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2013年5月11日 (土)

ドヴォルザーク 交響曲第8番 ズデネェク・コシュラー/プラハ響のライブ盤

Dvorak_sym8_cd102010_2ズデネェク・コシュラー指揮プラハ交響楽団(1967年録音/英Orchestral Consert盤)

こんなCDに興味の有る人は少ないと思います。けれども新宿の中古ショップで偶然目にした僕は飛び付いてしまいました。チェコの名匠ズデネェク・コシュラーは、東京都交響楽団に長く客演してきたので知名度はそれなりに有るとは思います。しかし元々少ないCDの大半が廃盤であり、商業ベースで言えば、既に忘れ去られた存在でしょう。この人の実力を知る者としてはとても残念なことです。しかも、この人の録音は真価を出せている演奏は3割ぐらい。残りは比較的平凡な出来栄えです。打率が決して高くないのです。最高レベルの演奏は、スロヴァキア・フィルとのドヴォルザーク「新世界より」「スラヴ舞曲集」、スメタナ「我が祖国」、そしてチェコ・フィルとのドヴォルザーク「チェロ協奏曲」で、どれもがその曲のベストを争います。

そんなコシュラーのドヴォルザーク第8番には1970年代のスロヴァキア・フィルとのOPUS録音、1990年代のチェコ・ナショナル響とのビクター録音が有りますが、決して悪いとは言わないまでも、特別な閃きを見せた演奏では有りませんでした。ですので今回のCDを目にした時にも期待半ばでしたが、時々かっ飛ばす満塁ホームランの可能性に賭けてみました。

この録音はライブですが、1967年にプラハ響がイギリスのノッティンガムのアルバートホールで行ったコンサートのものです。コシュラーの出世のきっかけとなったミトロプーロス指揮者コンクールでの優勝(但しアバドと両者の優勝)の1963年から4年後で、プラハ響の首席指揮者に就任した年の貴重な記録です。

後年の二つの演奏は、ともにスタジオ録音ということも有って随分大人しく感じました。もう少し大胆さと熱っぽさが有ってよいかなぁと思わずには居られませんでした。ところが、この演奏はさすがにライブの熱っぽさ、それに表情の若々しさと大胆さを感じます。当時のプラハ響は技術的には大分低いように思いますが、それを忘れさせる魅力が有ります。ですので、聴き始めは音の粗さに抵抗が有りましたが、聴き進むうちに徐々に惹きつけられて行きました。

それにしても、やっぱり国民楽派の音楽は同じ血を分けた演奏家のものが良いなぁと、どうしても思ってしまいます。スロヴァキア・フィルやプラハ響はチェコ・フィルと比べると技術的には劣りますが、逆に機能的に成らない素朴さが魅力となるのです。

録音ソースがさほど優れたものではなさそうで、音質的には大して良いとは言えませんが、コシュラー・ファンにとっては聞き逃せない演奏でした。この人はやっぱり良いなぁ。

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ドヴォルザーク(交響曲)」カテゴリの記事

コメント

コシュラーは懐かしい名前です。
大学生時代聴いた東京都交響楽団とのドヴォルザークの「スターバト・マーテル」が忘れられません。
合唱はプラハ・フィルハーモニー合唱団。
遠い遠い昔の話になってしまいました。
もっと評価されるべき名指揮者だと思います。

投稿: オペラファン | 2013年5月11日 (土) 23時42分

オペラファンさん、こんにちは。

コシュラーは地味な存在でしたね。
活躍の場が自国中心だったからでしょう。日本でもオールドファンにはよく知られていても、CDが少ないので過去の人になるばかりです。せめてCDが再発売されればもう少しは評価が上がろうというものです。ただ、この人の演奏は玄人受けはしても一般受けは中々し難いのでしょうね。

投稿: ハルくん | 2013年5月12日 (日) 12時54分

おお、なつかしや!ボヘミアものはもちろんですが、モーツァルトなんか振ってもすてきな演奏だったと思いますよ。
奇遇ですがおとといプラハ響のチケットを入手しました。指揮はオンドレイ・レナルト、演目は「モルダウ」「チェロ協奏曲」そしてこの8番です。どんな演奏をしてくれるか楽しみです。

クラリネット奏者として唯一チェコのオケで残念なのは、クラ奏者がフランス系の音色でヴィブラートをかけることです。なぜそういう伝統になったのかわかりません。

投稿: かげっち | 2013年5月13日 (月) 12時38分

かげっちさん、こんにちは。

それは最高の曲目ですね。メインが「8番」でも「新世界」でも珠玉のプログラムでしょう。
多分来日するのはプラハ響ではなくプラハ放送響ではありませんか?チェコの楽団のビッグ3には変りませんが。

