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2013年1月 5日 (土)

ブルックナー 交響曲第5番 アイヒホルンの聖フローリアン・ライブ

聴き初めにブラームス、マーラーと大曲を聴きましたので、ここはいっそヘビーローテーションということで、AKB・・・じゃなかった、ブルックナーを聴くことにします。いやー、年始からヘビーな曲が続きます。まぁ、なにせ今年はヘビー年ですから。ヽ(´▽`)/
へえ、おあとがよろしいようで。(笑)

さて、新春早々馬鹿な事を言っていないで主題に戻ります。ブルックナーの曲では、最近は、最後期の8番、9番ではなく、5番、7番が聴きたくなります。特に5番の荘厳な雰囲気は新年に相応しいと思います。

あいにく、5番の演奏で未紹介のディスクは一つだけですが、それをご紹介します。隠れ名盤として世評の高い(ならば”隠れ”では無いか?)演奏です。

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クルト・アイヒホルン指揮バイエルン放送響(1990年録音/カプリチオ盤)

アイヒホルンという人は1994年に亡くなっていますが、永年ブルックナーの演奏に尽くしたので、ブルックナー協会からメダルを授与されている、いわゆるブルックナー指揮者ですね。録音も多く残しています。ところが僕はこれまで聴いたことは有りませんでした。理由は、手兵のリンツ・ブルックナー管弦楽団というのが、マイナーオケで、どうも実力がいま一つという評を聞いていたからです。単に食指を動かされなかったということです。

けれども、この1枚だけは目に留まりました。演奏がバイエルン放送響であることと、何といっても演奏会場が、ブルックナーの聖地であるオーストリア・リンツの聖フローリアン修道院だからです。故朝比奈隆氏が大阪フィルを率いて1975年にこの場所でブルックナーの第7番を演奏したことは余りに有名です。ここで演奏した第5交響曲とあっては聴かない訳には行きません。

さて、その演奏ですが、1楽章導入部から、非常に気迫の有る音で驚かされます。響きをふっくらと美しく整えるのではなく、こちらに迫るような押しの強い響きです。主部に入ると幾らか速めのテンポで荒々しいほどの迫力を聞かせます。さしずめマタチッチのようです。残響の極めて長いフローリアンで、これだけ荒々しく聞こえるのは相当なものですが、その理由はトランペットとトロンボーンがかかなり強めだからです。アイヒホルンの指示だとすれば、僕はイメージが覆されます。ただ、アインザッツが頻繁にずれるところをみると、アイヒホルンという人はオケ・コントロールは割合に緩い人なのかもしれません。このあたりが気にならなければ、中々に良い演奏です。

2楽章は、勇壮で美しく、大変聴きごたえが有ります。これはフローリアンの響きの豊かさが充分に生かされているのでしょう。心も充分にこもっています。

3楽章は、荒々しい迫力が有ります。曲が曲だけに、これは悪くありません。

終楽章は、おそらくもっとも出来が良いです。気迫がマイナスでは無く完全にプラスに働いています。表情が豊かで、彫が深く立体的、オケの響きも美感を増していて、非常に感動的な素晴らしい演奏となりました。

録音については、聖フローリアンの残響の長く柔らかい響きを忠実に捉えていて、バイエルン放送響の出す荒々しい音を美しく中和させています。それでいて各パートの分離も明瞭です。相反する要素を生かした優秀録音です。

ということで、5番の演奏としては、ヨッフム/コンセルトへボウの1986年盤はおよそ並ぶもののない奇跡的な名盤ですが、それ以外のクナッパーツブッシュ/ミュンヘン・フィルのライブ、ケンペ/ミュンヘン・フィル、マタチッチ/チェコ・フィル、ヴァント/ミュンヘン・フィル、ティーレマン/ミュンヘン・フィルといった愛聴盤達の仲間に加えても構わないと思います。

