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2013年5月

2013年5月28日 (火)

ブルックナー 交響曲第3番 ザンデルリング/ロイヤル・コンセルトへボウ管のライブ盤

81hjtilpfpl__aa1500_クルト・ザンデルリンク指揮ロイヤル・コンセルトへボウ管(1996年録音/コンセルトへボウ管弦楽団アンソロジー第6集1990-2000より)

ロイヤル・コンセルトへボウ管弦楽団による自主制作CDについては、クラウス・テンシュテットのマーラー交響曲第5番の演奏をご紹介しましたが、このセットには興味をそそられる録音が目白押しです。そこで今回は、その第2弾としてクルト・ザンデルリングの指揮したブルックナー交響曲第3番をご紹介します。

ブル3といえば、ザンデルリング・ファンには1963年にライプチッヒ・ゲヴァントハウス管を指揮した録音が隠れ名盤として余りにも有名です。(じゃ”隠れ”では無いだろって?それもそうですね。) コンヴィチュニー時代のゲヴァントハウス管の武骨な音をそのまま生かしたスケール大で豪快な演奏でした。それから33年後の演奏と言うことですが、名門コンセルトへボウが相手とあれば期待に胸が膨らみます。

第1楽章はコンセルトへボウの美音を生かした厚みのある響きを醸し出しています。フォルテで音が固くならず、ふくよかな響きが非常に心地良いです。柔らかく歌う弦楽の美しさも旧盤を凌ぎます。反面、音の凝縮が幾らか弱い印象を感じ、旧盤での緊張感は減衰しています。これはライブという条件のせいかもしれません。

第2楽章の美しさは旧盤を大きく凌ぎます。コンセルトへボウの底光りするような響きは本当に美しいです。ヨッフムがこのオケと残した幾つかの名盤を思い出してしまいます。

第3楽章に入ると、音の集中力が高まってきた印象を受けます。けれども響きはあくまでも柔らかく、金属的な響きに陥ることが有りません。

第4楽章もまた同様で、迫力は有っても金管をむやみに強奏させないので響きが濁らず、音の美しさが失われません。ブラームスやブルックナーの演奏にはこの点が不可欠だと思いますが、多くの有名指揮者が過ちを犯すところです。中間部でゆったりと落ち着きを持って歌わせるのにも強く惹かれます。

決して枯れているわけではなく、生命力を充分に感じますが、全体的にゆとりと気宇の大きさを感じさせる正に大人のブルックナーという風情です。正に円熟のザンデルリングによる至芸の極みです。旧盤とどちらが好きかと問われれば、個人的には迷わず新盤と答えるでしょう。

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ブルックナー 交響曲第3番 名盤

ヘルベルト・ケーゲルのブルックナー交響曲第3番

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2013年5月27日 (月)

コンテンポラリー・ダンス 「MAGMA Boris CHARMATZ」

コンテンポラリー・ダンスというのか、単なるパフォーマンスというのか分りませんが、もう一つ面白いなぁと思った映像がこの「MAGMA Boris CHARMATZ」という作品です。作品のテーマは僕のような凡人の理解範囲を超えていますが、ただひとつ感じるのはアートだなぁということです。皆さんはどのように感じますか?

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2013年5月26日 (日)

コンテンポラリー・ダンス 「Dance」

最近、コンテンポラリー・ダンスに興味が湧いて、色々と面白い映像を探しては見ているのですが、ダンス=肉体のパフォーマンスという当たり前のことを改めて強く感じています。僕が男性だということもあるのでしょうが、この世には均整のとれた女性の裸体ぐらいに美しく感じるものって無いような気がします。もちろん男性の肉体だって充分に美しいですし、ギリシア彫刻やミケランジェロのダビテ像なんかは、女性の裸体をも凌ぐ美しさだと思います。

それにしても人間の美しい体というのはアートです。それを生かすも殺すも全てダンス・パフォーマンスの振り付けや演出です。下手なそれには芸術性が感じられませんが、素晴らしいそれには短い映像にも高い芸術性が感じられて感動すら覚えます。

最近、見た映像の中で一番気に入ったのは、ずばり「Dance」という映像でした。下記にご紹介します。最後に男女二人が抱き合う場面には正に「Love」が感じられて凄く感動しました。よく、母親が裸で赤子を抱いている写真が有りますが、あれって何かとても感動させられますよね。この「Dance」の最後にも共通した感動を覚えるのです。猥褻さなどは微塵も感じさせないアートの世界を感じます。皆さんのご感想はいかがでしょうか?