レナルトさんにはスロヴァキアのブラティスラヴァ放送響を指揮した「新世界より」の隠れ名盤が有りますが、これが素晴らしい演奏なのです。コンサートが大いに期待できますね。存分に楽しまれてきてください。

クラが本業ではない自分には余り気にならないのですが、かげっちさんには駄目なのですね。金管の派手なビブラートもロシアっぽいですものね。

投稿: ハルくん | 2013年5月13日 (月) 15時33分

おおそうでした、プラハ放送響の誤りでした。

クラリネットの世界では「ドイツ系の楽器でフランス風の音を出そうとしているのがロシアの奏者、フランス系の楽器でドイツ風の音を出そうとしているのが日本の奏者」という俗説があります。しかし昔のチェコフィルなんぞはロシア以上にフランス的なクラでした。理由は不明ですが、それもふくめて伝統なのでしょうね。

投稿: かげっち | 2013年5月18日 (土) 17時42分

かげっちさん、こんばんは。

ドイツ音楽にはやはりドイツ系の楽器が一番だと思いますが、各国の音楽にはそれぞれ一番相応しい楽器と演奏方法が根付いているのでしょう。伝統であり文化となっているわけです。

聞き手の好みはそれぞれとしても、これは動かしがたい事実です。

投稿: ハルくん | 2013年5月18日 (土) 22時08分

ごぶさたしています、遅くなりましたが7月7日のプラハ放送響の報告です。Violinの真ん前3列目というトホホの席しか取れなかったのですが(管楽器奏者がまったく見えない)演奏はすばらしいものでした。最初がヴルタヴァ、次にミハル・カニュカのソロでドヴォルジャークのチェロ協奏曲、後半が8番でアンコールは知らない曲でしたがたぶんスラブ舞曲の中の一つだと思います。こういうベタな選曲も、ご当地オケであれば歓迎です。
指揮は奇をてらうことのない速めのテンポで、感傷に溺れやすいボヘミア音楽を普遍的な美にまで拡げてくれました。金管は森の響きがしましたね。クラリネットも本格派ドイツ風でヴィブラートなしでした(笑)、弦がすばらしいのは言うまでもない。チェロもシュタルケルの流れをくむ渋い重厚なソロでした。
スメタナが終わったとき、なぜか1stVnの2列目の奏者が泣いていたのが印象的でした。
病のせいもあってオケを聴くのは2年ぶりくらいでした、いやあよかったよかった。

投稿: かげっち | 2013年7月22日 (月) 12時39分

かげっちさん、こんばんは。

管楽器奏者が見えないお席だったのは残念でしたね。でもすっかり生の演奏を堪能されたようで良かったです。

僕もご当地オケって大好きです。最近は益々ゴージャスでビーフステーキのような演奏よりも、囲炉裏田楽のようなご当地味の演奏が聴きたくなりますよ。
プロも良かったですね。まずはベタな選曲のベストじゃないですか?8番が9番に替わっても、またイイですけどね。

レナルトさんの指揮も良かったようですね。この人もコシュラーに似て地味ですが、中々に味のある指揮者だと思います。

Vnの奏者が泣いていたというのは、演奏に感極まったのでしょうか。それならば分かる気がします。
きっと涙が似合う美しい女性奏者だったのではないですか?(妄想がムクムク湧いてきます)(笑)

投稿: ハルくん | 2013年7月22日 (月) 22時59分

コシュラー、リーゾナブルな値段
ならば入手しています。 必要十
分な舞台芸でアンサンブルの纏め
方が見事ですね。 大袈裟にしな
い歌心、うねり、クーベリックや
ザンデルリングのようなトリック
(意識的な休止だとか、潰す表現
)なしで、負けない音楽表現、そ
れもマジックなんでしょうけど、
とっつき易く、暖かいです。

投稿: じじい | 2017年4月 2日 (日) 16時45分

じじいさま、コメントありがとうございます。

コシュラーには平凡な演奏も有りますが、お国ものを聴く限りでは派手さや誇張を求めない、その作品に大変献身的な演奏だと思います。
私はクーベリックやザンデルリンクも大好きですが、コシュラーは一般的な評価が彼らほど高くはないので声援を送りたくなります。
もっともっとこの人がレコーディングに恵まれていたら良かったですね。

投稿: ハルくん | 2017年4月 3日 (月) 12時42分

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