャンがベストで滑ると優勝をさらわれるかなぁと心配でしたが、そこはオリンピック。やはり魔物が居ます。チャンの方も幾つかミスを重ねてしまい、結局は羽生くんが栄冠に輝きました。羽生君はまだ19歳。向上心が半端ではない彼が、次のオリンピックでこそ完璧な演技での優勝を目指すのは間違いないと思います。ですので、これで良かったと思います。

第5位の町田樹君、第6位の高橋大輔君も、メダルこそ逃しましたが入賞は見事です。特に日本の男子フィギュアを牽引してきた高橋君の演技は競技人生の立派な集大成であったと思います。ビートルズ・メドレーの特に「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」に乗って滑る姿が何とも感動的でした。町田君も「火の鳥」で彼の進化を立派に見せてくれた演技内容でした。

4年に一度しかないオリンピックの舞台で力を100%出すことがどれほど難しいことかを考えれば、この結果は称賛に値します。何しろ上位入賞者6人うち3人が日本人なのですからね。おめでとう!

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2014年2月13日 (木)

チャイコフスキー 後期三大交響曲 チェリビダッケの名盤、迷盤? 

ソチ・オリンピックで日本選手が連日活躍をしていますね。スノーボード、ハーフパイプの平野君と平岡君、素晴らしかったです。スケートやジャンプ競技のようにマスコミに大騒ぎをされなかったことも平常心で戦えた理由の一つのような気がします。ノルディック複合ノーマルヒルで20年ぶりのメダルを獲得した渡部選手も素晴らしいです。高梨沙羅ちゃんは余りにも周りが騒ぎ過ぎて可哀そうでした。でも17歳で4位入賞なんてとても凄いことだと思います。
表彰台に手が届かなかった選手たちは本当に悔しいことでしょう。けれども無理は有りません。日本以外の国の選手たちも血の滲む努力をしているわけですし、なにせ一発勝負のオリンピックの舞台で普段の力が出せること自体が極めて難しいことなのだと思います。

さて、ロシアのカーリングチームに脱線していないで、継続中の「ロシア音楽特集」に戻ります。今日は定番中の定番、チャイコフスキーの後期三大交響曲です。但し演奏は、恐らく定番からは幾らか外れるであろうセルジュ・チェリビダッケです。

チェリビダッケは何しろ個性的なので、熱狂的なファンが居ますが、一方でアンチ派も多いと思います。その点は読売ジャイアンツと同じです。「嫌いだ」とわざわざ言うことが、既にその存在を強く意識しているのです。ですので、僕も「嫌いだ」と言いながら、実はやはりファンなのかもしれません。

チェリビダッケの設定するテンポが何故あれほどまでに極端に遅いのか?ひとつの理由は「響き」にあるような気がします。極端に遅く、普通なら管楽器の息が切れてしまうようなテンポでも息を切らさず、しかも透明なハーモニーを保つことが出来る。これはオリンピック選手並みの鍛え方が無ければ無理だと思います。チェリビダッケは間違いなくジャイアンツ以上の鬼の監督です。チェリビダッケの美学を実現する為には無くてはならない条件なのでしょう。

しかしチェリビダッケの演奏を聴いて、全く別の曲を聴いているような面白さや驚きを得られることは度々有りますが、「ああ良い音楽を聴いたな」と思うことは案外少ないです。何の曲を聴いても、「作曲家の音楽」を聴いているというよりも、「チェリビダッケの音楽」を聴いているような気がしてしまうのです。それで中々「好きだ」と言えないのかもしれません。それでも気になってしまうというところが実に稀な存在です。

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チャイコフスキー交響曲第4番(1993年録音)
チャイコフスキー交響曲第5番(1991年録音)
チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」(1992年録音)

前置きが長過ぎました。このEMIからリリースされた「フレンチ・アンド・ロシアン・ミュージック」というボックスセットには、チャイコフスキー以外にももちろんフランス音楽やショスタコーヴィチやプロコフィエフなどのロシア音楽が収められています。けれどもメインとなるのはやはりこの三大交響曲です。
演奏はもちろん手兵のミュンヘン・フィルハーモニーで、3曲とも演奏会場はミュンヘンのガスタイクのフィルハーモニーホールです。

