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2013年3月 3日 (日)

マーラー 交響曲第9番 バーンスタイン/イスラエル・フィルのライブ盤

Israel_9レナード・バーンスタイン指揮イスラエル・フィル(1985年録音/Helicon Classics盤)

僕は、自称ブラームジアーナーとして、ブラームスの音楽を心の底から愛していますが、同じように溺愛しているのがマーラーです。そのマーラーの曲で、どれか一つだけ選べと言われれば、ためらわずに選ぶのが交響曲第9番です。もちろん、アマチュアオケ団員時代に、この曲を演奏したことも影響しているかもしれません。でもそれを抜きにしても、やはり他のどの曲でも無く第9なのです。

その第9交響曲の演奏のなかで一番気に入っているのが、「劇場型」(「激情型」とも)マーラー演奏家として最高のレナード・バーンスタインです。もちろん人によっては、ワルターだ、ジュリーニだ、バルビローリだ、と色々と言われるでしょう。けれどもバーンスタインの洗礼を受けたファンにとっては、とてもとても比べものにならないほどの唯一無二の存在がバーンスタインの演奏です。

そのバーンスタインによるマーラーの第9交響曲については、正規録音として以下の4つの演奏がCD化されています。

1965年12月  ニューヨーク・フィル(スタジオ)
1979年10月  ベルリン・フィル(ライブ)
1985年5、6月 ロイヤル・コンセルトへボウ(ライブ)
1985年8月   イスラエル・フィル(ライブ)

(この他に、1971年3月のウイーン・フィルとのライブも存在しますが、ビデオ収録のみです)

このうち、バーンスタインのマラ9のベスト演奏はどれかと言えば、自分としてはコンセルトへボウ盤(グラモフォン)を上げますが、ベルリン・フィル盤(グラモフォン)を上げる方も居ます。ただ、最初のニューヨーク・フィル盤(CBS)を上げる人は少なそうです。

そんなバーンスタインのマラ9で最近リリースされたのが、最後のイスラエル・フィル盤で、本拠地のテルアビブでのライブ録音です。何となくグラモフォンのジャケット・デザインを彷彿させますが、実際にはイスラエル・フィルの自主レーベル「Helicon Classics」が制作したものです。録音スタッフも全てイスラエル人のようです。

実はこのコンサートの翌月に、彼らは日本でコンサート・ツアーを行なって、マラ9を4度演奏しました。古いマーラーファンには伝説となっているコンサートです。残念ながら僕はそれを聴いていませんが、当時それを聴いた人の話では、空前絶後の凄演だったそうです。その日本のコンサートを想像できるCDとしてはとても貴重だと思います。

さて、肝心の演奏内容ですが、多くのCDレヴューを読むと賛否両論で興味深いです。ある人は「過去の全ての演奏を凌ぐ」と書いていますし、「大したことない」と書いている人も居ます。僕には、そのどれもが本当だろうと思います。少なくとも、書き手にとっては、その人の書いた通りなのです。ですので、これから書く感想も、あくまで僕一人の感想でしかありません。