この映像の他にも印象に残った作品が幾つも有りますので、何回かに分けてご紹介してゆきたいと思います。

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2013年5月25日 (土)

「青い影」 プロコル・ハルム ~1960年代の名曲~

「青い影」 原題「A Whiter Shade of Pale」。1967年にリリースされた、イギリスのロック・グループ、プロコル・ハルムのデビュー曲ですが、発売されるや世界中で爆発的な大ヒットとなりました。あのビートルズの作品さえも凌駕する奇跡的な名作として知られています。ビートルズの故ジョン・レノンをして「人生で最も印象的な3曲のうちの一つ」と言わしめました。

僕がこの曲を聴いたのは恐らく1969年だったと思います。中学2年でしたが、同じクラスにはビートルズやローリング・ストーンズ、クリームといった外国ロックの大好きな奴らが何人も居ました。何故だか判りませんが、同学年に5つ有ったクラスの内で、こんなにロック好きが集まったクラスは有りませんでした。もちろんビートルズとストーンズの人気は抜きんでていましたが、他にもクリームの「ホワイト・ルーム」、ドアーズの「タッチ・ミー」、バニラ・ファッジの「キープ・ミー・ハンギング・オン」、CCRの「プラウド・メアリー」など人気の曲が数多くひしめきました。その中でも、ひときわ人気の高かった曲がプロコル・ハルムの「青い影」です。

この曲がバッハの音楽をモチーフにしているという話は当時から聞いていましたが、具体的にどの曲なのかというのは謎でした。やれカンタータの第114番だ、第140番だ、いや「G線上のアリア」だと、様々な議論が交わされたようですが、結局のところ分からずじまいです。従って、特定の曲をモチーフにしたのではなく、オルガンを単にバッハ風に弾いただけだ、という説が有力です。

とにかく、この曲が名曲中の名曲であることには変わりありません。当時のビデオ映像をYouTubeで見つけました。あの頃は、毎週土曜日の午後に「ビート・ポップス」というテレビ番組が放送されていましたので、学校から帰って、この番組を見るのが大の楽しみでした。大橋巨泉の司会で、洋楽のヒット・ランキングを海外のビデオクリップをふんだんに使いながら紹介するという、1980年代にブームになった「ベストヒットUSA」の先駆け的な番組ですが、この「青い影」のビデオも、その番組で観ていたので本当に懐かしくなります。

1960年代のオリジナル映像

うーん、単なるロックのジャンルを超えた、なんともアートな音楽ではありませんか。当時のロンドンは凄かった!ロンドン、ロンドン、愉快なロンドン。ロンドン、ロンドン、楽しいロンドン♪

これ以外にも、近年のライブのビデオが幾つか有りましたが、その中で一番素晴らしかったのは2006年のデンマークでの野外コンサートです。何とも雰囲気の良い野外のステージで、フル・オーケストラをバックに素敵なアレンジで楽しませてくれます。

2006年 ライブ・イン・デンマーク

ワイド画面が欠けてしまう場合はこちらから

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2013年5月23日 (木)

橋下知事の従軍慰安婦問題発言のこと

大阪市橋下知事の従軍慰安婦についての発言をめぐる問題が国内外でクローズアップされています。市民調査によると、およそ三分の二の人は批判的であり、三分の一は概ね支持をしているそうです。自分も、話の内容としては間違ったことは言っていなかったと思っていますが、維新の会の支持率が急落しているところを見ると、多くの有権者からはソッポを向かれてしまったようです。

たとえ話の内容が正しかったとしても、話すタイミング、話の仕方は政治家たるもの、慎重でなければなりません。ましてや国政を目指す政党リーダーともあれば尚更です。ですので橋下氏の政治家としての資質に関しては正直言って幾らか疑問符を付けざるを得ません。

但し繰り返しますが、話の内容が正しいかどうかを曖昧にして、どこかの議員たちのように、ただ「けしからん」「女性の人権の冒とくだ」の連呼ではいけないと思います。それでは維新の会に打撃を与えたいだけのように聞えてしまいます。実際にそうなのだろうとは思いますが。

現代史家である秦郁彦氏の橋下氏発言に関する論評が産経WEBニュースに掲載されていましたので、興味深く読みました。ご参考になればと思い下記にリンクしておきます。

秦郁彦 「橋下発言の核心は誤っていない」

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2013年5月22日 (水)

ピアニスト 小池由紀子 ~コンケのこと~ 

小池由紀子さんは、今から8年前の2005年3月に享年49歳で亡くなったピアニストです。「コンケ」というのは彼女が中学生時代に呼ばれたニックネームです。中学1年の時に僕は彼女と同級生でした。彼女はセミロングの髪型で眼鏡をかけた優等生風の女の子で、我が家のすぐ裏にあるお宅の親戚にあたるという話を聞いてはいましたが、女の子にウブだった僕は、彼女と言葉を交わした記憶はほとんど有りません。

それから、40年も過ぎたある日、中学校のクラス会がきっかけとなって、彼女が東京音大を卒業してプロのピアニストになったこと。そして2年前に癌で亡くなったことを知りました。中学1年の時には彼女がピアノを習っていたことなどは全く知りませんでしたし、そもそも僕はクラシック音楽に興味が有りませんでした。接点が生まれるわけも有りません。それから長い時が経つにつれて、彼女は音楽の世界でピアニストとして活躍し、僕はクラシック音楽が飯より好きな大人になっていたのです。彼女のコンサートを聴いてみたかったですし、大好きな音楽の話を一度でも交わしてみたかったと思わずにはいられません。

大人になってから、彼女と交流できる機会は得られませんでしたが、ここに彼女が亡くなる直前に演奏したCDが2枚有ります。彼女の友人から譲って頂いたものです。リリース当時はHMVやタワーレコードで取り扱っていたようですが、現在は販売していないようです。

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シューマン「交響的練習曲」(2003年ブルガリア、ソフィア録音)
ショパン「24の前奏曲集」(2000年東京カザルスホール録音)