第4番は、まず第1主題がとにかく遅いです。「でた!」という感じのチェリビ調ですが、リズムが完全に停滞して旋律の味わいと切迫感が消え去っています。しかし展開部では地の底でもだえ苦しむような雰囲気がユニークで、じわじわとファンファーレのクライマックスまで盛り上がってゆくのには興奮させられます。後半は再び遅いテンポが足かせとなって緊迫感を失ったままです。終結部で一般的な速いテンポに変えるのも一貫性に欠けます。
第2楽章も遅く重いテンポで歌われますが、ここは元々緩徐楽章なのでさほど抵抗は有りません。ただ、中間部はやはり遅過ぎで胃にもたれます。
第3楽章も極めて遅く、こういう音楽を遅く演奏する意味は一体何だろうと悩みます。
第4楽章も遅いです。スピードレースのような演奏が多いことを考えると、希少価値ですが、音楽としては異質に感じられます。ところが終結部に向かってテンポが段々と速まるのでいつの間にか普通の演奏に変わっています。

第5番は、第1楽章では導入部の遅さはともかくも、主部の遅さと重苦しさが驚くほどです。但し音楽自体も元々重い運命を背負ったようなところが有るので、意外に違和感を感じません。むしろ胃にもたれながらもズシリとした聴き応えが有ります。
2楽章のテンポの遅さはもう想定通りなので驚きません。でもやはり遅い・・・。音は管も弦もとても美しく、中間部のファンファーレ部分でも響きの美しさを失いません。
3楽章のワルツもかなり遅いですが、こういう暗く沈んだ解釈は有りだと思っています。でもやはり遅い・・・。
終楽章はチェリビダッケの本領発揮で金管をとても美しく響かせます。良くも悪くも「爆演」とは程遠いコントロール下にあります。問題は意外にテンポを動かすことで、基本は遅いのですが、突然速くなったり元に戻ったりする部分が有り、幾らか構築性が失われた印象です。

第6番「悲愴」は、第1楽章第1主題のテンポはもちろん遅く、旋律を歌わせている割にはフリッチャイの「哀しさ」やポリャンスキーの「虚しさ」のような感情への訴えかけが希薄に感じられます。アレグロ・ヴィーヴォの展開部ではテンポの変化が見られます。速くなってみたり、粘って重くなったり、突然元に戻したりと一貫性の無さが少々矮小さを感じさせたりもします。
第2楽章はゆったりとした普通の演奏です。中間部を最弱音に抑えるのも常套的な表現です。
第3楽章のマーチは遅めのイン・テンポで淡々としています。特別な面白みは有りません。
第4楽章は、うって変わって冒頭から人生の虚しさに溢れるような雰囲気に溢れていて胸を締めつけられます。最弱音で始まりゆっくりゆっくりと高まりをみせる歌がとても効果的です。楽章全体が約13分なので、テンポはかなり遅い部類に入ります。バーンスタインの17分が恐らく最長なので、最遅王座は奪われた形です。

ということで、部分的や楽章ごとには聴きどころが多く有るのですが、通して聴くと余り感銘は受けません。最大の原因は、やはりチェリビダッケがチャイコフスキーの音楽を演奏しようというよりも、自分の音楽を演奏しようとしているからだと思います。

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ロシアより愛をこめて2014 ~アンナ・シドロワ選手~

カーリング女子チームの調子が上がって来ましたね。強豪であるデンマーク、ロシアを連覇して波に乗っています。この調子で日本チーム頑張れ!

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ところで、ロシアのスキップ担当の選手が美しいのには驚きました。アンナ・シドロワ(もしくはシードロヴァ)という23歳の若手選手ですが、試合の成り行きとは別に固唾を飲んで??見守ってしまいました。ミスをしたときに唇を噛みしめて悔しさを見せる表情が何ともいじらしかったです。

海外のサイトで彼女のインタヴュー動画が有りました。

しかし、それより驚いたのは下の動画です。海外のアスリートがよくセミ・ヌードになったりすることは知っていますが、なんともセクシーゾーンのグラビア撮影ではありませんか! いや~正に「ロシアより愛をこめて」ですね。007にハートの真ん中を撃ち抜かれそうです。(苦笑)

ロシア・チームも頑張れ!

