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2013年2月 8日 (金)

ショスタコーヴィチ 交響曲第5番 ニ短調 op.47 名盤

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まだまだ寒い日が続きますが、立春も過ぎれば、少しづつハルの足音、じゃなかった、春の足音が聞こえてきますね。いつまでもロシア音楽特集でもありませんので、今回で最終回とします。そこで取り上げようと思いついたのが、ドミートリ・ショスタコーヴィチです。

ショスタコーヴィチが20世紀を代表する交響曲(だけではありませんが)作曲家であるのは間違いありません。「20世紀に書かれた交響曲」というなら、個人的にはシベリウスの方が、ずっと好きですが、なんといっても全15曲の大軍団には多勢に無勢で圧倒されます。

ところでショスタコーヴィチは、これまで一度も記事にしたことが有りませんでした。そうなのです。正直言うと、熱中するほど好きでは無いからです。こんなことを書くと、世のタコ・マニアからは怒られるでしょうが、その理由は良く分りません。馬が疾走したり、飛び跳ねたりするようなリズムや、ブラスバンドのようにバリバリと鳴る管楽器の扱いには大いに面白さを感じますが、どうも僕の肌には今一つしっくりと来ません。これは単に感性の問題なのでしょうけれども。
ところがタコ・マニアというのは熱狂的(偏執的??)で、僕の大学オケの後輩には、ショスタコーヴィチの交響曲だけを演奏するためにわざわざ専用のアマチュア・オーケストラを結成してしまった猛者が居ました。ここまで行くと脱帽です。

そんなショスタコーヴィチの15曲のシンフォニーの中で、最も好きだと言えるのは第5番です。真正タコ・マニアには評価の微妙なこの曲ですが、後期ロマン派好きな自分にとっては最も楽しめます。この曲をめぐっては、当時反体制派として見られて立場の危うかったショスタコーヴィチが、意に反して社会主義を賛美する音楽を書いたと言われていますが、僕は余りそのような意識を持って聴いたことは有りません。あくまでも純音楽的に聴くことがほとんどなのです。そうしてみると、交響曲としての形式を忠実に踏襲したこの曲は、非常にまとまりの良い名曲に思えます。

この曲の初演はムラヴィンスキーによって行われました。そのリハーサルには、ショスタコ―ヴィチが立ち合っていましたが、ムラヴィンスキーとは演奏解釈をめぐって激論を交わしたそうです。それでも無事に初演が行われましたので、最終的には意見がまとまったのでしょう。

なお、この作品を「革命」の副題で呼ぶことが有りますが、ショスタコーヴィチ自身はそのような命名は行っていません。

それでは、愛聴盤のご紹介です。

51h0qp0k65lエフゲニ・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィル(1965年録音/ドリームライフ盤) やはり初演者としての貫禄は他を圧倒しています。これは、モスクワ音楽院大ホールでの一連の録音の中に含まれますが、昔のLP時代には出ていなかったように記憶します。翌年1966年のレニングラードでの演奏と似ていますが、演奏の出来栄えは66年盤には及びません。録音も並みレベルです。従って、全盛期のムラヴィンスキーの演奏を聴けるという点では価値が有ると思いますが、マニア以外には特にお勧めはしません。

413n12nkrul__sl500_aa300_エフゲニ・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィル(1966年録音/RussianDISC盤) ムラヴィンスキーの数ある録音の中でも、最も好きな演奏です。速いテンポで激しく突き進み、切り裂くような音の迫力に圧倒されます。テンポの微妙な変化も自家薬篭中の上手さを感じます。初演者がいつでも一番良いとは限りませんが、この曲に関しては、どの部分の表現をとっても最も説得力を感じます。3楽章の情感の深さも、凡百の指揮者の及ぶところではありません。録音年代が古い割には、音質が明瞭で、各楽器の音が生々しく鳴り響いています。