ピアノ独奏:小池由紀子
制作:コジマ・ファクトリー、製造:ビクターエンターテイメント

これはまた、僕の大好きな曲目が並んだCDです。こんな曲を得意にしていたなんて、本当に彼女と音楽について語ってみたかったとつくづく思います。「交響的練習曲」は、深いロマンの香りが一杯のシューマネスクな演奏に他なりません。とても素晴らしい演奏で、大家の演奏と比べてみても、そうそう聴き劣りしません。「24の前奏曲集」もショパンの孤独感に胸が痛くなるような共感に溢れた演奏です。技巧的にも中々のものですが、小股の切れ上がったピアニスティックなショパンというよりは、むせび泣く様なロマンの香りの濃い演奏です。それでも時に繊細、時に豪快なピアノタッチが素晴らしいです。最後にアンコールピースのように収められているのが、やはりカザルスホールで演奏されたショパンのノクターン第20番嬰ハ短調<遺作>です。映画「戦場のピアニスト」のラストで印象的に流れる曲ですが、故人を偲んで聴くには胸が絞めつけられる想いです。

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シューマン「ピアノ協奏曲イ短調」
ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」

ピアノ独奏:小池由紀子
ヨルダン・ダフォフ指揮ソフィア・フィルハーモニック(2004年ブルガリア、ソフィア録音)
制作:コジマ・ファクトリー

ソフィアの大ホールでのライブ演奏です。これは前年に続く二度目のブルガリア・ツアーだったそうです。シューマンを得意にしていたという彼女のロマン的指向が良く分る、情感をとても大切にした演奏です。これまで聴いてきた大家達の演奏と比べてどこがどう違うなどと書く気にはなりません。どうしても中学時代の彼女の面影を浮かべてみたり、生前の大人の姿を想像してしまいます。それにしても、この華々しい海外ツアーの僅か1年後に彼女が神様に召されることを一体誰が知り得たことでしょう。ベートーヴェンは映像用の録音をCD化したようです。

彼女の生演奏に接することは適いませんでしたが、こうしてCDを聴くことが出来るのは、せめてもの喜びです。
コンケさん、君の演奏をこうして聴いているからね。そのうちに天国で会ったら君の愛した音楽について大いに語ろう。そして今度こそ生のピアノを聴かせておくれ。

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2013年5月19日 (日)

ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第11番 ヘ短調 「セリオーソ」 作品95 名盤

ウイーンで「傑作の森」を邁進するベートーヴェンが、第10番「ハープ」から1年後に書いた中期最後の弦楽四重奏曲です。内容が非常に凝縮されて書かれていて、全弦楽四重奏曲の中でも演奏時間が最も短くなっています。ところが、タイトルが示す「セリオーソ(厳粛)」の通り、ピンと背筋を伸ばし襟を正して聴かなければいけないような、非常に厳かな雰囲気が漂います。それでいて悲壮感を伴う熱い情熱をも感じさせて、個人的にも大好きな作品です。

第1楽章は極度の集中力の高さが求められる激しい音楽で、嵐のようにたたみ掛けてくる音符に圧倒されます。途中で何度も繰り返して「コレデモカ!コレデモカ!」と聞こえてしまうのは、案外と僕だけでは無いと思います。

第2楽章は音の進行が斬新で、いずれ無調音楽が生まれるであろうという予感が感じられます。

第3楽章はスケルツォに相当する楽章ですが、ベートーヴェンが「セリオーソ」という表記を付けたのはこの楽章です。従って演奏にはその雰囲気を感じさせなくてはなりません。

第4楽章は主部にアレグレット・アジタートの表記が有るように、第15番作品132の終楽章に似た、悲壮感を伴う情緒的な旋律を持つ情熱的な音楽です。

それでは、僕の愛聴盤をご紹介します。

51u9dbjsblブッシュ弦楽四重奏団(1932年録音/EMI盤) ブッシュはアメリカに渡った1939年以降は良い意味で演奏に近代的な普遍性が加わったと思いますが、それ以前のヨーロッパ録音には、頻発するポルタメントなどに、どうしても古めかしさを感じます。もちろんそれが彼らの魅力と言えばそれまでなのですが、個人的にはアメリカでの録音の方が条件抜きで好きな演奏が多いように思います。この演奏に関しても、濃厚なロマンが印象的ですが、愛聴しているというほどではありません。

1196111190バリリ弦楽四重奏団(1952年録音/MCAビクター盤) ウエストミンスター録音です。古い録音でも、バリリになるとずっとスマートさが加わるので抵抗有りませんし、それでいて現代の演奏に無い人間的な肌触りを感じます。速いテンポでメカニカルに弾き飛ばすことが無いので、ゆったりと曲の旋律線を味わえるのが魅力です。かといって緊張感に欠けたダラダラした演奏だということではありません。ウイーンの甘い歌い回しと現代的な構築性を兼ね備えた素晴らしい演奏です。モノラル録音ですが音質は優れています。

90650dc0bfe3c81c14f641d351d90ca5ブダペスト弦楽四重奏団(1958年録音/CBS盤) 全集盤です。4人の極めて集中力の高いアンサンブルと激しい音のアタックに圧倒されますが、多用するポルタメントが演奏に甘さを加味します。この一見相反するような要素が彼らの最大の特徴です。残響の少ないむき出しの音は、中々耳に馴染み難いかもしれませんが、これほど最初から最後まで求道的なまでに厳しく厳粛な演奏は有りません。正に究極のセリオーソです。ずっしりとした聴き応えが他の演奏とはまるで別次元です。

