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2014年1月24日 (金)

リムスキー=コルサコフ 交響曲第1番ホ短調op.1 ~ロシア初の交響曲?~

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さあ、いよいよソチ・オリンピックの開幕まで2週間となりました。「ソチ・オリンピック記念 ロシア音楽特集」も盛り上がってゆきましょう!

ニコライ・リムスキー=コルサコフは、作曲家になる前には海軍の軍人でしたが、まだ現役軍人の時代に書かれたのが、交響曲第1番作品1です。この作品はロシア民謡や東洋の旋律がふんだんに取り入れられていたので、民族主義者たちの間で大きな評判を呼んで、「ロシア初の交響曲」と呼ばれました。ロシア五人組の一人キュイは、「この曲は本当にロシア的です。ロシア人にしか作曲出来ないような音楽です。ドイツ気質の澱んだ特徴がいささかも見受けられないのですから。」という賞賛の手紙をリムスキー=コルサコフに書き送りました。

ただし、実際はロシアではアントン・ルービンシュタインが、既に交響曲第1番と第2番を書き上げていましたので、歴史的に「ロシア初」というのは誤りです。けれども、ルービンシュタインの作品はドイツ音楽の影響を大きく受けたものでしたので、ロシア人にとってみれば、この作品を「ロシア人による初めてのロシアらしい交響曲」と呼びたくなる気持ちはとても理解できます。とにかく、リムスキー=コルサコフはこの曲の成功によって、音楽家への道を歩むことを決心します。ですので、この交響曲は、リムスキー=コルサコフ自身にとっても、ロシア音楽界にとっても大変記念すべき作品なのです。

曲は古典的な4楽章構成で書かれています。

第1楽章 ラルゴ―アレグロ 荘重で神秘的な序奏部を持ちますが、主部は堂々と力強く、初期のドヴォルザークの交響曲を想わせます。さすがに現役軍人だけあり、行進曲を想わせるのが面白いです。続く旋律はカリンニコフばりの典型的なロシアの民謡調で情緒たっぷりです。

第2楽章 アンダンテ・トランクィッロ 静けさに包まれたロシア風のとても美しい主題を持ちます。途中シンフォニックにスケール大きく盛り上がります。展開の仕方が確かに交響曲のそれです。

第3楽章 スケルツォ、ヴィヴァーチェ リズミカルで迫力が有り、チャイコフスキーのバレエ音楽を想わせます。トリオの潤いある色彩の美しさはさすがです。

第4楽章 アレグロ・アッサイ 第3楽章と共通した、非常にチャーミングなロシアン・バレエを想わせるような音楽です。優雅な雰囲気に、とても心地良さを感じさせます。

初演時からいきなり評判を呼んだだけあって、ロシア情緒に満ち溢れた非常に魅力的な交響曲です。そしてロシア的ですが、大陸的な荒々しさよりは、むしろ優雅さや美しさをより多く感じます。

尚、この曲は初めは変ホ短調で書かれましたが、作曲者の手でホ短調に改定されました。従って、通常はホ短調の改定版で演奏されます。

リムスキー=コルサコフの交響曲のディスクは少ないので、CD選択の余地は余り有りませんが、僕が所有しているのは、スヴェトラーノフの旧盤の方です。

703エフゲニ・スヴェトラーノフ/ロシア国立交響楽団(1983年録音/ワーナーミュージック盤)

これはCD5枚セットで、メロディア録音によるスヴェトラーノフのリムスキー=コルサコフの交響曲や管弦楽曲の大半が収録されています。スヴェトラーノフは1993年にもRCAに交響曲を主体に再録音を行なっていますが、こちらの旧盤も交響曲は1970年代末から1980年代にかけての録音ですので、それほど古さは感じさせません。リムスキー=コルサコフの管弦楽曲を色々と聴きたい場合には便利なセットです。もしも交響曲中心に聴きたい方には、新しいRCA盤が勧められると思います。

スヴェトラーノフにこのような典型的なロシア音楽を演奏させて悪かろうはずはありません。100%の保証付きです。手兵のロシア国立交響楽団についても同様のことが言えます。金管楽器の力強さや、木管楽器のほの暗い音色には惚れ惚れさせられます。やはりロシア音楽の演奏はこうでなければいけませんね。この演奏だけで充分満足出来るのですが、これだけ素晴らしいと、新盤の方も聴いてみたくなります。

ところで、せっかくですのでYouTubeから美しい第2楽章をご紹介しておきます。ロシアの名匠ボリス・ハイキン/モスクワ放送響の演奏で、録音は古いですが、YouTubeでは一番良かったです。

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コメント

ハルくんさん、こんばんは。
ロシア(ソ連)の作曲家の交響曲と言えば、チャイコ、ショスタコ、ラフマニノフ、プロコフィエフが有名で、あとは ボロディンとカリンニコフぐらいが 知られているのでしょうか。
どの作曲家も魅力的な作品を残していますね。
リムスキー=コルサコフの3曲ある交響曲も色彩豊かで、なかなか味わいがあるので、私は結構好きです。
CDは もちろん、スヴェトラーノフ(新盤)を聴いています。
彼が演奏する ロシア系の交響曲は なんと説得力があるのでしょうか…!

投稿: ヨシツグカ | 2014年1月24日 (金) 22時35分

ヨシツグカさん、こんばんは。

別に”交響曲”ばかりがクラシックではありませんが、やはり重要なジャンルですからね。

ロシアの作曲家の中で忘れてならないのは8曲の交響曲を書いているグラズノフでしょう。その8曲のどれもが抒情性に溢れた魅力的な作品だと思います。
コルサコフの次に記事を書いてみたいと思っていますので、ここまでにしておきます。(笑)

スヴェトラーノフが演奏するロシア音楽はホント最高ですよね!
旧盤も文句の付けようがありませんが、新盤も聴きたいなぁ。そのうちに・・・ですね。

投稿: ハルくん | 2014年1月24日 (金) 23時41分

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