51s73wwsb8lエフゲニ・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィル(1973年録音/Altus盤) これはムラヴィンスキーの記念すべき初来日の時の東京文化会館でのライブ録音です。60年代の演奏と比べると、テンポが幾らか遅めとなり、音の切れ味が弱まりましたが、その代わりにスケール感が増しています。録音も良好で、文化会館の1階で聴いているような生々しさが伝わって来ます。残念ながら自分は実演を聴き逃しましたが、この演奏に接した当時のファンは本当に幸運でした。来日直前にレニングラードで録音された演奏も近年リリースされましたが、そちらは未聴です。

51ftnqf2d5lエフゲニ・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィル(1984年録音/ERATO盤) 晩年のデジタル録音ですので、音質は最も優れています。確かに第3楽章などでは更に深みを増していて極めて感動的ですが、その反面、全体のアンサンブルの精度やリズムのキレの良さ、音の凝縮力などに弱まりを感じます。もちろん他の指揮者と比べれば充分素晴らしいのですが、個人的には60年代、70年代の演奏を好んでいます。もっとも1978年のウイーン録音盤は、音質が余りに柔らかすぎて好みません。

51bhwoyugqlレナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィル(1959年録音/SONY盤) ムラヴィンスキーと並ぶ人気を誇るのはバーンスタインです。東西冷戦時代にニューヨーク・フィルとモスクワで演奏会を行ない、ショスタコ―ヴィチから絶賛を受けたエピソードは有名です。但し、それをもって演奏解釈が全て認められたとは思いません。その熱演ぶりに胸を打たれたということだったのかもしれないからです。モスクワ公演の直後にボストンで録音した演奏は、やはりエネルギーに満ち溢れた名演です。フィナーレは非常な快速テンポで煽りますが、少々バタバタした感無きにしもあらずです。金管の音色が明る過ぎるのも気になります。終結部が楽天的なのも「冷戦、そんなの関係ねー」と言ってるみたいで、同時代のロシアの演奏家のようなシリアスな感じが希薄なのには、幾らか抵抗を感じます。

51tcdmh5hqlレナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィル(1979年録音/SONY盤) これはムラヴィンスキーの僅か6年後に、同じ東京文化会館で行われたライブ演奏です。当時の演奏家と言うのはつくづく凄い人たちが居ました。1959年録音の旧盤は演奏の若々しさで人気が高いですが、この新盤では、ずしりとした手ごたえで全体的に深みを増しているのが魅力です。終結部も旧盤のように楽天的には感じません。もっとも、これはショスタコーヴィチというよりもマーラー寄りの演奏なのかも知れません。どちらの演奏も魅力的なのですが、個人的には新盤を好んでいます。

Kondra011キリル・コンドラシン指揮モスクワ・フィル(1968年録音/ヴェネチア盤) コンドラシンは世界で初めて、タコ交響曲全集を完成させた指揮者です。ヴェネチア・レーベルから全集盤がライセンス販売されています。この曲では、ムラヴィンスキーばりの超快速テンポで、贅肉が完全に削ぎ落とされた、すさまじい切れ味と凄みを聞かせています。当時のモスクワ・フィルは極めて優秀でした。ムラヴィンスキーやコンドラシンのシリアスな演奏を聴いてしまうと、東西冷戦時代の西側の演奏家のアプローチがいかにも微温的に感じられてしまいます。音質が硬いのがマイナスですが、これはリマスターの影響だけでは無いと思います。全集盤については、また別の機会に取り上げたいと思います。

41haadctn4lエフゲニ・スヴェトラーノフ指揮ロシア国立響(1992年録音/CANYON盤) チャイコフスキーを演奏させると極めて重厚でワイルドなスヴェトラーノフは、さしずめロシアのスギちゃんです(笑)。この曲では全体的にテンポは遅めで重厚ですので、20世紀の音楽というよりは、後期ロマン派の曲を聴いているような印象を与えられます。それでもオケの迫力ある響きは、まぎれもないロシアの音です。この演奏は、生粋のタコ・マニアにはどう受けとめられているのでしょうか。「オレはムラヴィンスキーじゃないぜ、スヴェちゃんだぜ。ワイルドだろう~」なんて、言うはずは無いですが、終結部のパワフルさとド迫力はさすがです。CANYONの録音は極めて優秀です。