1197040876ヴェラー弦楽四重奏団(1964年録音/DECCA盤) 実は、彼らの「ハープ」以上に気に入っているのが「セリオーソ」の演奏です。アンサンブルも優秀ですが、英デッカの名録音が、ウイーンらしい柔らかな美音を余すところなく捕えています。しかも第3楽章のリズムにはハッとするような閃きを感じさせます。こんな見事なセンスの良さは聴いたことが有りません。第4楽章もしなやかに歌い非常に美しいです。彼らがベートーヴェンを僅か2曲しか録音してくれなかったのが本当に残念です。もしも全集を録音してくれていれば、バリリSQ以上の歴史に残る全集となった可能性すら有ると思います。ヴェラーさん、あんたどうして指揮者になんかなったのヨ!

151ジュリアード弦楽四重奏団(1970年録音/CBS盤) 旧盤の全集からです。昔、LP盤で聴いた時には、メカニカルで無機的に感じられて余り好みませんでした。けれども現在改めて聴き直すと、バリリQやブダペストQの録音から10年ほどしか経ていない時代に、これほど先鋭的な演奏をしていたことに驚きます。彼らの技術的に全盛期の凄まじい切れ味と迫力が、この曲の持つ曲想に見事に合致していて素晴らしいです。

V4871ヴェーグ弦楽四重奏団(1973年録音/仏Naive盤) 全集盤です。この時代、ジュリアードSQの登場以降、猫も杓子も精緻さを追求するようになりましたが、音楽の魅力はそれだけでは無いことを強く訴えかける演奏です。ここには大戦前の極めて情感豊かなヒューマニズムに溢れたスタイルの演奏が有ります。彼らこそ、その最後の生き残りだったかもしれません。現在はこんな演奏を聴くことは決して出来ません。第4楽章がなんとアジタートに歌われてることか!

Suske_beethoven_lateズスケ弦楽四重奏団(1975年録音/Berlin Classics盤) 第1楽章は彼らの演奏の中でも最も切れが良く、ソリッドな印象すら与えられます。第3楽章もやはり同様です。第4楽章ではリズムが明確過ぎて旋律が流れるように聞こえないのが少々マイナスです。全体的にドイツ的な構築性も感じさせますが、時代を先取りしたような先鋭性は、現在のゲヴァントハウスSQの演奏を聴いているような気になります。 

D0021969_10143431アルバン・ベルク弦楽四重奏団(1978年録音/EMI盤) 全集盤です。第1楽章で猛烈なスピードでたたみ掛けて来ますし、凄まじいアタックはまるで暴漢に襲われているようです。コレデモカ、コレデモカと耳元で叫ばれるようで、正直不快です。第2楽章は何となくせせこましい印象ですし、第3楽章、第4楽章も速めでスッキリしていますが、意外に心に響いてきません。「悪い」とまでは言いませんが、これは本当に多くの評論家が絶賛しているような良い演奏なのでしょうか?EMI特有の残響の多過ぎる録音も相変わらずです。

G7138122wスメタナ弦楽四重奏団(1981年録音/DENON盤) 全集盤です。アルバン・ベルクSQの後に聴くと大人しく聞こえますが、テンポと言いダイナミクスと言い、適度なバランスと、しなやかで美しい音に支えられた演奏です。ボヘミアの草原のような爽やかさが心地良いのですが、反面ベートーヴェンのアクの強さが希薄なので人によっては物足り無さを感じるかもしれません。個人的には思い出深いカルテットなので、何の抵抗感も無く安心して身を委ねられます。

51f03m0kttlジュリアード弦楽四重奏団(1982年録音/CBS盤) ワシントン国会図書館ホールでのライブ録音による新盤です。第1楽章はアルバン・ベルクSQ並みに激しいですが、暴力的に成る手前で踏み止まっているので安心です。第2楽章以降は案外とロマンティックで揺らぎを感じさせるのが心地良いです。ここにはメカニカルで直線的なイメージの彼らの姿は全く有りません。音楽の柄が非常に大きく感じられて実に聴き応えが有ります。

Imagesca41p4peメロス弦楽四重奏団(1984年録音/グラモフォン盤) 全体に比較的速めのテンポですが、決して前のめりに成らないリズムに重みが有り、ドイツ音楽を感じます。フレージングの良さも素晴らしく、旋律線の魅力を充分に引き出している言えます。個人芸が浮き上がることが無く、あくまでも総合体としての音楽の厚みを感じさせるのは、ドイツのオーケストラと共通しています。この演奏は非常に気に入りました。

36305935ボロディン弦楽四重奏団(1989年録音/Virgin盤) 全体的にテンポはゆったり気味です。音の厳しさよりはウイーン的な柔らかさを感じますが、録音がEMIによるのでしょう、残響の過多の影響も有ると思います。アルバン・ベルクSQの録音と同じで、どうも好きになれません。第1楽章の最後などかなり壮絶だと思うのですが、オブラートにかかったようで気の毒です。それでも第4楽章では余りマイナスを感じさせずに、しなやかな歌が中々に魅力的です。