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2014年2月 8日 (土)

チャイコフスキー 交響曲第4番 ~40年ぶりに聴くズデニェク・コシュラーの名演~

なにもソチ・オリンピックの開幕に合わせたわけでもないのでしょうが、全国的に雪となり、関東でも16年ぶりの大雪となるようです。雪国の人からみれば数十センチの雪で「大雪」だと慌てふためく都会がきっと可笑しいことでしょうが、雪に慣れていない都市にとってはやはり大ごとです。

雪に覆われると、無性に聴きたくなるのがやはりチャイコフスキーです。交響曲で言えば、第1番と第2番、それに第4番ですね。これは自分のイメージなのです。ですので、今日は朝から3曲を順に聴いています。

ところで最近、交響曲第4番で40年ぶりに聴いて感動した演奏が有ります。それはチェコの名指揮者ズデニェク・コシュラーの録音です。

ズデニェク・コシュラーは1995年に亡くなりましたので、早いものでもうじき20年になろうとします。日本のオーケストラにも度々客演していたので、当時はかなり親しまれていたと思います。けれども録音が決して多いというほどでは無かったために、いつの間にか忘れ去られた印象です。この人がスロヴァキア・フィルと残したドヴォルザークの「新世界より」や「スラヴ舞曲集」、スメタナの「我が祖国」などは、各曲の1、2を争う超名盤なのですが、今ではそのことを語る人をほとんど知りません。

そんなコシュラーの録音の中で、今から40年も前に友人の家でたった一度しか聴いたことが無いのに、鮮烈な印象を脳裏に焼き付けられている演奏が有ります。それはロンドン交響楽団を指揮して1972年にConnoiseur Societyというマイナーレーベルに残したチャイコフスキーの交響曲第4番です。何しろ長いことオケがチェコ・フィルだったかロンドン響だったか、あるいはどこのレーベルだったか憶えていなくて、探すことも出来ませんでした。それを、ようやく中古アナログ盤かダウンロードでなら入手が出来ることを突きとめました。CD化はされていないようです。結局ダウンロードで購入したのですが、記憶の通りの凄い演奏でしたのでご紹介しておきます。

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ズデニェク・コシュラー/ロンドン響(1972年録音/Connoiseur Society原盤)(ダウンロード専用:こちら

ちなみに、中古アナログ盤の画像も有りましたので下に貼り付けておきます。頭が光っているのは禿げているから??でしょうか。

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第1楽章の冒頭のファンファーレをゆっくりと威厳を持って開始しますが、気合の籠った音です。そして第1主題が始まりますが、非常に遅いテンポです。悲しみに沈んで息絶え絶えに感じられます。ロシアのポリャンスキーのテンポに近いのですが、フレージングの良さと抑揚の上手さは特筆に値します。ちなみにこの楽章を20分10秒で演奏していますが、ポリャンスキーでも20分は越えていません。チェリビダッケの23分というのは(余りに遅過ぎで)論外としても、極めて遅いテンポにもかかわらず非常に緊迫感を持った素晴らしい演奏です。

第2楽章はコテコテのロシア節で歌ってほしいところですが、ロンドン響としては精一杯の雰囲気を出しています。やはり遅めのテンポでじっくりと歌わせているのが良いです。

第3楽章は平均的なテンポですが中々にリズミカルで愉しめます。

第4楽章はことさらテンポを速めるわけでも無く、堂々と恰幅の良い演奏です。ロンドン響としてはかなり重みのある壮絶な響きを聞かせてくれています。中間部での微妙なテンポの変化も、わざとらしさを感じさせること無く愉しめます。終結部の迫力もかなりのものです。

とても残念なのは、恐らくアナログ音源のデジタル化の問題でなのでしょうが、音が薄く安っぽいことです。ただ、正規リマスター盤ではありませんし、この名演奏を聴けただけでも有り難いと言っておきましょう。何しろ演奏の魅力だけで言えば、マイ・ベストを争えるほどの名演奏です。40年ぶりに初恋の人に会ったような熱い気持ちにさせられました。

<関連記事>
チャイコフスキー 交響曲第4番 名盤
チャイコフスキー 後期三大交響曲 ポリャンスキー/ロシア国立響

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2014年2月 6日 (木)

現代のベートーヴェンはやっぱり幽霊だった!?

