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2013年3月 7日 (木)

マーラー 交響曲第5番 テンシュテット/コンセルトへボウ管のライブ盤

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ロイヤル・コンセルトへボウ管弦楽団アンソロジー第6集1990-2000

タイトル名の通り、アムステルダムのロイヤル・コンセルトへボウ管弦楽団による自主制作CDが出されています。同じ録音年代の名演奏をそれぞれCDセット化していて、既に第7集まで制作されましたが、どれも10枚を超える大物ですので、実はこれまで購入を躊躇っていました。

けれども、どうしても欲しかったのが、1990年から2000年に渡る演奏を集めた第6集です。その理由は、この中にクラウス・テンシュテットが1990年12月9日にコンセルトへボウで演奏したマーラーの交響曲第5番が含まれているからです。これまでは海賊盤でしか出ていなかった演奏なので、正規音源からの発売を心底渇望していました。自分にとっては、この演奏が収録されているのでこのセットを買ったようなものです。

マーラーの「劇場型」(「激情型」とも)タイプの演奏家として、テンシュテットはバーンスタインと双璧です。もちろん、ワルター、バルビローリ、クレンペラー、クーベリック、ノイマン、ベルティーニなども素晴らしいマーラーを聴かせてはくれますが、マーラーの音楽を溺愛していて、とことん音楽にのめり込みたくなる自分にとっては、バーンスタインとテンシュテットの二人は、やはり別格としてそそり立つ存在です。ただ、バーンスタインが特に晩年の演奏でユダヤ的に粘りに粘ったのとは異なり、テンシュテットは遅いテンポで非常に彫の深い演奏を聴かせても、そこにユダヤ的な粘りというものは有りません。

テンシュテットのマラ5には、手兵のロンドン・フィルとの演奏が幾つか正規盤として出ています。どの演奏も素晴らしいですし、特に1988年のロンドン・ライブ(EMI盤)は傑出したマーラーです。けれどもバーンスタインが名器ウイーン・フィルとグラモフォン盤、それにプロムスライブ盤の二つを残したのと比較すると、オーケストラの質の点でどうしてもハンディを感じざるを得ませんでした。唯一、海賊盤のコンセルトへボウ盤だけが、ウイーン・フィルと全く遜色の無い質の高い音を聴かせていました。確かに、熱気においてはロンドン・フィルのライブでの献身的な演奏が上回るのかもしれません。けれどもオケの上手さ、表現力という質の高さだけは如何ともしがたいのです。ここには「名演」を更に一段超えた上質な音楽が存在します。ですので、このコンセルトへボウ盤こそがテンシュテットのマラ5のベストだと思っています。あの北ドイツ放送響との「復活」(これもFirst Classicsの海賊盤でしたが、正規盤以上の高音質なので不満は有りません)は、テンシュテットの残した最大の遺産であり、間違い無くこの人のマーラーの全演奏のベストですが、このコンセルトへボウとの5番は、それに次ぐものとして極めて重要な記録です。やはりテンシュテットの真骨頂はライブに有ります。EMIのセッション録音による全集のみでは、この人のマーラーの凄さは半分も理解出来ないと思います。

ところで、このセットには他にも非常に興味をそそられる演奏が幾つも含まれています。ざっとご紹介してみますと。

バルトーク:歌劇『青ひげ公の城』
 イヴァン・フィッシャー(指揮)

ベートーヴェン:交響曲第6番『田園』
 ヴォルフガング・サヴァリッシュ(指揮)

シベリウス:交響曲第4番
 パーヴォ・ベルグルンド(指揮)

エルガー:交響曲第2番
 アンドレ・プレヴィン(指揮)

バルトーク:ピアノ協奏曲第3番
 マルタ・アルゲリッチ(P)
 クラウス・ペーター・フロール(指揮)

シェーンベルク:淨められた夜(弦楽合奏版)
 ピエール・ブーレーズ(指揮)

シューベルト:交響曲第8(9)番『グレイト』
 サー・ジョン・エリオット・ガーディナー(指揮)

モーツァルト:交響曲第40番
 ニコラウス・アーノンクール(指揮)

ブルックナー:交響曲第3番
 クルト・ザンデルリング(指揮)

ショスタコーヴィチ:交響曲第5番
 クルト・ザンデルリング(指揮)

特に興味の有るのはこんなところです。いずれも世界に冠たる名オーケストラであるコンセルトへボウ管の1990年以降の演奏を優秀録音で聴けるわけですから感謝です。それらについては、また別の機会にご紹介するつもりです。

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コメント

テンシュテットはオケのイメージで損をしていますよね。小生はプロじゃないからLPOがイマイチの実力なのかよく判りませんが、
世評や先入観もあってLPOとのCDは1枚も持っていません。BPOとのワーグナー管弦楽曲集やCSOとのマーラー第1番はよく聴きますね。マーラーの交響曲全集をBPO・VPO・ACO或るいはハルさんの好みじゃないですが(笑)CSOあたりでやっていてくれたら良かったのにと非常に残念です。
マーラー第5番、1枚売りだったら買いたいのですが。

投稿: シーバード | 2013年3月 7日 (木) 09時59分

シーバードさん、こんばんは。

ロンドンフィルとのマーラーが駄目と言うわけでは無いのですが、ウイーン、北ドイツ放送、コンセルトへボウといった名楽団との演奏の凄さを知ってしまうとどうしても物足りなさを感じます。
シカゴSOとの1番も好きですよ。指揮者が良いとやはり素晴らしいオケです。

レコード会社からのリリースではないのでこの5番が単独では出ることは無さそうです。非常にもったいないです。

投稿: ハルくん | 2013年3月 7日 (木) 23時13分

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