61vvfzeifl__sl500_aa300_ウイーン・ムジークフェライン弦楽四重奏団(1991年録音/PLATZ盤) 全集盤からです。PLATZ録音も残響が多いのですが、音に芯が有るのでEMIよりも好みます。第1楽章では気迫のこもった激しい音が迫り来ます。一転して第2楽章では、ウイーン的な甘く柔らかい音が魅力です。第3楽章のリズムの取り方は、幾らかヴェラーSQに似ています。どうやら先輩の影響を受けたのでしょうか。第4楽章は緊迫感が有りますが、情緒がこぼれ落ちそうで惹きつけられます。

Emersonbeethovenエマーソン弦楽四重奏団(1995年録音/グラモフォン盤) 全集盤からです。全体を18分台と大変な速さで演奏しています。ところが、全ての音符が明確に弾き切れているので浮ついた感じはせず、アルバン・ベルクSQに感じたような疑問はこの演奏に対しては起こりません。第1楽章は壮絶極まりなく、怖ろしいほどに音の凄みを感じます。第2楽章以下も素晴らしいです。ライブ録音なのが信じられないほどの完成度の高さです。この曲は第1ヴァイオリンをフィリップ・セッツァーが弾いています。テクニックは文句有りませんが、歌いまわしはドラッカーの方が上手い気がします。

312ゲヴァントハウス弦楽四重奏団(2002年録音/NCA盤) 全集盤からです。この曲でもがっちりとした構築と凛とした趣の演奏を聴かせてくれます。第3、第4楽章などウイーンの団体の持つ「揺らぎ」とは異なる非常に厳格なリズムを刻みます。いかにもドイツ的です。それがまた「厳粛」さにつながるので、この曲にはとても適していると思います。先鋭性を感じはしても、あくまで彼らのベースに有るのは伝統的なスタイルです。

この曲に関しては、必ずしも「厳粛」というイメージが強くは有りませんが、ヴェラーSQを一番好んでいます。独特のセンスの良さに何とも惹きつけられます。他にはブダペストSQ、ジュリアードSQ新旧両盤、メロスSQ、ウイーン・ムジークフェラインSQ、エマーソンSQと、どれも素晴らしく混戦状態です。

<追記> ジュリアード四重奏団の旧盤を後から加筆しました。

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2013年5月17日 (金)

ルツェルン・フェスティヴァル・アーク・ノヴァ 松島 2013 へフリガーさんのこと

音楽ファンの皆さんはとっくにご存じだと思いますが、今年の9月27日から10月14日まで、宮城県の松島町で「ルツェルン・フェスティヴァル・アーク・ノヴァ 松島 2013」という音楽祭が開かれます。そのきっかけとなったのはスイスの「ルツェルン・フェスティヴァル」の芸術監督であるミヒャエル・へフリガーさんが梶本音楽事務所に「被災地の東北に何か支援を行いたい。」と相談したことからだそうです。移動式のホールをデザイン、設計して、実現にまでこぎつけた素晴らしい企画ですね。時間が許せば是非とも聴きに行きたいです。

ところで、ミヒャエル・へフリガーさんは名テノール歌手エルンスト・へフリガーの息子さんですが、実は今から15年も前のことですが、2度ほど夕食をご一緒したことが有ります。それというのも、たまたま大学オケ時代の親友が某大手旅行代理店に勤務していたのが縁でへフリガーさんと知り合いになり、来日したときに親友に誘われてご一緒しました。

へフリガーさんは、ジュリアード音楽院でヴァイオリンを勉強しましたが、早いうちにマネージメントの勉強に方向転換されたので、お会いした当時はスイスのダボスで行われるヤング・ミュージック・フェスティバルのディレクターを担当していました。それほど有名では無い若手の演奏家が中心の音楽祭でしたので、外国からのお客さんを集めるのに苦心をしていたようで、日本に来た目的もそのプロモーションの為だったようです。

その時に片言の英語(もちろん僕がですよ。へフリガーさんはアメリカ留学生ですから)でしたが、楽しく会話をしたことを昨日の事のように覚えています。

以前から、お父上のファンでしたので、そのことを言いました。フルトヴェングラーが亡くなる1954年にスイスのルツェルン音楽祭で指揮したベートーヴェンの第九でお父上が素晴らしいテノールを歌っていて、ターラからそのライブのCDが出ていることを話したところ、彼は知らなかったらしく、「それは貴重なCDだ。」と言っていました。

さすがはアルプスに囲まれたスイス生まれのへフリガーさんらしく、ブルックナーが大好きで、一番好きな曲は「第7番」だという話も聞きました。

ルツェルンに新しく建築される大ホールが素晴らしいこと、そこでルツェルン音楽祭が開かれるようになるという話も憶えています。当時はまだ芸術監督なんて話は聞きませんでしたが、あとで親友と「彼は監督になるかもしれないよねえ」なんて話した記憶も有ります。後で、それが本当にそうなったときには「やっぱり!」という気持ちでとても嬉しかったです。

派手さの無い実直な人柄が滲み出るような好青年でしたが、あれから15年も経ち、そう簡単に会うことの出来ないような雲の上の人に成ってしまいました。でも日本の被災地のことを心から心配してくれたのでしょう。本当に嬉しく思います。

