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2012年7月21日 (土)

メンデルスゾーン 交響曲第4番イ長調「イタリア」op.90 不滅の名盤

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メンデルスゾーンは一年前に、交響曲第3番「スコットランド」を記事にしましたが、それ以外にもヴァイオリン協奏曲や「真夏の夜の夢」という屈指の名曲が有りますね。それらと並んで、とても人気が有るのは交響曲第4番「イタリア」でしょう。個人的には「スコットランド」のほうが好きですが、「イタリア」の輝くばかりの生命力と躍動感は大変に魅力的です。

この曲が「イタリア」と呼ばれるのは、メンデルスゾーンがイタリア旅行中に作品を書き始めたことと、第4楽章にはイタリア舞曲の「サルタレロ」が使われているからです。

第1楽章アレグロ・ヴィヴァーチェ どの楽章も魅力的ですが、白眉はやはり第1楽章ですね。木管の速いスタッカート伴奏に乗って、さっそうと登場する第1主題は夏の暑さを吹き飛ばす爽快感が有ります。うーん、イタリア!ティ・ア~モ!

第2楽章アンダンテ・コン・モト ほの暗く甘いメランコリックな歌がとても魅力的です。メンデルゾーンの面目躍如です。

第3楽章コン・モト・モデラート スケルツォに相当しますが、甘く柔らかく歌われる旋律が何とも素敵です。

第4楽章サルタレロ・プレスト イタリアの民族舞曲のサルタレロですが、これはメンデルスゾーンがローマのカーニバルで観た印象を曲にしたそうです。さすがはイタリア、情熱的ですねぇ。

実は、この曲の愛聴盤はごく限られています。オールド・ファンなら誰でもご存じの定番中の定番です。

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アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団(1954年録音/RCA盤) 

ギリシア彫刻のような頑強な造形に、炎のように燃え上がる情熱と甘く歌うカンタービレが同居していて、何度聴いても魅了されます。メンデルスゾーンの演奏としては少々武骨に過ぎて、もう少し柔らかさが欲しいかなと思わないでもありませんが、これを一たび聴き始めると、やはり有無を言わせない説得力を感じてしまいます。
1楽章の強靭に刻むリズムは、どこまでが曲本来の姿なのか、トスカニーニ固有の特徴なのか良く分りませんが、それが中間では突然微妙なルバートが現れてハッとさせられます。こういう名人芸はさすがトスカニーニです。終楽章も単に速さで押し切るのではなく、強靭なリズムに音楽の重さ(”重ったるい”のとは意味が異なります)と聴きごたえを与えてくれます。弦楽パートの切り裂くような凄みやティンパニの一打一打の気迫には、心底圧倒される思いです。古いモノラル録音ですが、トスカニーニ最晩年の録音ですので、当時の音質としては優れています。

僕は決して、よく言われるような「最初に聴いた演奏の刷り込み」というのはまず起こらないタイプなのですが、この演奏ばかりは、他のミンシュ、カラヤン、クレンペラー、アバドなど、どの演奏を聴いても、これを越えるようには中々感じられませんでした。もちろん音の良いステレオ録音で、気に入った演奏を聴きたいとは思っていますが、今後もしも期待出来るとすれば現役ではパーヴォ・ヤルヴィあたりでしょうか。

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コメント

ハルくんさん、こんにちは。 毎日 暑い日が続きますが こういう時こそ この「イタリア」を聴いて 気持ちだけでも カラっとしましょう!(笑) さて、私の愛聴盤も トスカニーニ盤ですが さすがにこれ一枚では寂しいので 色々調べた結果、カンテッリ/フィルハーモニア管(55年)盤を入手。これが「大当たり!」(笑)で トスカニーニと双璧の名演奏でした。私はこの二枚で「イタリア」は十分と思っています。 なお カンテッリ盤ですが、来月 廉価盤(999円)で発売予定だそうですので 良かったら聴いてみて下さい。