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現代のベートーヴェンはやっぱり幽霊でしたか。

全聾の作曲家として有名になった佐村河内守(さむらごうちまもる)氏は”現代のベートーヴェン”として世に広くもてはやされましたが、あの偉大なベートーヴェンが現代に存在するはずは無く、ただのゴーストだったようです。偽装騒動で明け暮れた昨年でしたが、今年もこんな偽装が発覚するとは呆れてしまいます。

もちろん音楽家が自伝や本を出版する場合に、ゴーストライターの手を借りて書いてもらうことは良くある話です。しかしこれは本職以外の作業なので、それを問題にする気は毛頭ありません。

けれども、本職である楽曲がゴーストの手によるものであったとなると許されません。それも彼の『耳が聞こえないハンディを乗り越えて努力の末に作品を完成させた』という姿が多くの人に感動を与えたわけですから、これは詐欺罪に当たるのではないでしょうか。

自らが被爆二世としての作品「HIROSHIMA」や、東日本大震災をテーマにした「レクイエム」など、音楽ファンだけでなく国民を欺き馬鹿にした話です。

しかし、それもこれも音楽の中身だけでなく、何か話題性を造り上げて売り上げに結びつけようという、音楽業界の商業主義があるからですね。単なる美形演奏家や身体にハンディのある演奏家、あるいは不遇の境遇を送ってきた演奏家たちを『商品』にしようとする魂胆が見え見えですが、それは聴き手が判断すれば良いことで、詐欺とまでは言えません。しかし、他人の作品を本人の作と称して、テレビ出演して、CDを売り、コンサートを行い儲けるとなれば、立派な詐欺行為です。ファンの感動の心を欺いたとなれば、単なる金銭詐欺よりもずっと悪質ではないでしょうか。もっとも、自分自身はCDを買ったこともコンサートに出かけたこともありません。元々こういうのは余り好まないところがあります。

ところで、日本コロムビアはベストセラーのCDの販売を中止したそうですが、今度は本来の作者の名前で再リリースしてほしいものです。そうでなければ、『作品の価値を認めたから発売したのではなく、全聾の人の作品だから発売した』ということになります。全国各地のコンサートも同じことです。作品そのものの価値を認めるならば、正しい形で世に出して貰いたいです。それを音楽ファンは正当に評価しようではありませんか。

今回の事件の発覚を業界の商業主義への警鐘として、音楽業界は前向きに捉えて貰いたいものです。

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2014年2月 5日 (水)

「ロシア民謡集」 ワレリー・ポリャンスキー/ソビエト国立室内合唱団

Valeripolyansky1mask9         ワレリー・ポリャンスキー

いよいよ、ソチ・オリンピックが開幕します。開会式は7日ですが、早い競技は明日の午後から、もう始まってしまうのですね。日本選手の準備は大丈夫でしょうかね?
「おのおの方、いざ出陣でござる!支度はよいか。そちはどうじゃ?」てなもんです。
とにかく日本選手の活躍に期待しましょう!

このブログでも、先月からソチ・オリンピック記念の”ロシア音楽特集”を続けていますが、今回は「ロシア民謡集」とゆきましょう。

ロシアの名指揮者ワレリー・ポリャンスキーが指揮をしている素敵なCDが有るので是非ご紹介したいと思います。

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「ヴォルガの舟唄、ともしび ロシア民謡集」 
ワレリー・ポリャンスキー/ソビエト国立室内合唱団(1990年録音/日本ビクター盤)

―曲目―
1.カチューシャ
2.バイカル湖のほとり
3.トロイカ
4.ともしび
5.アムール河の波
6.ヴォルガの舟唄
7.ポルシュカ・ポーレ
8.赤いサラファン
9.行商人
10.ステンカ・ラージン
11.仕事の歌
12.道
13.黒い瞳
14.バルカンの星のもとに
15.黒い瞳の
16.カリンカ
17.モスクワ郊外の夕べ

ワレリー・ポリャンスキーは1949年モスクワ生まれの、知る人ぞ知る隠れたる名指揮者です。音楽活動がほとんどロシア国内に限られているので、当然日本での知名度は低い(ほとんど無名?)と言って構わないでしょう。