「ルツェルン・フェスティヴァル・アーク・ノヴァ 松島2013」のホームパージはこちら

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2013年5月13日 (月)

ハルくんのツバメ日記2013  ~悲しい出来事~

今朝、ツバメたちのピーピー鳴く声がしていました。良くあることなのでさほど気にも留めずにいたのですが、後で外に出てみて驚きました。なんと巣の上の方が崩れていて、卵を育てるために編んだゆりかごのような形のわらが下に落ちているのです。ツバメの夫婦は近くの電線に止まってこちらのほうを見ています。なんだかとても悲しそうに見えてしまいました。一体どうしたことか考えてみましたが、何かに襲われたのだろうことは理解できました。大変なショックです。

今日は休暇だった家内が後で市の鳥獣保護センターに電話で相談してみたのですが、なんでもカラスや野鳥に巣を攻撃されることは決して珍しくないそうです。そして一度襲われてしまうと、恐怖を覚えるので大抵の場合は同じ場所に戻っては来ないのだそうです。

この家に越して来て2年、ツバメの巣立ちを2度見届けることが出来ましたが、今年はどうやら難しそうです。自然界の出来事とは言え心が痛みます。せめてものことは、鄙がまだ生まれていなかったことと、卵の殻らしきものも有りません。これから産み付ける準備中だったのだと思います。
願うのは、別の場所にもう一度巣を作って、無事に子ツバメを巣立たせてくれることです。我が家にもまたいつか別のツバメが巣を作ってくれることも願いましょう。

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2013年5月11日 (土)

ドヴォルザーク 交響曲第8番 ズデネェク・コシュラー/プラハ響のライブ盤

Dvorak_sym8_cd102010_2ズデネェク・コシュラー指揮プラハ交響楽団(1967年録音/英Orchestral Consert盤)

こんなCDに興味の有る人は少ないと思います。けれども新宿の中古ショップで偶然目にした僕は飛び付いてしまいました。チェコの名匠ズデネェク・コシュラーは、東京都交響楽団に長く客演してきたので知名度はそれなりに有るとは思います。しかし元々少ないCDの大半が廃盤であり、商業ベースで言えば、既に忘れ去られた存在でしょう。この人の実力を知る者としてはとても残念なことです。しかも、この人の録音は真価を出せている演奏は3割ぐらい。残りは比較的平凡な出来栄えです。打率が決して高くないのです。最高レベルの演奏は、スロヴァキア・フィルとのドヴォルザーク「新世界より」「スラヴ舞曲集」、スメタナ「我が祖国」、そしてチェコ・フィルとのドヴォルザーク「チェロ協奏曲」で、どれもがその曲のベストを争います。

そんなコシュラーのドヴォルザーク第8番には1970年代のスロヴァキア・フィルとのOPUS録音、1990年代のチェコ・ナショナル響とのビクター録音が有りますが、決して悪いとは言わないまでも、特別な閃きを見せた演奏では有りませんでした。ですので今回のCDを目にした時にも期待半ばでしたが、時々かっ飛ばす満塁ホームランの可能性に賭けてみました。

この録音はライブですが、1967年にプラハ響がイギリスのノッティンガムのアルバートホールで行ったコンサートのものです。コシュラーの出世のきっかけとなったミトロプーロス指揮者コンクールでの優勝(但しアバドと両者の優勝)の1963年から4年後で、プラハ響の首席指揮者に就任した年の貴重な記録です。

後年の二つの演奏は、ともにスタジオ録音ということも有って随分大人しく感じました。もう少し大胆さと熱っぽさが有ってよいかなぁと思わずには居られませんでした。ところが、この演奏はさすがにライブの熱っぽさ、それに表情の若々しさと大胆さを感じます。当時のプラハ響は技術的には大分低いように思いますが、それを忘れさせる魅力が有ります。ですので、聴き始めは音の粗さに抵抗が有りましたが、聴き進むうちに徐々に惹きつけられて行きました。

それにしても、やっぱり国民楽派の音楽は同じ血を分けた演奏家のものが良いなぁと、どうしても思ってしまいます。スロヴァキア・フィルやプラハ響はチェコ・フィルと比べると技術的には劣りますが、逆に機能的に成らない素朴さが魅力となるのです。

録音ソースがさほど優れたものではなさそうで、音質的には大して良いとは言えませんが、コシュラー・ファンにとっては聞き逃せない演奏でした。この人はやっぱり良いなぁ。

<関連記事> 
ドヴォルザーク 交響曲第8番 名盤
ドヴォルザーク 交響曲第8番 セル/チェコ・フィルのライブ盤

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2013年5月 6日 (月)

ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第10番 変ホ長調 「ハープ」 作品74 名盤

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第10番は、ラズモフスキー・セットから3年後に書かれました。この曲に「ハープ」という副題が付けらているのは、第1楽章で登場するピツィカートによる伴奏音型がハープを連想させるからですね。これは、もう皆さんご存知のことだと思います。全体的に優美な曲想を持つことと、この副題から、ともするとこの曲は女性的だと思われがちです。ところがどっこい、そこはベートーヴェンです。優しさを持つ曲でも、やはり「男の」優しさじゃないかなという気がします。ですので、この曲を余りに優美に演奏されると、心地良さは感じても、ある種の物足りなさを感じるかもしれません。