6110ipi39ilルドルフ・バルシャイ指揮ケルン放送響(1996年録音/ブリリアント盤) バルシャイのタコ全集は録音も優秀ですし廉価盤ですので、まとめて揃えたい人にはお勧めできると思います。演奏がドイツの放送オケということもあって、響きがそれほど刺激的にならず、冷た過ぎないので聴き易いです。個人的にはロシアの硬質な響きの方が、タコらしさを感じますが、これはこれで良いと思います。バルシャイはこの曲に関しては、ゆったりとしたテンポで重厚に演奏しています。2楽章などはなんだかマーラーを聴いているような趣があります。欠点は金管群にロシアの楽団のような馬力が無いことです。終結部では息切れしているように聞こえます。

ということで、この曲は誰が何と言おうとムラヴィンスキーが最高です。録音の数が多過ぎて、どれを選ぶかは迷うところでしょうが、僕の最も好きなのは1966年のRussianDISC盤です。次いでは、1973年の来日公演盤(Altus)です。

ムラヴィンスキー以外では、コンドラシン盤が非常に気に入っています。ムラヴィンスキーの気迫に最も接近しているように思います。次いでは重量感あふれるスヴェトラーノフ盤が好きです。

以上ですが、ショスタコ―ヴィチの他の曲に関しては、そのうちにまた取り上げてみたいと思います。

実は、明日から3日間、「八重の桜」で話題の会津若松へ旅行しますので、コメントへのお返事が遅れると思います。帰りましたら必ずお返ししますので、その間はどうかお許しください。

<関連記事>
ムラヴィンスキー 「ライブ・セレクション1972、1982」

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ショスタコーヴィチ」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。コノ曲で1コメ光栄です^^
最後に行き着く先と解っていたClassicへ導いた運命の曲。シューベルト/未完成しか通して聴いたコトなかったので、冒頭から緊張感が漂い、爆発する強奏部分では「ロックじゃないかッ!」と。

世評高いのは、82年/DreamLife盤なので(←寝かせてありますw)、過度な期待せず入手したムラヴィンスキー/RussianDisc盤が現時点1位。同じで高まりました。Altus盤の透んだ音質とは違った、やや荒く太い音質も曲に合ってます。

バーンスタインは、東京Liveより、59年盤。前者は最初期盤を入手も、デジタル録音初期の基本的に音が小さいという問題が(←ボクの装置では)。リマスター盤で一度聴かねば。

投稿: source man | 2013年2月 9日 (土) 09時18分

バーンスタインの1979年のライブ録音は幸運にも、私は東京文化会館で聴きました。
凄かった!
あまりにも凄かったので、まだ当日のライブ録音を聴いていません。
あの時の印象が壊れるのが怖いという気持ちが今でも強いのでしょう。

投稿: オペラファン | 2013年2月 9日 (土) 22時30分

ハルくんさん、こんにちは。 う~ん・・・ショスタコーヴィチですか。
実は私、交響曲より弦楽四重奏曲の方が「しっくり」来るのですが・・・。(笑)     交響曲では、第10番が好きで よく聴いていますが、第5番はそんなに聴きこんでいません。 CDは バルシャイの全集盤と、ムラヴィンスキーの東京ライブ盤を持っていますが、隠れた(?)名盤の誉れ高い、ムラヴィンスキー'66年盤を 聴いてみたいですね。

投稿: ヨシツグカ | 2013年2月10日 (日) 09時19分

ハルさん、こんばんは。
クラシック音楽を聴き始めた頃、私の生来の天邪鬼な性格により、聴いたことがない作曲家の曲を聴こうとショスタコーヴィチの交響曲第5番と第9番がカップリングされているCDを購入しました。(あくまでクラシック音楽を聴き始めた頃の話です。現在は全ての交響曲のCDを持っています…)
その時、購入したCDがハイティンク指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏でした。当時はムラヴィンスキーの存在自体知らなかったので、何年もこの演奏に慣れ親しみました。
その後、ムラヴィンスキーやバルシャイ指揮等のCDを聴きましたが、ハイティンクのCDは私のスタンダードになっています。ハイティンクの指揮は癖がない為、曲の良さがストレートに伝わってくるような気がします。恐らくオーケストラが優秀なこともプラスに働いているのでしょう。
他に印象深いCDはアルヴィド・ヤンソンス指揮レニングラード・フィルのロイヤルアルバートホールライヴでしょうか。ムラヴィンスキーの表現とは異なり、抒情的演奏に感じます。