<過去記事>

ブルックナー 交響曲第5番 名盤

ティーレマン/ミュンヘン・フィルのブルックナー第5番

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ブルックナー(交響曲第4番~6番)」カテゴリの記事

コメント

明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願い致します。
私もこの演奏はなかなか気に入っています。朝比奈隆の表現にやや近く、迫力のある表現ですね。
アイヒホルンの他のCDは未聴ですが、機会があれば聴いてみたいです。

投稿: たろう | 2013年1月 5日 (土) 16時57分

ハルくんさん、こんにちは。 おぉ!3日連続の更新ですか!ブログ読者としては嬉しいかぎりです。(喜) ありがとうございます。
「ブル5」と言えば、ヨッフム/コンセルトヘボウ'86年盤が奇跡的名演として有名ですが、残念な事に 昨年まで聴く機会に恵まれず、ヴァント/MPO盤やケンペ/MPO盤を聴いていました。どちらも素晴らしい演奏なので、満足していましたが、昨年の暮れに キングから限定生産と言う形ですが、ヨッフム晩年の演奏が何組か発売され、やっと"奇跡の演奏"を体験する事が出来ました!(感涙)
なんと言う音楽なのでしょう・・・。何処までも深く、何処までも高く、何処までも広大な、まるで「宇宙の心」を体験するような演奏ですね。
こんな演奏に出逢えるなんて 私は幸せものです。
       アイヒホルンとバイエルン放送響の演奏も 良さそうですね。いつか、購入しようと思います。

投稿: ヨシツグカ | 2013年1月 5日 (土) 17時17分

聖フローリアン教会での演奏は、
5番はフランツ・ウェルザー・メスト&クリーブランド管。
7番で朝比奈隆&大阪フィルの演奏を持っていますが、
いずれも素晴らしいです。

とにかく残響時間が長いので、苦労するらしいですが。

それに対して積極的に攻めているわけですね。

私もその演奏聴きたくなりました。

投稿: 四季歩 | 2013年1月 5日 (土) 19時39分

たろうさん、明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。

少々武骨な味わいが、マタチッチや朝比奈御大を想わせて、これはこれで悪くないですね。
この人の他の演奏も聴いてはみたいのですが、手兵オケが、いまひとつ購入をためらわせています。

新しい一年がたろうさんにとりまして素晴らしい年になりますように。

投稿: ハルくん | 2013年1月 6日 (日) 11時21分

ヨシツグカさん、こんにちは。

いえいえ、正月休みにゆっくりと音楽鑑賞が出来て有り難いことですので。

ヨッフム/コンセルトヘボウ'86年盤を聴かれたのですね。良かったですね。
これはブルックナーの名盤の5指はおろか3指に入る演奏ではないでしょうか。ミュンヘンPOとの9番も同じですね。あとは・・・シューリヒト/ウイーンPOの9番でしょうか。いずれも奇跡の演奏ですね。

投稿: ハルくん | 2013年1月 6日 (日) 11時27分

四季歩さん、こんにちは。

フローリアンでの朝比奈/大フィルの7番は本当に感動的な名演奏ですね。団員にブルックナーの魂が下りてきていますね。

ウェルザー・メスト/クリーブランドの5番はTVでしか観ていませんが、クリーブランドの団員が「ここへきて初めてブルックナーの音楽が解った」と言ったそうですね。少々きっちりし過ぎなようには思いますが良い演奏です。
他にはブーレーズ/ウイーンPOの8番もここでのライブ盤で中々の演奏だったように思います。

やはり聖地フローリアンのあの特別な雰囲気がそうさせるのでしょうね。

投稿: ハルくん | 2013年1月 6日 (日) 11時50分

ハルくん、こんばんはnight

ブルックナーの名曲聴いてるんですか クラシックの作曲家の本にブルックナー載ってますよheart04heart04heart04私、一人でのクラシック講座開いてるって感じです(o^∀^o) クラシック音楽の他、AKB48や、jealkb等興味がありますよ(*^▽^*)heart04heart04J―POPでオススメなのはAKB48やjealkbがメチャクチャオススメですよ(^з^)-☆Chu!!heart02heart02heart02
年末年始はホントにヘビーな曲が続くので、時々クラシック音楽聴いてる時ありますよ(*^▽^*)ブルックナーのオススメの曲ありますか