第1楽章はタイトルの由来となっていますのでピツィカートの活躍が印象的です。第2楽章のアダージョは優美な優しさを持ちますが、同時に厳かな祈りの雰囲気も感じさせますね。さすがは楽聖ベートーヴェンです。第3楽章プレストはスケルツォ楽章に相当しますが、運命動機のような4連附が頻繁に登場する緊迫感に息を飲みます。第4楽章は変奏曲ですが、フィナーレにしては高揚感よりもずっと落ち着きを感じさせます。いかにもベートーヴェンらしい人間の深い感情を味合わせてくれるので、個人的にはこの曲で最も好きな楽章です。

というところで、僕の愛聴盤をご紹介します。

10845ウイーン・コンツェルトハウス四重奏団(1952年録音/ユニヴァーサル・ミュージック盤) ウエストミンスター録音です。バリリSQ盤よりは音が固いですが、優れた録音です。全体的に遅いテンポでゆったりと歌っていますが、演奏の古めかしさに逆に魅力を感じます。第3楽章などは意外に速いテンポで緊迫感を感じさせますが、第4楽章のまったり感は時代錯誤と言えるほどです。この得も言われぬ懐かしさこそが聴き手を強く惹き付けて止みません。

Barylli_1012バリリ弦楽四重奏団(1956年録音/MCAビクター盤) ウエストミンスター録音です。バリリSQの中でも人気の高かった演奏だったように記憶します。第1楽章はWコンツェルトハウス以上に遅くのんびりとしています。これぞ古きウイーンの味わいですね。ピツィカートが一番ハープらしく聞こえます。第2楽章の歌の美しさも格別で魅了されます。第3楽章は始めは緊張感に乏しく感じますが、徐々に情緒の深さに惹かれてしまいます。第4楽章では変奏を慌てず騒がず奏する音楽の翳りの濃さが魅力です。Wコンツェルトハウスと同じように、失われてしまった時の大切さをつくづく感じてしまう素晴らしい演奏です。

90650dc0bfe3c81c14f641d351d90ca5ブダペスト弦楽四重奏団(1958年録音/CBS盤) 全集盤です。この曲の女性的なイメージを覆す、極めて男っぽい演奏です。ナヨナヨしたところは皆無で、骨太の力強さを見せています。と言って繊細さに欠けるということでは無く、むしろ第2楽章など、いかにもベートーヴェンらしい男の優しさを他のどの演奏よりも滲み出しています。第4楽章の各変奏曲での情感の豊かさも出色です。表面的な美しさには背を向けて、音楽の持つ真実性を深くえぐり出した感動的な演奏だと思います。

1197040876ヴェラー弦楽四重奏団(1964年録音/DECCA盤) ウイーン・フィルのコンサートマスター、ワルター・ヴェラーの残した希少なベートーヴェン録音です。ウイーン的な甘く柔らかい音が、この曲の優美な側面を十全に表していて素晴らしいです。アタックは過剰に強調されませんし、およそ音と表情の美しさで言えば最右翼だと思います。技術的にも優れています。但し、この曲の男性的な面を聞き知る為には、この演奏だけでは不足します。そのことを認識した上で、座右に置いておきたい名盤だと思います。

151ジュリアード弦楽四重奏団(1965年録音/CBS盤) 旧盤の全集からです。昔、LP盤で聴いた時には、メカニカルで無機的に感じられて余り好みませんでした。けれども現在改めて聴き直すと、確かに技術的に全盛期のジュリアードの実力は圧倒的ですが、4人が織成す音の美しさと透徹感に魅了されます。曲も彼らのハードボイルドなスタイルに意外なほどに適合しています。甘さ、柔らかさばかりがこの曲の魅力で無いことを見事に証明しています。

V4871ヴェーグ弦楽四重奏団(1973年録音/仏Naive盤) 全集盤です。ブダペストSQのような堅牢な造形性は求められませんが、情感の深い表現力に置いてはウイーン・コンツェルトハウスにも肩を並べます。この曲でも第2楽章の深い味わいには心から魅了されます。第4楽章での各変奏の大きな歌いまわしと深い情感の表出はこのカルテット独特のものです。それも全て第1Vnのシャーンドル・ヴェーグの存在が有ればこそです。

61zqixj1x9lズスケ弦楽四重奏団(1975年録音/Berlin Classics盤) 音は美しいし、しなやかな表情も良いし、アンサンブルは優れているし、バランスの良さから言ってもリファレンスに最適な演奏だと思います。けれども余りに整い過ぎているというか、サラリとし過ぎているというか、何に置いても強い個性が感じられないのです。昔、実演に接した時も同じように感じました。確かに欠点の無い演奏には違いないのですが、彼らならではの個性が欲しくなるのは我儘でしょうか。

D0021969_10143431アルバン・ベルク弦楽四重奏団(1978年録音/EMI盤) 全集盤です。EMI特有の残響の多い録音はどうも苦手です。特に第1楽章では、全体の輪郭は聞こえても細部の音が団子に聞こえてしまいます。それでも、第2楽章のしっとりとした歌は美しいですし、第3楽章のリズムにもキレが有ります。第4楽章の各変奏の表情が豊かな点も見事です。ウイーン的な甘く柔らかい音に先進性を適当に織り交ぜて上手くブレンドされた良い演奏だと思います。