投稿: たろう | 2013年2月10日 (日) 20時50分

こんばんは。
ムラヴィンスキー(ALTUS盤)の厳しさ、バーンスタインの2種の爽快さにも惹かれますが、音楽のふくよかさと録音の素晴らしさから、ネーメ・ヤルヴィ指揮スコティッシュ・ナショナル管弦楽団盤を最も愛聴しています。
誤解を恐れずに言えばBGMとしても最適な程「響いている音」そのものが心地良く、私にとっては通勤時のWalkmanライブラリー中の定番です。(実は定番二番手がハルくんさんもご推薦のオイストラフのチャイコフスキーのVn協だったりします)

投稿: kenken | 2013年2月11日 (月) 02時03分

ショスタコーヴィチは第5番以外どうもなじめません。第5番はムラヴィンスキーのアルトゥス盤とハイティンク・RCO盤だけでしたが、最近ムーティ盤が安いのでフィラデルフィアOが魅力で買いました。確かに第4楽章は豪快に鳴ってますね(笑)。ハイティンク盤はオケの魅力がありますが、上品で少し大人し過ぎるかと。ムラヴィンスキーのアルトゥス盤は評価が高いのですが小生に真価がよくわかりませんね(笑)。コノテの曲はやはり音のいい録音で聴きたいですから。
ショスタコーヴィチの交響曲の醍醐味を知りたくて高性能オケであるバーンスタイン・CSOの第7番、ショルティ・CSOの第8・10番、カラヤン・BPOの第10番などのCDを持っていますが、残念ながらリピートしないですね。某評論家が最高傑作と絶賛する第15番なんてどこが良いのやら。余談ですが、ハルさんはうるさくてデリカシーのないCSOは好きじゃなかったですね(笑)。

投稿: シーバード | 2013年2月11日 (月) 12時58分

source manさん、こんにちは。

ムラヴィンスキーの82年の演奏は良いという評判はありますね。ただ自分が必ずしも熱烈なムラマニア(orタコマニア)ということでもないのでまだ聴いていません。もしも66年盤をも凌駕するということであれば聴いてみないとなりませんね。

バーンスタインの東京LIVEですが、元々デジタル録音されている場合は、リマスターによる音質の変化は余り無いと言うのが自分の印象です。どうなのでしょうね。

投稿: ハルくん | 2013年2月12日 (火) 14時59分

オペラファンさん、こんにちは。

バーンスタインの東京LIVEとは、また凄いものをお聴きになられましたね。
実演で感動した演奏をCDで聴くのがためらわれるという気持ちは理解できます。
印象をそのまま大切にし続けるということでいいじゃないですか。

投稿: ハルくん | 2013年2月12日 (火) 15時05分

ヨシツグカさん、こんにちは。

ショスタコの弦楽四重奏曲は良いですよね。確かに交響曲よりも良いかもしれません。
5番以外の交響曲では今のところ8番、10番、12番あたりが好きかなぁ。もちろんブラームスには遥かに及びませんけれども、少しづつ「抵抗感」を無くしています。(笑)

投稿: ハルくん | 2013年2月12日 (火) 15時11分

たろうさん、こんにちは。

コンセルトへボウは最も好きなオケの一つですが、ハイティンクは逆にどうも印象の良くない指揮者なんです(苦笑)。ですので、この曲の演奏も聴いたことがありません。でも一度は聴いてみたいですね。

アルヴィド・ヤンソンス盤も未聴ですけれど、この人は隠れた名指揮者ですし、何といってもレニングラード・フィルですので、是非とも聴いてみたいです。

投稿: ハルくん | 2013年2月12日 (火) 15時18分

kenkenさん、こんにちは。

Nヤルヴィはエーテボリ響では無く、スコティッシュ・ナショナル管ですか。
シベリウスではスケールが大きい演奏をしますが、ショスタコの場合には仰られるような響きの良い演奏になるのかもしれませんね。
一度聴いてみたいです。