投稿: ヨシツグカ | 2012年7月21日 (土) 12時20分

ヨシツグカさん、こんばんは。

カンテッリ盤も定評が有りますね。モノラル盤だという理由で、これまで見送っていましたが、それほどお薦めでしたら聴いてみたいと思います。

この曲はやはりモノラル盤に尽きるのでしょうかねぇ。

投稿: ハルくん | 2012年7月21日 (土) 21時56分

こちらにもコメントさせていただきます。4楽章はタランテラだと思っていましたが、改めて調べてみるとサルタレロとの違いがよくわかりませんでした。ともにナポリの古い舞曲のようですが、似たダンスなのか、同じものの異名なのか?
よく考えると、1楽章が長調なのに4楽章が短調という曲はめずらしいですね(逆はよくありますが)。他にはブラームスの3番があるでしょうか。それなのに暗さを感じさせないところがメンデルスゾーンです。
私の愛聴盤はアバードです。餅は餅屋、イタリアはイタリアンということで、明快な演奏が気に入っています。

投稿: かげっち | 2012年7月23日 (月) 13時03分

かげっちさん、コメントを沢山ありがとうございます。

同じローカルから発祥した舞曲であれば、どちらかが派生したのかもしれませんね。

終楽章は短調でも情熱と活力が凄いですね。アルゼンチンタンゴも哀愁と情熱が凄いですし、ジプシーの踊りも同様ではないでしょうか。案外そういうタイプも多いのですね。

この曲はやはりイタリア人指揮者が良いのですかね。余りに判りやす過ぎますよね。(笑)

投稿: ハルくん | 2012年7月23日 (月) 22時03分

この曲はアバード以外をいろいろ比べていないので何とも言えませんが、メンデルスゾーン自体が明快な音楽を書いた人なので、わかりやすい演奏で納得しています(笑)それなのに何度聴いても飽きないところが凄いところです。

投稿: かげっち | 2012年7月24日 (火) 13時29分

この情熱的な曲は、やはりイタリア人演奏家に限ると思えてきました。イタリアの男性は、それはそれは情熱的に女性に迫るそうです。その代わり浮気しやすいのかもしれませんが。

かげっちさんがアバドの演奏に浮気をされないほどですから、やはり良い演奏なのでしょうね。改めて聴き直してみたくなりました。

投稿: ハルくん | 2012年7月24日 (火) 23時43分

イタリア人指揮者が冷静なドイツのオケと演奏するのが最善かと(笑)メンデルスゾーン自身は一抹の理性を残した人ですから。

投稿: かげっち | 2012年7月25日 (水) 12時43分

こんばんは。

今晩のEテレの「クラシック音楽館」での
ネルロ・サンティ指揮N響のこの曲は
なかなか素晴らしい演奏でした。

とにかく弦が瑞々しくて美しいです。
両端楽章は決して急ぎませんが迫力には欠けません。
会場がNHKホールではなく、サントリー・ホールなのも
幸いしているのでしょう。
美しい響きにうっとりしてしまいました。

投稿: 影の王子 | 2015年2月 1日 (日) 23時14分

私もネルロ・サンティ指揮NHK交響楽団の放送を見ました。
「イタリア」を含めて全プログラム、素晴らしい演奏でした。
改めてサンティの指揮者としての力量の凄さに敬服しました。

投稿: オペラファン | 2015年2月 2日 (月) 23時50分

影の王子さん、こんばんは。

日曜の「クラシック音楽館」は一部を観ただけでしたが、ネルロ・サンティの指揮は良かったですね。
この曲を素晴らしく演奏出来れば大したものですね。

投稿: ハルくん | 2015年2月 3日 (火) 22時49分

オペラファンさん

サンティは初めて見ましたが、何か昔のマタチッチを想わせるような貫禄ある風貌ですね。
やはり指揮者は「顏」が大事なのでしょうか。

投稿: ハルくん | 2015年2月 3日 (火) 22時52分

バーンスタイン&ニューヨーク・フィル 1958年 ソニー

アバド&ロンドン響 1984年 DG

ガーディナー&ウィーン・フィル 1997年 DG

トーマス・ファイ&ハイデルベルグ交響楽団  2007年 hanssler

沼尻竜典&日本センチュリー交響楽団 2013年 EXTON

以上の5点はどれも好きな演奏です。

特に沼尻氏!この瑞々しさはなんなんだ!
これこそイタリアの晴れ渡った空なんだ!

投稿: 影の王子 | 2017年6月21日 (水) 22時58分

影の王子さん、こんにちは。

記事に加筆をしていませんが、モノラル録音ながらグィド・カンテッリ/フィルハーモニア管も素晴らしいです。

とても好きな曲なのですが、最近はほとんど聴いていない為に新規入手盤がほとんど無いのが現状です。

沼尻盤は評判が良いみたいですね。一度聴いてみたいものです。

投稿: ハルくん | 2017年6月22日 (木) 12時38分

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