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2013年1月 4日 (金)

マーラー 交響曲第8番「千人の交響曲」 テンシュテットのロンドン・ライブ

Mahler_8_tensuクラウス・テンシュテット指揮ロンドン・フィルハーモニー(1991年録音/BBC盤)

昨年の仕事始めは4日だったのですが、今年は嬉しいことに7日からです。正月三が日にすっかりダラけた自分にとっては、非常に有りがたいことです。そこで聴き初めにブラームスの1番をテンシュテットで聴いたので、もう1曲、テンシュテットを聴くことにしました。

新年早々から、暗く厭世観の強いマーラーの曲を余り聴きたいとは思いませんが、第8交響曲は別です。マーラー自身が、「これまでの作品には、いずれも主観的な悲劇を扱ってきたが、この交響曲は偉大な歓喜と栄光を讃えているものです。」と語ったように、躁鬱的、精神分裂的なマーラーの書いた、最も輝かしく光を放つ壮麗巨大なカンタータかオラトリオのような作品です。第6、第9、「大地の歌」がマーラーそのものなら、この第8もやはりマーラーなのです。

といっても普段は滅多に聴くことが有りません。思い立った時だけです。ですので所有ディスクも、他のマーラー作品と比べると、ずっと少なくなります。それらは以前の記事の「千人の交響曲 名盤」でご紹介しました。

その中にはクラウス・テンシュテットのスタジオ盤(EMI)が含まれていますが、その後にリリースされたのがロンドンのフェスティヴァル・ホールでのライブ盤です。EMI盤は1986年の録音でしたが、このライブ盤は、ちょうど5年後の1991年の演奏です。EMI盤はこの壮大な曲を高揚感と格調の高さを持った素晴らしい演奏でしたが、やはりテンシュテットがステージに立つと演奏の気迫が違います。オーケストラは雄弁極まりなく、独唱、コーラス陣の真摯な歌声にも胸を打たれます。イギリスの合唱はやはり素晴らしいです。

ライブ収録にもかかわらず、録音の質が優れているのも嬉しいです。生の演奏会場に居るような臨場感が有りますし、オケも合唱も生々しい音で聞けます。各パートのバランスや距離感も抜群です。特に素晴らしいのは第2部で、中間部アダージッシモの神秘感やロマン性に魅了されますが、圧巻は終結部です。徐々に高まってゆき、ビッグバンのような爆発を見せる合唱とオーケストラには言葉を失います。このフィナーレの絶頂は、もしやバーンスタイン以上の史上最高ではないでしょうか。もちろんライブゆえの些細な傷が無いわけでは有りませんが、全体の感銘の前には全く問題になりません。

録音で聴いてもこれほどの感動を受けるこの演奏を、もしも実際の会場で聞いたらと思うと想像もできません。

この演奏は、テンシュテットのマーラーの中でも、北ドイツ放送響との伝説的な「復活」ライブ、1990年代のEMI録音のロンドンフィルとのライブの6番、7番、それにコンセルトへボウ管とのライブの5番に並ぶ特別な名演奏であるのは間違いありません。

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マーラー(交響曲第8番~10番、大地の歌)」カテゴリの記事

コメント

ハルくんさん、こんにちは。 マーラーと言えば 人間の闇や影の部分、そこからの光や彼岸への憧れを表現した作品が多いと思いますが、第8番だけは、"圧倒的な光"(マーラーにとっての神?)への讃歌のような 交響曲ですね。こうした作品はバーンスタインの演奏が最高なので、CDはバーンスタイン/ ウィーンフィル盤しか持っていませんが、テンシュテットのライブ演奏なら それに匹敵するかも知れませんね。
機会があったら聴いてみようと思います。

投稿: ヨシツグカ | 2013年1月 4日 (金) 15時30分

ヨシツグカさん、こんにちは。

バーンスタイン/ウイーンPOは最高ですよね。今回は直接の聴き比べをしていませんので、もしかしたら、やはりバーンスタインの方が感動が上なのかもしれません。ただ、それはもう頂上決戦のような超高次元での話です。
リスナーの聴くポイントも有りますし、ご自分の耳で確かめてくださいとしか言いようが有りません。
とにかく両者とも凄いです。

投稿: ハルくん | 2013年1月 4日 (金) 16時53分

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