元々この人は合唱指揮を得意としているので、ラフマニノフなどロシアの合唱入りの楽曲の録音は案外と出ています。管弦楽曲についても、シャンドス・レーベルへロシア国立交響楽団と録音を行なったチャイコフスキーの後期三大交響曲集などは、他のどの指揮者の演奏と比べても極めてユニークな名演奏でした。中でも「悲愴交響曲」での、悲しみを通り越して涙も枯れ果ててしまったかのような虚しさに覆われた演奏は衝撃的でした。他にも自分は未聴なのですが、グラズノフの交響曲全集の録音も有ります。
あの広大なロシアには、ピアノのグリゴリー・ソコロフや、指揮者のポリャンスキーなど、とんでもない名演奏家が存在するものです。

さて、そのポリャンスキーの意外な録音が上記のCDです。ソビエト国立室内合唱団を率いてロシア民謡を演奏した録音です。録音場所はモスクワ音楽院大ホールです。

この合唱団はアカペラで歌いますが、録音された17曲はロシア人の手による編曲では無く、3人の日本人が編曲を行なっています。もちろん伴奏の無いクラシカルな編曲なので、泥臭い民謡調の合唱団とはだいぶ趣が異なります。けれども、どこか昔の日本人が好んで歌っていたような味わいを感じます。自分は、実際に歌っていた世代では無いのですが、テレビで当時の映像を幾度も観ていますので、イメージは湧きます。

それにしても、哀愁が漂うロシア民謡には本当に魅了されますね。僕はアメリカのカントリー&ウエスタンも大好きですが、ずっと日本人の感性に近いのはやはりロシア民謡ではないでしょうか。

ロシアとは過去の戦争をめぐって、いまだに国家間の問題が未解決ですが、日本に隣接していて、膨大な自然資源を持っている国ですので、今後は中国や韓国よりも、むしろロシアに軸足を移したほうがよほど得策ではないかと、かねてから思っています。極端な話、将来の地球温暖化を考えたら、北海道へ首都機能を移して、ロシアと協力発展したらどうかとすら思うぐらいです。

話が脱線しました。(苦笑)
でも、どうですか?このCDに収められた曲のうち、すぐにメロディが浮かんだ曲が何曲有りましたか?10曲以上浮かんだ人は、たぶん歌声喫茶世代でしょうね。(笑)

このCDは残念なことに既に廃盤ですが、アマゾンなどの中古では比較的多く出回っているようです。ご参考までにリンクをこちらへ貼ります。試聴も出来ますよ。

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2014年2月 3日 (月)

グラズノフ バレエ音楽「ライモンダ」全曲 名盤 ヴィクトル・フェドートフ/キーロフ管

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       パリ・オペラ座 バレエ「ライモンダ」

ロシアバレエの音楽と言えば、やはりチャイコフスキーですが、美しい抒情性にあふれるアレクサンドル・グラズノフもとても魅力的です。この人は主に交響曲作曲家として活躍しましたが、チャイコフスキーのようにバレエ音楽にも傑作を残しました。

グラズノフの書いたバレエ音楽で良く知られているのは「フォー・シーズンズ(四季)」と「ライモンダ」です。日本人にとっては「四季」というだけで人気が出ますし、実際にとても美しい曲です。けれども、全三幕で構成される極めて充実した大作が「ライモンダ」です。

それでは曲を聴く前に、一応お話を簡単に。

―バレエあらすじ―

<第1幕>
中世のフランス、プロヴァンス地方のドリス伯爵夫人の館。

伯爵夫人の姪である美しいライモンダは、騎士ジャン・ド・ブリエンヌと婚約しているが、ジャンは出征することになり、館に別れを告げに来る。そこで伯爵夫人はジャンを送り出すための舞踏会を催す。
全員で賑やかに舞踏が繰り広げられる。ジャンはライモンダと踊りを踊り、出征の決意を示し出発して行く。

やがて一人残ったライモンダのもとに、ドリス家の守護者である白の貴婦人が現われて、ライモンダを幻想へと導く。するとジャンの幻影が現われて二人で踊りを踊る。

そこへ見知らぬ男、アブデラフマンの幻影が現われて、ライモンダに熱い想いを訴えて姿を消す。ライモンダは夢から目覚めて、異郷のジャンの身を案じる。

<第2幕>
伯爵夫人の館の華やかな宴。

宴に集った客の中に、夢に出てきたアブデラフマンの姿が現れる。
踊りのあと、ライモンダはアブデラフマンから求愛をされるが、それを断る。

アブデラフマンと従者たちが異国的な踊りを次々と披露してフィナーレとなるが、アブデラフマンはライモンダを無理やり連れ去ろうとする。
そこに間一髪のところでジャンが戻り、アブデラフマンと決闘となる。
二人の決闘の結果、敗れたアブデラフマンはライモンダの足もとに倒れ、彼女への想いを訴えて息を引きとる。