これまでの演奏と比べて、最もユダヤ的な演奏に感じます。第二次大戦前のウイーン・フィルが、どうしてあれほど甘く柔らかい音を出せていたかと言えば、ユダヤ人が多く在籍していたからだそうです。長い指を持つユダヤ人が弾くヴァイオリンの音の特徴なのですって。イスラエル・フィルにはそれと共通した魅力を感じます。とにかく甘く柔らかく、そして粘ります。それがマーラーの音楽との同質性を感じさせます。それは、ユダヤ系の指揮者と、それ以外の民族の指揮者が演奏するマーラーの確かな違いとも言えます。従って、バーンスタインの指揮したマラ9は全てが魅力に溢れてて感動的です。もちろん、この演奏も同じです。最も顕著なのが第4楽章で、弦楽の息の長い旋律を、粘りに粘って弾いています。こういうのが苦手の人には抵抗が有るでしょうね。でも僕は大好きなのです。魂の没入度では一番かもしれません。バーンスタインの足音がひときわ大きく聞こえますし(笑)。この楽章を聴くだけでも価値が有ると思います。但し、それまでの楽章について言えば、特に管楽器全体の質とミスがかなり多いのがマイナスです。実演で聴けば気にならないようなことでも、CDで聴く場合は気にならないと言えば嘘になります。ですので、ディスクとして聴く限りは、やはりコンセルトへボウ盤がベストです。恐らく、このCDを聴かなくても困らなかったとは思いますが、聴いたことを後悔はしていません。聴いて良かったと思っています。
もっとも、他の人に「このCDを聴くべきか、聴くべきでないか?」と尋ねられても答えられません。その答えは「その人が聴きたいと思えば聴くべき」でしかないからです。

<過去記事> マーラー 交響曲第9番 名盤

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マーラー(交響曲第8番~10番)」カテゴリの記事

コメント

この記事と関係ないので恐縮なのですが、以前シューマンの交響曲全集で、ファビオ・ルイージ?のCDを紹介されていなかったでしょうか?過去記事を検索しても見つからないのです。。。

投稿: わんわん2号 | 2013年3月 3日 (日) 18時14分

わんわん2号さん、こんにちは。

ファビオ・ルイージのシューマンは聴いたことが有りませんので、別のどなたかの記事ではないでしょうか。
ルイージの記事を書いたのは、2009年4月にシュターツカペレ・ドレスデンの日本公演で指揮したRシュトラウスについての1回だけですね。

投稿: ハルくん | 2013年3月 3日 (日) 21時46分

ハルくんさん、こんばんは。 マーラーの「第9」は 20代の頃、夢中になって聴いていました。当時は「これこそ、究極の交響曲だ!」と思っていましたね・・・。(笑) 確かに マーラーの行き着いた究極の作品には間違いありません。 しかし、年齢を重ねてくると、ブラームスやブルックナー、また、シベリウスの交響曲を聴く機会が増えているのは事実です。何故でしょうね・・・?      CDは やはりバーンスタイン/コンセルトヘボウ管盤と ワルター/ウィーン・フィル盤が双璧だと思います。(私としては ワルターの方に思い入れがあるのですが・・・(笑))

投稿: ヨシツグカ | 2013年3月 3日 (日) 22時34分

ヨシツグカさん、こんばんは。

マーラーは青春時代に一度は熱病にかかりますね。僕も今はブラームスとシベリウスの方を聴くことが多いですが、マーラーも聴かないわけではありません。むしろブルックナーよりも多いかもしれません。
まだ青春が終わっていないのかも。(笑)

投稿: ハルくん | 2013年3月 3日 (日) 22時49分

こんばんは。

コンセルトヘボウ管弦楽団とのDG盤に続き
この盤も聴きなおしましたが
DG盤には演奏も録音も及ばないと思えます。
全体的に「埃っぽい」録音なので、演奏の良さが伝わってきません。
9月3日(来日初日)の実演は彼岸から聴こえてくるような弦の美しさでしたが・・・
バーンスタインならば発売を許可しなかったでしょう(ベルリンも)。
演奏家の生前に発売された盤を尊重するのが
演奏家に対する礼儀ではないかと思えます。

投稿: 影の王子 | 2017年5月17日 (水) 20時19分

影の王子さん、こんにちは。

そうですね。コンセルトヘボウ管とのDG盤の完成度と比べては問題になりませんね。
ベルリンフィル盤に関しては存在意義を認めますが、このイスラエル盤は不要だったかもしれません。
日本公演の感動をそのまま記憶されていたほうが幸せでしょうね。生演奏を忠実にパッケージすることは至難の業です。とくにこの時代では。

投稿: ハルくん | 2017年5月18日 (木) 12時35分

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