G7138122wスメタナ弦楽四重奏団(1979年録音/DENON盤) 全集盤です。彼らはウイーンの団体のような甘さは無いものの、非常にしなやかで美しい音はこの曲に適しています。第1楽章のピツィカートが一番ハープに聞えるのもこの演奏です。全体的に落ち着きが有ってテンポを煽ることも無く、とてもオードソックスな美演です。この曲としては特に不足は感じられないものの、個人的には更にアクの強さを求めたくならないでもありません。

51f03m0kttlジュリアード弦楽四重奏団(1982年録音/CBS盤) ワシントン国会図書館ホールでのライブ録音による新盤です。彼らのかつてのメカニカルなイメージを払拭するような、非常にドラマティックで人間的な演奏です。第2楽章でのロバート・マンのヴァイオリンが何と大きく真実味に溢れた歌を聴かせてくれることでしょうか。これは正に大芸術家の成せる業です。録音のリアルさも加わって、第3、第4楽章の演奏の生々しさにも圧倒されます。アンサンブルの些細な傷などは全く気にならなくなるぐらい凄みの有る演奏です。

Imagesca41p4peメロス弦楽四重奏団(1984年録音/グラモフォン盤) 第1楽章はアンサンブルが優秀ですし、オーソドックスで非常に美しく優れた演奏です。第2楽章は美しいものの心に迫る真実味に欠ける感が有ります。第3楽章は速いテンポで切迫感を出そうとして、逆に上滑りしている印象です。第4楽章で再び聴き応えの有る充実した演奏をしてくれているので、中間の2楽章の出来栄えが少々残念です。

338アルバン・ベルク弦楽四重奏団(1989年録音/EMI盤) 二度目の全集の第1巻に含まれます。残響の多い音造りは旧全集と同様ですが、こちらの方が音に芯を感じるので良いです。ライブ演奏によるであろう緊迫感も優れます。特に旧盤で不満を感じた第1楽章が上出来です。第2楽章以降についても音の翳りが深く、真実味が増しているので、旧盤とどちらを選ぶかと問われれば、僕は迷うことなく新盤の方を取ります。

61vvfzeifl__sl500_aa300_ウイーン・ムジークフェライン弦楽四重奏団(1991年録音/PLATZ盤) 全集盤からです。これもEMIの録音に似た、非常に残響の深い音造りで、確かにこんな風に聞こえるホールもヨーロッパには有るでしょうが、家で鑑賞するには少々煩わしく感じます。演奏としてはウイーンの甘さと柔らかさに現代的な機能性と鋭敏性をブレンドさせた印象で、現代のミニ・ウイーンフィルという風情なのは決して悪くありません。第3楽章も足が地に付いた上での切迫感の表出が見事です。第4楽章も充実しています。

Emersonbeethovenエマーソン弦楽四重奏団(1995年録音/グラモフォン盤) 全集盤からです。第1楽章の甘く柔らかい音はウイーンの団体以上にさえ感じますが、緊迫感のある部分での激しいアタックには、何もここまでと思ってしまいます。第2楽章の懐かしい歌いっぷりには感心しますし、第3楽章の集中力と迫力も凄いです。第4楽章でも充実した演奏を聴かせますが、特別な演奏と言うほどではありません。この曲は全体的には彼らの先鋭性を発揮する余地はそれほど多くは無かったようです。

312ゲヴァントハウス弦楽四重奏団(2002年録音/NCA盤) 全集盤からです。一音一画を曖昧にすることの無い、いかにもドイツ的な演奏です。歌い崩すことが無いので、第2楽章など物足りなく成りそうなものですが、意外に深々とした祈りの雰囲気を感じさせます。第3楽章のキレの良さには現代の団体らしい先鋭性を感じます。第4楽章の各変奏の弾き分け方も見事です。メンバーは入れ替わっても歴史の重みと新しさ、それに優れた技術を兼ね備えた名演奏だと思います。録音も優秀です。

以上を聴き終えて、優れた演奏は色々と有りますが、特に強く印象に残るのは、ブダペストSQと、ジュリアードSQの新旧両盤です。音楽の風格が他の演奏とは断然違います。その他では、ウイーン・コンツェルトハウスSQ、ヴェラーSQ、ゲヴァントハウスSQあたりが上げられます。

<追記> ジュリアード四重奏団の旧盤を後から加筆しました。

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2013年5月 4日 (土)

ハルくんのツバメ日記2013  ~カムバック・スワローズ!~

Swallow_house_2013

タイトルを見てお分かりになる方は、昨年も当ブログを見て頂いた方です。
そうなのです!今年も我が家にツバメくんがやってきて巣の修繕を始めましたよ。昨年は誕生した6羽の子ツバメのうち1羽が残念ながら巣から落ちて死んでしまいましたが、残りの5羽が無事に巣立ってゆきました。たぶん冬の間、南の島まで長い長い旅を続けて、ようやく春になって故郷の厚木へ帰って来たのだと思います。2羽のツバメが一昨日あたりから巣に出たり入ったりして、巣の上の方に新しくワラや泥で補強をしているのがよく見えます。マイ・ホームを整えて、子づくりを始める準備ですね。今年も雛が誕生して巣立つのが今から楽しみでワクワクしています。

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