ブラームス「ドイツ・レクイエム」 堀 俊輔/合唱団アニモKAWASAKI 演奏会
ゴールデンウイークの初日、関東は初夏のような気候でした。そんな昨日、神奈川県の川崎にブラームスの「ドイツ・レクイエム」を聴きに行きました。主催は川崎市で活動するアマチュア合唱団、アニモKAWASAKIで、共催が東京交響楽団です。ご存じの通り、東京交響楽団は川崎のミューザ川崎でも定期的にコンサートを開いていますが、昨年3月の東日本大震災でホールが被災したために、その活動を一時的に横浜と、同じ川崎の教育文化会館に移しています。今日のコンサートも、その教育文化会館で開かれました。
合唱団アニモKAWASAKIを聴くのは今回が初めてでしたが、定期演奏会が今回で13回目。これまで、第九、荘厳ミサ曲、ヴェルディ「レクイエム」、マタイ受難曲、ロ短調ミサ、などの大曲を演奏してきているそうです。定常的にミューザ川崎で東京交響楽団と共演している、非常に恵まれた環境の合唱団なのですね。このような団体を地元に持っている川崎市の音楽ファンはとても幸せだと思います。
この合唱団の音楽監督は、堀 俊輔さん。「ヘルベルト・フォン・ホリヤン」の仮名?でも知られるプロ指揮者です。
今日のプログラムは、「悲劇的序曲」に続いて「ドイツ・レクイエム」という、ブラームス・ファンが大喜びしそうな曲目です。開演前には、ほとんど客席が埋まっていて、とても地域に密着しているのだなぁという印象です。
ステージ上にメンバーが上がって、見るとコンマス席には東響のソロ・コンサートマスターの大谷康子さんの姿が。相変わらず素敵です♡
さて、ホリヤンの棒の一振りで開始された「悲劇的序曲」ですが、僕はこの曲が大好きなのですねー。ブラームスらしい心の内面から揺さぶられるような劇的さと、中間部のロマン的で大きく歌われる愛の歌。10分ほどの曲で、これほど内容が充実している曲も珍しいように思います。演奏も、曲の良さを中々に引き出していて楽しめました。
メインの「ドイツ・レクイエム」ですが、この曲については拙ブログで、昨年の東日本大震災の直後に、~亡くなられた被災者の方へ~ という記事を書いたのですが、今日の会場には、その被災地から避難されて来られた方もいらっしゃったそうです。
この曲は、本当に素晴らしい曲です。通常レクイエムというと、カトリックの葬儀の典礼用の音楽ですが、この曲はブラームスが聖書から自分で選んだ言葉を音楽にしていて、死者の安息のためだけにではなく、この世に生き続ける者へ優しく慰める音楽になっています。
今日の演奏は、合唱団、オーケストラの皆さんの心がそのまま曲に乗り移ったような、美しくも慰めと生きる勇気を与えられるような感動的な演奏でした。僕は元々、どちらかいうとプロの洗練されて上手いコーラスよりも、アマチュアの真摯な歌声に惹かれる人間ですが、今日の歌声は正にそのような、心に響いてくる演奏でした。これは、普段、家で聴いているドイツの著名演奏家のCDで味わう演奏とはまた異なる、音楽の喜びを与えてくれます。独唱はもちろんプロである澤畑恵美さん(ソプラノ)と、青山貴さん(バリトン)でしたが、コーラスの感動を更に高めるような素晴らしい歌唱でした。そして、これら全体を統率した堀さんは、さすがに合唱曲を得意にしているだけあって見事でした。
来年の定期演奏会には、修復の終わるミューザ川崎でバッハの「ヨハネ受難曲」が予定されているようですので、是非また聴きに行きたいと思います。
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コメント
今晩は、ハルくん。素敵なコンサートを楽しまれた様子ですね。私もGW前半は恒例になったラ・フォル・ジュルネで楽しみました。今年のテーマはロシア音楽。 プロコフィエフやショスタコーヴィッチがいまいちな私はどうしてもチャイコフスキーに…27日夜はピアノ協奏曲1番、28日夜は交響曲6番「悲愴」本日夕方には弦セレ他すべてチャイさまに流れてしまいました♪ 普段クラシックを聞かない方も気軽に来れるコンサートなので曲を知らない方も結構いたようで「悲愴」の3楽章終了時点で拍手が起きたり(確かにあの盛り上がりはフィナーレと勘違いしがち?)と、ちょっとアクシデントありでしたが、三公演で¥5500は充実感とお得感いっぱい!奥村愛さんの公演は完売でがっかりでしたが、デパートで弟さんとのジョイントで入場無料のミニコンサートを行なってくださったの。行きましたよ、プレゼント持って♪やっぱり綺麗だわ~。LFJ新潟にも被災されて新潟に住んでいる方も来ていらしたようでした。ひととき辛さを忘れていただけたかな。
投稿: from Seiko | 2012年4月29日 (日) 20時07分