「定番二番手」との、オイストラフのチャイコフスキーは本当に良い演奏ですよね。

投稿: ハルくん | 2013年2月12日 (火) 15時27分

シーバードさん、こんにちは。

ショスタコは自分も5番以外は中々馴染めずに、長い間ムラヴィンスキーの録音が有れば聴く程度でした。まぁ現在も基本的にはそれほど変わっていないような気がします。(笑)

正直言いますと、バーンスタイン/CSOの第7番はともかくとして、ショルティ/CSOの第8・10番、カラヤン/BPOの第10番を買おうと思ったことは有りません。
ショスタコーヴィチのイメージから遠すぎる演奏家だからです。何が遠いかと聞かれても自分のイメージでしか無いのですが・・・

投稿: ハルくん | 2013年2月12日 (火) 15時35分

こんばんは。
ショスタコは最初、いいイメージがありませんでした。バーンスタインのライブ録音やロストロポーヴィチ、ナショナル交響楽団のドイツ・グラモフォン盤を聴いた後、ヤンソンス、ウィーン・フィル。プレヴィン、ロンドン響が私が描いてたイメージと違っていて疎遠となってしまった。
デッカから出たアシュケナージによる「全集」はあまり期待してなかったけど「管弦楽曲」が多数収録されていたので購入したところ、ロイヤル・フィルによる「第5番」が不安げな反面、かつストレートな奏で方をしています。どうもピアニストのイメージが強すぎて指揮者としてなじめなかったけど今では愛聴盤となってしまいました。

投稿: eyes_1975 | 2013年2月12日 (火) 20時19分

eyes_1975さん、こんばんは。

さすがに色々とお聴きになりましたね。
アシュケナージはピアニストとしては、個人的には必ずしも好んでいませんが、洗練された演奏家として一つの道を極めた人だと思います。
指揮者としても成功しましたが、やはり個人的には余り好んで聴いていません。
でも、音楽をそのまま素直に聴く分には良いのかもしれませんね。

投稿: ハルくん | 2013年2月12日 (火) 22時34分

ハルくん様

morokomanです。

このところ毎日、シベ5の多数盤聴き比べ、ザンデルリンク&ヴァントのブラ1聴き比べの他に、プリムローズのブラームス・ヴィオラソナタ(これは購入しました)とゲルギエフの『シェエラザード』(これは図書館にありました)を聴いておりました。(プリムローズとゲルギエフの感想はまた後日に)

先日、ショスタコーヴィチの第5が記事になり、おおっと思いました。かつての友人がショスタコーヴィチの大ファンで、彼とはよく激論を戦わせたものです。(今、元気かな?)

しかし、


>個人的にはシベリウスの方が、ずっと好きですが、なんといっても全15曲の大軍勢には多勢に無勢で圧倒されます。


というお言葉は、僭越ながらハルくん様らしくないと思いました。なので、失礼を承知で一筆したためさせていただきます。

かく申すシベリウス・ジャンキーのmorokomanは、「大軍勢」を前にしても、まったく圧倒などされておりませんよ。(^^)
この文のショスタコーヴィチをシベリウスに、シベリウスをブラームスにと置き換えればすぐに得心されることでしょう。

例えば、morokomanが以下のことを申したとします。

『シベリウスの交響曲は7曲。クレルヴォを入れれば8曲。タピオラを第8番と考えれば(実際そういう説があるらしい)9曲だ。対してブラームスはわずか4曲。半分以下ではないか! さぁ、世のブラームジアーナよ。多勢に無勢の、この数の差に圧倒されるがよい!!』

しかし、「圧倒されるブラームジアーナ」がどこにいるでしょうか。

「とうとう頭がおかしくなったか」「毒がまわってしまったのだな。かわいそうに。これだからジャンキーは……(呆)」という、ごくまっとうな反応しかもどって来ず、誰も「圧倒」などされないと思います。