ライモンダとジャンは無事に結婚することになり、白の貴婦人の幻も現れて二人を祝福する。

<第3幕>
ライモンダとジャンの盛大な結婚祝賀会。

大広間でチャールダッシュやマズルカが人々によって踊られる。
やがて全員が華やかに舞い納めて、フィナーレとなる。
ライモンダとジャンは皆から祝福を受け、一同楽しそうに踊り続けるうちに幕となる。
 
とまあ、こんなところです。馬鹿馬鹿しいとまでは言いませんが、なんとも単純極まりないストーリーですよね。
でも構わないのです。バレエは音楽が美しくて踊りが踊れればそれで良いのですから。
グラズノフのバレエ音楽は、交響曲以上に美しい抒情性に溢れた曲のオン・パレードです。すっかり幸せな気分になってしまいます。

それでは、僕の愛聴盤をご紹介します。

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"ミスター・キーロフ"ことヴィクトル・フェドートフはロシア・バレエの神様として尊敬されていて、日本でもバレエファンにはお馴染みの指揮者ですが、一般的にはそれほど知名度は高くないと思います。初台の新国立劇場がオープンした時にはバレエ公演のために来日してくれましたが、残念なことに2001年に亡くなりました。

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ヴィクトル・フェドートフ/キーロフ管弦楽団(1990年録音/原盤:露Classical Records;英CARLTON Classics盤)

フェドートフの演奏する「ライモンダ」のディスクは、これが初録音だったようです。その貴重なCDを制作したのはロシアの新興レーベルClassical Recordsです。国営のメロディアレーベルに独占されていたロシアの音楽ビジネスも、国の民主化に促されて広がりを持ってきたのは喜ばしいことです。もっとも、自分の所有しているCDは英国のCARLTON Classicsがライセンスで出しているものです。

オーケストラがホームグランドであるマリインスキー劇場のキーロフ管弦楽団というのは嬉しいです。機能的にも非常に優秀な楽団でありながら、いかにも劇場オーケストラらしい雰囲気や、鮮やかな色彩、軽やかな音が素晴らしいからです。

フェドートフの指揮はリズム感覚と間の取り方が、実際の舞台の上で演じられるバレエを彷彿させるもので、例えばスヴェトラーノフの演奏する極めてシンフォニックな表現とは正反対になります。そこが正に魅力なのです。もちろん、「ライモンダ」らしいチャーミングさとファンタジーに満ち溢れていますし、およそグラズノフのバレエ音楽には最適の演奏であると思います。

音質も1990年のデジタル録音ですので良質です。何よりフェドートフの最晩年の貴重なバレエ指揮芸術がこのような形で残されたことは本当に感謝の極みです。

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2014年2月 2日 (日)

祝・優勝&入賞! ローザンヌ国際バレエコンクール2014

Lausanne

若手バレエダンサーの世界的な登竜門、ローザンヌ国際バレエコンクールでは二年前の2012年に菅井円加さんが1位となって大変な話題になりましたが、今年は何と日本人が1、2位を受賞し、更に6位にも入賞したそうです。なんと上位6人のうちの3名が日本人ということですから驚くべき快挙です。

第1位は長野県出身の二山治雄さん(写真中央)、第2位は神奈川県出身の前田紗江さん(左)、そして第6位が福島県出身の加藤三希央さん(右)です。

第1位の二山さんの演技の映像には驚きました。新人離れしたベテランのような安定感と風格が感じられて本当に素晴らしいです。第2位の前田さんは容姿も演技もとても美しく、彼女が1位になってもおかしくないぐらいに感じました。しかもまだ15歳とはとても信じられません。3人のこれからの成長には大いに期待したいです。

それにしても最近の日本人の若い力は凄いですね。フィギュアスケートといい、スキージャンプの高梨沙羅ちゃんといい、それに若手研究者の小保方晴子さんのノーベル賞ものの研究成果も驚きです。素晴らしい日本の若手が沢山現れてオジさんは嬉しくてたまりません。本当に勇気づけられます。

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祝・優勝 菅井円加さん ローザンヌ国際バレエコンクール2012

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