投稿: 上原よう子 | 2013年1月 6日 (日) 22時22分

さすがーーー、ハルくんさん。
そのCDはいつどこでおかいもとめになりましたのー?
私、ずっと探し求めていたのですが見つからなかったーー。
まだまだ修行がたりないですね。

投稿: はるりん | 2013年1月 8日 (火) 00時27分

よう子さん、こんばんは。

ブルックナーの曲は長いのが難点ですが、初めて聴くなら交響曲第4番「ロマンティック」が良いですよ。アルプスの山々を見上げるような音楽です。
参考までに過去の記事なのですが、
http://harucla.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-606c.html

投稿: ハルくん | 2013年1月 8日 (火) 00時48分

はるりんさん、こんばんは。

あー、探されていたのでしたか。
ひと月ほど前に新宿の中古ショップ「盤組合」で買いました。
修行が足りないわけではありませんよ。中古CD探しと恋の出会いは、やはり坂本九ですね。ココロは「素敵なタイミング」です。

投稿: ハルくん | 2013年1月 8日 (火) 00時56分

ハルくん、こんばんはnight

作曲家の本を見てブルックナーの欄に載ってましたよ(*^∇^*)heart04heart04heart04

ブルックナー「歳をとっても夢は大きくsign01」ってね(`∇´ゞheart04heart04heart04

その後ろにワーグナーが、「がんばれsign01」ってね\(^ー^)/ ブルックナーとワーグナーはホントに素敵な共演ですね(^◇^)┛shineshineshineアルプスの画像メチャクチャ素敵ですよo(`▽´)o

投稿: 上原よう子 | 2013年1月 9日 (水) 22時31分

よう子さん、こんばんは。

ワーグナーはオペラを、ブルックナーはシンフォニーを得意としましたが、作風が似ているので、二人の曲を得意にしている演奏家は共通していますよ。

アルプスにも行ってみたいですよね。僕はアルプスの一番端っこまでは行ったことが有りますが、本格的には有りませんので。

投稿: ハルくん | 2013年1月 9日 (水) 23時06分

こんばんは。

エアチェック映像のメスト&クリーヴランド管で
この曲を本当に久しぶりに聴きました。
終楽章コーダが素晴らしいと思います。
正直晦渋な曲だという印象は変わりませんし
終楽章開始直後のクラリネット・ソロのダサさは死の苦痛です。
しかし、すべては最後の感動の行程だと悟りました。
「とにかく全曲通しで聴いて最後の最後で感動する」曲ですね。

とりあえず「ブル5アレルギー」は克服できました。
次はネルソンスが録音してくれるのを待ちます。


投稿: 影の王子 | 2018年6月22日 (金) 00時23分

影の王子さん

この曲はもちろんフィナーレの壮大な感動は大きいのですが、個人的に好むのは第1、第2楽章なのです。
ここまでに関しては晦渋さは感じませんし2楽章には特に感動します。
繰り返し聴くうちに変わってゆくことは往々にしてありますね。

投稿: ハルくん | 2018年6月22日 (金) 12時38分

もう50年位前になります。
田舎生まれだったので、よく母に畑に連れて行かれました。
ふもとには小さな教会、眼前には大海原が広がってました。
祖父には、小舟で釣りに連れていってもらいました。雄大な大自然を心に焼き付けられました。
ブルックナーには、田舎者の大自然への祈りを感じさせます。
5番では、2楽章ですね。
マーラー、ブルックナー、シベリウスなどには、田舎臭さを感じる箇所が多く見られます。

投稿: pp | 2018年6月22日 (金) 14時43分

PPさん

ロマン派や特に国民学派にはそうした自然や田舎の風景をイメージさせる楽曲が多いですね。
ドヴォルザーク、グリーグ、シューマン、他にも色々と有ると思います。
私もそういう楽曲は大好きです。

投稿: ハルくん | 2018年6月25日 (月) 12時51分

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