なぜそうなるかというと、熱愛する作曲家の音楽に、他者には譲ることのできない、それこそかけがえのない価値があると思えばこそ。

よって、morokomanにとってシベリウスは、我が人生の三分の二もの時間、毎日付き合い続けてきたものである以上、「大軍勢」を目の前にしても、全くひるむことはありません。これはハルくん様にとってのブラームスもそうだと思います。

同様に、ハルくん様の後輩の方にとってもそうだと思いますね。自らアマオケを組織するほどですから。この行動力には尊敬の念を覚えます。この方も、ショスタコーヴィチの音楽と心中ずる心構えはできておられるのでしょう。本当に頭が下がりますね。(^^)

演奏についでですが、私はショスタコ・マニアの友人からはバーンスタインの新旧両盤をすすめられました。両方とも素晴らしく、これで十分だと思いますね。ムラヴィンスキーはメロディアの盤を聴いた記憶があります。が、どうしても『ショスタコーヴィチの証言』が頭にひっかかり、素直に楽しめませんでした。演奏そのものになんら不満を感じませんでしたが。結局、どうしても「色眼鏡」をかけて聴いてしまいます。素直に音楽に入り込めないというのは、作曲家にとっても、聴衆にとっても不幸なことだと思いますね。

投稿: morokoman | 2013年2月13日 (水) 21時39分

morokomanさん、こんばんは。

どうも真意をご理解頂いていないような気がしています。
自分にとってシベリウスの7曲がショスタコの15曲に負けるなんてことは有り得ません。
「圧倒される」と表現したのは、ハイドン時代でも無いのに、15曲もの交響曲を完成させた努力に対して素直に敬意を表しただけです。
但し、タコマニアにとっては、この15曲がシベリウスの7曲、ブラームスの4曲よりも価値が高いと感じても、我々には何ら否定すべきことでは無いと思いますよ。価値観は、その人本人のものですから。

また、この曲がバーンスタインの新旧盤で充分だというご意見には全く賛成できません。ムラヴィンスキーはもちろんのこと、他にも素晴らしい演奏は間違いなく存在しています。
素直に音楽に入り込めないというのは、「聴き手」にとって一番不幸なことだと思いますよ。

投稿: ハルくん | 2013年2月14日 (木) 00時32分

ハルくん様

morokomanです。レスありがとうございます。(^^)

>「圧倒される」と表現したのは、ハイドン時代でも無いのに、15曲もの交響曲を完成させた努力に対して素直に敬意を表しただけです。

なるほど、そういうことだったのですね。大変失礼しました。読解力に欠けた能天気な書き込み、我ながら恥ずかしく思います。もしご不快に感じられたのでしたら、どうかお許しください。

>但し、タコマニアにとっては、この15曲がシベリウスの7曲、ブラームスの4曲よりも価値が高いと感じても、我々には何ら否定すべきことでは無いと思いますよ。価値観は、その人本人のものですから。

確かにおっしゃる通りですね。作品を愛する方々にとってはかけがえの無い作品ですから、その方々のお心は尊重したいと思います。

>また、この曲がバーンスタインの新旧盤で充分だというご意見には全く賛成できません。

これまたおっしゃる通りですね。私が「この曲がバーンスタインの新旧盤で充分だ」という意見は持っていたのは事実ですが、そういう私も自分の考えに固執するつもりはありません。

このブログに顔を出させていただいているのも、いろいろな名盤の存在を知りたいからですし……。言ってみれば「名盤を学びに来ている」と言っても過言ではありませんから。


>素直に音楽に入り込めないというのは、「聴き手」にとって一番不幸なことだと思いますよ。


う~む、これは耳が痛い。ハルくん様の曲に取り組む姿勢からすれば、まったく反論の余地はありませんね。


このようにご意見を伺うと、ほとんどハルくん様のおっしゃるとおりであり、我ながら何を書いていたんだろう、と思ってしまいます。

今回は私の心にヤキが回ったようです。どこか冷静さを失っていましたね。

ショスタコーヴィチとなると、私の心に苦い思い出がつきまとってしまいます。
かつてのショスタコ・マニアの友人と『ショスタコーヴィチの証言』をめぐり、激論を戦わせたことがあります。あれは本物だ、いや違う、といったことをめぐってです。