ハルくんさま。本文避難が非難に…誤字みーつけた。おばちゃんは年々意地悪になるんだよ~って。直したらコメント削除してね。
投稿: from Seiko | 2012年4月29日 (日) 20時11分
Seikoさん、こんばんは。
恒例のLFJ新潟にいらっしゃったのですね。
何だかんだ言っても、ロシア音楽の粋はやはりチャイコフスキーですからね。ピアノ協奏曲1番、悲愴、弦セレ、どれもみな最高です。
悲愴の三楽章では、海外でも昔からよく拍手が起きていたそうですよ。気持ちは分かりますよね。
「非難」の誤字、ご指摘ありがとうございました。訂正はしましたが、せっかく頂いたコメントですので、大事に残しておきます。
それではGW後半もゆっくり楽しまれてください。
投稿: ハルくん | 2012年4月30日 (月) 00時12分
ハルくん様。
ブログ拝見させて頂きました。
良い記事だったので、ついつい二度三度と読ませて頂きました。
投稿: 竜心寺 | 2012年4月30日 (月) 11時17分
♪ハルくん様♪
ご来場とコメントありがとうございます!!合唱団ソプラノのひとりです。コメントを拝見して嬉しくて思わずひとこと・・。
2004年ミューザかわさきコンサートホールのこけら落とし公演で市民合唱団として、初めて大曲の合唱に参加しました。以来毎年参加しています。それまでママさんコーラスの経験しかなかった私が、毎年、素晴らしい東京交響楽団とソリストの方々とご一緒できるというのは本当に幸せです。堀先生のご指導と皆様のお蔭です。
ハルくん様は歌われないのですか??
ご一緒に歌いませんか?
皆様もご興味ある方は『合唱団アニモ』HPからどうぞ♡ バッハ『ヨハネ受難曲』初練習は5/7(月)です。
投稿: ちゃびママ | 2012年4月30日 (月) 11時36分
竜心寺さま
お褒め頂くほどのものでは有りませんが、有難いお言葉を頂戴致しまして、大変嬉しく思います。
どうもありがとうございました。
投稿: ハルくん | 2012年4月30日 (月) 23時01分
ちゃびママさま
昨日の熱演、おつかれさまでした。
また、コメントを頂戴して誠にありがとうございます。
毎年、ご参加されていらっしゃるのですね。古今の名曲の演奏経験が毎回ひとつづつ増えてゆくのはとても愉しいものですよね。長期間練習している間に、曲のすみずみまでが自分のものになってゆくので、演奏前とはけた違いに理解が深まりますよね。
合唱団にお誘い頂きまして、誠にありがとうございます。
僕は歌うのは大好きですよ。但し、もっぱらカラオケのほうです。(笑)
シューベルトのリートなんかも好きで、一人でくちづさむことはあっても、合唱団の経験はありません。かつてアマチュア・オケに参加していたときには、合唱団との共演経験はありますけれど。
次回は「ヨハネ受難曲」なのですね。「マタイ」にも匹敵する素晴らしい曲なので、歌いたいなぁとは思いますが、なかなか練習に参加できないでしょうから、実現は難しそうです。代わりに客席から声援を送らさせて頂きますね。
投稿: ハルくん | 2012年4月30日 (月) 23時24分
この曲は、アバト&ベルリンフィルのをDVDで持っています。
恥ずかしながら、この一枚だけですが、
とても気に入っています。
とても癒され、また勇気づけられます。
これを生で視聴できたら、またすごいでしょうね。
うらやましいです。
投稿: 四季歩 | 2012年5月 4日 (金) 19時23分
四季歩さん、こんばんは。
アバト/ベルリン・フィルのDVDは観たことがありませんが、この曲は本当に素晴らしいですよね。
合唱曲の生演奏はとても良いですよ。もし機会が有りましたら是非お聴きになられてみてください。
投稿: ハルくん | 2012年5月 4日 (金) 23時45分
やっぱり首都圏は文化レベルが高いなあ、というか、ステージが充実していることは間違いないですね。ドイツレクイエムを演奏する機会は二度とないと思っていましたが、歌にまわれば可能性はあるのですね。
今年はLFJあきらめました。来年のテーマは何なのでしょう。
投稿: かげっち | 2012年5月10日 (木) 12時32分
かげっちさん、こんにちは。
ドイツ・レクイエムはヴィオラが活躍するので一度演奏したいところなのですが、いかんせんブランクが長すぎて、こちらも機会は無さそうです。でも、合唱団への参加も悪くないですよね。ご一緒に歌いましょうか。(笑)
LFJの来年のテーマは、フランスものみたいですね。ラヴェル、ドビュッシーがやはり中心になるのでしょうかね。
投稿: ハルくん | 2012年5月10日 (木) 19時08分