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2012年11月21日 (水)

マリインスキー・バレエ/ロパートキナ 2012日本公演 「白鳥の湖」 ~儚いまでの美しさ~

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今週は偶然、舞台鑑賞が重なりました。昨夜は府中の森芸術劇場へマリインスキー・バレエを観に行きました。プログラムは「白鳥の湖」です。

マリインスキー・バレエを観るのは6年ぶりで、前回も同じ「白鳥の湖」でした。このバレエ団はやはり一番観たくなるバレエ・カンパニーですね。

当夜は、主役のオデット姫を最初はエカテリーナ・コンドウーロワが踊る予定だったのですが、それがウリヤーナ・ロパートキナに変わりました。勢いのあるコンドウーロワは楽しみにしていましたが、変更がロパートキナとあっては不満有るはずがありません。彼女の生舞台を見たことが無いので良かったです。

劇場に早めに着いたので、ちょいと隣の公園を歩いてみました。武蔵野の森を想わせるような紅葉が正に見ごろで素晴らしかったです。それから劇場建物内のイタリアンレストランで夕食を済ませて、いよいよ開演となりました。

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このバレエ団の舞台は実にオーソドックスです。まるで絵本を開いたみたいです。お城の貴族や、村の娘たちそのものの衣装は淡い色を基調にしていて本当に上品で綺麗です。それに何といっても踊りが美しいです。このバレエ団の魅力はコール・ド・バレエ(群舞)の美しさに有ると思いますが、およそ世界一ではないでしょうか。娘たちの裾の長いひらひらのスカートが一糸乱れず、くるくると回ります。日が暮れて徐々に暗闇が訪れるのを繊細な照明が演出しますが、明るさと色彩が刻々と変化するのが本当に素晴らしいです。

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バレエダンサーは、みな美しいですが、とりわけロパートキナの美しさには息を飲みました。正に別格です。以前ボリショイ・バレエの公演で観たザハーロワは最高だと思いましたが、こうしてロパートキナを観ると、とても甲乙がつけがたいほどに感じられます。さすがは天下のマリインスキーの看板バレリーナです。

オーケストラはもちろんマリインスキー劇場管弦楽団ですが、ゲルギエフが振るオーケストラ・コンサートの時のレベルからは相当かけ離れます。このようなバレエ公演のツアー・メンバーは、まあ2軍に違いありません。特に初めのうちは音が随分薄く感じました。けれども徐々に音が合ってゆき、響きがどんどん美しくなってゆきました。何よりノリが良かったです。さすがは一流劇場のオーケストラです。ちなみに当夜の指揮者はアレクセイ・レプニコフという人です。

ところで「白鳥の湖」でのパ・ド・ドゥのヴァイオリンの独奏は、毎回密かに注目しています。なにせ侮れない難しさなので、通常のバレエ団専属オケのコンマスでは必ずといって良いほどスケールのハイポジションの音程が狂います。でも、今回のコンマスはかなりの腕前でした。完璧な音程で弾き切っていて、時折まじえるポルタメントが非常に魅力的でした。たとえロパートキナのパ・ド・ドゥでも、つい音楽が気になってしまうのです。そういう点で、今回のオケは素晴らしかったです。

美しい踊りと音楽と、その余りに美しい舞台には儚ささえも感じてしまいます。この美しさは、今この場だけのものなのです。公演が終われば失われてしまい、記憶だけを残して消えてしまうからです。ステージを観ていて感動する反面、何だか悲しくなってしまいました。これは余りに美し過ぎます!

本当に素晴らしいバレエでした。次にマリインスキー・バレエを観られるのは何年後になるでしょう。オーケストラ・コンサートやオペラ公演とバレエ公演の客層は必ずしも一致しないのでしょうが、マーラーやブルックナー、ブラームスのファンも、この美しさは絶対に経験されるべきです。

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コメント

ハルくん様

>美しい踊りと音楽と、その余りに美しい舞台には儚ささえも感じてしまいます。この美しさは、今この場だけのものなのです。公演が終われば失われてしまい、記憶だけを残して消えてしまうからです。ステージを観ていて感動する反面、何だか悲しくなってしまいました。これは余りに美し過ぎます!

……名文ですなぁ……一瞬の美の儚さと哀しみが伝わってきます。読んでいて「クラリネット五重奏曲-もちろん、ブラームスの方-」が心に吹き抜けるかのようです。

とは言え、ハルくん様がちょっと羨ましいです。安く調達できる沢山の録音の他に、舞台などいろいろと楽しまれているようですし。

お住まいの場所も理想的なのでは? 録音を安く調達するにも、そうした『場』が必要ですし。東京ならば、都心に行けばそうした『場』はこと欠かないと思います。

morokomanはハイパーど田舎に住んでいる&ハイパー貧乏のため、こうした舞台を見ることなど、まずかないません。(涙)

ありがたや施設である図書館でDVDを借りて見るのが関の山ですね。

そうは言っても、DVDという媒体で「記録」が残ること自体、ありがたいもの。ど田舎者でも、文明の恩恵はしっかりと受けられます。不満を言うべきではありませんね。(^_^)

投稿: morokoman | 2012年11月23日 (金) 08時42分

morokomanさん、おはようございます。

おかげさまで、現在の住まいは東京都心にも遠く無く、横浜にも近いという理想的な環境です。でもCD、DVDを入手するのはほとんどインターネットになりました。なにしろ便利ですので。
これらの媒体で芸術を楽しめるのは日本全国共通で素晴らしいですね。


投稿: ハルくん | 2012年11月23日 (金) 09時38分

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