友人は『証言』は正しい派。したがって、ムラヴィンスキーの解釈を疑わしく思っていました。私は「そんなことはないだろう」という考えでしたが、時に感情的なやりとりになり……今となっては人間が成熟しきれていなかった頃の、実に苦い思い出です

ですが、これはあくまでも私個人の体験を引きずったものでしかありません。それをごっちゃにして文を書いてしまいました。不快な思いをさせてしまったら、すみません。私個人の体験から離れて、全体を俯瞰して考えれば、ハルくん様のおっしゃる『「聴き手」にとって一番不幸な』ことは、本当にその通りだな、と思います。

今回は、大変失礼いたしました……。

投稿: morokoman | 2013年2月14日 (木) 21時01分

morokomanさん、こんばんは。

こちらこそ、偉そうなことを書いてしまいまして、どうかご容赦ください。

自分もそれほど純粋に音楽を聴いているわけでも無く、往々にして先入観や偏見を持つことがあります。演奏家に対する好みなんかはその典型です。ただ、自己弁護をすれば、好き嫌いは「聴き手」の自由で良いのかもしれません。審判をするわけではないですからね。依怙贔屓するのも面白さの一つですものね。

投稿: ハルくん | 2013年2月15日 (金) 00時00分

ショスタコーヴィチは好みが分かれる作曲家のようですね。
私は好きですが、お薦めしたい曲は
ピアノ協奏曲第1番&第2番です。
どちらも30分未満ですし、暗さや深刻さは皆無です。
私の推薦盤は
第1はアルゲリッチ
第2はバーンスタインの弾き振りです。
特に第2はお薦めです。

なお、交響曲第5番で一番好きなのは
バーンスタインの旧盤です。
なお、この録音はニューヨークではなく
ボストンで行われています。

あとはアンチェル&チェコ・フィル
ヤンソンス&ウィーン・フィルが
なかなかいいと思います。

投稿: 影の王子 | 2013年8月10日 (土) 00時52分

影の王子さん

自分はショスタコーヴィチは特に好きとは言えませんので、ピアノ協奏曲もヴァイオリン協奏曲も滅多には聴くことはないですね。

バーンスタインの旧盤は仰る通りボストンでの録音でした。NYだとばかり思い込んで書いてしまいましたので、さっそく修正しました。どうもありがとうございます。

5番に関してはムラヴィンスキーがやはり一番好きですが、この曲はこれからそれほどコレクションを広げることは無いかもしれません。

投稿: ハルくん | 2013年8月10日 (土) 09時22分

こんにちは。

5番はテレビドラマなどでも使われて有名ですが、私はCDを持っていません(汗)。ムラヴィンスキーの演奏は最近はじめて聴きました。二枚目でとても格好いい指揮者ですね。

ショスタコーヴィチは室内楽に非常にいいものがありますね。ピアノ5重奏曲やピアノトリオ2番など、音符が少なくて凝縮された雰囲気は誰にも真似できないと思います。独特の暗さがあって一筋縄ではいかないですが、何回も聴いていると味わいがわかってきました。

投稿: NY | 2013年8月27日 (火) 22時14分

NYさん、こんばんは。

残念ながらムラヴィンスキーを生で見る(聴く?)機会は逃してしまいましたが、映像で見ると、非常に厳格そうで畏れ多い雰囲気ですね。親しみ易い現代の演奏家とは随分と異なりますし、演奏も外見そのままといった感じです。

ショスタコーヴィチは特に好きでないと書きましたが、ピアノ五重奏曲はとても良い曲ですね。弦楽四重奏曲にも良い曲が有ります。確かに交響曲よりも室内楽の方が、もしかしたら好きかもしれません。もう少し腰を据えてじっくりと聴いてみたいです。

投稿: ハルくん | 2013年8月27日 (火) 22時52分

革命は第四楽章なんかがかっこよくて好きですね。最初聞いたときはどこがいいのかわからなかったんですが。
世評はバーンスタイン盤をベストとするようですが、個人的には甘さが目立ち、やっぱりムラヴィンスキーが好きですね。66年盤は運良く手に入れましたが、最近中古屋で5000円近くの値がついていました。
ムラヴィンスキー以外だとゲルギエフが好きです。スピードを出したいのを必死で押さえたおかげでシビアな演奏になっていると思います。

投稿: ボナンザ | 2014年3月21日 (金) 23時32分

ボナンザさん

この曲ではムラヴィンスキー派とバーンスタイン派に大きくは分かれるようですね。
自分もやはりムラヴィンスキーです。1966年盤が入手できたのは良かったですね。やはりこの演奏が一番好きです。

ゲルギエフも好きな指揮者ですが、このCDは賛否両論でしたので買っていません。自分で聴いてみないと何とも言えないですね。
どうもありがとうございました。

投稿: ハルくん | 2014年3月22日 (土) 16時28分

ショスタコは、和声がすごくきれいだと思います。一時期交響曲第4を愛聴していた時がありました。難解な曲ですが第5番を予測させるフレーズもあり是非聞いてほしいなと思います。他には1・6・7・9・10・11・12・14そして集大成の15全て外せません。また、ビアノ・チェロ・ヴァイオリンの各第二番がお勧めなです。ロシアの作曲家群のなかでは旋律が非常に解りやすいと思います。又演奏は、オーマンデイ・コンドラシンあたりが好みです。以外といけますよ

投稿: k | 2014年9月11日 (木) 19時03分

Kさん

「ショスタコは5番が好きだ」という方は(自分も含めて)案外他の曲は余り好まれないケースが多いようです。
一通りは聴いてはいますが、少なくとも今のところそれほど好きではないというのが現実です。
コンドラシンの全集は良いですね。録音に古さは感じますが演奏がいいです。

投稿: ハルくん | 2014年9月11日 (木) 22時14分

こんにちは!

私もロシアンディスクの1966年の演奏がベストだと思ってます。

このロシアンディスクの音質アップ版が、別の年の演奏として売られているので、ぜひそちらも聴いてみてください!

http://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/B00002541V/ref=ox_sc_saved_image_2?ie=UTF8&psc=1&smid=A36ICK14ORU4JL

投稿: パズー | 2015年7月24日 (金) 13時18分

バズーさん、こんばんは。

やはりロシアンディスク盤ですか。最高ですよね!
リンクのディスクは見かけたことは有りますが同じ演奏なのですか。本当に高音質なのですかね?リマスターの音質アップ盤と言うのは音がいじられていて、一見音が向上してそうでいて逆に不自然なものが多いのですが、これはどうでしょう?

投稿: ハルくん | 2015年7月26日 (日) 00時31分

確かに、私がオススメした方は音がいじられていて自然な感じはしないですね。

中低音のレンジが広くなったのを考えたら我慢できそうですが、自然な音で残響もあるロシアンディスクも捨てがたいです。
コメントを投稿してから、はやり気になり、今聴き比べをしているところです。

ハルさんは自然な音のロシアンディスクを推されますか?

投稿: バズー | 2015年7月27日 (月) 22時29分

バズーさん、こんばんは。

お話からだけで判断すると、僕の好みはロシアンディスクかもしれません。
ムラヴィンスキーの切れ良い演奏に向いた切れの良い音質だと思うのですが。

投稿: ハルくん | 2015年7月28日 (火) 00時02分

そうですね。

Audiophone版の録音は、RussianDisc版をAltus版の録音の感じに近くさせたくらいのものと言えばわかりやすいのでしょうか。
しかし一方で、他の方のブログではRussianDisc版より高音質だけれども、その分音が薄くなったと言及されてました。

如何せん素人の耳なので正しいとか限りませんが、Audiophone版しか初めからなければ全く問題のない録音だと思います!

投稿: パズー | 2015年8月 4日 (火) 16時13分

バズーさん

まぁ、音には好みが有りますし、使用している機器との相性も有ります。
聴き比べが出来る条件が有るならば、あとは自分の耳で確かめてみるより無いですからね。

投稿: ハルくん | 2015年8月 5日 (水) 23時43分

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